西暦2064年12月20日 土曜日 午前11時25分
─大日本皇国 静岡県 国防陸軍伊豆駐屯地隊舎─
軍人がいる隊舎での態度とは思えない程に、腑抜けた雰囲気を出す第62歩兵旅団第一中隊長・虎島柳治は、あと30分もすれば正午になる時にベットから目を覚ました。
窓から外を見れば、駐屯地内をランニングする奴や、部隊での訓練をする者もいる。
そんな時…
ブゥゥゥン ブゥゥゥン
柳治のスマホが鳴る
柳治「なんだ?
柳治の部下である
柳治『どうした?俺今日休暇だって伝えたよな?』
晋二『中隊長!!テレビつけてください!!』
柳治『は?急になんだよ。切るぞ…』
晋二との通話を切ろうとすると…
晋二『国防出動案件*1です!!』
柳治『は?なんでそんなの出るんだよ。戦争なんて始まったわけでもあるまいし』
ピ!
テレビをつけると晋二の言っている意味が柳治にも理解できた。
アナウンサー「…繰り返しお伝えします!!中国にて、感染型生物兵器が脱走し、人民解放軍と大規模戦闘を繰り広げております!!」
そう、アナウンサーが話すと、≪中国・重慶市≫というテロップと共に人民解放軍の主力戦車44式戦車2両が重慶市の道路を猛スピードで走っていく姿が写る
柳治「なんなんだよ…何がどうなって…」
晋二『それが現在の情勢です。現在、国連では安全保障理事会で中国への条約違反による批判声明の議決とその生物兵器の処理についての議決が行われています。政府は今日にも史上2度目の国防出動を発令。中国に地理的に近いからか、港も全て封鎖。海軍は、本土の方面艦隊は全艦出撃。北米や南方方面艦隊も最低限の基地保全以外の艦隊を本土に帰還させているようです。我々陸軍も海岸に面している都道府県の駐屯地全てはは、最上位の特別警戒体勢に移行される事になったそうです。隣に旅団長がおりますので変わります』
柳治『は?旅団長?!』
旅団長『聞いての通りだ怠け者。お前の休暇は無期限延長、さっさと隊舎を出て中隊を率いろ!!』
柳治『はっ!!!』
ピ!
柳治は通話を切り…
最初の第1声は
柳治「嘘やん…」
柳治は支度を整えて隊舎を後にした。
同駐屯地 部隊作戦会議室 午後13時22分
会議室には伊豆駐屯地に所属する部隊の指揮官が集まっていた。
駐屯地司令「状況は?」
参謀1「国外状況を説明しますと、まずフィリピンとインドネシアの各島々の沿岸防衛を皇国軍8個師団の南方方面軍を含めた東亜軍26個師団が、パラオ司令部指揮下で配置されました。オーストラリアの
参謀2「大陸のビルマ・ベトナム・タイ・マレーシアは、≪大陸東亜連合軍≫を南方方面昭南総司令部指揮下で編制し、人民軍でも抑えられなかった場合の防衛体勢を整えています。」
第62歩兵旅団長「国内の状況は、司令が知っての通り、ここと同様の特別警戒体勢になっており、本土は総勢63万人によって防衛されております。」
駐屯地司令「人民軍の敗北に成らなければ、この体制も終わるのだがな…不安がよぎる。現に中国は国連軍の介入を拒否して、人民解放軍だけで抑え込もうとしているからな…」
旅団長「そうですね…その時は」
ガチャ!!
会議室の扉が勢い良く開く。
通信員「司令!!!!大変です!!!!」
駐屯地司令「何事だ!?」
通信員「今入った情報です!人民軍が主戦場である重慶市から撤退!戦略的敗北を喫した人民軍は、戦術核兵器を住民の避難完了を待たず投下しました!」
駐屯地司令「嘘だろ…被害はどうなっている?」
通信員「文字通り壊滅です…重慶市全体は放射能によって完全に汚染され、最低限足止めしていたであろう人民軍共々…生存者は…」
参謀1「重慶市の人口は約3250万人、避難完了を待たずして投下したとなると…被害は想像もつかないです…」
駐屯地司令「一瞬にして世界でも上位の大都市が壊滅…これだから核兵器は…」
参謀2「もうソンビと呼びますが、奴らがもし南下してきたら、大陸の東亜軍と接触することになります…」
駐屯地司令「クソ!!!中国の野郎!!!!!!自分達が作った物の管理もできないのか!!」
同駐屯地所属第62歩兵旅団 午後15時00分
3時ちょうどになったころ、旅団長の命令で全員が集まり、部隊の今後の方針を聞いていた。
旅団長「現在、我が国はこの特別警戒体制を敷く原因となった中国と地理的に近いがため空港及び港をすべて閉鎖し、実質210年振りの鎖国体制になっている!そしてつい先程、司令に参謀本部から我々のご指名があったそうだ。詳しくは聞かされてないが、目的地は富士演習場だ。30分後に出発をする各員準備せよ!」
柳治「俺の休暇…」
旅団長「虎島柳治中尉!!この後私の所に来てくれ、重要な話がある!」
柳治「ハッ!!!!」
柳治「旅団長…俺に話って何ですか?まさか…休暇延期を取り消してくれるのですか!?!?!」
旅団長「んな訳あるか阿保。お前に話があるのは、これまた参謀本部の司令長官閣下からのご指名だよ。お前は在朝日本軍基地に中隊と共に赴いてもらう。詳細はあまり知らされていないが、機甲科の角松少尉指揮の機甲小隊も付随して朝鮮に渡るようだ。大陸はデモや暴徒化した市民による破壊行動で治安維持なんて出来ていないそうだ。精々気を付けていけよ。」
柳治「嘘だろ…何で大陸になんていかないといけないんだ…」
旅団長「角松と一緒に考えてろ。お前さんと角松率いる部隊は我々と違い明日出発するそうだ準備万端にしとけ」
柳治「りょ~かいしました…」
柳治(ど~してこ~なった~~!!!!!!!!!!!!)
隊舎にて・・・
柳治「角松~!!!!!」
古川翔吾「うるさっ!!て虎島中隊長ですか…角松小隊長なら…あれ?どこ行ったんだっけ?まあいいや…」
柳治が探していた角松はおらず、角松の部下である古川翔吾准尉が趣味であるゲームをしていた。
柳治「いやよくねぇんだよ古川!!角松大樹少尉を早く呼べ!!!」
翔吾「はいはい…」
ゲームを中断し、携帯を出す翔吾。
翔吾「あ~小隊長。なんか虎島中隊長が呼んでますぜ、早く来ないと俺がボコボコにされかねないので来てください。」
数分後~
角松大樹「聞きましたよ虎さん。朝鮮民国に行くらしいですね、頑張ってくださいな。」
柳治「呑気な事言っているが、お前もいくことになったぞ。まあご愁傷様、今年のクリスマスは大陸でだ。」
大樹「うせやろ…………………虎さん」
柳治「ん?どうした?」
大樹「行き先は朝鮮ですよね」
柳治「そうだが?」
大樹「俺…着いたらすぐに国境の朝鮮軍と一緒に北京まで行って諸悪の根源である書記長だか主席だか知らんが血祭りにあげてやる!!!!!」
柳治「お、おぅ…明後日には出発だ。準備しておけよ」
終焉の道を歩み始めて少し経った未来
大亜細亜共栄連合加盟国・ベトナム共和国首都ハノイ・ソンホン川
ベトナム兵「榴弾装填!!同一諸元、効力射!!!!」
「弾幕を止めるな!!この川を渡らせるな!!!」
「こちら第155歩兵連隊!!近接航空支援を要請する!!座標は…」
「偵察ドローンより報告!!変異種を含んだ大群が推定10万接近中!!」
「川が赤い…ここはもう
大亜細亜共栄連合加盟国・朝鮮民国首都京城・漢江沿岸要塞
朝鮮兵「走れ!!!こっちだ!!早く来い!!」
「橋の一斉爆破はいつだ?!早くしないと大群で来るぞ!!」
「もう少し待ってくれ!!まだ主力の第7戦車連隊が渡りきれてない!!」
「急げ!急げ!急いでくれ!!!!!」
「あぁ…見えた!こちら第12偵察班!!100号線を南下する大群を確認!!!!最低でも12万!!迎撃の用意を!!!」
モスクワ合意加盟国・中華人民共和国都市杭州・杭州絶対防衛圏要塞
─応答無し…─
─杭州市は核の炎に包まれた─
次回 第2話 揺らぐ安全保障理事会