悪の頂点の筈なのに何故かうちの喫茶店で魔法少女達が居座っている件   作:鉄血

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第ニ十三話

「あの・・・慎一郎さん」

 

「ん?どうした柊?」

 

慎一郎は白音の声に反応して振り返ると、白音はそんな慎一郎に質問をする。

 

「あの、さっき慎一郎さんが言っていた《遠隔感応型能力者》って一体?」

 

「それ、私も気になります」

 

そう言う白音と、そんな白音に便乗する都に慎一郎は歩きながら口を開いた。

 

「能力者にはな、魔法少女と違って二つの種類がある。まず俺のように自分や周りを対象にする能力者が《遠隔感応型能力者》と呼ばれていて、他には自分自身を対象にする能力者の事を《自己操作型能力者》と言う」

 

慎一郎はそう言いながら、ビルの路地裏に入る。

白音と都もそんな慎一郎を追うように路地裏に入りながらも、慎一郎の説明を聞いていた。

 

「自己操作型の能力者は俺の能力のように周りに干渉せずに、自分自身に対する干渉能力が凄まじく高い。簡単に言えば、自己強化型と言えば分かりやすいか。やたら身体能力が高い能力者や自分自身の身体の骨格や筋肉を変形させて違う生物になったりするのが《自己操作型》の特徴だ。ただし、身体に対する負担が凄まじいから能力者の中でも特に暴走しやすい」

 

暴走しやすいと言って慎一郎は更に説明を続ける。

 

「二年前・・・だったか。《自己操作型》の能力者が暴走した事件があったのを覚えているか?最終的には殺されてワニの姿のままもとに戻らなかったらしいが」

 

「二年前・・・ワニ・・・もしかして〘捕食者〙ですか?ボクの前任だった人が倒したっていう・・・」

 

そう言う白音に、慎一郎は頷いた。

 

「ああ。その〘捕食者〙が良い例だ。当時の第三位が出たにも関わらず、中々解決しなかっただろ?」

 

「はい。だから沢山の犠牲者を出したって聞いてます」

 

そう言う都に、慎一郎は首肯する。

 

「ああ。最終的に〘捕食者〙は自身の本能のまま、暴走し、捕食し続けた。自分の能力が内側に集中し、自身の身体が耐えきれなくなった〘自己操作型能力者〙の最悪の結果だな」

 

慎一郎はそう言って、白音達に視線を向ける。

 

「大半の魔法少女が戦闘するのは、暴走した自己操作型能力者だ。だが今回の相手は俺と同じ遠隔感応型能力者。幾ら魔法少女でも死ぬぞ」

 

そう言う慎一郎に白音と都は真剣な顔をする。

 

「大丈夫です。それくらいの覚悟は出来ています」

 

「はい。魔法少女として生きてきたときから出来てます」

 

「・・・ったく」

 

強情な彼女達に慎一郎は息を吐く。

魔法少女というのは強情な奴ばかりだと慎一郎は思いながらも、笑みをつくった。

 

「んじゃ、頼りにしてるぜ。二人とも」

 

「「・・・はい!」」

 

白音と都は力強く頷くのを見て、慎一郎は目的地であるバーの扉に手をつけた。

 

「一旦二人はここで待っていてくれ。流石に魔法少女のお前らが入ると周りが煩くなる」

 

「分かりました。じゃあ、私達はここで待ってますね」

 

白音はそう言うと都も頷いた。

 

「じゃ、待っててくれ」

 

慎一郎はそう言ってバーの扉を開けた。

そして眼前の光景に言葉を失った。

 

「──────」

 

バーの中は花のように広がった大量の血と、人だったものの燃え滓に大量の灰が床に散らばっていた。

 

「・・・慎一郎さん?」

 

固まる慎一郎を見て都が首を傾げ、バーの中を覗き込もうとする。が───

 

「見るなッ!!」

 

慎一郎のその叱責に都はビクッと肩を揺らしながら動きを止めた。

 

「・・・ッ。どうしたんですか?」

 

白音は厳しい顔つきの慎一郎に問いを投げると、慎一郎は視線を扉の先から逸らさず、白音と都に言った。

 

「“全員死んでる”。仮にも能力者だ。普通の奴は出来やしない。コイツはかなりのやり手だ」

 

その言葉に、白音と都は何も言えなかった。

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