オリキャラギャグTS物語   作:ナナシ

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宵崎奏の幼馴染TS2@奏視点

 わたし、宵崎奏の幼馴染がその性別を何故か変更する事態になってから数日。彼……彼女? の両親は電話越し連絡したところに"アラ最近だとそんなこともあるのね~"なんて笑って受け入れられ、当人にもついに諦めが見え始めた頃だった。

 ちなみに諦めるまでの間はずっと自室に引きこもっていたようだ。カーテンまで閉め切ってたんだけどご飯だけは食べてくれた、と彼女の両親が教えてくれた。ちなみに一緒に置いておいた某女児向けニチアサアニメの服は着てくれなかったらしい。

 つい話がそれてしまったものの、聖はメンテナンスの予定日ではなかったはずの今日もわたしの家にやってきていた。大きな日傘に隠れるその様はとても可愛らしいものでした。

 

「えっと、それで……今日はどうしたの?」

 

「家にいると延々とプ〇キュアを勧められるから逃げてきた。なんなら泊めて欲しい」

 

「いいけど……着替えは?」

 

 わたしからの問いに対する返答は確かな沈黙であり、そしてそれは明確な答えだった。今の聖はどこに出しても問題ないくらいには可愛いが、しかしその服を着続けることはいただけない。であれば取りに行く必要があるのだが、先ほどからマナーモードの携帯のようにガタガタと震えているところを見るとそれも厳しそうだった。

 ……わたしの服も入らなさそうだし、取りに行けないのであれば買いに行く必要があるかもしれない。とはいえその手のセンスだとかはわたしにはない。さてどうしようかと思ったところでオシャレに詳しいであろう相手の顔がふと浮かんだ。先に連絡だけ入れておいて、ショッピングモールで合流するのがいいかもしれない。

 

「……買いに行こうか」

 

「お金は渡すよ、奏姉……」

 

 スッと聖のものと思わしき財布からお金がいくらか顔を覗かせる。さすがにと思って断ろうとするもののそんな雰囲気を察知したかのように絶望へと染まっていく目を見て受け取る。……今はともかく元々は男だったから、何かそういうこだわりがあるのかもしれない。

 メッセージをナイトコードに残して、玄関から外へと向かう。聖は自分の広げた日傘とわたしを交互に見てから、日傘を持っている手を差し出してくる。

 

「……奏姉、あんまり明るいの得意じゃないでしょ」

 

 どういうことかと首をかしげて聖を見ていれば、そんな言葉が返ってきた。とても可愛かったのでとりあえず抱きしめた。

 右手に傘、左手に聖の手を握って改めてショッピングモールへと向かう。これまで外に出たことはそれなりにあったけれど、日陰を探したりしなくていいのは少し楽だった。

 

「さて、と……。ショッピングモールには着いたけど、どうしようか」

 

「俺も知らない……」

 

 それなりに歩いて到着したショッピングモールの中で二人して立ち尽くす。今の時間はお昼というには早いものの、かといって服を見に行くのだとしたら快い返事をくれたみんなを待ちたい。

 館内マップを眺めるものの、ちょうど良い感じに時間をつぶせそうな場所はなさそうだった。とりあえずどこかに座ってみんなを待とうとしたところでわたしのジャージの袖が引っ張られる。

 

「聖、どうしたの?」

 

「奏姉が良ければだけど……。あそこのクレープ、食べてみたい」

 

 聖の小さな手が指し示す先には確かに先ほどから甘い香りを漂わせるクレープを売っているらしいお店が一つ。その周辺にはそれなりの数の人がクレープを食べている。

 ……あまり聖と外に出ないから忘れていたけど、そういえば結構好奇心が強かった気がする。周りが食べていたり見ていたりするものに子供のころはよく興味を持っていたと思う。そんなことすら忘れるくらいにはわたしは外に出ることもなく、交流も弱まっていたんだなと自覚する。

 

「あ、奏姉って強い匂いが苦手だったっけ。なら俺一人で買ってくるけど……、奏姉?」

 

「……うん、ごめんね。そこで座って待ってるね」

 

 わたしの顔を覗き込んでいた聖が離れていく。とててと行列に並びに行く様は可愛らしいものだったが、今ばかりはそれを素直に受け入れられはしなかった。

 少しの間座っていると、聞きなれた声で名前を呼ばれる。声のした方を見ていればそこには絵名と瑞希が立って手を振っていた。

 わたしが気づいたことに気づいたらしい二人が駆け寄ってくる。……今は切り替えようと暗い考えに蓋をして努めて普段通りを心がけることにする。

 

「しかし奏から服を買いたいから付き合ってくれって言われるなんてびっくりだよねー」

 

「そうね。せっかくこうして奏からお願いされたんだし、色々見て回りましょ」

 

 "それじゃあレッツゴー"、とわたしの手を引いて歩き出そうとする瑞希に待ったをかける。二人して驚いた様子だったが、そこに向かった時と同じように小走りで聖が戻ってきた。

 ふわふわとした、どことなく幸せそうな雰囲気を纏っていた聖だったが、わたしの手を握る瑞希を見て途端にその雰囲気が成りを潜める。スッと細められた目は瑞希を見続けていた。

 

「ちょっと瑞希、アンタこの子に何かしたの?」

 

「初対面だよ!? それで、お嬢さん。ボクが、なにか……?」

 

「……奏姉を、離して」

 

 急に子供に睨まれたことにどこか困惑した様子の二人を前に、聖はキッと瞳に更に力を込めて己を押し通す。まるでわたしを守ろうとするその言葉は格好いいのだが、いかんせん握っているクレープとその体格ががどこまでも場違いで、どこかシュールさを感じずには居られなかった。

 それはともかくとして、わたしを奏姉と呼んだことで瑞希と絵名視点ではわたしの知り合いであるということが判明する。二人ともわたしの友達であるという主張をそれぞれに行っていた。二人の言葉を聞いて吟味したうえで聖が静かに口を開く。

 

「――奏姉に、手を引いてくれる友達が……!?」

 

「聖、わたしが時々行ってるオフ会のことなんだと思ってたの?」

 

「作曲してる人、奏姉しか知らないからみんな同じタイプの集まりだと思ってた」

 

 世紀の大発見(カルチャーショック)、という様子の聖にいたたまれないような思いをしながらも二人を紹介する。

 それぞれ自己紹介を終えた後で聖がそれぞれに一口クレープをくれたのだが、わたしたちの口の高さに届かせようと背伸びをする様子はとても癒されるものだった。

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