悪の頂点の筈なのに何故かうちの喫茶店で魔法少女達が居座っている件   作:鉄血

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第十七話 世界の現実

学校の授業が終わるチャイムが鳴る。

白音は朝の朝礼の時から少し憂鬱な気分だった。

隣の席である七宮詩音の行方不明。

朝から慎一郎に会えて浮かれていたのが嘘みたいに今の白音は冷めていた。

心配───と言えば心配である。

一応ある程度の交流はあったし、偶にとはいえ喋る機会もあったのだ。知り合いに何かあれば心配になるのは当然である。

とはいえ───

 

「白音ちゃん!早く行こうよ!じゃないと時間に間に合わなくなっちゃう!」

 

教室の出入り口でコウハと都が鞄を持って待っていた。

 

「うん。すぐ行くね」

 

白音は急かすコウハに返事を返すと、鞄を持って自分の席から立ち上がる。

何時までも気にしてはいられない。なにせ今日は〈シリウス〉の活動日でもあるのだ。

 

「ごめんね。コウハちゃん」

 

「ううん。早く行こう!」

 

そう言って駆け出すコウハに対し、都はコウハを見守りながら笑みをつくる。

 

「最近はテストとか色々あったから、コウハちゃんはしゃいじってるね」

 

「でも息苦しいよりはいいかも」

 

「うん。たまには私達も息抜きしないと身体に悪いし」

 

白音と都はそう話していると、廊下の先からコウハの声が聞こえてきた。

 

「おーい!白音ちゃん!みゃーこも早く行くよー!」

 

「朱羽!廊下を走るな!!」

 

「げッ!?先生!?ごめんなさーい!」

 

廊下の先で先生に呼び止められるコウハに白音と都は苦笑いを作る。何時もコレだから先生も慣れているが、コウハにはもう少し厳しくしても良いと近頃思う。

 

「じゃあ行こっか」

 

「うん。でないとコウハちゃんも待ちくたびれるだろうし」

 

白音と都は先生に呼び止められているコウハのもとへ足を進める。

 

「朱羽・・・お前今月で何回目だ?俺の知る限り五、六回くらいお前を呼び止めてるぞ」

 

「ご、ごめんなさい・・・」

 

先生に謝るコウハに都が先生に言う。

 

「ごめんなさい先生。コウハちゃんがまた迷惑かけて」

 

「なら、雨宮も朱羽に言って置いてくれ。俺は今から会議があるんだ」

 

「はい、言っておきます。先生」

 

気をつけて帰れよと言って先生は職員室がある二階の階段へと上がっていく。

先生の姿が見えなくなった瞬間、コウハが大きな溜め息をついた。

 

「ありがとー。もう先生に怒られて散々だったよ」

 

そう言うコウハに対し、白音は呆れたように言った。

 

「だったら廊下を走らなかったらいいのに」

 

「うっ・・・正論だから否定できない」

 

何も言い返せないという顔を作るコウハに、都は苦笑いを浮かべたままだった。

三人は学校の正面玄関で上履きから靴に履き替えた後、帰路を通りながら目的地である事務所にまで歩いていく。

───と。

歩き始めてから十分ほど歩いただろうか。駅近くの高層ビル群に三人が差し掛かった時、いきなり突風に煽られた。

 

「・・・んっ」

 

「うわっ!?」

 

「きゃっ!」

 

白音達は突然の突風にスカートを押さえる。

だが、そんな白音達の目の前で───オレンジ色の炎が激しく噴き上がった。

 

「ギャアアアアアアアア!!?」

 

甲高い絶叫がビル群中に響き渡る。

少し遅れて、周囲の通行人たちも悲鳴を上げた。

人が“燃えている”。

魔法少女の力ではない。恐らく───能力者。

 

「みゃーこ!!」

 

「うん!」

 

コウハの声と同時に都が手をかざす。

 

「fons Neptunus!!」

 

都のその言葉と同時に、燃える男性に大量の水が降り注ぐ。

一気に水が火を消化したが、その男性の身体は手足は溶け崩れ、真っ黒に炭化していて原形をとどめていない。

 

「・・・そんな」

 

「みゃーこ・・・そんなに落ち込まないで」

 

あの一瞬で燃え尽きた男性に、都は口元を押さえてその場に膝をついた。

コウハはそんな都を心配するように背中を擦る。

白音は炭化した人だったモノを見て───白音は始めてこの世界の“現実”を知った。

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