ロンメルの本気   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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高松宮記念 挿し絵あり

「タカタノソラさん、フェンリルさん緊張はしていませんか? 何か調子が悪かったりしませんか?」

 

「うん! 俺は絶好調」

 

「大丈夫ですよ。問題ありません」

 

 武内サブトレーナーに見送られ高松宮記念が始まる

 

 専用控え室にはドバイに行けなかったクロロさんやブルチさん、ここには居ないが来週の大阪杯の偵察を行っているマンシュタインさんに屋台でラーメンを売っているディープバレットさんにルビーカーバンクルさん、他のメンバーはマーチステークスのコアランタンさんの屋台出しに行っている

 

 ……私はタカタノソラ

 

 しがない重賞ウマ娘でございます

 

 正直に言うと初めてのG1の舞台で緊張している

 

 初めて着た勝負服は予想よりも体のラインがハッキリする感じであり正直に言うと恥ずかしいです

 

 

【挿絵表示】

 

 

 しかし、この舞台に来たのだから私も全力で戦います

 

 ……私の欠点は柔軟性でございます

 

 体が柔らかいというよりは適正距離の柔軟性が低いとロンメルから言われております

 

 1000から1500までしか私は走れないそうです

 

 スタミナはあるのですが、極端なピッチ走法の為加速力は凄いのですが、トップスピードを維持しづらい

 

 歩幅を広げられれば良いのですが、骨がどうにも変形しているらしく、広げれば股関節が悲鳴を上げるぞと言われています

 

 前に居たチームではそれでも歩幅改良をしようとして股関節を痛めたのとチームでの方針が合わずに脱退しましたけれども……なんとも巡り合わせ

 

 これこそ運命かもしれませんね

 

「短所を消すのも必要かもしれませんが、長所を伸ばすのもまた必要なことですよヌルフフフ」

 

 そう言ってくださったロンメルには感謝していますし、お陰で重賞ウマ娘になれましたからねぇ

 

 ドバイでは皆さんも頑張ったらしいので私も頑張ろうと思います

 

 せっかくですし1位を目指しましょう

 

「何か考え事ですか? タカタノソラさん」

 

「クロロさん、いえ、少し昔を思い出していただけで……私がG1かと思うとずいぶん高いところに来たなと思いましてね」

 

「ロンメルトレーナーが言ってましたが、短距離のエースはあなただと……実績等ではユランさんやフェンリルさんの方があるかもしれませんが」

 

「短距離は魔境なのですよ。学生連合だと……1400だと私、フェンリル、ユラン、マスターハリアー、ファッションカラーと5人も居ますからね」

 

「多いですね、マスターハリアーさんはマイル中距離のイメージがありますが」

 

「1200から2500メートルまで走れるから本当チートですよ……もっとも私達のトレーナーは自己申告ですが1200から6000までの芝ダート両方いけると言ってますがね……まだ体ができてないと言ってますが」

 

「ロンメルトレーナーはウマ娘をどんどん辞めていってないか?」

 

「まぁ凄いウマ娘ですよ……クスクス、ロンメルトレーナーの話をしていたら緊張が解れました……行ってきますね」

 

「頑張ってください」

 

 

 

 

 

 

「暗殺ラーメンやっぱり旨いな」

 

「ディープバレットちゃんだっけ! 旨いよラーメン」

 

「アザッス!」

 

「ルビーさんも美人だし目の保養になるよ本当」

 

「ヘイ、暗殺ラーメン大盛お待ち」

 

「お、来た来た」

 

「店主がロンメルトレーナーから変わったから味も変わると思ったけどよかったよ変わらなくて」

 

「へへ、きっちり仕込まれましたからね……ただサイドメニューは申し訳ない減ってしまって」

 

「しゃあないしゃあない、それでも米や味玉とチャーシュー出してくれるだけでこっちはありがたいからさ」

 

「いやぁレモン水が良いねぇ、口の中がリセットされるよ」

 

「麦茶とレモン水選べるのはありがたいよ」

 

「サービスの質を落とさないようにする苦肉の策なんですがね」

 

「替え玉頼むわ」

 

「へい!」

 

「でも店主とルビーさん、ロボット導入しているからとはいえ2人で回すのは大変でしょ」

 

「アルバイト雇えば?」

 

「いやー、それが難しいんすよ。一応ルビーさんが調理師免許持ってるんすけど、雇われとはいえ店長が俺だし、学生連合の屋台として出させて貰っている立場なので学生連合の居る場所でしか屋台ができないんで長距離移動になるんすよ。バイトに毎週遠出をさせるのも悪いですし、人件費の抽出が難しいんすよね」

 

「まぁ20席を1時1.5回として8時間、240席分、まぁ理論値だからそこまで入らないとして180くらいか? ラーメンの材料費や学生連合への支払い、移動費なんかで手元には10万残れば良い感じか?」

 

「そこまで細かく計算されると困っちゃうな……まぁだいたい当たりです」

 

「学生連合が毎回レースに出るわけでもねーからな」

 

「ディープバレットちゃんだっけ? 普段はどうしてるの?」

 

「チームの夕食を作って小遣いを稼いでますよ。日給で1万ロンメルが出してくれるから助かってます」

 

「ウマ娘は学食食えるけどトレーナーはそういえば学食って食えるんか?」

 

「ん? そういえばトレーナー達ってどうしてるんだ? カフェテリアで昼食取ってる人はよく見かけるけど……ロンメルは俺が修行で作る料理を食べてるけど……おっちゃんナイス! 半額にまけとくわ」

 

「お、おう! 何かわかったんか?」

 

「トレーナー用に弁当売り出すわ。たぶん外部の弁当屋かコンビニの弁当買ってるんだと思うけど飽きると思うから暖かい別の料理を作って売れば小遣い稼げるかも」

 

「良いんじゃないか?」

 

「お、商売魂逞しいな」

 

 ディープバレットはその後ロンメルと生徒会の許可を取り、昼食用に弁当を、夜には部室前で屋台ラーメンを作って格安で売り出すと疲れたトレーナー達や学食では食べれないクオリティの高いラーメンは瞬く間に弱小チームやサポート科の学生の間で人気になるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 高松宮記念

 

 歴史有る短距離G1であり、元々は2000メートルだったが1996年から1200メートルのG1に変更され、それ以来春の短距離の王者を争うレースとして有名である

 

 復活した100万ドルのボーナスを争うグローバル・スプリント・チャレンジの施行レースでもあり、3ヵ国で優勝した場合にボーナスが支払われる

 

 現在学生連合でもユランがアルクォズスプリントを勝ったことで権利を得ている

 

 さてさて、サウジとドバイ、日本でも重賞を勝ちまくっているのでそりゃヘイトが凄いたまっている現在

 

 海外実績もあり、今回のレースでも1番人気のフェンリルに注目が集まっている

 

 タカタノソラは4番人気

 

 嫌な予感がしたタカタノソラは先行策を決断しレースに挑む

 

 

 

 

 

 

 

 

『電脳アイドル律の高松宮記念ライブ!』

 

 {律ちゃんドバイのハズじゃ}

 {ま、まさか}

 

『学生連合の皆さんよりも早く帰国して高松宮記念の中京レース場に直行しました』(マジものの電脳存在なのでインターネットを通じて日本に帰国しただけです)

 

 {やりやがったw}

 {それでこそ律ちゃんやで}

 {学生連合G1 6勝目なるか}

 

『国内外で大活躍の学生連合ですが、高松宮記念も勿論取りに来てますよ! さて、では注目選手こと学生連合の選手を紹介します』

 

『まずはフェンリル選手で、阪神カップ、ターフスプリントと国内外構わずに連勝しています。勢いは今一番ある選手です』

 

 {納得の1番人気}

 {ツアーリボンバーと戦って欲しかった}

 {でも主役は間違いなく彼女}

 

『続いてタカタノソラ選手です。シルクロードステークスの勝利ウマ娘です。強烈なピッチ走法で走り方が漫画のグルグル走りに見えると話題になりましたね』

 

 {ピッチ走法の手本みたいな走り方だよね}

 {アストンマーチャン以上って相当だぞ}

 {アストンマーチャン? }

 {なんで定期的にアストンマーチャンの存在を知らない者が湧くのかコレがワカラナイ}

 

『短距離ではピッチ走法は輝きますからね。まぁたま~に例外が湧きますが』

 

 {例ドリジャ、タイトルホルダー}

 {タイホは中間定期}

 {まぁストライドは長距離向きだよね}

 

『さて、ではレースが始まります』

 

『……スタートしました! 先頭は○○○○○、タカタノソラ選手は2番手追走、フェンリル選手は9番手』

 

 {まずくないか}

 {前が固まり始めてる}

 

『さぁ稍重の中京の高松宮記念、半分の600メートルを通過しました。タイムは36.2と稍重では平均やや遅いくらいのペース』

 

 {後ろ上がってきたぞ}

 {フェンリルそろそろ上がらないとまずくね}

 {嫌な予感してきたんだけど}

 

『さぁ残り300メートル、先頭は変わってタカタノソラ選手、フェンリル選手伸びてこない、バ群の中で踠いている』

 

 {前が壁だ}

 {前、横、全てかべになってる! もう無理だ}

 {○○○伸びてるが厳しい}

 

『タカタノソラ選手1着、タカタノソラ選手1着です!』

 

 {フェンリル12着か}

 {伸びないか}

 {前詰まると抜け出せるパワーはない感じか}

 {進路取りミスだな}

 {ビックアーサー前が壁}

 {うーん、まぁ中等部の経験の浅さ故だろうな}

 {でもあのごちゃつきは無理だろ}

 {無理になる前に早め抜け出しとか色々有ったろ}

 

 勝ったタカタノソラよりもフェンリルの惨敗の方でコメントが荒れる荒れる

 

 ネット掲示板でも似たような感じでタカタノソラの勝利はフェンリルの惨敗でかき消されてしまった

 

 

 

 

 

 

 

「ラストチャンスだったけど無理だったか」

 

 ロンメルは飛行機に乗っている間に高松宮記念の結果を見た

 

 正直タカタノソラ先輩の方が才能も抜けているため、フェンリルが勝てるチャンスは少なかったのだが、僅かながらの可能性にかけたが、結果は惨敗

 

 逆にフェンリルにマークが集中したことでタカタノソラ先輩のマークが薄くなり、結果今回の勝利に繋がったとも言える

 

「劣化が本格化してくると思うからフェンリルも嫌でも気がつくかな……納得してくれれば良いけど」

 

 帰国して真っ先に2人のところに行ったが、案の定フェンリルは荒れていた

 

「むきぃぃぃぃ」

 

「はいはい、悔しがってもレースはやり直せません。結果を見て次に挑みましょう。タカタノソラ先輩はおめでとうございます」

 

「ありがとロンメル、なんか皆さんフェンリルばかりに注目が行って私への注目が少ないのですけど」

 

「まぁ飛び方が飛び方だったからね……さて、フェンリル愚図って無いで反省反省……しかし、タカタノソラ先輩はよく前目にポジションしましたね」

 

「嫌な予感がしたのよ」

 

「そういうシックスセンスも必要ですからねぇレースには……」

 

「うぇぇぇぇん」

 

「はいはい、いっぱい泣いて次頑張りましょう!」

 

 高松宮記念はタカタノソラ先輩の勝利で幕を降ろした

 

 3月も終わり4月となる

 

 出会いの季節になるのだが、1つ片付けておかなければならない

 

 頂上決戦

 

 大阪杯である

 

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