戦争が急に終わったせいで無職になった元兵士の女の子が路頭に迷ってしまった話   作:エルカス

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15亡命希望者だと思ったら就職希望者だった

アズニャンさんと別れて船でリッペ船長を待っていると髭が解凍されて船長が戻って来た。

 

「変な奴に絡まれたりしなかったか?」

 

「いえ、とても親切にして貰いました、それと総大将の親分さん的な人が中身が若干違うけど勘弁してやると言ってました。」

 

「おお、通りで報酬が減ってなかった訳だ、何かと粗探しするアイツの割には優しいこった、お前が何かしたのか?」

 

「情けをかけて貰ったんですよ、報酬ってさっき船に積んだ物ですか?」

 

「ああ、干し肉、小麦粉、漬物、船の燃料って所だな」

 

「物々交換なんですね」

 

「そうだな、石油は特に高く見積もってくれる、お前も小物なら自分で持ち込んで売り込んでもいいぞ。」

 

「小物?」

 

「ああ、産業設計図とか軍需物資、嗜好品とかも悪くねえかもな」

 

「どれも無理ですよ」

 

「何だ、どれもないのか・・・・」

 

「何であると思ったんですか・・・・それで向こうは何をくれたりするんですか?」

 

「基本的に食料全般は揃えてるな、日持ちする奴とかに限るが、他には毛皮類、衣服類、後は向こうの通貨とか貴金属・・・記念切手とかバッジだな」

 

「儲かってるんですか?」

 

「あんまりだな」

 

「私のお給金払えます・・・・?」

 

「・・・頑張る」

 

「えぇ・・・よくこの仕事続きますね。」

 

「儲け時ってのがあるんだよ、まあ戦争が終わっちまったから入って来る金も減るけどよ、俺はそれでも良いんだ」

 

「戦争やってたら何で儲かってたんですか?」

 

「・・・・・・んん、・・・・まあ何ていうかな、何処の国にも自分が住んでいる国に嫌気がさしちまう奴っているのさ、特にお前たち兵士とかな。」

 

「分かります」

 

「他にもどうにか逃げる必要のある奴とか後ろめたい奴を荷物として受け渡すのが良い金になるんだ」

 

「あんまり好きじゃなかったんですね、その仕事」

 

「そうだな、本当にそうだな・・・・」

 

 

船長は何が嫌だったのかは語らなかったけれど酷く荒んだ人を見続けるのはとても苦しい事だと分かっていたから何となく想像はついた。

戦争は30年近く続き船長の年齢から察するに本当に長くこの仕事をやってきたのだと思う。

一体どんな人たちがどんな理由で船長を頼って対岸の国に行ったのか、そしてその人たちはどうなったのか。

考えても分からない答えをこれ以上抱え込まなくて良くなったのだから手に入るお金が減っても船長にとっては良い事でもあったのだろう。

 

 

「さ、辛気臭い話はここまでだ、次の仕事は1週間後になる、これは今回の手取りだ。」

 

「ありがとうございます」

 

 

少ないお金と少しの食べ物を貰って仕事は一先ずの終わりを迎えた。

住む場所を見つけるのには数日かかったが、今は延々出港しない大型船の掃除をする代わりにその一室で寝泊まりしても良いと言う事になった。

口利きしてくれた役所のおじさんに感謝だ。

 

それでも暇な時間は沢山あったから人生で初めての海を堪能する事にした。

泳いでみたり、釣りをしてみたり、スケートをしてみたり。

仕事の事は口外してはダメだったから祖母への手紙にはレストランで給仕をしていると書いておいた。

転勤をするという設定はすっかり忘れていたが指摘されることはなかった。

やはり働いていればどこでも良かったのだろうか。

ここに来てから随分と子供心を表面に出して人生を楽しめた気がする、まるで普通の人間のように。

この幸せと楽しみを再び知ってしまった私は少し普通の人の人生を羨ましく思ってしまった。

 

 

 

親展/担当大臣、部署各位へ

 

題名:欧州市場からの資本の回収

 

日時:1951年9月

 

目録

1.交戦三大国にて設立した書類企業による銀行からの資金の借り入れ

2.市場操作による本国の所持証券の売却

3.書類企業の証券の売却による関係切断

4.予期されているマイナス成長分の確保率

 

 

親展/極秘/国防長官へ

 

題名:バルカン連邦内閣の崩壊間近

 

日時:1952年1月

 

目録

1.算出された戦後不況のデータ改竄

2.実施された経済回復政策

3.連邦国内での暴動

4.議会にて計画されている不信任案決議

 

 

親展/極秘/対外諜報局へ

 

題名:欧州市場への対応修正

 

日時:1952年2月

 

目録

1.バルカン連邦の分裂促進

2.アドリア国での内紛鎮圧

3.イベリア連邦の投資

4.山岳共和国の動向

 

1.バルカン連邦の分裂促進

当国の民族的対立は穏健的統治を以て抑制するには不可能な程の不確実性と爆発性を孕んでいる。

よって本国による資本支配の実施は大きなリスクがあると同時に当国から嫌悪感情を買いかねないと予想される。

提案される対応策としては民族間の分断を促進し連邦を崩壊させ細分化するのが最適であると考える。

崩壊に際し再度国境線が確立されるまで何十年の時間を要する可能性もあるため間接的な介入も慎重に行う必要がある。

 

 

親展/最重要極秘/大統領閣下へ

 

題名:戦争の終結と戦後秩序の確立

 

日時:1949年12月

 

目録

1.イベリア連邦

2.アドリア国

3.バルカン連邦

4.山岳共和国

5.オスマン帝国

6.英仏亡命政府

 




資本回収三手順クッキング
1.ペーパーカンパニーを作ります。
2.1で作った会社に回収したい資本を持っている対象からお金を借りさせます。
3.借りたお金で自身の会社の製品を買いましょう。

例:バルカン連邦の戦時国債を処理したい
 →ペーパーカンパニーを設立し、バルカン連邦に圧力をかけ作った会社に融資をさせます。
  融資で手に入ったお金を使って自身の会社の物品を買いましょう。

1.2の手順を実行する場合は該当地域に影響力を持っておくとよいでしょう。
では、良き重商ライフを~

要約すると人の金で物買ってるだけじゃねえか!
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