ロンメルの本気   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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血塗られたダービー

 ペガサスワールドカップ……アメリカ最高額のG1として開催され、サウジカップの開催で総額300万ドルまで低下したが、枠の購入権の復活(20万ドル→50万ドル→100万とどんどん元に戻す)

 

 これにより枠の持ち主は毎年100万ドルを支払わねばならないが、出走権利を持ち続けることができる

 

 そして枠の持ち主は貸し出す、売買することが許されている

 

 ロンメルは枠をぼったくられて3億円でなんとか購入し、日本ウマ娘初の挑戦が行われた

 

 アメリカ人達は楽観していた

 

 サウジやドバイとは違いアメリカは世界最大のウマ娘の人口を誇るウマ娘大国であり、ダートのレベルは世界最高だと

 

 ホームのアメリカには敵わないだろうと

 

 ロンメルの体と体重を見て失笑した

 

 [おいおい、日本のウマ娘はボディビルダーを出してきたぞ]

 

 それはただの傲慢でしかないと直ぐにわからされた

 

 虐殺であった

 

 7秒……35バ身差という圧倒的な実力によりアメリカの強豪ウマ娘を粉砕

 

 

 

 

 

 

 

 現地の新聞やニュースでも大々的に報道される

 

『ジャパニーズモンスターロンメル』

 

『現役トレーナーロンメル、選手としても一流』

 

『我々は感動ではなく恐怖を覚えた……日本のモンスターに』

 

 出される見出しは恐怖、怪物、モンスター、ゴジラ……かつてアメリカダート三冠に挑戦した日本のウマ……ラニが健闘した時もゴジラと呼んで怪獣扱いされたが、その比ではない

 

 人々は言うセクレタリアトの再来だと

 

 まさしく砂の将軍だと

 

 勝負服もローマをイメージしていたためにイタリアの救援にアフリカに渡ったロンメル将軍のイメージがそのままロンメルにもつけられたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 サウジカップデー……これもロンメル達が蹂躙した

 

 ネオムターフカップ マスターハリアー

 

 1351ターフスプリント タカタノソラ

 

 レッドシーターフハンデキャップ ベストエンジェル

 

 サウジカップ ロンメル

 

 全員が大差という学生連合黄金期と呼ばれる圧巻のパフォーマンスを披露した

 

 国内でも川崎記念をコンヒュイルが

 

 フェブラリーステークスをスカイプラザがそれぞれ制し、ダート黄金期を象徴する

 

 

 

 

 

 

 

 そして激突するドバイワールドカップ

 

 

 

 ロンメル、スカイプラザ、コンヒュイル3名での激突

 

 神域到達者3名、他のメンバーが敵うはずもなく、3名だけが他を突き放す展開

 

 ロンメルの覇気とスカイプラザの波紋エネルギー、これにコンヒュイルが共鳴反応を起こす

 

 凄まじい生命エネルギーを間近で浴び続けたコンヒュイルは目が血走り、リミッターを外した

 

 

 

 

 

 

「ロンメルガッツポーズ! チャンピオンズカップから連勝を5と伸ばしますロンメル! 前年度の王者も韓国の英雄も抑えてダートG1……4ヵ国制覇!」

 

 無敵モードに突入したロンメルをスカイプラザもコンヒュイルも止められない

 

 同日に行われたアルクォズスプリントをタカタノソラ、ドバイターフをマスターハリアー、ドバイシーマクラシックをベストエンジェルが完勝

 

 国内でも高松宮記念をユランが、大阪杯をヤクルトガッツが制覇

 

 誰も学生連合を止められない

 

 

 

 卒業式ではミッションタイマー先輩、コアランタン先輩、カラスマーチ先輩、ファッションカラー先輩が卒業

 

 中等部組だったサクセスとフェンリルがチームとしては引退しているが高等部に進学

 

 サクセスはチームに勉強しに遊びに来るが、フェンリルは出産が近くなり実家にて通信教育を受けているらしい

 

 そして新入生にロンメルが手塩をかけて育てていた4名が入学する

 

 スリームーン、サンライズ、アンラッキー、スノーアイランド

 

 昨年の引退者は7名であったが、今年はこの4名と3名のサポート科と契約を結んだ

 

 4名は既にG1クラスであり全員が推薦入学、全員が即日試験を受けてロンメルの定める採点を余裕で合格した

 

「神! 7月から我々は動きます! よろしいですね!」

 

「ああ、スリームーンすまないね。今年は私にとって勝負の年だからあまり見れなくて」

 

「いえ! 任せてください!」

 

 狂信者スリームーンとそれをやや引いた目で見る3名

 

 トレーナーとなり接触が限られていたため久しぶりにロンメルに会ってスリームーンは感極まって泣くということもあった

 

 桜花賞はペンタゴンとジークアイスが激突し、ジークアイスが、皐月賞はノーザンインパクトとラインハルトが激突し、ラインハルトが勝利を納めた

 

 そしてナックルが羽田盃を制覇と春クラシックを完璧にスタートダッシュを決める

 

 ファン大感謝も盛大に盛り上がりの中終わり、香港チャンピオンズデーもユラン、マスターハリアー、ベストエンジェルが各階級を制覇し、ロンメルは天皇賞(春)に出走、これを完勝する

 

 1強状態ここに極まり

 

 更に新入生も推薦者を全員取るということでドラフト制度導入論が爆発

 

 あまり乗り気でなかったディープインパクトも血判状が届くと身の危険を感じてか一気に進み、来年度からドラフト制度実験的に導入されることとなる

 

 

 

 

 

 

 

 

「少々厄介な事が起きましたね」

 

 かしわ記念をコンヒュイルが、NHKマイルはペンタゴンが、オークスをジークアイスが各々勝ち(ヴィクトリアマイルはガイアスカーレットが勝った)

 

 学生連合の完全に独走状態となったが……それはダービーで起こった

 

 青葉賞を勝ち上がったヴィザというウマ娘がラインハルトとノーザンインパクト達と激突した

 

 勝ったのはヴィザ

 

 青葉賞からダービーを取るウマ娘は今の今まで現れて居らず、三冠確実とされたラインハルトにとって大きな失策だったがそれは問題ではない

 

 レース中ヴィザは全身に痣が浮き上がり、勝利ウマ娘インタビュー中に血を吐き出す

 

 それが止まらずにうずくまったと思うと目や鼻、耳から血液が吹き出して絶命

 

 ドーピング検査が直ぐに行われたが出てこずにヴィザのトレーナーに話を聞いたところ特殊な呼吸技術をヴィザが学生連合から盗んでいた事が発覚

 

 そしてロンメルはURAの審問会に召集されることとなる

 

「ではロンメルトレーナー、特殊な呼吸というのに心当たりは?」

 

「あります。全集中の呼吸と言います」

 

「その呼吸は人体に害を与えるのですか?」

 

「そうですねえ……扱い方を間違えればそうなるでしょう。独学でやれば体が持ちませんから」

 

「すまない、当事者が亡くなってしまっているのでロンメルトレーナーに聞くしかないのだが……そんなポコポコ死人が出るような物なのか?」

 

「いいえ。普通ならそんな事にはなりません。そしてこの呼吸は習得するのに個人差がありますが数日から数週間トレーニングして初めて身に付けられます。独学ではまずは習得不可能なのです」

 

「ではロンメルトレーナーはどこでそれを?」

 

「言わなければいけませんか?」

 

「言いたくないのはわかるが死人が出てる以上こちらも原因解明を行わなければならない」

 

「……異世界ですよ。私は異世界に転移することができます」

 

 ロンメルが語る内容に審問官達はしっかり聞いていく

 

「なるほど異世界が有ることはわかった。そこで覚えた技術があることもわかった。そして呼吸もしっかり教える者が居れば安全な技術であることもわかった。隠していたのも今回のような事故が起きないための配慮であることも……ロンメルトレーナー……申し訳ないが、トレーナーを辞めてほしい」

 

「なぜです?」

 

「呼吸という技術はウマ娘の技術を数段上にあげられる。故にロンメルトレーナーは技術監督になってもらいその技術の波及に専念して欲しい。正直に言うと選手も引退して欲しいが」

 

「両方ともお断りしたいのですが」

 

「残念ながらそれはできない。ヴィザの様な者が学園にもしかしたら居るかも知れない、この特殊な呼吸を禁止することもできない。ならば広めるしかない。こちらとしてはやりたくないが今回ダービーという世間の関心が高いレースなのも災いした……単刀直入に言おう。今後のウマ娘の為に人柱となってくれ」

 

「あなたにそんな権限が? コントレイル審問官」

 

「結構僕も権力が有ったりするんだよね。トレーナーライセンスの強制更新停止も可能だが……自主返納してもらいたい」

 

「……少し考えても」

 

「ダメだ今決めてもらう」

 

「……はぁ私はね、自己中なのですよ。他人に優しくしているのも、権力闘争もどきをしているのも、トレーナーをしているのも……巡りめぐって自分の利益となるから……全ウマ娘の幸福? 心底どうでも良い……どうでも良いがもうどうしようもないんだろ? 上もメルトダウンという一流のウマ娘にヴィザというダービーウマ娘も亡くなったから……このままではウマ娘ブームも終わりかねない」

 

「……わかった。わかりましたよ。私は学生連合を降りる。ただ引き継ぎ等も有るから来年解任にしてください」

 

「すまないな」

 

「謝らないでください……はぁ儘ならないなぁ」

 

 血塗られたダービー

 

 ロンメルは上からの命令により機密技術の開示を行わされることとなる

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