ロンメルの本気   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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サウジカップ

「学生連合が上位を独占か……全く凄いチームになったものだねぇ……」

 

 勝負服の白衣に着替えたスカイプラザは自身のチームが大きく変化したのだと改めて気がついた

 

 ロンメルが来なかったらうちはまだ芝を走っていたかもしれない

 

 そのまま適正もわからないで引退して一族の落ちこぼれとして終わっていたかもしれない

 

 まぁもっともうちらの一族はレースに関しては衰退している

 

 それこそアグネスタキオン先輩の後はG1ウマ娘がゴロゴロ居たが今は重賞ウマ娘がやっとだ

 

 まぁダイワスカーレットおばさんの家系からガイアスカーレットちゃんが出てきたけど

 

 今じゃガイアスカーレットとうちがレースでは稼ぎ頭とはねぇ……

 

「クックックッ……ここまで来れるとは思わなかったけど」

 

【皆さんを手入れしに来ました……目標は皆さんをオープンウマ娘以上にして、私自身は世界最強になることです。よろしくお願いします】

 

「全く引退組以外はユラン以外本当に全員が重賞ウマ娘で、私なんかG1ウマ娘だよ……しかもこのレースを勝てば14億? はは、ワケわかんない領域だよマジ~」

 

「……さて、神域を目指して頑張ってみましょうかねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いやー、ロンメルトレーナー学生連合4勝ですよ! 日本勢は5勝! これは凄いですよ!』

 

「ヌルフフフ、私の生徒達ですよ当たり前じゃないですか」

 

『特にミッションタイマー選手は圧巻のパフォーマンスでしたね』

 

「ええ、彼女がチームの長距離のエースです。強いでしょミッションタイマー先輩は……元々素質はありましたが大切に大切に磨き続けた結果立派なステイヤーに生まれ変わりましたよ。スタミナ、スピードが両立している見事なウマ娘です」

 

『なるほど、では今から出てくるスカイプラザ選手はダートのエースでしょうか』

 

「ええ、彼女はここから更に強くなりますよ。18歳のスカイプラザ先輩ですがあと4年は輝き続けるでしょう」

 

『4年もですか!』

 

「覚醒型なのでね」

 

『覚醒型がわからない視聴者も居ると思うので軽く説明すると突如成長限界を超えて強くなりそれが持続するというウマ娘です。ただいつ覚醒するかわからないので大半のウマ娘は自身が覚醒型だと知らないで引退していきます……となるとスカイプラザ選手は既に覚醒を?』

 

「まさか、まだ覚醒していませんよ。スカイプラザ先輩は……ヌルフフフ、ただ今回もしかしたら剥けるかもしれませんよ彼女は掴みかけています。次の段階を」

 

『さぁエースのご登場です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スカイプラザ選手何か一言お願いします」

 

「実験を開始しよう! アグネスタキオンが求め続けた物を証明してみせよう!」

 

「ありがとうございます」

 

 さぁタキオンさんの名前も出したから負けられない……一族の堕落した神童から本物の天才になってやろうじゃないか! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今年はアメリカのウマ娘はG1ウマ娘は居るけど1勝止まりが2人、重賞3勝が1人、欧州はそもそもダートウマ娘が全然居ないけど一応来ているのが2人で、残りはサウジ勢

 

 枠は外の13番だけど400メートル近くある長い直線スタートだから枠による有利不利は無い

 

 さぁ証明してみましょうかね……うちの神域を

 

 ガゴン

 

 スタートは成功

 

 さあさあ序盤から私は領域に入るけど皆さんうちを追ってきなさい

 

 世界から色が失われていく

 

 白い世界が一面に広がる

 

 ブースター点火

 

 序盤からフルスロットルだ! 

 

【天空の調律者】

 

 ギアを上げ続けろ! 先へ先へ先へ!! 

 

 バチバチバチ

 

 世界は白く美しい

 

 だが更なる美しさをうちは見たい

 

 バチバチバチ

 

 絶景を

 

 バチバチバチ

 

 見せろぉぉぉぉ

 

 スン

 

 え? 

 

 世界が真っ黒に……いや、これは……一度見たことがある

 

「透き通る世界!!」

 

 全てが透けている私の体が透けている

 

 心臓、骨、血管、臓器……ロンメルが見ている光景だ

 

 呼吸を続けろ

 

 血液をもっと勢い良く流せ

 

 脚を一歩でも前に

 

 バチバチバチ

 

 白と黒が混じり始めた

 

 ひび割れ……亀裂が前方に見える

 

「飛び越える様に!!」

 

 あと3歩! 

 

 目の前に神域が

 

 あと2歩! 

 

 全ウマ娘が渇望し続けた

 

 あと1歩! 

 

 届いた

 

 バリン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこはどこまでも広がる草原に幾つもの星が輝く満天の空

 

 太陽がないのに世界はどこまでも明るい

 

 私は走り続ける

 

 世界はなんて美しいんだろう

 

 空気が澄んでいるのに寒くない

 

 体が軽い

 

 まるで飛んでいる様な

 

 いや、飛んでいる

 

 地面から足が離れて飛んでいる

 

 光だ

 

 巨大な光が私を吸い込んでいく

 

 嫌だまだここに居たい

 

 どこまでも続く【私の】理想の場所! 

 

「ようこそスカイプラザ先輩!」

 

 ロンメルの声が聞こえハッと我に返るとそこはゴール板を大きく過ぎた先だった

 

 手を見るとまだ世界が透け続けている

 

 目を閉じ息を吐く

 

 落ち着いてからもう一度目を開けると元の普通の世界に戻っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 [な!? あり得ない……あれは本当にウマ娘なのか]

 

 [国王陛下、あれは紛れもない日本からやって来たウマ娘です]

 

 [……我々は歴史的な瞬間に……いや、伝説に立ち会えたのかもしれない]

 

 サウジアラビアの国王はまるでロケットのように走るスカイプラザを見て部下達と話す

 

 部下達も信じられないと思ってしまう

 

 自国の精鋭ウマ娘達は……いや、海外からやって来た他のウマ娘達もスカイプラザの圧倒的な実力差に完膚なきまでに叩きのめされた

 

 まるで翼がはえているかのような美しい走りは我々を魅了してやまない

 

 [我が国が求めるのはこれだ! これこそが我々が求めなければならないものだ! クロロを呼べ! 日本への留学……いや、日本で10年単位でも良い! 彼女……スカイプラザ選手を育て上げたトレーナーの下で全てを学んでこい]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 [夢でも見ているんじゃないか]

 

 [いえ、王女様夢ではございません]

 

 [なぜ我が国のダートで1.44.71の世界レコードが出るんだ!! ]

 

 [これが現実です。私達は歴史的瞬間に立ち会いました。ロンメルトレーナーが言うエースとは……世界最高峰とはこのレベルなのですよ]

 

 [父上に一刻でも早く日本に行って学ばなければ……我々サウジアラビアは世界に取り残される]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ゲートが開いて出ましたスカイプラザ選手は好スタート』

 

「よし、勝った」

 

『え? 早くないですか』

 

「いや、現状学生連合で最強は彼女だ。スタートさえ決まれば後はどれだけ突き放すかです」

 

『凄い自信ですねおお、コメントが荒れる荒れる』

 

「放っておきなさい律、もしかしたら私達は伝説を見れるかもしれませんよ」

 

『マジですか』

 

「本気と書いてマジ……ヌルフフフ、さぁ解説に戻りましょう。もう既に彼女はウマ娘から別の次元に脱皮を始めています。11.5秒を連発し始めますよ」

 

『これは芝ではありませんし普通のタイムが1~3秒程遅くなるダートですし、普通ならばそんなタイムは上がり3ハロンのみですよ! 逃げで自分のペースでこんなことが可能なのですか?』

 

「だから言ったでしょ律、これは脱皮だ。私が教育しているウマ娘を次なるステージへと押し上げる進化だ。こうなった彼女を倒すには同じステージに立つしかありません」

 

『ぐんぐん離されていきます既に15バ身でしょうか』

 

「スカイプラザ先輩の速度に付いていけなくなったね。これで決まりだ。彼女は今からダート界の王いや、歴史的な存在へと進化した」

 

『残り200メートル! 圧勝! セーフティーリード! これはもう無理!』

 

「ようこそスカイプラザ先輩……神域へ」

 

『ゴール板を通過した時点で後方とは30バ身の差! これは世界最高額のサウジカップです! メイクデビューでもなければ未勝利戦でもありません! 世界最高峰のサウジカップの決着はスカイプラザ選手以外タイムアウトというとんでもない結果であります!』

 

「皆さん拍手を贈りましょう。これからダートはスカイプラザ先輩を中心に動きます。伝説を見続けてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウイニングライブが行われる

 

 ロンメルは王族や貴族、大富豪達に囲まれている

 

 [スカイプラザ選手の引退後はぜひサウジアラビアに! ]

 

 [いや、我が社が学生連合のスポンサーになりたい! どうすれば良いか! ]

 

 [お静かに……今の主役はステージの彼女達だ]

 

 [失礼した]

 

 ウイニングライブはバカコンビの歌から始まり

 

 レース順に行われていく

 

 ロンメルはニヤニヤしながら特等席で生徒達を眺める

 

 [スカイプラザ選手だ! ]

 

 [スカイプラザ選手が出てきた]

 

 最後のステージにスカイプラザ先輩が立つとアラビア語で歌を歌い始めた

 

 事前に勝利したら歌う曲を練習していたのだ

 

 さて、ライブの全曲が終わったがロンメルが

 

 [国王様、最後に1曲我々は学生連合から皆さんに贈らせてください]

 

 [構わない。ぜひ聞かせてくれ]

 

 ロンメルはステージに上がるとステージに設置されている巨大オルガンと音楽家の人達に許可を取り、楽器を借りる

 

 学生連合のレースに出た6名を集めスカイプラザ先輩をセンターに、歌い始める

 

 ロンメルが触手を使い全楽器25種類を演奏する

 

 それは選手達を讃える曲だった

 

 それはレースを提供してくれた関係者を讃える曲だった

 

 それはサウジアラビアという国を讃える曲だった

 

 それはライブを最後まで見ている人達に贈る曲だった

 

 10分に及ぶコーラスは人々に今日のレースを刻み付けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 [実に見事なライブだったよ。ありがとうロンメルトレーナー]

 

 [この様な素晴らしいレースを開いてくれた皆さんへものせめてものお返しです国王陛下]

 

 [はは、しかし素晴らしいレースを見せてもらった。あれが世界最高峰の選手か]

 

 [ヌルフフフ、来年には彼女に匹敵する選手がここに来ますよ]

 

 [なに! まだ居るのか彼女並みの選手が]

 

 [私が彼女のライバルとなり更なる世界をお届けしましょう]

 

 [はは、ハハハ! そうか! トレーナーである君がライバルとなるのか! それは面白い! 来年も楽しみしているよ! ぜひ来てくれ。次は選手として……そして娘をよろしく頼む]

 

 [ええ、クロロ王女様は私の持てる技術を全て教えましょう。サウジアラビアの格を上げたいと思います]

 

 [頼んだ。我が国は新たな熱気を求めている! ……さて臣民の皆が君と話したそうだ私はこれで失礼するよ]

 

 ロンメルは頭を下げてお辞儀をし、すると大富豪や貴族達に改めて囲まれ色々言われる

 

 選手の受け入れについてはURAの許可が必要なので選手の受け入れはURAに問い合わせてくれと言い、ぜひサウジアラビアでトレーナーをしてくれたら年棒10億は出すと言われたがまだ現役ですし日本でやらなければならないことが沢山あると断った

 

 贈り物だと宝石やら黄金の冠だがを渡されたが、ロンメルは選手達を呼び

 

 [私はただ選手の背中を少し押しただけです。選手達を称賛してください]

 

 とプレゼントは選手の皆に渡し、選手の皆は宝石やら芸術品、壺などを渡してなんか凄いことになった

 

 ホテルに戻ると皆のことをマッサージしてから夕食を取らせる

 

 スカイプラザ先輩のさほど大きくはなく1週間安静にすれば大丈夫であったが

 

「これでうちも見えるようになったよロンメルの世界が」

 

「ヌルフフフ、見えただけでは私には勝てませんよ。次を目指さなければ」

 

「ロンメルも早く私のステージに上がってきてよ! 更なる高みを見せてよ」

 

「下半期まで待ってください。肉体がある程度できないと危ないのでねぇ」

 

「なぁロンメル、俺もスカイプラザみたいになれるのか?」

 

「ヌルフフフ、ミッションタイマー先輩は今年がタイムリミットです。入れると良いですね。神域に」

 

「おう! まー頑張ってみるわ」

 

「先生見てみて玩具じゃない本物の宝石箱ができたよ!」

 

「凄くね! 凄くね! 俺金の延べ棒もらっちゃったよ」

 

 中等部組が目をキラキラさせながら私を見てくるので頭を撫でてあけた

 

「良く頑張った。頑張ったご褒美だよ」

 

「「えへへ」」

 

 ちなみにロンメルも宝石が埋め込まれた金の持ち手のステッキを貴族がどうしても贈りたいといわれたので貰った

 

 そんなこんなで翌日は観光をして日本に戻る

 

 観光中は昨日のレースが凄かった為かスカイプラザ先輩なんかは英雄視されてサインをいろんな人からねだられて助けを求めたが有名税だと思ってガマンしろと見捨てた

 

 日本に戻る飛行機に乗り込む時にクロロ王女と護衛のブルチさんと合流し、日本に帰国するのだった




評価が付くとニヤニヤしてしまう今日この頃

スカイプラザ先輩がようやくスタートラインに立つことができました

彼女はまだ18歳、22歳まで覚醒型なので劣化しません

ロンメルのライバルとなるのか踏み台になるのかはわかりませんが
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