戦争が急に終わったせいで無職になった元兵士の女の子が路頭に迷ってしまった話 作:エルカス
投資家「(無言の身投げ)」
中小国「あっ、おい待てぃ(江戸っ子)」
経済「ほらぁもっと出しなさいよ、全然足りないよ~」
中小国「ウッ!(国↑庫↓枯渇)」
大国「こわいなー
大胆な不況対策は大国の特権、はっきり分かんだね
『悪夢のような日々、巷ではブラックウィークと呼ばれた五日間が過ぎましたがその影響は計り知れません。
街道には企業の倒産と人事整理で職を失った市民たちが集団を成しています。』
『この一週間だけでも倒産した企業は1000を超え、推定で100万人の失業者が発生しました。
閉場した証券取引所周りは資産家らのティッカーテープが散乱しています。
無邪気な子供が拾って遊んでますね。』
「もう一瞬でパーさ!家も職も全部なくなった!」
「偉い人の良く分からない金儲けが失敗しただけで何で俺達がこんな目に合わなけりゃいけないんだ!。」
「銀行さんって真面目な所だと思っていたんですけど、預けてた皆のお金を株売買に使って倒産って・・・許されると思うんですかね?」
「驚くなよ!先週は20リラで買えていたパン共が今は30リラだァ!ぼったくってんのか畜生!」
『この未曽有の経済危機にて政府の介入が状況打開に繋がると信じる人々は多いようですがアドリア議会は連日紛糾し乱闘にまで発展し一時は審議中止に至る程の混乱様相です』
『政府からの正式な発表はまだありませんがこの一週間の混乱で国内GDPは10%を超える下落率を記録するだろうとされています、企業にも国家にも一市民にとっても寒く貧相な時代が到来するのでしょうか?』
倒産を免れた企業もまもなく大赤字を記録し不採算部門の解体を始めた。
ブラックウィークの影響は企業や銀行だけではなく国家にも波及していた。
少なからず国家も株式相場に関与していた事もあり損害は大きく国有企業の行く末も暗く烈火の如く押し寄せる諸問題にがんじがらめにされていた。
国家はこの経済危機に対するカウンターを打ち出すまで多くの時間を必要とした。
「一週間お世話になりました。これ、ほんの気持ちですけど」
「そんな悪いよ、自分の為に使ってくれ。」
「悪くないですよ、ルードヴィッヒさん貯金も全部なくなって大変なのに私の事を想って泊めてくれました、私最初は何かやましい事があるんじゃないかって勘繰って疑ってたんです、だからこれはお詫びです。」
「君に疑われてもお釣りが来るぐらいに僕もそんなに清廉潔白じゃないんだ、・・・・だけど、ありがとう・・・・・カフカ君。向こうでも元気に」
「はい、ルードヴィッヒさんも仕事、見つかると良いですね。」
連日頑張って仕事を探したけれどついに見つけることは出来なかった。
それもそうだ、私より頭が良くてずっと働くことが上手な人たちでさえ仕事が見つからないのだ。
矮小な恥じを捨てて私は祖母に手紙を出して家に帰る事にした。
郵便局の人達は給料が支払われずに仕事をしない運動をしているから手紙が届いているか分からなかったけれど私は帰路に付いた。
「来たときは良い場所だったけど・・・・すっかり変わっちゃったなぁ」
街の輪郭が見える丘陵でここに来た時の光景を思い出す。
遠くからでも街の賑わいと煌びやかさを感じれたのに今はまるで人が全くいなくなってしまったのかと思うぐらいに閑散としていた。
三か月しか暮らさなかったけど嫌いではなかった街に別れを言って私はそこを後にした。
「アンタ、アンタさん!」
「はい、私ですか?」
「そうさ、随分と大荷物だね、その若さでまあ・・・・ああ、兵士かい?」
「はい」
「なら大丈夫だと思うけどね、何だか辛気臭い世の中になったから盗人もいるんだよ、気を付けな、昨日丸裸にされた奴が家に駆け込んできたからね」
「ご忠告ありがとうございます。貴女も気を付けて」
「ありがとさん、じゃあ良い旅を。」
郊外の放牧地帯に差し掛かった時に道の脇にいた人にわざわざ忠告された。
盗人が普通の人間なら自分の身に関してはあんまり心配はいけれど高確率で脱走兵の可能性が高い。
いや、今はもう戦争が終わったからそうは言わないだろうけど、とにかく用心して道を進むことにした。
「・・・・・まあ相手も人間だし私みたいな見た目小さい子なんて標的にしないか」
「おうおうおう!金目の物を置いていきな嬢ちゃん!。」
前言撤回、盗人は人でなしだった。
いや・・・・いやそうでもないかもしれない、背丈を見ればかなり小柄で寧ろ子供と言っても良い。
恐らく兵士くずれ、ああ兵士くずれ、脱走兵に代わる良い形容詞が見つかった、っとそんな事を考えている場合ではない。
「怪我するよ、君。」
「舐めんじゃねえ!俺は戦場では不死身と恐れられた大英雄だ!お前も見た所兵士だが俺をその気にさせればお前は明日には首なし死体で見つかってるだろうな、ハ!」
「・・・・・・大英雄、ね。」
最初こそ緊張はしていたけど段々とこのふざけた盗人に腹が立ってきた。
こんな事をしているから普通の人達に横暴で手の付けられない化け物と言われて端に避けられるんだと。
彼らの軽率な行動で兵士全体のイメージが悪くなり毎日を真面目に頑張っている子が割を食うのは最悪の侮辱行為だ。
私は荷物を降ろして拳を構える。
「ヤり合おうってか?」
「その目だし帽自分で作ったの?似合ってるね」
「おう!そうだ!」
「皮肉も分かんないか。あんた相当ガキでしょ?」
「な、何だと!お、俺は怒ったぞ!お前をボコボコにしてやる!」
「かかってこい、相手になってやる!」
闘志を震え上がらせ力強い一歩を踏み出し相手との距離を詰める。
こちらの気迫に撒けて相手は一歩後ろに後ずさる、だけどそれは誘引の罠、ナイフの加害範囲に引き付けるための誘い。
だけどここで踏み込むのを止めれば奇襲性が薄まる、ならばナイフのキルゾーンである持ち手内側を避け、外側からの攻撃を繰り出す。
「墜ちろ!」
「はやっ――――――!?ぐ、ぉおおお!!」
「バキィ!」
相手のキルゾーンに入る手前で側方に回り攻撃を繰り出す。
反応される前に不可避の領域に拳を放った、咄嗟に防御姿勢を取ったが、相手のナイフの持ち手の肩に重い一撃は入った。
これでナイフは思うように扱えないはず、距離を取るかナイフを持ち替えるかでこちらには攻撃をしてこな―――――――――――――
「い、痛ってぇええじゃねえか!!!ゴラァアアア!!!!」
「はっ!?ナイフ捨て――――――――ぐ、う゛!?」
「ボキッ!」
一瞬の迷いもなく、というか普通に相手はナイフを落として己の拳を私に叩きつけて来た。
追撃の構えをして防御の事は頭になかったせいで、振り幅は短いものの鋭い一撃が私の顔面に叩きこまれた。
兵士くずれと言えど並みのパンチのパワーではなく、4、5mは吹き飛ばされてしまう。
路側の泥濘に落ちたせいで折角の服が泥だけになる。
「ぐ、あ、っは゛・・・・・っぺ!」
「調子に乗んな女ァ!言っただろ、俺は寛大だから一発ぐらいは許し――――――――――」
「許さない!この泥カスがァア!!」
「あ、――へ?」
「ベチョ」
丁度手元にあったまあまあ粘度のある泥濘を相手に投射する。
投擲は滅多にしないせいで一番大きな塊は命中しなかったけれど無視できない大きさの泥が盗人の目とか口とか鼻に入り込んで怯む。
泥をかぶったせいで私も動きは鈍いが悶えている今がチャンスと追撃を仕掛ける。
私は全力で走り出してタックルをかました。
実は予約投稿を誤爆して一瞬この話が投稿されていました。
執筆予定のあるニキネキは気を付けようね!(一敗)