ロンメルの本気   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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天皇賞(春) 前編

 部室地下2階

 

 ロンメルの研究室にて深夜ロンメルはとあることを考えていた

 

 ウマ娘は単為生殖できるが有性生殖のウマ娘とどちらが強いかとなると統計的には有性生殖の方が強いウマ娘が出やすい

 

 その理由は父親が居ることによる財政の豊かさである

 

 幼い時にどれだけ栄養を取れるか……これで体つきや骨密度等が変わってくる

 

 ここら辺上手くできているのは名家であり、本家だろうが分家だろうが名家として一括りにできるので支援体制ができている

 

 名家の子は良く走る

 

 これこそ不自由無く成長できた証である

 

 現在トレセンのウマ娘は基本名家や社会的地位が高い家ばかり、悪くても中産階級の者で、貧民みたいなのはそれこそ孤児院出身のラインハルトくらいしか学園に居ない

 

 さんざん話してきた食費の有料化や高い学費によって貧民が入りづらいお嬢様学校であるのだが、昔はオグリキャップやイナリワン、ドクタースパートみたいな強い地方からの成り上がりウマ娘やタマモクロスや最近だとデアリングタクトみたいなのは貧乏だったり家が小さい人も居たがそういった話は基本昭和の頃で今ではあまり聞かない(デアリングタクトは本当の例外)

 

 じゃあそんなお嬢様達をちやほやさせながら育てれば強くなるか……それは否である

 

 血統主義、一族主義、呼び方は色々あれど先人が凄かったから自分も凄いかと言えば違う

 

 そんなんだったら優秀なウマ娘の子孫で溢れ返っている……いや、現在のトレセンの約7割が親もトレセンだから合ってるちゃ合ってるのか

 

 まぁその話は置いておいて、レースは命がけのスポーツである

 

 骨折すれば走れなくなるかもしれないし、運が悪ければ死ぬかもしれない……ライスシャワーやホクトベガのように……

 

 そんな命をかけたレースだから人々を熱狂させられるし、大金も動く

 

 ではどうやれば強いウマ娘ができるか

 

 呼吸を扱えるようになってもスプリームの様に負ける時は負けるし、スカイプラザやヤクルトガッツの様に神域に入れば負ける姿が想像できないウマ娘もいる

 

 ウマ娘は実に不思議な生き物である

 

「ヌルフフフ、身体の約8割が新物質に置換し、脳が3つ、肺が4つ、心臓も4つに増えてしまいましたかヌルフフフ」

 

 ロンメルの体はここ最近急激に成長していた

 

 自身がどれだけ抑えてようが進化を続けてしまう

 

 体の中で産み出される反物質のエネルギーを抑え込む為にドンドンパワーアップしていく

 

「私はウマ娘である。どんなに化け物になろうとウマ娘である」

 

 筋肉は全集中の呼吸によって細胞の超回復を常時おこなっているためか、凄まじい密度に変化しており、栄養素や酸素を運ぶ血液の流れも心臓が増えたことにより普通のウマ娘の倍近い速さになっていた

 

 形だけがウマ娘で中身がそろそろ【鬼】へと変わり始めているかもしれない

 

 ……【鬼】

 

 ロンメルは異世界にて鬼の総大将の鬼舞辻無慘を追い詰めた際に体内に鬼の血液を大量に注入され、次の世界に引き継いでしまった

 

 無毒化はできたものの、その恐るべき生存能力は無毒化後も健在であり、自らが生き延びる為、反物質(触手細胞)の寿命によりロンメルが爆発しないために体の血液を鬼舞辻無慘の血液に全てを入れ換えた

 

 結果ロンメルは徐々にウマ娘をやめる変わりに強さを手に入れた

 

「早まったかもしれませんが、触手細胞を全身に植え付けられ除去は不可能、かといって殺せんせーみたく宇宙人の容姿になるわけにもいかない。体は生存の為にどんどん進化する……ヌルフフフ、だからこそ私を倒せる者を増やさなければ」

 

 あと数ヶ月でロンメルは過去のどの世界線の最盛期の肉体を超える

 

「私は英雄にはなれないでしょうねぇ……なんて言われるのでしょうかねぇ……かっこ良いと良いのですが」

 

 膨らんだ胸には筋肉と臓器がピッチリと詰まっていた

 

 ロンメルは研究し続ける

 

 ウマ娘の可能性を求めて

 

 自身の更なる成長の為に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天皇賞(春)

 

 それは日本最強のステイヤーを決める伝統の一戦

 

 ある一族はダービーよりも天皇賞の盾が欲しいと願うほど

 

 ある者は失墜しかけた春の盾を自身の生命を削りながらも格を守ったりもした

 

 だがしかし、ステイヤーからスプリンターへ

 

 スタミナよりもスピードへという現代のレースの変換により春の最強ウマ娘決定戦からステイヤー最強決定戦となったが、ここ最近では中距離ウマ娘が勝ってしまうなんてこともあった

 

 そんなレースだが今年は2強ムードになっていた

 

 片や昨年のアルゼンチン共和国杯の2500メートルから始まり、サウジの3000、ドバイ3200を圧勝している学生連合が誇るステイヤー ミッションタイマー

 

 対するは昨年のダービー、菊花賞、有馬記念の覇者であり、大阪杯を敗れたものの現役最強格メルトダウン

 

 2人が天皇賞(春)にて激突する

 

 

 

 

 

 

 

「メルト、ここは負けられないぞ。ここを落とすとお前はただの世代の強者だけになってしまう……ダービー、菊花賞、有馬記念、天皇賞(春)の一連の流れでの制覇はルドルフ以外に居ない……歴史に名前を残すぞメルト……メルト?」

 

「トレーナー、大阪杯の時にいつものように領域に入ったんだけどね……更に先が見えていたんだ。あの時の感覚……とてもとても不思議だったんだ」

 

「……そっか、お前も見えていたんだな領域の先が」

 

「細田トレーナー?」

 

「俺もオルフェーヴルに聞いたことがあるんだ。2回目の凱旋門の時に領域の先の何かに触れているウマ娘が居たって……そんで最後の有馬記念で掴みかけたって言ってたよ」

 

「メルトダウン、お前ならオルフェーヴルの忘れ物を取りに行けるんじゃないかって前から期待していた。大阪杯の敗戦は成長に繋がったなら良い……練習で良く首を傾げてたのはそれか」

 

「うん。トレーナー……今日こそ先を掴んで来るよ」

 

「よし、じゃあ自由にやれ! 歴史だなんだはさっき言ったばっかりだが忘れろ」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なー、ロンメル正直に言うぞ、サウジ要らなかったな」

 

「そうですねぇ、事前のプランだとサウジは予定にありませんでしたからね」

 

「疲れというよりは調整不足だ。やっぱり俺は香港じゃなくて日本に残った方がよかったんじゃないか?」

 

「いえ、ミッションタイマー先輩は何がなんでも連れていきましたよ。覚えてますか? ミッションタイマー先輩に打診したヘッドコーチ就任要請」

 

「……あれマジだったのかよ」

 

「ええ、マジもマジです……少し事情が変わりまして来年には引退していなかったとしても選手兼任でなってもらいますからね」

 

「……どういうことだ?」

 

「調べなければいけないことができましたのでね……私が居なくても学生連合が回る必要があり、そのカリスマがあるのはミッションタイマー先輩以外居ませんので」

 

「コアランタンなら良いんじゃないか? 年下の面倒見も良いし」

 

「いえ、逸材が今年入ってきたのでラインハルトに来年からのチームリーダーはやらせます」

 

「はあ!? おいおい中坊にやらせるのかよ」

 

「彼女には野心と備わっているカリスマが段違いですから。というよりもミッションタイマー先輩には引退後も残って調整役をしてもらわないと困るのですよ。ラインハルトは焚き付けるカリスマがありますが、一歩間違えると炎に燃やされかねない危険性があります。そこの間を取り持つのがあなたの役目ですよ」

 

「レース前になんちゅう話をしやがる」

 

「レースはレースですし、この選手控え室ぐらいじゃないと言えないじゃないですか」

 

 よっこらせっとロンメルは椅子に座る

 

「私はね学生連合ってチーム内でも競争を激化させたいと思っているのですよ。学生連合でもA、B、Cチームとチームに分けて私と武内さんが全体指導、ミッションタイマー先輩が選手のメンタルケア、マンシュタインは偵察や情報整理、グデーリアン、クロロさん、カチューシャがチームコーチ……みたいな構想を考えていたり」

 

「……前にチームを3つに分けたのはその予行練習かよ」

 

「はい、それもありましたが時期尚早だとすぐに止めましたがね」

 

「で、後々独立させて息のかかったチームを増やして影響力を確保か?」

 

「それも良いですね。まぁ最強のチームを作ってからですが」

 

「へいへい、じゃあ俺は最強チームに似合う様に頑張ってきますよ」

 

「じゃあ1つだけアドバイスです。楽しんできてください」

 

「言われなくてもやるよ!」

 

 ハイタッチしたロンメルとミッションタイマー

 

 ミッションタイマーはそのままパドックに向かうのだった

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