ロンメルの本気   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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「ミッションタイマー先輩、敵に塩を送りましたね」

 

 ウイニングライブを行った後ロンメルはミッションタイマーを呼び止めてそう話した

 

「なんだ? ダメだったか?」

 

「いえ、でも彼女はあと3から4回で終わるでしょう」

 

「終わる? どういうことだ?」

 

「なぜ私が呼吸を教えるか……それは領域で体が壊れないようにするためです。なので身体能力の強化を行っていないメルトダウンはあと数回で故障するでしょう」

 

「教えた方が良いか?」

 

「ご自由に……でも聞かないでしょう。更に上のステージを見てしまった彼女はこの先が破滅だとしても突き進んでしまう……それがウマ娘という生き物ですからね」

 

 ロンメルは壁に背を預けて語る

 

 メルトダウンの担当するトレーナーは勝負師と言われるほど日本だと5本の指に入る凄腕トレーナーだから最悪は無いだろうが……こればっかりはロンメルでもわからない

 

「……すまなかった。勝てなかった」

 

「いえ、仕方がありません。8割仕上げでここまでできたことを喜びましょう。秋は少し緩めにしましょう。メルボルンカップが最大目標であることに変わりありませんからねぇ……間は挟みますか?」

 

「秋は2戦にするよメルボルンカップと……有馬記念だ」

 

「おやおや? 私に挑みますか」

 

「ああ、メルボルンカップを勝てば6億、約3億は手に入る。これまでの賞金を合わせたら4億と数千万は手元に残るからな。十分に稼がせてもらった。ラストレースくらい選ばせてくれや」

 

「ヌルフフフ、良いでしょう。その挑戦受けましょう」

 

「お前はどうするんだよ結局……ダートからなんだろう」

 

「そうですねぇ、今私は3勝クラス(2勝だけど)に居るのでオープン戦を勝たなければいけないかもしれません。夏の暮れに1戦、秋3戦でしょうかね」

 

「そうかいそうかい……じゃあ先に行くぞ」

 

「ええ、お疲れ様でした」

 

 ロンメルは少しだけ地下通路からターフを眺めたあとレース場を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 祝日に行われたかしわ記念

 

 船橋レース場には収容能力3万人のところ7万人もの観客が押し掛け、現在世界レーティング1位、ダート単独だと歴代2位タイの135がつけられたウマ娘 スカイプラザの走る姿を見るために大勢のお客さんが訪れた

 

 ロンメルは軽く流しでと言う指示を出し、単勝、複勝元返し

 

 単勝支持率91%、2番人気ですら20倍のオッズが付いたかしわ記念は完全覚醒したスカイプラザが中央地方問わず蹂躙し、かしわ記念最大着差の15バ身で決着となった

 

 タイムはクロフネ超えの1.32.8であり、コースレコードを約2秒も短縮、タイムの出にくい良バ場でこのタイムは異常であり、後続とは3秒近く離しての勝利であった

 

 世間は現役最強のダートウマ娘だのスカイプラザG1級レース4勝目だのという見出しの新聞が大量に出回り、ニュースでも速報として流れるほどだった

 

 これによりいつもウマ娘を見ない層でもダートに凄いウマ娘が居るんだという認識が生まれる

 

 ただ、これに匹敵する怪物が数日後のレースで産声を上げる

 

 

 

 

 

 

 とりあえず日本のレースに慣れるためにとコンヒュイルに1勝クラス、1400メートルのダート戦を走らせてみたら普通に勝ち上がり(なお同日行われたユランのヴィクトリアマイルはユランが普通に勝ったものとする)そのまま連闘で挑んだ是政特別(2100メートル 2勝クラス)を3バ身着けての圧勝

 

 賞金を加算し、ダートクラシックの東京ダービーへと駒を進めた

 

 コンヒュイルは呼吸を習得し、常中へとステップアップさせ、日本で調整を続ける中、ロンメルはヤクルトガッツとミッションタイマーを連れてドゥームベンカップへ遠征を敢行

 

 ミッションタイマーは出ないため、メルボルンレース場の下見をさせるために連れてきたのでメルボルンのトレセンに許可を取り、単独で軽く練習させてもらい様にし、後は観光していて良いとした

 

 一方ロンメルとヤクルトガッツはイーグルファームレース場にて調整を行っていた

 

「そういえば数年前にここブリスベンでオリンピックあったよね~」

 

「そうですね。日本人も大健闘しましたし記憶に新しいですが」

 

「人間とウマ娘混合とウマ娘単独と人間単独って凄い複雑じゃん。あれだけあれば僕も何かしら鍛えれば出れそうじゃない?」

 

「流石にそれ専門でやっている人には勝てませんよ」

 

「でもさサクセスなら10キロメートルマラソンスイミング行けるんじゃない? あれ男女ウマ娘混合の珍しい競技だし」

 

「確かに鍛えればサクセスならいけるかもしれませんね」

 

 事実次のオリンピックにてサクセスはトレセン学園初の高校生水泳金メダリストになるのだがそれは未来のお話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 神域に到達しているヤクルトガッツに敵うハズもなく、ドゥームベンカップはヤクルトガッツの圧勝で終わる

 

 3ヵ国G1制覇という偉業をやってのけた

 

 スカイプラザとヤクルトガッツ、他のメンバーも世界を相手に戦い、勝ってきたことにより学生連合の知名度ははね上がり、更にトレーナーが現役選手兼学生ということもあり話題性は抜群、150万人ものチャンネル登録者を誇る律という情報の発信者、これにテレビや新聞が乗っかった結果更に民衆は熱狂し始めた

 

 第三次ウマ娘ブーム後期と呼ぶ者もいれば第四次ウマ娘ブームと呼ぶ者もいる

 

 とにかく次なるブームの始まりである

 

 今までのブームとの違いは人気が分散していることと名レースの多さである

 

 ロンメルが国内よりも海外の勝てるレースを選択しているのもあるが、バカコンビの直接対決、スカイプラザの歴史的な圧勝劇、香港制圧、大阪の陣、天皇賞(春)での激突等々語り継がれる名レースが盛りだくさんであり、学生連合対核の世代対その他の構図が完成したのだ

 

 バカコンビの芸人アイドル路線の成功、スカイプラザの強さ故の人気、世界のヤクルトガッツ……スター選手が勢揃いである

 

 6月に入っても進撃は止まらないコンヒュイル伝説の幕開けと言われる東京ダービーが行われた

 

 常中へと至っていない、ロンメル式の魂を入れると言われる領域覚醒方法をとっていないのにも関わらず領域に開花

 

 東京ダービーを4バ身差の完勝、これは韓国でもお祭り騒ぎとなり、日韓でウマ娘ブームが連動した瞬間であった

 

 この調子でユランによる安田記念を制覇と行きたかったが、ここはツアーリボンバーの激走で阻止される

 

 そしてロンメル達はイギリス、アスコットレース場で行われる3つのレースにエントリーを行う

 

 キングズスタンドステークス タカタノソラ

 

 プリンスオブウェールズステークス ファッションカラー

 

 プラチナジュビリーステークス ユラン

 

 これにより宝塚記念は今年は辞退したが、ロンメルが行きたがっていたイギリス遠征が行われた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イギリスに移動したロンメルは1日だけ自由時間が欲しいと言い、ロンメルは花束を持ってとあるウマ娘の墓を訪れた

 

 墓標にはEclipse……エクリプスと書かれていた

 

 墓地にはエクリプスの親族の墓が大量にあり、その数優に300を越えた

 

 エクリプス1代で20人もの子供を産み、一族は現代の欧州やアメリカ、日本にも血筋が残っている

 

 ただ彼女の一族はヘドロ~ハイフライヤーという2人の年の離れた姉妹の子孫の活躍により首位一族という栄冠を取ることができなかった(なお姉妹のウマ娘は多くが駆兵となり第一次世界大戦や第二次世界大戦で散ってしまい、1990年代に子孫が断絶している)

 

 が、エクリプスの直径子孫は世界大戦を貴族としてしぶとく生き延び、エクリプスの墓守をしながら世襲貴族として今なお繋がれていた

 

 エクリプスの墓に花を添えると1人の老ウマ娘とスーツの男性が日傘をさしてやって来た

 

 [初めましてマーリン伯爵……話を聞いてくださりありがとうございます]

 

 [いえ、【シークレットボックス】についての話がこの時代で話されるとは思いませんでしたのでね。日本人のお客さんがなぜ知っているのかしらね。どこから聞いたのかについてもお話いただきたいわ]

 

 ロンメルが異世界に行っていたことは読者の皆さんはご存知だと思うが、異世界に渡る能力を持っていたのはロンメルの他にエクリプス、ビッグレッドことマンノウォーの2名が先人としていた

 

 そのエクリプス達は時代は違えどこの世界で生きており、エクリプスは未来の後輩へのプレゼントとして死ぬ間際に自身には要らなくなった物をシークレットボックスというトランクケースに入れていたらしい

 

 [【念】と呼ばれる技術で開けられると聞いておりますが……エクリプス一族の秘術ではありませんか。私は直接エクリプスさんに聞いたのですが]

 

 [……ご先祖様にねぇ……まぁ良いわ。家に来なさい]

 

 マーリン伯爵に連れられてロンメルは城と言える場所に移動した

 

 一族のトロフィーだったり勲章だったりが飾られていた

 

 すると1人のウマ娘が物陰からマーリン伯爵に抱きついた

 

 [お婆ちゃん……ん? 誰? ]

 

 [アーサーや、お客さんだよ]

 

 アーサーと言われたウマ娘の少女は私を値踏みするかの様に見る

 

 [お姉さん本当にウマ娘? ]

 

 [一応ウマ娘ですよお嬢さん。まだまだ私はウマ娘のハズです]

 

 [でもお姉さんの体他のウマ娘と違うよ]

 

 [……マーリン伯爵、もしかしてこの子は既に念を? ]

 

 [ええ、我が一族で見ても天才と言って良いでしょう。10歳で開花したのは長い我が一族でもこの子が初です]

 

 エクリプス一族の秘術念……エクリプスが異世界で身に付けた技術であるが会得するのに凡人だと約10年以上かかると言われる技術

 

 短縮する方法もあるがそれをやると50%位の確率で死ぬと本人(エクリプス)は語っていた

 

 [ちなみに念習得者は]

 

 [我が一族52名以外現在は居ませんわ。ご先祖様が呪いをかけましたので]

 

 [一族以外に念を習得させると死ぬ呪いですか]

 

 [死者の念と呼ばれる物でご先祖様は天才でしたからこうして何百年経過した今でも他人に念を伝授しようとした者は発狂死しますの。それが子供であろうとも]

 

 [なるほど]

 

 [アーサーや、少しあの部屋にお戻り、私はお客さんと話さなければならない事があるからねぇ]

 

 [はーい]

 

 [元気なお子さんですね]

 

 [ええ、自慢の孫娘だよ]

 

 その部屋はずいぶんと質素な部屋だった

 

 ソファーにテーブル、そしてトランクケースが有るだけの部屋だった

 

 [これが目的なんでしょ。開かないトランクケース……シークレットボックス……鍵穴は無く、念によって固く閉ざされている。歴代当主達が解除を試みたし、スキャンもしたけど中身は何も映らなかったわよ]

 

 [ええ、これです。これなのですが今は私でなければ開けることができません……開けますよ]

 

 [そんな簡単には開かないわよ? ]

 

『[扉よ扉、我が人生、3つの扉をくぐりし者にアイテムを与えよ]』

 

 エクリプスに会った時に言われた暗号である

 

 一言一句間違うこと無く唱える

 

 扉とは異世界に行くときに必ず通過する場所であり、人生が終わるまで異世界の移動はできない

 

 3つの扉を潜らないとウマ娘の世界に帰れないため3つの扉である

 

 言うとカチっと何かが開く音がした

 

 [まさか……本当に開いたの!? ]

 

 [1つだけどうしても欲しい物が有るのでそれだけ解除の報酬としてください]

 

 [……ええ、良いわよ]

 

 開かれたケースの中にはびっしりと黒い箱が隙間無く詰められていた

 

 ご丁寧にスキャンしても見えない様に念で作られた物質であった

 

 ロンメルは箱を机に並べて開けていく

 

 指輪やネックレス、宝石、薬と色々である

 

 マーリン伯爵はそれらを見ても目を輝かせている

 

 私にはどんな価値が有るものかわからないが

 

 とある箱を開けると白い丸められたカマボコ状のポケットが出てきた

 

 [このポケットをください]

 

 [……? それで良いのかしら? 他の物からは念を発しているからマジックアイテムよ? ]

 

 [いえ、このポケットが欲しいのです]

 

 [わかったわ。それをあげましょう。ついでにご先祖様のお話を聞かせてくださらない? ]

 

 [勿論です。私の知る限りの情報を話しましょう]




念・・・HUNTER×HUNTERの世界でエクリプスが習得した技術

エクリプスの念は特質系であり、全適正に80%という成長率だったと語る

特化型には勝てないが万能さで押さえつける戦い方を良く使っていた

最初の子孫は強化系が多かったが、今は変化系が殆ど

故にレースで活躍できるウマ娘は減ってきているがアーサーは他の念能力適性を捨てる事で強化系適性を150%にする制約をしています
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