オリキャラギャグTS物語   作:ナナシ

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宵崎奏の幼馴染TS@奏視点

 ――わたし、宵崎奏には一人幼馴染と呼べる異性の友人がいた。

 ……いた、のだ。確かにわたしと共に時間を過ごした幼馴染が、かつて。

 

 どうしてこんなことになったのかと、思わず現実から目を背けて天を仰ぐ。そんなことをしても現実は変わってはくれないとわかっているのに。

 事の始まりは、数時間前に遡る――――

 

 

 


 

 

 

 わたしの幼馴染である"暮羽(くれは) (ひじり)"は、機械いじりが趣味の一つ下の男の子だ。学校こそ神山高校のような有名どころではないものの、工業科の高校へと通って機械への知識を深めているようだった。

 専行する程度には好きなその分野から時折彼はわたしの使っている機械類のメンテナンスを請け負ってくれていたのだが、悲劇が起きたのはそのメンテナンスをお願いしているその時だった。

 

 普段彼はわたしたちが作った音楽をスピーカーから垂れ流しながら作業を行うことが多かった。多少の音があった方が集中できると言っていたのもあってわたしもそこに関しては自由にさせていた。

 だからこそその不幸が起こったのかもしれない。彼が再生しようとしたのはこれまで彼が聞いたことのない『悔やむと書いてミライ』であり、それはまふゆのセカイである"誰もいないセカイ"への入り口だった。

 

「う、お……!?」

 

 わたしからの静止も届かず、彼はそんな驚いた声を上げて光に呑まれた。わたしの時もこうなのかな、なんて場違いな感想を抱きながらもどうにか光が収まったところで見慣れた彼の姿を探した。

 ……見慣れていた彼は、見つからなかった。代わりに見つかったのは――

 

「か、奏姉(かなでねえ)……これ何って俺の声たっか!?」

 

 光のことごとくを反射する真っ白な髪と真っ白な肌、そして宝石のようにキラキラと光る真っ赤な瞳をした少女――あるいは幼女と呼ぶべきかもしれない――だった。

 その現実を目の前にして、わたしが天を見上げたことで話は始点へと帰結する。

 

「奏姉! 現実から目をそらさないでよ!」

 

 幼さの残る声で名前を呼ばれて視線を天井から目の前にいる子へと戻す。……完全無欠に幼い少女だ。

 そんな子があまり背の高い方ではないはずのわたしの目を奪おうとぴょんぴょんと手を伸ばして跳ねている。なるほど可愛い。しかし床には(わたしが)書いてそのままにしていた五線譜の描かれた紙が散らばっている。

 紙の上で跳ねたその子はわたしの予想を覆すことはなく、ふと足を滑らせてしまう。驚いたような声を聞きながら、思わずわたしの体が反応して少女の体を支えることで床との接触を回避する。

 

「ようやく現実に帰って来たんだね、奏姉」

 

「……聖、可愛くなったね」

 

「俺にはどうなってるのか見えねぇんだけどな?」

 

 自分が転びそうになったという状況でわたしに支えられたからか、少し頬を赤く染めながら少女――状況証拠的に聖――がジトリとわたしに半目を向ける。そんな様子でも可愛いことに変わりはなく、思わず考えたことがそのまま出力されてしまった。

 わたしの言葉を受けて聖はより一層その顔に怒りを浮かばせてわたしに向けて怒りの丈を見せつける。……まるで怖くない。むしろ凄く可愛い。

 とはいえいつまでも抱えたままでいるわけにもいかず、ベッドの上へと聖を下ろす。さらりと真っ白な髪がわたしの手をすり抜けていく感触が心地よかった。

 

「聖、ちょっと手鏡買ってくるから待ってて」

 

「奏姉が、カップラーメンとCD、オフ会以外の目的で外に……!?」

 

 驚いた様子の聖を置いて、わたしは未だに太陽が明るく照らす外の世界へと向けて歩き出す。こんなにも使命感に駆られたのはいつ以来だっただろうかと考えようとして、止める。今はそんなことを気にしている場合ではないのだ。

 

 

 


 

 

 

 買ってきた手鏡を片手に玄関を潜ったわたしへの出迎えはなかった。なにかが飛び跳ねるような音が脱衣所へと続く扉の先から聞こえている。

 そっと扉に手をかけて隙間を開けて中を覗き見る。そこでは聖が洗面台のフチを掴みながら精一杯跳んで自分の姿を鏡で確認しようとしていた。とりあえず録画モードにしたスマホのカメラを開けた扉の隙間に向けた。

 

 何分かそうしていたところで聖の体力が尽きたのか、床へと座り込んでしまう。その様子までしっかりと撮影できていることを確認してからわたしは改めて扉を開く。

 バッと髪を振りまきながらこちらを見た聖の顔には確かな羞恥が浮かんでいた。すごく可愛い。

 

「手鏡、買ってきたよ」

 

「……ありがと」

 

 恥ずかしさが強いのか、ぶっきらぼうに短く一言だけ返して聖は私の買って来た手鏡を奪い覗き込む。可愛らしいその顔が驚愕へと変わっていく様は中々面白いものだった。

 それから変化の連続で思わず深淵を除いたような顔(うちゅうねこ)になってしまった聖を抱えて私は部屋に戻り、膝に聖を乗せて作業を再開した。可愛くて髪の撫で心地がいいので中々良い感じだった。今後もこうしたいと、思わず思ってしまう程度には。

 

 作業はとてもはかどった、とだけ記録しておく。






Q&A
・なんでTSさせたの?
――ハーメルンだからさ。

・TSした原理は?
――ギャグ時空にそんなものを求められても困る。
――多分まふゆさん的に「知らない男の人」であり、それがセカイという場所に入ろうとすることに対してカウンターとして「か弱い女の子」にしたんじゃないかな。

・アルビノ?
――アルビノ。ちゃんと太陽に弱い。

・髪型は?
――ロング。

・続く?
――気分次第。とりあえず朝比奈まふゆ版と天馬司版は書きたいかも。
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