9月に入りロンメルは新入生達にメイクデビューの許可を出す
合宿で領域に開花していた彼らが負けることはまずないだろうと言う判断からだ
ロンメルは出たいレースをまずピックアップさせ、それに合わせてロンメルが最終調整をする
ただロンメルは実は今日本には居らず韓国に居た
それはコンヒュイルたっての願いであったコリアカップ出場をするためである
「コンヒュイルさん、どうですか? 調子は」
「大丈夫、久しぶりの韓国だけどここを勝って三冠最終戦のジャパンダートクラシックを勝つよ」
「ヌルフフフ、その意気です。さぁ羽ばたいてきなさい」
コリアカップ……韓国ウマ娘協会が2016年に韓国ウマ娘のレベルを上げるために行われた改革の1つとして設置された国際競争である
韓国ウマ娘協会は他国に比べると資金繰りがあまりよろしくなく、国民がウマ娘への関心が日本に比べて低く、更に徴兵制度があるがゆえにウマ娘も徴兵されるため人気が徴兵終了後から出るのが多く、故に早く徴兵を終わらせようと全盛期の18歳から徴兵に行くウマ娘が多かった
更に学歴社会の韓国ではトレセンに行くよりも近くの高校に行き、そこから一流大学に行く生徒が多い故に全然ウマ娘の質が上がらない
質が上がらないからスターが出ない
他国と競争力が身に付かない
スターが出ないから熱狂しない故にウマ娘に夢を見ない
しかも国の政策でウマ券での売上の上限が決められており、それを超過すると国に徴収されるためウマ娘達に還元されづらい
起死回生の策としてコリアカップが作られ海外のウマ娘を呼び込んでウマ娘の良さを国内に広めよう、海外のレースの質の高さを国内のウマ娘達に分からせて努力を促そうとした
結果コリアカップは日本でも3流クラスのウマ娘によって蹂躙され、更に時の政府の意向により日本勢締め出しとも呼ばれる日本ウマ娘召集取り止めにより国際重賞に迄なんとか取り付けようとしていた矢先にこの行為が国際問題となり、国際ウマ娘レース機構により国際重賞化を取り止めとなる事態が発生
数年後に日本のウマ娘も出場可能になり、国際重賞に戻ったが、改革をなんとかしようとしていた韓国ウマ娘協会の理事長は責任を取って辞任
更に権力争い等のゴタゴタがあり、国民のレースへの情熱は冷えきってしまっていた
そんな冷えきってしまった韓国を飛び出して日本にやって来たのがコンヒュイルであり、コンヒュイルはロンメルの目に留まり、学生連合に加入して魔改造の末に3戦でクラシックダートの頂き東京ダービーをかっさらった
コンヒュイルは数万人もの観客の前で初めてライブを行った
その完成度の高いダンスや歌声はK-POPを彷彿させ、韓国情勢が親日寄りになっていたこともあり、コンヒュイルは日本国民に受け入れられた
韓国よりも多額の賞金、韓国よりも熱心な日本のファン達、努力をしても見向きもされなかった韓国とは違い実力も伸びたが、努力した分だけ声援や金額として返ってくる日本のレース環境がいかに先進的かをまざまざと体感した
コンヒュイルの東京ダービー制覇は日本国内で第四次ウマ娘ブームの熱気の煽りを受けて韓国でも大々的に報道された
日韓戦は盛り上がる
因縁の対決や歴史的背景等色々有るが、ダートとはいえ日本の重賞をコンヒュイルは勝ってみせた
この事実は韓国のウマ娘や関連企業、韓国トレセン、韓国ウマ娘協会を大いに刺激した
過剰報道されたコンヒュイルの勇姿は韓国の国民はコンヒュイルを英雄として見ていた
日本が初めて海外のG1をタイキシャトルに願ったように(実際はシーキングザパールだったが)
そんな英雄を見たいという要望が韓国ウマ娘協会に殺到し、7月中頃韓国ウマ娘協会から学生連合宛に招待状が届いた
内容としてはこうだ
・コリアカップの出場優先権
・韓国への旅費及び滞在費用の全額負担
・大統領との面会及び勲章の授与
となっていた
コンヒュイルは勲章授与という項目や自身の実力と韓国から見た実力が隔離していると最初は戸惑ったが、コンヒュイル自身が最終的にはコリアカップを勝ちたいという願いを持っていたことにより9月初週のコリアカップに出場することとなった
国際競争 G3 コリアカップ 開催場所ソウルレース場
ダート1800メートル
1着賞金10億ウォン(1億円)
コースの特徴左回りの内回り
1周1600メートルの内回りを採用しておりスタンド前、直線の真ん中からスタートとなる
「ふふふ、チョなんか凄いことになってないロンメルトレーナー」
「いやぁ韓国での英雄に対しての熱狂ぷりを舐めてましたね」
空港にコンヒュイルのファンと思わしきウマ娘や人およそ3000人が詰めかけた
まさかこんなに凄いとは思っておらずコンヒュイルは写真を撮ったり、握手をしたり、プレゼントを受け取ったりとまさに英雄の様であった
日本からもファンが居たようで日本語で話す人も何名か居たが、コンヒュイルというよりはロンメル目当てで来てる気がするが……
翌日、ソウルレース場にて試走が行われると韓国のトレーナー達は驚愕した
元々韓国トレセンに居たコンヒュイルの実力は記録として残っていたが、ロンメルが連れてきたコンヒュイルは別人へと変わっていた
コンヒュイルのホームとも言えるソウルのダートはよく馴染むらしくタイムはめちゃくちゃ良い
コンヒュイル自身も張り切っているため好タイムをバリバリ出す
それに任意で透き通る世界に入れるため普通のウマ娘とやっぱり違ってくる
透き通る世界と神域は別物では有るが似ている部分もある
というか領域に透き通る世界を足すと神域へと足を踏み込む事が可能だということがデータから分かってきた
だからコンヒュイルが入ろうと思えば神域にすぐにでも入ることができる
全集中の呼吸をしっかり覚え、夏合宿を乗り越える事ができたコンヒュイルに死角は無い
[ロンメルトレーナー少しお話を聞いてもよろしいでしょうか]
[ん? なんでしょうか]
[あ、朝鮮語お上手ですね]
[まぁ少し勉強致しました……えっと、韓国ウマ娘協会の理事の方でよろしいでしょうか]
[はい、理事長はコリアカップの調整のため来ることができずに申し訳ありません]
[いえいえ……どうですか? コンヒュイルは]
[素晴らしい選手です。タイムもさることながら迫力と言いますかオーラが普通の選手とは違っているように見えます]
[これが領域と呼ばれる物を持つ選手であるということですよ]
[領域……失礼聞いたことが無い言葉ですが]
理事の話は周りのトレーナーも耳を澄ませて聞いている
日本では領域は既に広まっているため韓国に広めても問題無いと思いロンメルは話す
[一流のスポーツ選手はゾーンと呼ばれる物を持っている人がいるでしょ、あれのウマ娘バージョンですよ。一流……いや、時代を作るウマ娘は皆できるのですよ。私はそれにコンヒュイルを目覚めさせただけです]
[ど、どうやれば]
[コンヒュイルに私が叩き込んでいます。彼女が引退すれば韓国に戻るでしょう。その時に私の教えが韓国でも広まることを願っていますよ]
[あ、ありがとうございます]
周囲はざわつく
[コンヒュイルがその情報を持っているのか]
[確かにトレーナーから聞くのは難しいが選手から盗むのは誰も止めない]
[コンヒュイルには是非とトレセンの教官や教師になってもらい韓国のウマ娘に広めてもらわねば]
[しかしそう簡単に情報を出してもらえるのだろうか]
[理事]
[[[理事! ]]]
[分かっています。彼女は英雄だ。それ相応の地位は準備します。それこそ私の席を彼女に譲るくらいはしますよ]
[[[おお! ]]]
とここでロンメルが口を挟む
[もっと世界に羽ばたいた方が良いですよ。コンヒュイルの情報だけでは情報に偏りが出る。アメリカ、欧州、そして日本にサブトレーナーでもサポーターでも良いのでどんどん学ばせに留学を促進させた方が良いですよ。私達日本勢は待っています韓国がパート1国となり、同じ格として戦うことを]
[ありがとうございますロンメルトレーナー]
数日後コンヒュイルはコリアカップを15バ身差の圧巻のパフォーマンスを見せた
韓国ウマ娘達や観客は世界で通用する一流とはこういうことなのかということをまざまざと見せつけられた
しかし、彼ら彼女らに悲観の感情は無い
コンヒュイルが日本のチームに所属しているとはいえ韓国出身のウマ娘なのには違いない
故に韓国の民衆は熱狂する
それはまるで日本のディープインパクトの神話のようにも思えた
[コンヒュイル君、素晴らしいレースだったよ]
[大統領ありがとうございます]
勲章の授与と大統領との会談が実現した
韓国の現役ウマ娘が大統領と会談するのは初であった
[韓国代表として日本いや、世界と戦ってきて欲しい! そして我が国のレースを盛り上げてくれ]
[はい! 必ず! ]
コンヒュイルは韓国の英雄として二冠目の10月の第1週に行われるジャパンダートクラシックへと駒を進める