悪の頂点の筈なのに何故かうちの喫茶店で魔法少女達が居座っている件   作:鉄血

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第二十話

「だいぶ遅くなったな」

 

時刻はもう二十時。明日の準備をしていたせいで店の戸締まりが遅くなった慎一郎は店の鍵を閉める。

 

「にしても、能力者による殺人か・・・この街に他所から来た能力者の仕業か?」

 

火を操る───もしくは大気を操る能力者がやったことは政府の連中に直ぐ様目を付けられる。この大都市の大半の能力者を指揮しているのは慎一郎達〈組織〉だ。

亡くなった男性には悪いが、この状況で政府が動かないのは慎一郎にとって好都合でしかない。

何故なら今から十五年前。慎一郎が能力者と分かる前に、とある事件があった。

能力者の力の暴走。しかもその能力者はまだ十歳にも満たない子供が起こした最悪の事件。

基本的に能力者は維持力が高い代わりに瞬間的に出せる出力は大きくない。

だがまだ幼い子供の時点で強力な能力を手にしてしまった場合、その能力を制御しきれず暴走してしまう可能性がある。

能力の暴走によって十五年前、“巨大地震”が起こった。

その子供が持っていた能力は“振動”。

結果、一人の子供が起こした大地震で約一万人以上の人達が行方不明、もしくは死んだ。

この件がなかったら───能力者は差別をされずに済んだのだろうと思うくらい酷い事件だったことを覚えている。

その結果、能力者に対して政府が危険視し、一時期デモンストレーションがあった。

 

それは能力者及びその親族の皆殺し。

 

これには流石の国民も非難した。能力者でもなんでもない親族ですら殺されるのだ。だが、非難した国民に対し、政府は圧殺。

そして月日が流れ、魔法少女という存在が生まれ、魔女狩り部隊が出来上がり、こうして能力者達は自分の身の内を隠しながら生きていく事となった。

 

「奴の狙いはなんだ?・・・クソッ、分からねえ」

 

今回の能力者は快楽殺人者かそれとも何か別の目的があるのか。

“そこ”が分からない以上、此方から動きようがない。

 

「もし、この件に関わろうとする奴がいるとすれば──」

 

慎一郎は恐らく魔法少女が必然的に関わることになると、目をつけた。

あの三人以外の魔法少女も関わりそうな奴は居るには居るが、一番関わりそうな少女と言えば───。

 

「・・・雨宮都。この話に一番食い付いてきたのはアイツだ。もし、アイツが事件の能力者と接触して戦う事になったら───」

 

炎を操る能力者であればいいが、大気を操る能力者であった場合、彼女は───

 

間違いなく死ぬ。

 

これは慎一郎自身の勘でしかない。だが、雨宮都の水を操る能力はモノから聞いた限り、彼女の劣化でしかない。

 

「───モノとラインハルトに連絡を入れておくか」

 

最悪の結末───十五年前に起こったデモンストレーションをもう一度起こさせる訳にはいかない。

そう胸に秘めながら空を見上げる。

夜空には雲が星を覆い隠すように広がっていた。

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