帰還
20XX年……6月
1人のウマ娘が異世界に旅立ち3つの異世界で約60年の年月を過ごしたウマ娘が今の異世界より帰還した
初めの世界は戦国時代であった、下剋上蔓延る世の中を身一つで剣術を極め、織田信長の家来として生き抜いた
2つ目の世界は大正の鬼滅の世界
鬼が蔓延る世の中を全集中の呼吸や透き通る世界等を完成させ、鬼の大将無惨と相討ちとなった
3つ目の世界は暗殺教室……触手という反物質生成装置となるように人体改造されたが、とある中学校にて生徒として殺せんせーという人生の師と出会い、勉学やレース術等を学んできた
名をロンメル……クラシック期で未勝利かつスリーアウト(未勝利戦3戦連続9着以下)をくらい2ヶ月の出走停止処分を受け、チームから除籍されたウマ娘である
「……帰って来た……帰って来たぞ!!」
あちらこちらにウマ娘がいる世の中
ロンメルは涙を流して歓喜した
これは異世界の技術を身につけたロンメルが異世界の技術と学んだ知識を生かしてゼロ……いやマイナスから足掻く物語である
美浦寮に戻り久しぶりの自室に戻ると異世界から持ってきたスマートフォンを充電する
『……ここが異世界ですか?』
「お、律無事に起動したね」
『はい! ここの世界のWi-Fi? 似た物がありますのでチューニングします! ……完了しました』
正式名称【自律思考固定砲台】……略称は律
暗殺教室の世界のスウェーデン人の博士が作った超兵器……なのだがロンメルのスマートフォン【殺フォン】にアプリとして分身を送り込むことで異世界への移動を可能にした
ネットワークに接続することで周囲の機械を少しだけ力を借りることで演算能力が馬鹿みたいに上がり、スパコンをも超える力を身につけるAIである
「さてまずは持ち物の確認だ」
異世界から持ち帰った物や技術を確認する
【刀】……殺影月とも言いロンメルの愛刀、ギミックがある
【触手】……髪の毛やしっぽと同化している生物兵器、ロンメルの全身の細胞と癒着している
【反物質細胞】……触手細胞のこと、万能細胞であり、超人的な力を時間経過で得れる
【全集中の呼吸】……炎、水、月とオリジナルの霸の4種類の呼吸を操る、時間経過で強い肉体を得れる
【剣術】……戦国次第にト伝から習った剣術を長年かけて進化させた技達
【透き通る世界】……別名一之太刀、世界が透ける、エコーやレントゲン要らず
【格闘術】……空手や柔道、キックボクシングを混ぜた物
【無毒化した無惨の血】……鬼にならないように改良された血液、回復能力だけが残っている、ロンメルの全身に流れる血液はこれにより黄金の血液と同様の万能血液でもある
【育成の教科書】……殺せんせーがくれた書物、全5000ページ
【夏休みのしおり】……殺せんせーがくれた夏休みのしおり、アコーディオンみたいに長い
【冬休みのしおり】……殺せんせーがくれた冬休みのしおり、漫画30巻よりも長い
【卒業アルバム】……暗殺教室での思い出の写真集
【アドバイス帳】……殺せんせーがくれたアドバイスがかかれた辞書、全2万ページでロンメルがやるべきアドバイスが載っている
【殺フォン】……殺せんせーが作ったスマートフォン
6.7インチのディスプレイ、画面サイズは(幅×高さ×厚さ)72mm×166mm×8.9mm
内蔵メモリは驚異の5TB
重さは350g
様々な電話会社の電波をジャックして通話やインターネットをすることが可能です! 防塵、防泥、防弾、耐斬撃、耐衝撃etc……
使用可能時間 動画250時間
なぜか入っている謎アプリ集達(ポケモン図鑑、悪魔召喚プログラム等)
これに律のアプリが入っている
【暗殺術】……暗殺教室で身に付けた技術
以上である
一通り持ち物を広げたロンメルはそそくさと収納スペースに道具をしまっていく
クローゼットやベッドの下にしまいこみ、色々と思い出していく
なにぶん異世界の時間が長かったので同部屋の子の名前を思い出すのに時間がかかったが何とか同部屋の子が来るまでに色々と思い出していく
まずロンメルが初めにやらなければならないことはチーム探しである
チームを探しをレース出場禁止期間終えて、9月から12月までに1勝クラスになっていなければ1月に【クラス変更届け】が届いてしまう
【クラス変更届け】……レースで活躍できないウマ娘の将来を考えトゥインクルシリーズからの脱退勧告及び進学や就職準備クラスへの移動
拒否=自主退学なので事実上の命令である
これを回避するには今年中に1勝しなければならない
ちなみにだがロンメルは現在新人戦と未勝利戦合計7連敗中のウマ娘である
異世界での技術や知識を持っていても能力はリセットされるので1から鍛えなければならない
ただ問題はクラシック期でスリーアウトをくらうようなウマ娘が入れるようなチームが無いことである
チームに入るにはチーム主催の選抜レース、学園主催の模擬レース、学生主催の自由レースでトレーナーにスカウトされるかチームが行っている入隊テストに合格する必要がある
で、そんなテストやスカウトは普通新入生の入る4月から7月までには終わるためこの時期にチームを探すのは困難である
チームに入れないとターフやトレーニングスペースがほぼ使えない為皆こぞって強いチームに入りたがり、強いチームは優先的に施設の使用ができたり、合宿が豪華だったりする
中堅、弱小と弱くなるごとに部室がショボくなり無所属は本当に悲惨である
とにもかくにも情報収集である
律に頼んでネット上から情報を集めてもらい、ロンメル自身は足でチームを探す
無所属というのはクラスでもカーストが最下位となるものであり、落ちこぼれと揶揄される
エリートが集まるトレセン学園でもスクールカーストがあり、G1や重賞を勝てればそれだけでカースト最上位にいける
一方未勝利をうろうろするようなウマ娘は出来損ないだのと言われて虐められることもある
ロンメルもその対象であるのだが気配をとにかく消した
存在感が無ければ虐めようが無い
もともとロンメルを知っていた者達(友達)は同じくらいの未勝利や1勝クラスをうろうろしていた様な者達なので、ロンメルがチームを追い出された事を知ると縁を切るような薄情者達でもあったのでとにかくロンメルは虐められないように存在を消す
食堂でも無料で食べ放題だったのは数年前の理事長の交代で終わり、今は有料となってしまった
家が金持ちで多額の寄付金を学校に払っている者や特待生と呼ばれる名門出身者や入学試験や編入試験で特に優秀だった者は無償になるため好きなだけご飯を食べられるが、普通の生徒はレースに勝つまではチームから食費が出され、これも強いチームは無制限に、弱ければそれだけ金が無いので残念な食事となる
チームに入ってないロンメルは自腹で食費を抽出しなければならず、食費の確保も問題となった
トゥインクルシリーズやドリームトロフィーは莫大な金が動く
というかトゥインクルシリーズ引退後はドリームクラスか社会人リーグにウマ娘は流れる
トゥインクルシリーズや夏冬のドリームトロフィーは賞金が設定されており、例えばダービーだと優勝賞金は3億、ジャパンカップと有馬記念は各5億のお金が選手とトレーナーとチームスタッフに分配されて振り込まれる
ドリームクラスは年間12レースの夏と冬にドリームトロフィーが開催され通常レースの賞金は1億、ドリームトロフィーは10億もの優勝賞金がURAより贈られる
ドリームクラスになればスポンサーがつけられ、プロとしての戦いであり、トゥインクルシリーズは甲子園の様な学生限定戦の様なものである
ただウマ娘の場合最盛期が12才から18才……長くても22才で終わる為トゥインクルシリーズは衰えが始まったら辞め、ドリームトロフィーは最盛期が終わったウマ娘が衰えと戦いながら戦うという場所のためトゥインクルシリーズは若さの勢い、ドリームトロフィーシリーズは熟練の技という感じである為双方人気がある
で更にこれに賭け事の要素とアイドル要素があるため莫大な金が動く
有名選手になれば歌のCDを出すだけで莫大なお金を得れるし、その選手が大きな舞台で勝てるようにファンも応援する
宝塚記念や有馬記念はファン投票で出走ウマ娘が決まるため更に白熱する
そして有名選手になれば例えドリームクラスにいけなくても今度はコーチだったりトレーナーだったり、社会人リーグの選手だったりそのままアイドルや歌手、芸能人として食っていく事ができる
だから中央トレセン学園に入る=勝ち残れば間違いなく偉くなれるという人生の勝ちが決まっているといっても過言ではない超エリート校なのである
ただそんなエリート校が故に学費も高い
特待生達は学費免除なので良いが、普通の家庭だと一番可能性がある子供を選んで送り込まなければならない
昔は有名選手を多数排出していたが、支援金と高い学費で没落した名家は多数あるというほどウマ娘の世界は弱肉強食である
ロンメルは一人っ子で運良く中央トレセンの入学試験にギリギリ合格した実力しかなく、家が金持ちでなければ実力もない……そんなウマ娘が超エリート校で生き残っていくのは普通なら無理である
「むむむ」
『なかなか難しいですね』
問題点が色々と出てきた
チームのことは嫌という程言ったので割愛
学食の費用問題と練習スペース、消耗品代も
「なかなか困ったな……昔は殆ど無償だったらしいけど学生時代から競争能力を高める方針に学園が切り替えたお陰で強者は世界と戦える力を身に付けたし、全体の質も上がったけど、弱者は弱者のままになってしまっている」
『まるで暗殺教室の時みたいですね』
「金が絡んでるから尚更質が悪い」
とりあえずチーム探しは継続、金の問題はバイトをするしかない
弱小チームはバイトをするから練習時間が減って強くなれないって感じなんだよなぁ
無所属は更に弱者だけど
「練習スペースは町で走るしか無いな。幸い今は夏だから市民プールが安く使える」
トレセンには巨大な温水プールがあるのだが強いチームがこぞって使うので弱小チームはたまにしか使えない
無所属はほぼ使うことは不可能だ
「となるとバイト探しが先決か……律」
『はい、家庭教師のバイトなんかどうでしょうか。ロンメルさんの学力であれば問題ないかと』
ちなみにロンメルの年齢は15歳……一応働ける
で、暗殺教室で鍛えた学力があるのでMARCHくらいなら受かる学力を有していた
『私も働きましょうか?』
「律何で働くの?」
『ネット教育をしたり、Vチューバーになって稼ぐことが可能です。任せてください!』
「ありがとう! 助かるよ!」
『それではロンメルさんの事を家庭教師に登録しましたので数日待ってください』
「数日間最安値の3食サラダ定食か……」
『とにかく頑張りましょう!』
授業が終わると馬鹿広い校内を探索して入れそうなチームを探す
律も過去のデータを漁って訳ありでも募集しているところがないか探してくれてるがなかなか見つからない
そもそも全校生徒10年前の学園大拡張で生徒数が5000人を超えており、チーム数も1チーム10人くらいなので500チーム以上ある
そこから探せば1つくらいヒットしないかなと探していると【学生連合】というチームを見つけた
【学生連合】……普通ウマ娘のチームは星の名前が付けられる(例シリウス、スピカ、リギル、カノープス等)が学生連合はトレーナーが居ない有志の学生が集まり1つのチームとなっているらしい
「律、詳しく調べられない」
『わかりました』
図書室等のパソコンを使いロンメルも調べてみると掃き溜めであることがわかった
「大怪我をして現役復帰困難と診断されても現役にこり続けている選手や素行不良、極端な成績不振か……」
『流石にここは辞めた方が良いのでは?』
「いや、ここにしようと思う」
ロンメルは手早く入団届けを作ると学生連合が不法占拠している旧校舎の音楽室に突入した
「たのもー!」
「「「……」」」
なんというかどんよりとしている
活力もなくただ集まって駄弁っているような……そんな感じだ
「入団希望なのですがチームリーダーの先輩は居ますか」
「俺だ」
タバコを吸っていた先輩が立ち上がるとロンメルの事をじろじろと見てくる
「ようこそ掃き溜めへ。成績不振タイプだろお前」
「わかるのですか?」
「まぁ伊達に5年も現役続けてねぇよ」
「ではよろしくお願いしますね先輩方、ロンメルです。皆さんを手入れしに来ました……目標は皆さんをオープンウマ娘以上にして、私自身は世界最強になることです。よろしくお願いします」
15名近くたむろしていたウマ娘達はポカーンとした後笑い始めた
「おいおい冗談はよせよ! ここは弱者が傷を舐め合う掃き溜めだぜ! そこに来ているお前もギリギリなんだろう。お前の戦績を言ってみろよ」
「7戦0勝です」
「「「ギャハハハハ」」」
「傑作だ! 傑作だよ! お前……頭逝かれたバカウマ娘だったか……」
「できるわけねーだろ! 頭沸いてんのか」
「煩い、黙れ」
ロンメルが喋ると周囲の気温が下がったかのように錯覚する
威圧感……いや、殺気である
その場に居た全員の尻尾がビーンと張り、警戒を露にする
「できないではない。やるんだ。例えば……そこのお前、複雑骨折をしたな。脚のバランスが終わってる」
「な、なによ!」
「見せてみろ……」
ロンメルは椅子に座っていたウマ娘に近づき足をペタペタと触る
「チクッとするぞ」
ロンメルは極細の触手を動かし、座っているウマ娘の足に触手を入れる
悪い形で固まってしまった骨を整形し、正しい形に治していく
悪い血を吸い取り、血管や筋肉の形も整えてから触手を引き抜く
「立ってみろ」
「なによ……嘘……痛くない……」
「ここにいる15人のウマ娘を私はオープンクラス以上にしてやる。ただし賞金の50%は学生連合の資金として徴収する。勝てる方法を教えてやる」
誰一人ロンメルに異議を唱えることができなかった
殺気に気圧されて動けない
全員の額から冷や汗が止まらない
まるで天敵が目の前に居るような……恐怖を感じたのだ
ロンメルはまずメモ帳とペンを取り出し
「名前」
「え?」
「名前を教えてください。授業を始めます。皆さんの名前を教えてください」
「み、ミッションタイマー」
「次」
「コアランタン」
「次」
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全員の名前をロンメルは覚えると
「では脚の悪いカラスマーチ先輩とファッションカラー先輩はまず脚を治しましょう。タカタノソラ先輩とヤクルトガッツ先輩は体が固すぎるのでほぐしましょう。その他の先輩方は今から呼吸法を教えるので真似してください」
椅子に座らせた2人の足を触手で治し、寝っ転がらせた2人を触手と手でほぐしていく
他の先輩方は困惑しながらも呼吸を教えていく
違う呼吸をしたら腹をバンバンと叩いて違うと指摘する
皆チームをいきなり掌握したロンメルに不満はあれど、コアランタンのびっこを引かないと歩けなかった脚を治して普通に歩くのを見て驚愕し、とりあえず言うことを聞くことにした
敗者の掃き溜めの改造が始まった瞬間であった