悪の頂点の筈なのに何故かうちの喫茶店で魔法少女達が居座っている件   作:鉄血

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第六話

────午後六時三十二分。

 

慎一郎は夜の街を歩いていく。

明かりが夜の街を照らす中、慎一郎は唐突に足を止めた。

 

「────」

 

目の前に立つ水色の髪を持った少女──モノは慎一郎の姿を目に入れた瞬間、笑みを浮かべた。

 

「──シン」

 

「ああ、五日ぶりか。モノ」

 

慎一郎がそう言うと、モノは目を閉じながら唇を開く。

 

「うん。五日と六時間二十四分ぶりだ。感動の再会じゃないかい?」

 

「別にそこまでだろ」

 

たかだか一週間にも満たない日数に感動の再会だと言うモノに、慎一郎はため息をつきながらそう言うと、モノはどこか拗ねたように唇を尖らせる。

 

「ボクとの再会は感動的じゃなかったのかい?前は感動的だって言ってたじゃん」

 

「その時はその時のノリだろ?それに、その時はお前が未成年のくせに酒なんざ飲んで酔っていただろうが」

 

「そんなのくだらない大人達が作った法じゃん。そんなのこのボクが従うと思う?」

 

邪悪な笑みを作るモノに、慎一郎はため息が出る。

確かにコイツには常識を説いても無駄だった。

自由を求めるモノは基本的には好き勝手する。

だから喫茶店にいる時も、気が乗らない限りは手伝ってはくれないし、なんなら学校の方も偶にしかいかない。

いや、まだ行っているだけマシなのかもしれないが。

 

「・・・それでさ、シン。聞きたいことがあるんだけど」

 

「なんだ?」

 

唐突な質問に首を傾げる慎一郎に、モノはニコッと笑みを作ると、低い声で言った。

 

「君を好きになったあの女・・・誰さ?」

 

その言葉と同時に開かれた目は、怒りと嫉妬が入り混じった目をしていた。

 

「いやね、監視してたんだよね。ラインハルトの命令でさ、あの女の事。別にシンが誰かを好きになるのは構わないんだよ?“ボクが一番であるのなら“好きに恋愛をしてもいい。けどさぁ、ボクが知らない所で勝手に仲良くなっていいとは言ってないぜ?」

 

そう言いいながら慎一郎の胸ぐらを掴み、自分の顔を慎一郎の目の前に引き寄せる。

 

「・・・で、話は戻るんだけど。あの女、誰かな?」

 

そう言うモノに慎一郎は冷や汗を流しながら答えた。

今のモノに、嘘を言うのはマズい。

 

「俺の喫茶店でバイトしてる子だよ。お前と同じ学校で、アイドルや魔法少女をやってる」

 

「・・・へぇ〜?」

 

魔法少女と言う単語を聞いたモノは何処か怪しむように言う。

 

「なるほどねぇ?つまり君は彼女を助けようとしているのかい?それとも、絶望のドン底に叩き落す?ボクとしては“後者”の方が嬉しいんだけどなぁ〜?」

 

モノは自分を試すかのように目を細め、慎一郎の反応を確かめる。

そんな彼女の問いに慎一郎は答えた。

 

「“両方だ“」

 

「・・・へ?」

 

慎一郎の言った答えに、モノは目を丸くした。

 

「柊には悪いが──俺はアイツを絶望のドン底に叩き落して、そこから彼女を救い出す。タチの悪い事だって理解してるし、最悪な事をしているってのも分かってる。──それでもな。俺はもう、“俺や妹“みたいな犠牲者をこれ以上増やしたくないんだ」

 

そう言いきった慎一郎に、モノは一瞬ポカンとした顔をした後、すぐさま笑みを浮かべて笑い出した。

 

「アハハハッ!何それ!シンも面白い事するねー!あの子を絶望に叩き落としてその後に助け出すんだ!サイコーだよ!シン!やっぱりボクの相棒だ!」

 

ケラケラと笑いながら慎一郎の肩を叩くモノ。

ひとしきり笑ったモノは慎一郎を見て言った。

 

「じゃあシン。“始めようぜ“?ボク達でこの世界を──彼女達をブッ壊して何もかも新しく──そして自由に幸せになれる世界を願ってさ──」

 

そう言いながらモノは慎一郎の唇に自身の唇を口づける。

 

────そして

 

人が通る夜の街の中心が───一気に地獄と化した。

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