根岸Sをカラスマーチ先輩が、シルクロードSをタカタノソラ先輩がそれぞれ勝利して重賞6勝目、快進撃はたちまち噂となり、元のイメージがよろしくない為か抜き打ちで薬物検査が実行されたが、陽性者が出るはずも無かった
あと受験組が合格し、卒業に向けての準備を始めた頃
「ヌルフフフ、さて皆さん、サウジカップデーのメンバーを発表します……ネオムターフカップ、ベストエンジェル先輩とマスターハリアー先輩」
「「はい!」」
「ターフスプリント、フェンリルさん」
「はい!」
「レッドシーターフハンデキャップ、ミッションタイマー先輩」
「おう!」
「リヤドダートスプリント、サクセスさん」
「はい!」
「そして……メイン……サウジカップ、スカイプラザ先輩」
「はい」
「ヌルフフフ、皆さんなら海外レースであろうと勝てると思いエントリーしました。今年は欧州やアメリカから有力なウマ娘はエントリーされていません。正直言って低レベルです。あなた達なら問題ありません……必ず勝ちましょう」
「「「はい!」」」
「その前に……バカコンビと中等部組の4人に勝負服が届いてます!」
「「「「おお!」」」」
「早速試着してください!」
いそいそと個室で4人が着替えて登場する
まず中等部組の2人から
サクセスは私服感が強いロンTに黄色いスカート、それに帽子である
サクセスがあまりごちゃついた服は嫌だという要望でこうなった
中学生らしいと言えばらしい動きやすい服装である
対してフェンリルは騎士っぽいのをお願いしたらしいのだが、ゴッツイドレスが届いた
着てみると淑女という言葉がぴったりの気品ある服装となっていた
これはこれで似合うのでフェンリルも満足である
対して気品の気の字が胸で死んでいるバカコンビのベストエンジェルは冒険者の様な服装であった
小道具に短剣もついており、似合っているのだが胸に全てが持ってかれる
バカコンビのもう一人マスターハリアーはやはり胸がパツパツであるが一応品のある服装であった
もっとドギツイ色の服装が来ると思っていたが自重したらしい
これにスカイプラザ先輩とミッションタイマー先輩の6人がサウジカップデーに出場するメンバーである
サウジアラビア……絶対君主制、政教が一体化している国であるが、国王が有能なため治安は良く、中東の争いとは無縁である
石油産出や天然ガス等の地下資源と近年力を入れている観光業とIT技術、不動産業が好調であり、第二次緑の革命により食料自給率の増加で近隣国に穀物輸出もしている中東の大国である
ただウマ娘関連に関しては十数年前に改革というかウマ娘の地位向上がなされたばっかりであり、【国際ウマ娘レース機構】によりパート2のランク付けをされている
【国際ウマ娘レース機構】……別名パリ機構はパリに本拠地を置くレースの格を決めたりウマ娘の地位向上を働きかける機関である
ここで世界各国を4段階のパートに分けウマ娘の質やレースが盛んである国がパート1に当てはめられる
パート1国はアルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、チリ、フランス、ドイツ、イギリス、アイルランド、日本、ニュージーランド、ペルー、南アフリカ共和国、アラブ首長国連邦、香港(中華人民共和国)、アメリカ合衆国の16国である
他の欧州やサウジアラビア、東南アジア等、南米等はパート2、ロシアはソ連時は冷戦でウマ娘が軍に引っ張られた影響により衰退してしまい現在パート2になる申請を行っている
パート2で勢いのあるのはウマ娘の人口がめちゃくちゃ多いウクライナや東南アジアだったりする
閑話休題
サウジカップデーに挑むウマ娘は学生連合が最多であるが、他のチームからも2名出るのでそのチームと宿泊するホテルや移動の飛行機を共有し、出走1週間前に現地に入る
始めて乗る飛行機に皆大興奮であり、スカイプラザ先輩はずっとしっぽがブンブンしていた
ロンメルは静かにコーヒーを飲みながらタブレットで現地のレース場のリヤド・ジャナドリーヤにあるキング・アブドゥルアズィーズレース広場の概要を確認する
外回り2000メートルのダートコースに内回り1800メートルの芝コースが併設されているコースであり高低差1メートル以内の平坦なであり、最大の特徴がダートコースにウッドチップが混ざっているのである
さらさらとした走り心地で雨季以外雨が降らないサウジアラビアの気候を最大限生かしたウマ娘に優しい作りである
この作りによりさらさらふかふかの足場はウマ娘の故障率を大きく下げ、年間故障ウマ娘を1人出れば良い方と言われ、とても疲れにくいのも特徴である
ただふかふかしているのでスピードは出ない
アメリカのダートコースより1秒近く時計が遅いとも言われているが、どちらかというと日本の砂場とも呼ばれるダートに近いかもしれない
こればかりは実際現地で試走しないとわからないが
「先生何見てるの?」
「サクセスさん達が走るコースの確認をと思いましてね」
「勝ったらどれくらいの賞金なんだっけ?」
「サクセスさんはリヤドダートスプリントなので90万米ドル……今1ドル140円の円安なので1着は1億2600万になりますねぇ出走登録費用やチームの決まりの半額チーム資金へのプールを抜いても6200万は残るでしょう」
「凄い……G3なのにG1並みの賞金だ……」
「ええ、ただ2着だと賞金は1/3になるので気をつけてください。まぁチームとしては誰か1人勝てばチャラにできるのでボーナスレースですよ」
「勝ったらさ! 勝ったらさ! 寮出ていい!」
「おや? 寮何か不便なのですか?」
「うん、俺が学生連合に入ったって知ってバカにされたり虐めてきたりしたヤツが同部屋で、寮長に言って今はフェンリルと同部屋なんだけど……もっと広い部屋に住みたいってフェンリルと話していて……賞金も前の重賞のも合わせれば結構な金額になるから広いマンションでも借りたいなって」
「なるほどなるほど……1人で住むって言い出したらどうしようかと思いましたが、フェンリルさんと一緒であれば大丈夫そうですね」
「休みの日と寝る場所程度で良いんだけど寮だとやっぱり狭いじゃん」
「わかります。私も狭かったですし、部屋の子と仲が微妙だったので飛び出しましたし」
「先生良い物件無い?」
「でしたらスリームーンさんのお父さんに聞いてみましょう。誠実な人なので良い物件を紹介してくれると思いますよ」
「ほんと! やったー!」
……飛行機の中では特にトラブルも無くサウジアラビアに降り立った
『電脳アイドル律の学生連合特集』
{待ってました! }
{キター}
{律ちゃん! 85万人突破おめでとう! }
『はい、登録者が皆さんのお陰で85万人を突破しました! ありがとうございます! 今日はなんと私サウジアラビアに来ています!』
ロンメルが律に言われて街並みをスマホで映す
{ホテルの中? }
{おお、東京じゃないのはわかる}
『現在私はサウジアラビアの首都リヤドに居ます! ホテルの内部は撮影禁止の為窓から外を見せるだけです……さて、いつもの画面に戻りまして今日は今週行われるサウジカップデーについての特集です!』
{サウジカップデー}
{学生連合6人登録とかやばすぎ}
{賞金がG3なのに全部1着1億超えてるんだものそりゃ出るわ}
『はい、今回登録した日本のウマ娘達は学生連合が6名、イプシロンから○○○○○選手が、ミザールから○○○○選手が出場します。まずはキング・アブドゥルアズィーズレース広場についてです……』
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{コース的には大井に近いのか? }
{高低差がほぼ無いが沈みやすいバ場だからパワーが必要なのか? }
{スタミナはどうなんだろう}
『時計が1~3秒ほど遅いためスタミナも残りやすいのが特徴です、更に破格な待遇も魅力です。トレーナーと選手の移動費、ホテル代はなんと無料! 更に登録料金もG1ウマ娘が30万、重賞ウマ娘が20万と格安なのです! ロンメルトレーナーも破格の待遇過ぎて驚いていました。例えば他だとドバイワールドカップだと登録費用に1500万円も必要になります』
{そう考えると破格の待遇ですね}
{なんで日本の登録ウマ娘が少ないの? }
{海外も含めて今回少なくない? }
『理由としましては欧州方面は有力ウマ娘が故障を多発、アメリカウマ娘は主役不在の大混戦なため国内でペガサスワールドカップの方に有力ウマ娘が流れてしまったようですね。そこで壮絶なレースだったために出走したウマ娘の疲労が抜けきれずに回避が続出して学生連合の出走枠が確保できたことになります』
{じゃないと重賞1つじゃ普通出走できないよね}
{なるほどな}
{じゃあ世界全体だとレベルが低いの? }
『というわけでもありません、アメリカではダートG1 9勝のサジタリウスや昨年のアメリカ二冠ウマ娘のサウスカロライナ等が居ます。欧州ではイギリス王室の至宝メアリー様やアイルランド王国の執行人、エススキューショナー、凱旋門含めてG1 4勝のルイオレンジ、ドイツのレオパルド等有力なウマ娘は多数居ますよ。あぁ、今年クラシッククラスにはパート2国のイタリアのシスターマルコーがアメリカ遠征して芝のジュニアG1を勝利して話題になりましたね』
{さすがウマ娘の一流国家達やな}
{欧州はレベル高いはな}
{強いよな}
{アメリカも強いからな}
『アメリカや欧州の有力ウマ娘とぶつかる可能性が高いのはドバイでしょう。ロンメルトレーナーはここで勝てればドバイ遠征も考えてるとのことです』
{頑張って欲しいな}
{爆乳コンビ頑張れー}
{スカイプラザ勝って欲しい}
『今回は全てのレースをロンメルトレーナーと実況解説しますのでお楽しみに』
{うお!! やったぁ!! }
{現地実況来た}
{律ちゃんってやっぱりウマ娘なんじゃ? }
『さてさてどうでしょうね』
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ロンメルはホテルのレストランにてとある人物と食事をしていた
「いや、まさか貴女がサブトレーナーに応募するとは思いませんでしたよ……クロロ王女様」
目の前に座るのはクロロというれっきとしたサウジアラビアの王族の一族であった
更にウマ娘であるクロロ王女の母親はサウジアラビアのURAに当たる組合の会長でもある
「ウマ娘である私の地位はこの国では低いわ。まぁお父様は可愛がってくださるけど……この国は今はオイルマネーでなんとかなっているわ。緑の第二革命で食料輸出国にもなった……けどねオイルマネーが無くなった時我が国は中東の大国から中東の1国家に落ちぶれる……王族は皆頭を悩ませているの……私はウマ娘であるからそこからお金を生み出す方法を考えなければいけないのよ」
「それで我が国のサブトレーナーになりたいと……ずいぶん日本語がお上手で」
「日本は我が国の友好国よ。日本のURAは莫大な利益を産み出しているわ。娯楽としての側面も大きいけど……そのお金を生み出す仕組み及び日本の最新のトレーナー技術を学ばせて欲しいの……ずっと興味があってね」
「クロロ王女様、しかし貴女はいや失礼しました。早熟でしたか」
「やはりわかるのね見ただけでも」
「17歳にして筋肉の劣化が見えたのでピークが過ぎているかと……すみません」
「いえ、良いのよ……ブルチ怖い顔しないの」
ブルチと呼ばれた黒服の護衛のウマ娘はロンメルを睨むがロンメルは涼しい顔である
「……今私達のチームはとにかく人材不足でして正直猫の手も借りたいのですよ。技術の流出も目を瞑りましょう……まぁまずは私が育てた選手達の活躍を見てからお決めください。私的には日本にぜひお越しくださいとしか言いません」
「あら、ありがとう」
「それと護衛さん」
パン
ロンメルはクラップスタナーを炸裂させる
護衛の背後をとり、指を首に当てる
「ヌルフフフ、お遊びが過ぎましたね」
護衛のブルチは脳震盪を起こしてドサッと崩れ落ち呆然としている
「ブルチ!?」
「護衛はもっと強くなければいけません。王女様の友達ではないのです。もっと鍛えなさい。というかブルチさんでしたっけ? 貴女も王女様と一緒に日本に来なさい。手入れしてあげます」
椅子に座り直したロンメルは食事に戻る
麻痺から回復した護衛のブルチは自身が一瞬で無力化された手腕に驚愕しつつ、王女様に大丈夫ですと答えた
ヌルフフフヌルフフフとロンメルは食事を楽しみ、クロロ王女様と談笑をする
ただクロロ王女様もロンメルの得体のしれなさに冷や汗をかくのだった