ロンメルの本気   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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サウジカップデー

「勝利者インタビューです。ベストエンジェル選手おめでとうございます」

 

「ありがとうございます」

 

「海外重賞を見事勝利しましたが、いかかでしたかレースは」

 

「頭がバチバチして絶景を見ました。まるで空を飛んでいるみたいにも錯覚しました」

 

「そ、それは良かったですね。上がり3ハロン33秒ジャストいや5ハロン55秒ジャストは凄まじく長い末脚でしたが」

 

「こうしないとマスターハリアーには勝てないと思いました。勝ったのは運です。レース展開や芝の状態、風向き等の運が最後に決めました……実力は拮抗しているので次負けないように更に努力します」

 

「おめでとうございましたベストエンジェル選手でした」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁ、負けた……勝てると思ったんだけどなぁ」

 

「まあまあ、今回は私が運が良かったってことで」

 

「しかし最後の競り合いの時さ……ヤバかったよね」

 

「うん、2人だけの絶景が見えた」

 

「とにかく綺麗だったよね」

 

「うん、凄く綺麗だった」

 

「でもさ」

 

「うん」

 

「ロンメルはこの先を見てるんでしょ」

 

「領域の先……かぁ見てみたいけど……たぶん私達は……」

 

「そんなこと無い! そんなこと無いハズ……領域には入れたんだから次の神域にもきっと……」

 

「ハリアー……うん、そうだよね! 私達も入れるよね」

 

「その前にまずは透き通る世界だっけ? ロンメルがほぼ常時見えてる世界」

 

「あの夏合宿で私達も少し見せてもらったあれね」

 

「あれを見ることを目標にしよう! 呼吸をもっともっと鍛えてさ! うちらバカだけど運動神経はピカ一じゃん! いけるって」

 

「いけるいける! それよりも賞金何に使う?」

 

「スマホ買い換えたりしたいな……エンジェルは?」

 

「私はスマホは勿論買い換えだけど6000万近くでしょ……あ、ヨーグルトめっちゃ買いたい」

 

「あー、ラバンにハマってだよね」

 

「でっかい冷蔵庫買ってヨーグルトいっぱい飲みたいけど寮じゃ狭いよね」

 

「うーん、あうちらでマンション借りない? 寮から出ちゃおうよこの際」

 

「良いね! とりまロンメルに相談だよね」

 

「でも家具とか買っても絶対お金余るよね……投資でも手を出す?」

 

「えー、私達バカだからお金減りそう」

 

「こういう時は律に相談でしょ」

 

「というかウイニングライブまであと7時間後でしょ……この個室めっちゃ豪華だから居心地いいけど少し探検しない?」

 

「あー、良いねぇ! 買い食いしたい」

 

「でもうちらだけだと迷いそうじゃない?」

 

「あー、ヤクルトガッツ先輩も誘わない? 買い食い奢るって言えば着いてきてくれるでしょ」

 

「ナイスアイデア! 冴えてるねエンジェル」

 

「早速連絡連絡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 [凄まじいレースでしたねブルチ]

 

 [はい、王女様……次元が違います。我が国のウマ娘とは]

 

 [過去に何名もの日本のウマ娘を受け入れてきましたがここまで強いウマ娘は居ませんでしたよ]

 

 [長らく我が国はG1がサウジカップしかありませんので芝は一流半くらいのウマ娘しか来ませんでしたが……]

 

 [間違いなく今回の彼女達……ベストエンジェル選手とマスターハリアー選手は一流でしょう]

 

 [王女様、学生連合について詳しく調べてみましたがロンメルトレーナーの言っていることは本当のようでロンメルトレーナーが指揮を取る前は最弱チームだったようです。それを短期間で建て直し、一流ウマ娘を多数輩出しているその手腕は驚異です]

 

 [お父様も今回のレースを見に来ていますが、私の日本留学を賛成せざる得なくなりました。いや、おそらくロンメルトレーナー的には彼女達ですらチームでは2軍なのでしょう]

 

 [これ以上素晴らしい選手が居ると]

 

 [恐ろしいことにね]

 

 

 

 

 

 

 

 レースが終わるとパドック開始まで30分程の時間が空いたのでロンメルはデータを整合していく

 

 律は雑談や別のコーナーで視聴者を繋いでいるので助かる

 

「やはり、彼女達では領域の先へは行けないのでしょうか……頑張っているのはわかりますし、今回のレースでも領域同士がぶつかり合った……それは凄まじい精神的なエネルギーを生み出したハズだ」

 

 神域にはやはり領域にも入るときに必要だった精神的な刺激というものが必要だ

 

 肉体的な限界と精神的な限界……片方のアプローチで入れるのが領域で、両方のアプローチが無いと入れないのが神域である

 

 事実ロンメルも神域に到達できたのは死を肉体が乗り越えてまで動き続けるという異常行動の果てに身に付けたものであるが

 

 なぜロンメルが学生連合に領域を普及させているか

 

 それはロンメルが領域のデータと神域のデータを集めたいからである

 

 領域は人間ではゾーンと呼ばれるが、ウマ娘と人間では作りが違うため【領域とゾーンは別物】だと思って良い

 

「ヌルフフフ、まだまだデータが足りませんねぇ……神域に安定して入れたのは私とエクリプスとマンノウォーの3人だけ」

 

 一瞬入れたのは数名歴史で居るけれど安定して入れるのは3人だけだ

 

「兆しがあるのはスカイプラザ先輩とミッションタイマー先輩、ヤクルトガッツ先輩かな……ヤクルトガッツ先輩を領域に到達している核の3人とぶつけるのもこれが理由ですからねぇ……ヤクルトガッツ先輩にとって限界距離が2100メートル、2000メートルは次なるステップに昇華するにはとても良い距離……ヌルフフフ、さて誰が先に神域に来てくれますかねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 1351ターフスプリントが始まり解説に戻る

 

 今回出走するのはフェンリルで日本のチームイプシロンから選手が中年の油が乗った波瑠藤太トレーナーの指揮するウマ娘が登録してあるがフェンリルの相手ではない

 

『さぁ4コーナーを回って最終コーナーに入りました日本の○○○○後退、変わってフェンリルが末脚を解放している』

 

「勝ちましたね、後は何バ身付くかですが」

 

『2バ身、3バ身付けて今ゴールイン! 勝ちタイムは1分17秒5レコードとはいきませんでしたがそれに迫るタイムでした』

 

「差しが綺麗に決まりました。日本の○○○○選手がペースメーカーとなり逃げてくれたおかげでスローペースになりましたが、それがフェンリルの脚を溜める結果となりましたからね」

 

『3ハロンのタイムが出ました……32.2凄まじいタイムです』

 

「いやー、サウジの芝でこのタイムは良いですね。脚へのダメージも少なそうに見えます」

 

 まぁ強敵も居なかったからこれくらいが妥当か……やっぱりフェンリルはピークが過ぎ始めているな

 

 今はまだ成長分と相殺してるけどこれからドンドン劣化していく……上半期以降は劣化が顕著になるだろう

 

「……フェンリルもサクセスも辛い現実だけど乗り越えてもらわないとなぁ……」

 

『どうしましたか?』

 

「いや何でも」

 

 

 

 

 

 

 

 レッドシーターフハンデキャップはミッションタイマー先輩が格の違いを見せつけて15バ身差つけて圧勝

 

 欧州勢が学生連合の芝3戦3勝はまずいとミッションタイマー先輩をずっとマークしていたがミッションタイマー先輩がそんな即席の妨害で崩れることはなかった

 

 やはり3000メートルの長距離では先輩に勝てるのは私と核のメルトダウンくらいだろう

 

 先行策からの残り1000メートルからのロングスパート

 

 3番手を進んでいたためブロックされることもなく加速し始めたら一瞬で抜き去り上がり33.5、5ハロンでも57.5という2000メートル並みの速度で駆ければそりゃこうなる

 

「勝利者インタビューです、ミッションタイマー選手やりましたね! これで学生連合が3勝目ですが」

 

「ありがとうございます」

 

「勝因はあのロングスパートでしょうか」

 

「レースの前に決まっていました……スタートやよほどのトラブルがない限り俺は今回のレースは勝てると思っていました」

 

「凄い自信ですね」

 

「ああ、俺はロンメルより長距離のエースに指名されてるからな。ロンメルがやって来るまで長距離は俺と……日本のメルトダウンの二強状態になるだろう……聞いているかメルトダウン、宣戦布告だよ! 俺はあともう一つ重賞を挑んでからお前の居る天皇賞(春)に向かう! それまで仮初の玉座に座っていろ。引きずり下ろしてやる」

 

「メルトダウン選手に宣戦布告ですか! 次の重賞はお決まりで」

 

「それはトレーナーであるロンメルが発表するだろ。俺からは以上だ」

 

「ありがとうございました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 欧州のトレーナー達は今回はボーナスゲームだと思っていたが、フタを開けてみれば日本の学生連合の圧勝である

 

 それどころか2着のサウジのウマ娘はロンメルにより助言を受けたウマ娘であった

 

 [くそ、ボーナスゲームだと思ったのに]

 

 [学生連合……ノーマークなチームだった]

 

 [海外実績0のチームがここまで3戦3勝……ちっ! 気に食わねぇな]

 

 [芝はこれで終了だ……完敗だな]

 

 [気に食わねぇのは2着3着はサウジのウマ娘に独占されてることだ。後進国にここまで完敗となると俺らの評価の下落は免れないか]

 

 [学生連合……覚えたからな。いつかこの屈辱は晴らしてやるからな]

 

 欧州のトレーナー達の間に学生連合という名前が覚えられた瞬間だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リヤドダートスプリントはサクセスが半バ身差の勝利、サウジダービーはミザールの選手が勝利し、日本が5戦5勝、うち学生連合が4勝

 

 中東ウマ娘限定戦やサウジウマ娘限定戦等が間に挟まれたが予想以上の成果である

 

 というか最良の結果である

 

 レッドシーターフハンデキャップが約2億、他が1億2000万なので5億6000万、半額の2億8000万がチームに入ることを考えるととんでもないことである

 

「サクセスさんお疲れさまでした。どうでしたか海外レースは」

 

「楽しかった! 俺これで重賞を2つだもんな! 約束通り俺寮から出るよ! フェンリルも勝ったから金は有るからさ!」

 

「まぁでもお金の扱いは考えながら行いましょうね。金使いが荒くて破産したウマ娘なんてゴロゴロ居ますから……勝利インタビューも無難に纏めて良かったですよ」

 

「えへへ……次はどこ目指すんだ?」

 

「サクセスさんは次はドバイのダート短距離を目指しましょうか! 今まで以上にレベルが上がりますから頑張りましょうね……ヌルフフフ」

 

「はい!」

 

 

 

 

 




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