「あー、どこかに人材転がってないかな~」
『どうしました急に』
「いや、マンシュタインも頑張ってるけどなにぶん経験不足だからまだまだ時間もかかるし、呼吸も覚えてもらわないといけないし……」
さすがのロンメルも少しずつであるが疲れが蓄積し始めていた
寝る時間を増やせば良いのだが今の良いチーム状態を維持するためにはロンメルが頑張らなくてはならない
「いや、でも遂に旧校舎から脱出したもんな」
というのもこの前のチームが強豪と認められたことにより大きな部室が与えられた
前のチームはトレーナーが引退したから解散したらしく、選手は弟子のトレーナー達に引き取られたらしいが、チーム順位はどうしても下がる
そこで成り上がった学生連合が空いた部室をいただいたことになる
場所は女性トレーナーの寮(トレーナー室があるところ)に程近く、チーム人数が35人くらいなら普通に生活できるくらい広い
前のチームには専属のシェフと栄養士が居たらしくキッチンがお店の調理室くらいデカイ
6口コンロに、業務用冷蔵庫2台、調理台が3台、流しも広く、大型の食器洗浄器までついている
「「「広!? ヤバすぎ!?」」」
見てまずそこに驚いた
トイレも3つ備わっており、広びろのリビングと事務室、お風呂にシャワールームもある
二階に上がると会議室と反発マットで埋め尽くされた調整室、個室が幾つとなっていた
「至れり尽くせりだなぁ……よし! ニットリで家具買ってくるぞ」
と近くのニットリと家電量販店を巡り家具や家電、調理器具を購入
1日目はほぼリフォームで終わった
で、ロンメルは2階の会議室を改造し、プロジェクターとスクリーンとホワイトボードを備え付け、勉強できるスペースを確保
で、流石にトレーナー室を貰ったことで美浦寮からは(就寝時間に帰ってこないという寮長の必死っな訴えにより)追い出された
トレーナー室はチームの順位等で場所が移動したりすることは無いのでロンメルは律用のマザーコンピューターを賞金を使って購入した
主に中古のプレステ3に付いているセルという部品を流用して家電全部にセルを組み込み、マザーコンピューターと連動して電気も凄い食うが、凄まじいパフォーマンスを発揮するマザーステーションが完成した
律の体には印刷機やタブレット、3Dプリンター等も組み込まれており、部屋の中の物は全てネットワークで連結されているので律の指示1つで動かすことができる
他人から見たらトレーナー室というよりサーバールームである
そんな場所に作業用の机とパソコンがある感じだ
あとベッドが置かれている感じ
トレーナーの寮でもあるのでこちらにも大浴場とコンビニが付いていたりする
雑貨や軽食くらいならここで揃う
ロンメルもトレーナー寮に入るまでここにコンビニが有ることは知らなかったのだが……
トレーナーに正式になったことにより外部のウマ娘を教育することができなくなった
プロ野球のプロアマ規定みたいなのがこちらにもある
ということで正式にトレーナーとして活動が認められる前に各自の家にこれからやるべきことを全5000ページのしおりを4人に渡した
これからは私が関わることはトレセンに入ってからであるが律を経由してこっそり教えたりはするが、基本律に任せるつもりだ
律もこれまでの学生連合や他チームから奪ったデータ、監視カメラから得られる生きた情報やレース映像により進化を続けているので、律に任せても4人は呼吸も領域の入り方も覚えているし、トレーニングのやり方も教えているので問題ないとの判断故だ
だからスリームーンさんの親御さんに借りていた物件は解約金を支払って解約した
しかし、これで築いた絆というのが無くなるわけでもない
スノーアイランドさんの親御さんとは今後も食料関係で契約を続けるし……
皆寂しい、トレセンに合格したら学生連合に入るからと約束してくれたのはとても嬉しかった
「家庭教師組の件は少し残念だけど金輪際の別れでもないしファン大感謝祭や来年には会えるしねぇ……それよりも今は海外レースに出る手続きを……神経を使いますねぇ……触手を使っているとはいえ、脳が甘味を求めますよ」
律と協力して書類を処理していく
それにディープバレット先輩、ストリートパス先輩、マジックサンダー先輩の3名も引退手続きを終え、チームには居るが今年の3月で卒業となる
ディープバレット先輩はレースで稼いだ資金と学生連合の出場する時の屋台で生活費を稼がなければならないと中々のハードモードだが、こちらも支援はするつもりだ
というか調理スタッフとして卒業してもチームへの出入りはできるようにセッティングはしたり、スタッフの賃金も支払うことで近場のマンションでも生活できるとは思うが……
「ヌルフフフ、本当に人手が足りません! 書類は私と律さんでなんとかなりますがサポートスタッフが! 全然足りない!!」
ということで律に色々探して貰うと、とある人物がヒットした
というか私達のチームにも関わりがある
その人物は年齢29歳で数年有名トレーナーの下でサブトレーナーをしていたが契約違反で解雇されている
違反理由は担当ウマ娘との恋愛らしい
アイドル路線で売っていたそのトレーナーはサブトレーナーとの恋愛をしていた事がバレて炎上、選手とサブトレーナーはチームを解約され、選手は学生連合に、サブトレーナーは学園を去った……今はダンス教室の先生をしているらしい
「……ルビーカーバンクル先輩……いや、覚えてないわ」
『とりあえずサブトレーナーの方に接触してみますか』
「そうだね。ダンスを教えられるのは大きい。ウイニングライブでも絶対に必要だからね」
早速律がアポを取るとトレセン近くのコーヒーショップで落ち合うことになった
「すみません、なにぶん急だったのでスーツを用意できず、私服で申し訳ない」
「いえ、構いません。すみませんお時間をいただいて」
男の人の名前は武内といい、ガタイの良い男性だった
私服は上着に少し年季が入ったセーターにジーパンといういたって普通の格好である
「まず、私はメッセージを送ったロンメルというトレーナーです」
「新聞やニュースで見ております」
「話が早いね……単刀直入に言いますが学生連合のサブトレーナーになってはくれませんか?」
「……俺の過去を知らないのですか?」
「知った上で聞いています。既に5年以上も前の話です」
「しかし、○○トレーナーはまだ現役だ。私が戻ったらどんな嫌がらせをしてくることか……選手にだって迷惑がかかりますよ」
「嫌がらせ? 上等ですよ。やれるものならやってみなさい」
「しかし……」
「お給料や仕事内容等はこちらの紙に書いています……奥様とよく相談してこちらの電話にお掛けください。1週間待ちます。私達には時間が無いのです」
「……わかりました。家内とよく相談してどちらにせよ必ず連絡を入れます」
「わかりました」
最初の会話というか面会はこれで終わりだった
武内さんと面会後トレセンに戻ると1人のウマ娘が私に話しかけてきた
「あの!? ロンメルトレーナーですよね」
「はい。なんでしょう?」
「秋のファン大感謝祭でシューズを買った者……サスペンスです! 伺いたいことが有って来ました」
「なんですか?」
「シューズの成分を調べところ見たこと無い物質が検出されたのですが、何か知らないかと思いまして……先生方も悩まれていて……本人に直撃しないとわからないかもと思いまして……」
「なるほどなるほど、安全であることは私が保証します……答えを言ってもつまらないでしょう。少し実験をしてあげます。着いてきなさい」
「は、はい!」
部室にてロンメルは資料を見せながら
「この様な実験結果からこの物質はとある薬品を与えると流動性を増して液体状態となります……そろそろわかったのではありませんか」
「……え? これって……皮質が近くありませんか? ええ?」
「皮質が変化した物が正解ですねぇヌルフフフ。複数の薬品を組み合わせることで……ヌルヌル細胞と言いましょうか……ヌルヌル細胞は膨張したり、硬化させたりすることができます強化プラスチックよりも安価で変形もさせやすい」
「ゆ、夢のような物質じゃないですか!」
「しかし欠点があります……これ私の体内でしか作れません」
「え?」
「まず安全に増やすのが特殊な血液を持ち、ヌルヌル細胞は私の体内で作られる物質を保護する副産物でしかありません」
「じゃ、じゃあ……え? 本当にウマ娘なのですか?」
「失礼な! 純度100%のウマ娘ですよ! ……まぁ膨張させるのでヌルヌル細胞の量はそこまで必要でもありません……それこそ100000倍に膨張できる薬品を知っていますのでねヌルフフフ、捨てる時も可燃物なので燃えるゴミで出せば良いですしね……はい、これ成分表」
「謎が謎を生む……1度精密検査しても良いですか?」
「時間が無いのでお断りします。職員の健康診断の時の採血等で私の血液を採取して調べれば済む話でしょヌルフフフ」
「まぁでも何となくですがわかりました……ありがとうございます」
「いえ、サポート科でも頑張ってくださいね」
「はい!」
色々はぐらかしたが、私の細胞を詳しく調べると反物質が出てくる
それこそ国の大型研究施設で調べないとわからないが、反物質は第二の心臓……心臓の右側の肋骨に守られたちょうど体の中心にある場所で作られる
それが血液の流れに乗り膨大なエネルギーが発生する
これが尻尾や髪の触手を動かすエネルギーである
私が20人居れば日本の全てのエネルギーを賄えるくらいのエネルギーを産み出していると言えば良いだろうか
ただ私はウマ娘である
怪物ではない
四肢には反物質エネルギーがなるべく行かないような作りになっている
というか触手に変化している部分以外で反物質のエネルギーを使えば大きすぎるエネルギー故に四肢がもげる
再生もできるが痛いし、やりたくはない
というかやろうと思えば触手の怪物にはなろうと思えばなれるのであるが、それはウマ娘ではない
ただの怪物だ
私はウマ娘の範疇を飛び出してまで強さが欲しいわけではない
少なくともこの世界ではだ
私はサスペンスを見送ると、事務仕事に戻る