悪の頂点の筈なのに何故かうちの喫茶店で魔法少女達が居座っている件   作:鉄血

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第十九話 能力者と魔法少女の違い

あれから少しした後、落ち着いた都とコウハは白音から離れ、机の上に置かれたカフェオレを口にして落ち着いた様子だった。

白音も自分がどのような状態になっていたのか説明したらすぐに納得してくれた。流石学年トップをキープしていると言っているだけのことはあり、理解力が高い。

 

「と、まあ俺の能力は現実に影響がかなり出るタイプでな。能力をフル活用すれば物理法則すら無視できるし、なんだったら良く実況動画とかで縛りプレイなんてあるだろ?俺の能力の有効範囲内だったら任意の相手にそのルールを強制させたりすることもできる」

 

「それ、チートじゃん」

 

コウハの言葉に慎一郎は苦笑いを作りながらコーヒーを啜る。

 

「つっても、その能力は俺も含めるから場合によっては俺自身も弱体化したりするけどな」

 

そう付け加え、慎一郎は白音達を見る。

 

「能力者が差別される理由は、基本的に能力による被害が周りに出るのが当たり前だからそれで差別される事が多いんだ。“暴走した魔法少女”だってそうだろ?」

 

「・・・なんで、その事を」  

 

都が慎一郎が暴走した魔法少女について口にした時、驚いたように呟いた。

そんな都に対し、慎一郎は言う。

 

「俺の知り合いにお前と同じ“魔法少女”がいるからだよ。暴走した魔法少女がどうなるかは俺も知っているからな」

 

都とコウハはその言葉に、唖然とする。

慎一郎はそんな二人を差し置いて、今度は白音に視線を向けた。

 

「───で、次は魔法少女についてなんだが・・・」

 

慎一郎は腕を組みながら三人を見て説明を始めた。

 

「魔法少女は能力者とは違うところがあってな、魔法少女になれるのは“適正”が必要なことは知っているよな?」

 

「はい」

 

「当たり前のことですから」

 

「そりゃあ、もちろん」

 

「なら話は早い」

 

頷く三人に、慎一郎は結論を言った。

 

「能力者と魔法少女の違いは大きく分けて三つ。まず一つは先に言った現実に対する干渉能力、もう一つが適正の有無。そしてもう一つはな、“能力の使用する際の詠唱”だ」

 

「えっ?」

 

三つ目の答えに三人は目を丸くする。

能力を使用する際の詠唱?そんなことをしたことあるだろうか?

首を傾げる白音達に慎一郎は説明を付け加える。

 

「ほら、三人は魔法少女の力を使う時はどうする?」

 

「え?そりゃ能力の名前を叫んで───あ」

 

自分の発した言葉に何か気づいたのか、コウハが動きを止める。

どうやら気づいたらしい。

 

「もしかして・・・能力の名前を言うのがその詠唱?」

 

「正解だ。俺達能力者はそんなのは言わないしな」

 

そう言いながら慎一郎は手を叩く。

 

「後は干渉能力についてなんだが、本来魔法少女は持久性が無いせいで俺達能力者みたいに能力の常時展開は出来ないんだ。ただ──」

 

少し詰まらせるように慎一郎は白音に視線を向ける。

 

「白音は魔法少女の中でも第三位───で、二人も見た感じ上位に位置する魔法少女だろ?そこまで高い適正ランクだと俺達能力者と干渉能力の差はそう変わりないんだ。まあ、それでも能力者は長いと何ヶ月と力の維持できるけど、白音はそこまで維持出来ないだろ?」

 

「そう、ですね」

 

長くても数日維持するのが限界だと言う白音に、慎一郎は頷いた。

 

「そりゃあ仕方ないさ。能力の出力の問題だからな。魔法少女は能力の出力だけみれば能力者の数倍の出力を引き出せるんだぜ?正面からの殴り合いになったら俺なんて一瞬よ?」

 

「その力を問答無用で縛れる人に言われたくないなー」

 

コウハは慎一郎にジトッとした目でそう答えた。

能力の使用禁止というルールを敷いてしまえば、魔法少女などただの非力な少女だ。

それを知ってか知らずか、慎一郎はただ肩を竦めるのみ。

 

「まあ、そう言うことだ。これが能力者と魔法少女の違い。能力者が一般人を傷つける理由は長い間、ずっと差別されてきたからその恨み返しと言ったところだな」

 

そう言って慎一郎は立ち上がる。

 

「ほら、今日はこれ以上遅くなる前に帰れよ?昨日、人が燃えた事件があったんだから」

 

カップを片付け始める慎一郎に都が質問した。

 

「あの慎一郎さん・・・その事についてなんですけど」

 

「ん?」

 

振り返る慎一郎に、都は言った。

 

「能力者は──一瞬で人を燃やせる力があるんですか?」

 

「“俺の知る限り、能力者は一瞬で人を燃やせるような出力は出せない”。脳にだいぶ負荷がかかるからな。人が燃えた現場に居たんだろ?他に何か起こらなかったか?」

 

「・・・そういえば、突風が吹いたような」

 

そこまで答えると、慎一郎は言う。

 

「なら、“大気“を操る能力かもな。大気中の酸素を一極集中すれば人間くらいなら一瞬で燃やせるかもしれない」

 

「そう、ですか。ありがとうございます」

 

都は慎一郎に一度礼をし、白音とコウハと共に喫茶店を後にした。

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