悪の頂点の筈なのに何故かうちの喫茶店で魔法少女達が居座っている件   作:鉄血

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第十八話 能力者としての力

「慎一郎さん。魔法少女と能力者の違いってなんですか」

 

高層ビル群で人が燃えた事件の翌日。

〈イオニアン〉のカウンターで三人の少女達が慎一郎に詰め寄っていた。

慎一郎は顔を引き攣らせながら白音に言う。

 

「いや、まあ答えられるけど・・・なんで俺?」

 

「一番詳しそうなのが貴方ですから」

 

信頼してくれるのはありがたいことだが、他の二人も連れてくるとは思わなかった。

慎一郎はコウハと都に視線を向けると、自分が組織の人間だとバレないように質問する。

 

「えっと・・・じゃあ後ろの二人はなんで来たの?」

 

慎一郎の質問に都は答えた。

 

「私は、目の前で人が燃えてなんで能力者の人はこんな酷い事をするんだろうって思って・・・だから知りたいんです。白音ちゃんから慎一郎さんが能力者だって聞いて慎一郎さんがどう思っているのかを」

 

「私はただ許せないだけ。人の命を簡単に奪うだなんて許せないから」

 

「あー・・・」

 

つまりは純粋に知りたいという気持ちと正義感と言った所か。

慎一郎は白音に顔を近づけながら、小声で聞く。

 

「俺や〈組織〉については何も話してないよな?」

 

全てを知った柊なら別に問題はないが、この二人は別だ。彼女達を引き込む前に組織の人間だとバレてしまえば、政府との戦争になりかねない。

顔を近づけたせいか、顔を赤くする白音は小さく頷く。

 

「・・・大丈夫です」

 

マフラーで口元を隠す白音に対し、外野の二人は少しだけ笑みを浮かべていた。

どうやら白音の恋路は二人に知られているらしい。

こういった頼み事を断りづらい慎一郎は一度溜め息をつく。

 

「今は無理だから店を閉める五時頃に来てくれ。なんなら飯も作る」

 

「「・・・!!ありがとうございます!」」

 

「・・・良かった」

 

頭を下げるコウハと都に対し、白音はどこかホッとした様子で胸を降ろしていた。

 

「一応、柊は残ってくれ。人手がちょっと足りないんだ」

 

「わかりました。ではすぐに着替えますね」

 

「おう」

 

更衣室へと着替えに行った白音を見送り、慎一郎はコウハと都に視線を戻す。

 

「まだ時間はあるから端のテーブルで時間まで待ってくれ。もしくは、時間になるまで遊びに行ってもいいぞ」

 

「じゃあ待たせてもらいます」

 

「じゃあ私も。みゃーこや白音ちゃんがここにいるんだもん。なら、私も待つよ」

 

二人はそう言うと、慎一郎は貸し出し中と書かれたプラ盤を都に手渡した。

 

「なら、コレを机の上に置いておいてくれ」

 

「わかりました」

 

都は一度頷いて、一番端の席にコウハと一緒に向かう。

 

「今日はモノに来るなって言っておかないとな」

 

そう呟きながら時計を見る。

閉業時間まで後三時間。後少しだけ待ってもらうとしよう。慎一郎はそう思いながら、厨房へと戻っていった。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

午後五時十分。慎一郎と魔法少女の三人しかいなくなった喫茶店で慎一郎は向かい側に座る白音達に飲み物を出しながら言った。

 

「・・・で?何から聞きたいんだ?能力者と魔法少女の違いか?それとも何故、能力者達が一般人を傷つけたりしようとする理由か・・・どっちから聞きたい?」

 

「・・・能力者達が一般人を攻撃したりする理由を聞きたいです」

 

慎一郎の二つの選択に答えたのは都だった。

その質問に慎一郎はコーヒーを口にしながら答え始める。

 

「俺達能力者は魔法少女と違って差別されてきた。どうしてだか分かるか?」

 

「・・・差別?どうして差別が・・・」

 

白音は知っているので反応を示さなかったが、返ってきた答えに都とコウハは困惑する。

そんな二人に対し、慎一郎はすぐに答えを出す。

 

「俺達能力者の力は現実に対して“干渉能力が高すぎる“んだよ」

 

そう言いながら、慎一郎は髑髏の置物を箱の中から二つ取り出した。ハロウィン用の装飾だが、自分の能力を見せるにはこれが一番手っ取り早い。

 

「俺の能力を一言で表すなら“ゲーム“だ。ゲームのルール・・・まあなんでもいい。そのルールを現実にすることが出来る。ボートゲームだとオセロってゲームあるだろ。挟めば白から黒に変える───もしくは黒から白に変えるっていうルール。それを現実で出来るんだ」

 

「えっ?」

 

「どういう意味?」

 

「それってつまり───」

 

白音だけが気づきかけている。

だが、まだ分からないといった表情をしている二人に慎一郎は自分の能力を見せることにした。

 

「柊。一回体験してもらおうか」

 

「・・・体験ですか?」

 

「すぐに戻してやるから安心してくれ。ただ、少し気分は悪くなるかもしれないが」

 

首を傾げる白音に慎一郎は白音の後ろに回り込むと髑髏の置物を両手に一つずつ手に持つ。

そして“挟み込むように二つの髑髏を白音に当てた”。

───次の瞬間。

 

「・・・なっ!?」

 

「・・・ッ!?白音ちゃん!?」

 

髑髏に挟まれた白音は一瞬にして“白骨化”した。

だらりと“白音だったモノ”がテーブルの上に崩れ落ちるように倒れ込む。

 

「・・・っ!白音ちゃんに何をしたの!?」

 

都は慎一郎に問い詰めるが、慎一郎は冷静に答える。

 

「俺の能力の一部を見せただけだ。それに、柊は“死んでない“」

 

「死んでないって・・・どういうこと!?」

 

コウハの質問に慎一郎は答えた。

 

「ただ“見た目がこうなっただけ“なんだよ。オセロってゲームは黒と白のチップをひっくり返して多い方が勝ちっていうゲームだ。今の白音はチップで言うと、“ヒックリ返った状態”なんだ。白が人間なら、黒が俺が持つ髑髏。だから二人とも今度は自分の頭を今の柊に左右から当ててみてくれ」

 

「う、うん」

 

「こう?」

 

都とコウハは自分の頭をコツンと左右から白骨化した白音に当てる。

するとまるで時間が巻き戻るかのように、白音がもとの人間の姿に戻った。

 

「えっ?あれ・・・?ボクはなんで気を失って・・・」

 

「「白音ちゃん!!」」

 

頭を抑える白音に、都とコウハは彼女を抱きしめる。

 

「えっ?どうしたの?二人とも・・・」

 

状況が把握出来ていない白音はなぜこうなったのか分からないと困惑していた。

 

「二人が落ち着くまで待ってやれ」

 

「えっ?慎一郎さん・・・それはどういう?」

 

状況を理解出来ていない白音をそのままに、慎一郎は冷めたコーヒーを口に入れる。

冷めたコーヒーはただ苦く、酸味がとても強くいつまでも舌にその味が残った。

 

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