入学式 学生連合選抜試験
桜咲く4月多くの学校で入学式が行われ、トレセンでもまた入学式が行われる
多くは12歳や15歳であるが、編入生や留学生も結構な数がいる
『なので、我が校では実力主義に則り、トレーナーや先生によく学び、1つでも多くの物事を吸収して欲しい。以上をもって私からの祝辞とします』
『生徒会長のイクイノックスさんありがとうございました。続きまして理事長祝辞、ディープインパクト理事長お願いします』
カメラ越しでもわかる圧迫感
流石無敗の三冠ウマ娘であるとロンメルは思う
黒く長い髪を靡かせて壇上に上がると話し始める
『強くなりなさい。1つでも多く勝ちなさい……この学園は実力主義で成り立っています。自身の身分はここで一旦リセットされます。名門出身だろうが、孤児院出身だろうが皆さん同じゲートの中で今か今かとスタートの合図を待っている状態です』
『今日の放課後にはすぐにチーム主催の選抜レースが、明日には学園主催の模擬レースが始まります』
『まずはチームに選手達、サポート科の者も所属すること……チームで全てが決まるわけではありませんが、多くは決まるでしょう』
『特待生や名門出身の者、いや全ての者に言います。結果が全て……勿論何でもやって良いわけではありません。が、結果を残せない者にこの学園は冷たく現実を教えるでしょう。それが金銭を伴う社会の縮図であるトレセン学園だ……Eclipse first, the rest nowhere……唯一抜きん出て並ぶ者無し……スクールモットーに基づき、1人でも多く強いウマ娘が出てきて世界で通用するウマ娘が輩出されることを願う! 以上をもって私からの祝辞とする』
『起立』
ざっと一斉に新入生は立ち上がり
『礼』
お辞儀をする
普通の学校で新入生がこういうことはしないのだが、トレセンは違う
理事長が絶対の権力者であり、他はそれ以下であることを入学初日にわからされる
「ヌルフフフ、なんともまあ怖い人ですねぇ」
ロンメルは暖かい抹茶ラテを飲みながらノートパソコンを閉じると、書類整理を始めるのだった
今日は初日なので早めに授業が終わると皆一斉に体操服とスマホ片手にに着替えてパンフレットに従って学生連合の部室にやってきた
「スマホを絶対に持ってきてくださいって何やるんだろう?」
「なんだろうねー」
「……」
何名か青ざめているが、恐らくスマホを持ってない子達だろう
『ヌルフフフ、皆さんこんにちは、学生連合トレーナーのロンメルです。まさか100名近くの入部希望者が来るとは思っていませんでしたよ。まずはこのQRコードをスマホで読み取ってください。特設ページが出ますので案内に従って登録してください』
ロンメルは学生連合の部室の屋根にスピーカーを持って立ち、大きな紙を広げた
そこにはQRコードが描かれていた
「すみません! 俺はスマホ持ってないのですが!」
大声で叫ぶ金髪のウマ娘
周りのウマ娘はスマホを持ってないことにクスクスと笑うがロンメルは気にすること無く
『あ、下にサブトレーナーが待機しているのでそちらと私で対応します』
ロンメルは屋根から飛び降りる
キャーと悲鳴が上がるがふわっと浮き上がるように着地した
『さぁ皆さんもう既に選抜は始まっていますよ。皆さんの才能を私に見せてください』
学生連合初めての選抜試験が始まった
借りているコースに移動して学生連合の選手達も記録員やスターター、整理要員としてここに居る
「ではここに居る皆さんは選手として学生連合に入りたいと希望する者達ですね。……64名の皆さんにはまずは改めてトレーナーである私から自己紹介致します。高等部、シニアクラスのロンメルです。トレーナーもやっています。目指すのは最強のチームで私自身が世界最強になることです。ではゼッケン1番のウマ娘から中等部高等部か、クラス、名前、目標を教えてください」
「は、はい! 1番中等部ジュニアクラスのホワイトユニコーンです! 目標は1つでも多く勝つことです! よろしくお願いします」
「次」
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「ゼッケン16番高等部クラシッククラス、コンヒュイル……です! 目標は……スカイプラザ選手を超え世界一のウマ娘になりたいです!」
クスクスと笑い声が起こる
「ヌルフフフ、実によろしい」
ロンメルがこういうと笑い声は収まった
「次」
「……」
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「32番 中等部 ジュニアクラス ラインハルトだ。目標そんなの決まっている。世界を取ることだ。世界一位だ。それ以外に無い」
先ほど大声でスマホが無いと叫んだウマ娘だ
私の事を見ているが……ファッションカラーの方をチラチラと見ている
あー、ファッションカラー先輩が言っていた孤児院の子か
なるほどなるほど
全員の自己紹介が終わり、レースが行われる
「今から読み上げるのは芝コースを走りなさい、呼ばれなかった者はダート……1.2.3.8.9.11……32……以上40名」
「ま、待ってください!」
「どうしました?」
「希望を芝にしたハズです! 何でダートなのですか」
「芝の才能が無いから」
「え?」
「私はねぇ透視能力が有るのですが、あなた達の筋肉を見て芝かダートか、距離等の適性を見ています。なのである程度わかるのですが……あなた……ナイスインパクトさんは芝の適性が無い。断言しましょう」
「ディープインパクトの血が入っている名門の私が2軍で走れと!!」
「あー、芝至高主義者か……勝てる方を提案しているのですが……嫌なら帰ってください」
「……後悔しても知らんぞ」
ナイスインパクトは走らずにゼッケンを脱ぎ捨てて出ていってしまった
「別にあの子は芝への適性が無いだけで、芝と呼ばれた人もダートの適性がある人や逆もまたしかりの人もいます。あとダートを2軍扱いするバカは私は嫌いです。レースに出る以上勝てることこそが一番です。ダービーに出たいと言う人も居ましたが適性がダービー無ければ希望しても私は出しません良いですね」
「「「はい!」」」
「ではレースに移りましょう」
レースは滞りなく行われた
海外からの留学生も何人か居たが即戦力の子も見つけることができた
他にも宝石になりそうな原石がゴロゴロ居る
驚いたのはラインハルト選手で恐らくファッションカラーが教えたのだろう
呼吸が使えている
それだけに選抜レースでは圧倒的な走りをし、特待生でもある
「合格者は明日ゼッケン番号を部室の壁に貼り出します。それでは合格者は明日からよろしくお願いします」
それで選手は今日は解散となった
問題はサポート科の選手達である
まずレースを見てもらい、感想や良いと思った選手を記入してもらった
それとアンケートを使い面接は3時過ぎから面接が始まる
ロンメルトレーナーと面接かぁ緊張するなぁ
うちグデーリアンは長崎からサブトレーナーになるために上京したウマ娘だ
今をときめくロンメルトレーナーに会えるなんて
「失礼します!」
「どうぞお入りください」
ノックをしてから入室する
ロンメルトレーナーを生で見た感想は綺麗だけどがっしりしていて触手みたいなのが髪から生えてるだった
「しょ、触手って都市伝説じゃながとな」
「皆さん驚かれますよ……まぁ座ってください」
「失礼します!」
「では確認のためお名前と学部、サポート科の専門をお願いします」
「は、はい! グデーリアン、高等部、サポート全般です。よろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします。ではまずなぜ学生連合に?」
「学生連合の活躍をテレビ越しで見ていました。元々は地元のトレセンに行く予定でしたが、ロンメルトレーナーやチームの人達が活躍する姿や律さんの配信を見て……憧れたんです。ロンメルトレーナーに……」
「憧れ……ですか」
「はい」
「ヌルフフフ、真っ正面からそう言われると照れますねぇ……ではなぜサポート全般を受験したのですか?」
「地方のトレセン……いえ、九州唯一のトレセンである佐賀ウマ娘トレーニングセンター学園は中央トレセンより規模が小さいのでサポート科でも総合学科しかありません。中央ほど細分化されてないのです」
「なるほど……だからサポート全般での受験を……狭き門だったでしょうに」
「なんとか合格しましたが学費が高いので結構実家に無理させてしまい……学生連合のパンフレットにも書いてありましたが日給でもお給料が出ると」
「はい出ます。ただ学生は研修もかねているので少し安くなってしまいます。マンシュタインという生徒が居ます。私がコーチとして雇ったウマ娘なのですが日給8000円で契約しています。他の人は日給1万円程ですただ近々月給に変更しようと思っています」
「なぜですか?」
「今回サポート科を希望したのは36名もいらっしゃりました。全員は無理ですが約10名程雇おうと思っています。その時に日給では計算がめんどくさいのですよ」
「な、なるほど」
「私はねぇ結構俗物でねえ名誉や金銭面にもこだわりますよ」
「……嘘ですね」
「ヌルフフフ、なぜですか?」
「いえ、配信で言っている事が嘘なのかもしれませんが、そんな人程サポートやコーチ代をケチろうとします。でもロンメルトレーナーは前に配信でサポート科を低く見る人が居ますが、彼ら彼女らが有ってのレースだったりトレーニングができます。それを忘れてはいけませんと仰ってました。だからそんな人が俗物と言っても嘘でしかない。しかもあなたは日本のトレーナーで唯一利率が2%の人ですから」
「よく配信を見てますねぇ」
「学生連合に興味がある人ほど律さんの配信は見ているハズですよ」
「なるほど、では幾つか質問していきますね」
「はい」
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「いやぁ実に広い知識をお持ちだ。まさか最新のスポーツ科学までわかるとは」
「恐縮ですロンメルトレーナー」
「あなたは合格です。明日からよろしくお願いします」
「え、それって」
「普通ここで合否は決めてないのですが、あなたの知識や学習意欲は私を大きく助けることでしょう。選手も含めて合格1号です。よろしくお願いします」
「は、はい! やった!」
「では裏に律と武内サブトレーナーが居るので書類の記入をお願いします。後でマイナンバーと判子が必要なのでそれは明日持ってきてください」
「は、はい! 失礼しました」
「ふー、やれやれ面接終了」
『お疲れ様です。36人を6時間で終わらせるのはなかなかですね。個別面接でしたし』
「律も書類作成お疲れ様。来年からは集団面接かな。ま、マンシュタインや今日決めたグデーリアンなんかが来年一緒に面接すると思うけど」
『期待してますね』
「ヌルフフフ、さて、選手と面接の精査をしないといけませんね。今夜は徹夜ですかねぇ」
『寝ないと体が持ちませんよロンメルさん』
「まぁ時間を見て寝ますよ……しかし名家と主義は難しいですね。一種の貴族みたいですし」
『ナイスインパクトさんでしたっけ』
「ダートなら良いところまで行くと思うけど早熟だからなぁ。良いところに拾われれば良いけど」
ロンメルとコーチ陣は夜な夜な精査に励むのだった