ロンメルの本気   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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香港国際競走

 チャンピオンズカップの衝撃は全ウマ娘関係者一同に衝撃を与えて

 

 特にダート路線の選手はスカイプラザによってダート路線の地位向上ばかりを喜ぶ事ができなくなった

 

「どうやっても勝てない」

 

 何度映像を見て、何度イメージをして、VRウマレーターにアップデートされた情報を元にシュミレーションとしてチャンピオンズカップに挑むも誰一人ロンメルとスカイプラザに追い付くことはできなかった

 

「どうすれば良い?」

 

 絶望するウマ娘達、中には引退を言い出す子も少なくなかった

 

 チャンピオンズショックと言われ、約100名ものダートウマ娘が引退をした

 

 クラシックのウマ娘達は良いのだが、シニア以上のウマ娘達は深刻だったのだ

 

 一同心が折れてしまったウマ娘を建て直すのは難しい

 

 長い時間をかけても治らない可能性が高い

 

 有能なトレーナーほど心が折れる前にケアをするのだが、今回の事件はそんな腕利きでさえも引き留めることができなかった

 

 そんなウマレーターを何度も何度も研究するウマ娘が居た

 

 ヴィザである

 

 ヴィザは引退間際のトレーナーに最後の勲章を与えんとロンメルの事を嗅ぎ回った

 

 幸運にも現地で観ることができたチャンピオンズカップ

 

 それは存在感のぶつけ合いであった

 

 魂が震えるとはまさにこの事

 

 今年のチャンピオンズカップの映像をこれでもかとかき集め、VRウマレーターを何度もやり、練習風景を盗撮し……呼吸について自分の中で色々考えていく

 

 この呼吸滅茶苦茶キツイし、肺が痛いのだが、続けるうちに痛みは慣れ、体の出力が上がってきているように感じだ

 

 そしてペットボトルを破裂させる訓練をしていたので自身も真似してみる

 

 ……死にかけた

 

 肺が壊れるかと思った

 

 まずは風船で練習した方が良いな

 

 学校のプールは借りれないから温水プールのレッスンを登録して水泳トレーニングを行うようにして、柔軟の時間も増やしてととにかく真似を行っていく……ヴィザの努力は続いていく

 

 その瞳には狂気を宿しながら

 

 

 

 

 

 

 

 

 学生連合は香港遠征を行う

 

 メンバーはユラン、タカタノソラ、ヤクルトガッツの3名である

 

 ロンメルが引率で向かい、国内ではファッションカラーの引退レースである中日新聞杯とジークアイスの阪神ジュベナイルフィリーズの為に屋台の準備を行う

 

 もうサポート科の面々も慣れたものでロンメルがいなくても黙々と準備を行っていく

 

 武内サブトレーナーが国内組の指揮を取り、それをマンシュタイン、クロロが支える

 

 マンシュタインもクロロも呼吸を覚えてから、全集中の呼吸がどういう原理なのか、習得トレーニング方法の体系化、様々な種類のある呼吸の特徴の把握を研究している

 

 ロンメルも知りえなかった新事実がたまに出てくるから面白い

 

 例えばペットボトルトレーニングよりも前段階では風船を使ったトレーニングの方が効率が良いとか、肉体の強化、動体視力の向上、新陳代謝の向上、止血、肉体の回復、スタミナの向上、脳の活性化、免疫力の向上の8項目の他にも向上項目が無いか探したり、デメリットが有るのではないかと研究している

 

 まぁロンメルは体温39度以上、心拍数200回を超えたら死ぬからと脅しているが、まず普通にしていたら心拍数200なんていかないし、体温も39度になることなんてインフルエンザとか風邪拗らせたみたいな異常が無いとまずならない

 

 まぁ呼吸を極めると心筋の代謝も良くなり、体温が徐々に上がっていくのだが、ロンメルは教える過程でリミッターを設置している

 

 なのでロンメルが教えた方法を真似して呼吸を覚えても痣はできない

 

 まぁ出るとしたらほぼ独学で真似して、更に体が異常を訴えても体を動かし続けるバカくらいか

 

 新事実といってもロンメルにとっては確認の意味合いが強かったりもするが……

 

 閑話休題

 

 香港国際競走

 

 短距離、マイル、2000と2400メートル全4レースが行われる国際的なレースである

 

 今回日本のウマ娘は7人が参加し、短距離の香港スプリントはユラン、タカタノソラ他1名、2000メートルの香港カップはヤクルトガッツ他2名、香港マイルと香港ヴァーズに各々1名が参加となったが……

 

 ユラン、タカタノソラの短距離最終決戦ばかりが取り上げられる

 

 ロンメルに両者の様子を聞かれ、中にはどちらを勝たせるつもりなのかということを遠回しに聞いてくる者も居たが……

 

「ヌルフフフ、まぁ気になるのはわかりますが、私から見ても両者拮抗しているのですよ……どちらが勝つか? 私でもわかりません。両名十全の仕上げですよ」

 

 とロンメルはインタビューに答えた

 

 ユランはロンメルの中でG1の器とは思っていなかった

 

 しかし結果はG1を4勝……想定外の戦力であり、まだまだ成長し続けている

 

 タカタノソラは高い素質を持ち合わせ、極端なピッチ走法故に泣いてきた過去はあるが、ロンメルによりG1を3勝する名ウマ娘に導かれた

 

 両名神域には到達していないし、タイムもレコードを出したことは無い

 

 が、強いことは間違いない

 

 ユランにも香港の名前が与えられる

 

 龍玉

 

 奇しくもまるで竜王と呼ばれたロードカナロアをなぞる名前だった

 

 しかも今回はそんな2人を倒さんと香港の短距離王センカイが体調を万全にして挑む

 

 

 

 

 

 

 

 

 1200メートルの死闘は成長を続けるユランに勝利の女神は微笑んだ

 

 2着にセンカイ、3着タカタノソラ

 

 ユランG1を5勝し、短距離の世界王者となる

 

 ガッツポーズは右腕を天高くかかげるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 そして最後の香港カップは2000メートル負け無しのヤクルトガッツに誰も敵わず最後流して10バ身差の圧勝劇で香港国際競走は幕を降ろした

 

 

 

 

 

 

 

 前日に行われたファッションカラーは中日新聞杯を、日曜日の阪神ジュベナイルフィリーズもジークアイスが無事に勝利

 

 ロンメルが帰国してすぐに行われた全日本ジュニア優駿もナックルが勝利

 

 ただナックルはやはりスピードが飛び抜けていないのでだいぶ苦戦したのが特徴的であった

 

「うん、こりゃダメだ。ミラクルで僕勝てたけど鍛え直さないと今後勝てないよね? ロンメルトレーナー」

 

「まぁそうでしょうねぇ……」

 

「今のレベルならオープン戦は勝てるよね? そして名前を売りたいんだけど……このローテー許可してくれない?」

 

「……ブゥゥ! な、マジ? えー、まぁできなくはないでしょうが」

 

「お願いロンメルトレーナー!」

 

「はぁ、まぁ体に異変が有ればすぐに辞めますからね。全く叩かれるのはたぶん私になるのでしょうが」

 

 シンザン記念→京成杯→ヒヤシンスステークス→昇竜ステークス→ファルコンステークス→毎日杯→羽田盃→京都新聞杯→東京ダービー……春9戦ローテである

 

 お前は地方ウマ娘か! って突っ込みたくなったが、沢山走って人気者になることが目的のナックルはとにかく走りたいとこの様なぶっ飛んだローテを提案してきた

 

「途中で逃げ出さないこと、こちらがストップをかけたら止めること……わかりましたね!」

 

「はい! 僕頑張るよ!」

 

「よし! よろしい!」

 

 ロンメルはこれを承諾

 

 ちなみにだが、夏は更に酷いことになることをロンメルは知らない(恐怖の毎週出走2ヵ月で8レース)

 

 この為ナックル専用コーチとしてカチューシャが付けられることとなる

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