ロンメルの本気   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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そろそろ畳みに向かいます


狂気

 波紋の呼吸やチャクラ……異能とも呼べる新技術の発見にロンメルは目を輝かせていた

 

 1月にはペガサスワールドカップ、2月にはサウジカップ、3月にはドバイと出るレースが山積みであり、時間があまりない

 

 ペガサスワールドカップに関しては出走権利を譲って貰うのにボラれて3億近く支払うことになったりと順調とは程遠いが……とりあえず波紋やチャクラ、呼吸、念……全て言えるのが体内で何か行われていると言うことだ

 

 で、色々実験してみた結果この様な事がわかった

 

 波紋……強い生命力を産み出す

 

 それこそガイアスカーレットが肺や喉を痛めたが、呼吸を正すことで直ぐに治癒するほど

 

 波紋のエネルギーを足の折れた老いた鶏を用意してぶつけてみたところたちまち骨折が治り、若々しくなった

 

「全集中の呼吸の派生に見えて別物。呼吸は確かに自然治癒能力を上げることはできてもこんな短時間に生き物を再生させることは不可能」

 

 試しにロンメルにぶつけたところロンメルの中に潜む鬼舞辻無慘が滅茶苦茶苦しんでいたので、スカイプラザとガイアスカーレットに全力で体に流して貰ったら凄まじい断末魔をあげながら消えていった

 

「これを使えば私以外も超回復の連続治癒によるウマ娘の肉体の限界を超えたトレーニングが可能でしょう」

 

 覚醒方法が謎であるが2人とも一族的にはサンデーサイレンスではなくアグネスタキオンの……遡ればイコマエイカンから広がった血族であり、サンデーサイレンスの血など血液検査をしても入ってないのが実際のところである

 

 じゃあなぜ血縁でもないサンデーサイレンスの名前が極限状態の時に出てきたか

 

 それはやっぱりウマソウルによるものだとロンメルは考える

 

 馬という生物を見てきており、1つ前の世界で競馬についても理解しているロンメルは馬の寿命がだいたい25歳……長くても40に満たないということを知っているしサンデーサイレンスの血が爆発的な広がりを見せていたことも知っている

 

 異世界だからと片付けて良いものではない

 

 となるとウマ娘では縁が無くてもウマソウルで繋がっている可能性が捨てきれない

 

 となると……だ、サンデーサイレンスももしかしたら異世界転移者の可能性も出てくる

 

「なんとか技術として確立した方が良いのだが」

 

 血縁による覚醒か、それとも技術として落とし込めるのか……まだまだ未知数であり要研究である

 

 チャクラ……こちらはロンメルはマンノウォーから聞いていたのでわかりやすい

 

 身体エネルギーと精神エネルギーを繋ぎ混ぜ合わせれはできると言われていた

 

 極限状態で精神エネルギーであるウマソウルと身体エネルギーである全集中の呼吸によって産み出されるエネルギーが上手く合致した結果チャクラを纏う事ができたと推察する

 

 鍵はウマソウルの活性化

 

 そして1度コツを掴めば自然とできるのが特徴でもある

 

 マンノウォーから聞いていた修行方である木登りを試しにベストエンジェルとマスターハリアーにさせてみた

 

 全身に薄くチャクラを纏い、木との接点を繋ぐイメージ

 

 と説明し、下にマットをひいて試してみる

 

 するとベストエンジェルが木を垂直に5歩も歩くことに成功した

 

「「「おおー!」」」

 

 見ていた皆が歓声をあげる

 

「スカイプラザも試しにやってみて欲しい」

 

「うち波紋だけど?」

 

「波紋は未知数だから修行方法も模索しないといけないから、チャクラの修行方法と似ているなら多少効率が悪くても能力向上にはなるから」

 

 ということで木を垂直歩きに挑戦させると

 

 歩いた所から若葉が芽吹き、木がみるみる元気になるではないか

 

「ヤバ」

 

「えぇ……」

 

 波紋でも木を垂直に歩く事は可能、しかも生命力を分け与えると凄まじい事がわかった

 

「ふむ……まず全集中の呼吸を覚え肉体を作り、そのトレーニングの過程で強靭な精神も作る。領域に入ることでウマソウルを活性化させ、神域に入る限界点を超えた時に余裕が有ればチャクラに、才能が有れば波紋に……どちら無ければレース能力の喪失、肉体ができていなければ死でしょうかね」

 

 その言葉に有馬記念組は顔をしかめる

 

 メルトダウンが事実犠牲になっているからだ

 

 領域と神域の狭間での出来事を覚えているが故に

 

「ねぇロンメルトレーナー、あの時もしかしたら私も死んでいた可能性が有ったってことよね」

 

「正直に言いますと無いです。メルトダウンの異常は天皇賞(春)から気がついていましたし、あと数回レースに出れば壊れるとわかっていましたから」

 

「何で教えなかったの」

 

「教えて止まりますか? 相手は一流のウマ娘ですよ? まぁ正直に言うと死ぬとは思っていませんでした。精神世界で語りかけましたが、彼女は最後まで走ることを選んだ。悔いは無いでしょう」

 

 今までの話を聞いていた幸子トレーナーが反応する

 

「それほどまでに危険なのですか神域とは」

 

「あなたの姉がサイレンススズカに求めて起きた悲劇と同じですよ……今回の有馬記念も惨劇の有馬呼ばわりされていますが……」

 

「それならば止めるのがトレーナーでしょ!」

 

「なぜ?」

 

「なぜって……」

 

「命はいつか終わるものです。それが人類の進歩に使われたのだからメルトダウンの死は無駄ではない。死は繋がれなければならない。サイレンススズカの死がステイゴールドやアグネスタキオンが繋いだ様に……メルトダウンの死を無駄にしてはいけないから、私は研究を続けるのですよ」

 

「私には精神世界だのなんだのはわからない。私は選手ではないから……だが止めるべきだった。あなたは止めなければならなかった。決して背中を押してはいけなかった」

 

「で? だからなんでしょうか? 私はトレーナーだ。チームのメンバーの質の向上をしなければならない。チームの誰かが死ぬことは許容できない……が、私はルドルフの様な全てのウマ娘の幸福を願っているロマンチストではないのだよ」

 

「私は探求を続けなければならないのです。最強になるために……」

 

「狂ってる」

 

「狂ってないと凡人に最強は目指せない」

 

 

 

 

 

 

 

 地下研究室

 

 そこには新たな生命が作られていた

 

「私はねぇ使える者であれば自分の子供だろうと使います。もう戦国時代の私は居ない。子の死を悲しみだけで終わらせる私は嫌なのですよ」

 

 ロンメルは戦国時代に飛ばされた時に息子を戦乱で亡くしていた

 

 あの時は悲しむことしかできなかった

 

 死を有効に活用することができなかった

 

 死という一番身近な概念

 

 死を理解した時ウマ娘は1段階上の世界にいける

 

「死を乗り越えたあなたの本体は見事でした。クローンのあなたにメルトダウンの知識を移すことはできませんが……才能の塊であり、遺伝子操作までしたあなたはどこまで強くなるのでしょうねぇ……あぁ、あなたと戦えないのが悲しいですよ」

 

 円柱の機械にはうずくまったウマ娘がプカプカと浮かんでいた

 

 それはメルトダウンに瓜二つであった

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