悪の頂点の筈なのに何故かうちの喫茶店で魔法少女達が居座っている件   作:鉄血

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第三十四話

「ねえ、白音ちゃん」

 

「なぁに?みゃーこ」

 

今日はもう遅いと言う理由で都は白音が今住んでいるマンションにお泊まりをすることになり、今は二人で一緒にお風呂に入っていた。

お風呂場から溢れ出る湯気と共にちゃぷちゃぷの波打つ水の音がどこか心地良い。

その中で都は湯船に浸かりながら、白音に言う。

 

「私ね、白音ちゃんが慎一郎さんのことを好きになった理由。ちょっとだけ分かった気がするの」

 

湯船の熱なのか、それとも火照った身体の内から溢れ出る熱なのか・・・それは分からないが、その内側から溢れ出る感情を白音に零す。

 

「慎一郎さんってあんなに優しくて強い人なのに、私達のことをちゃんと見てくれるんだもん。私があの時暴走しちゃって自暴自棄になっても、正面から私と向きあってくれて私に生きていてもいいって理由を教えてくれた。・・・本当にいい人だね」

 

「・・・うん」

 

そう言った都に、白音は頷く。

そして白音は桶に溜まったお湯に映る自分の顔を見ながら唇を開いた。

 

「あのね、みゃーこ・・・」

 

「・・・?どうしたの?」

 

「・・・ううん。なんでもない」

 

「・・・そっか。また、言いたくなったら言ってね。私、待ってるから」

 

「うん」

 

あの時の事件のことを、白音は都に打ち明けたかった。あの時やったのは自分なのだと。けど、都とコウハとの関係が壊れるような気がして言えなかった。

 

「・・・私も、あの子にちゃんと謝らないと。ごめんなさいって。慎一郎さんに言ったら会わせてくれるかな」

 

「・・・会わせてくれるよ。きっと」

 

「・・・うん」

 

都は目を閉じる。

 

「ねぇ、白音ちゃん」

 

「なに?」

 

「私・・・“負けないからね”」

 

「・・・えっ?」

 

都のその言葉に、白音は“ギギギッ”と錆びた機械のような動作で振り返る。

 

負けないからね。確かにみゃーこはそう言った。

 

「み、みゃーこ?・・・も、もしかして・・・慎一郎さんのこと・・・」

 

「んー・・・内緒かな」

 

「みゃ、みゃーこぉ!!」

 

いたずらっぽく笑う都に、白音は涙目で叫ぶ。

 

「好きになった訳じゃないよね!?ボク、みゃーこに勝てる所なんてないだよ!?」

 

「でも、白音ちゃんスタイル良いよね?」

 

「みゃーこより出るとこは出てない!!」

 

「えー?そうかなぁ?」

 

「そうだよ!!」

 

「でも、白音ちゃんは髪も綺麗だし」

 

「みゃーこもじゃん!」

 

「私は違うよ?ちゃんとしてるからあれだけど、私ちょっとだけくせ毛だもん」

 

「・・・うぅ。みゃーこに勝てる要素がないよ・・・」

 

落ち込む白音に、みゃーこはふふっと笑う。

 

「そんなことないよ。白音ちゃんだって良いところあるんだから」

 

都はそう言って、浴槽に肘をつく。

 

「慎一郎さんもきっと分かってると思うよ」

 

「そう・・・かな」

 

「うん。だから明日は、私達も一緒に行こう?犯人探し」

 

「・・・うん」

 

白音は頷くと、身体についた泡を洗い流し、都と一緒に浴槽へと冷えた身体を沈めた。

少しだけ顔を赤くさせながら。

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