戦争が急に終わったせいで無職になった元兵士の女の子が路頭に迷ってしまった話 作:エルカス
『お若い首相閣下には先祖の血で贖われた今この瞬間をご存じないのです』
閣僚に口酸っぱく忠告された事を思い返す。
首相のために調達された最高に座り心地の良い椅子を持ってもこの閉塞感を和らげることは出来ない。
国の為に出来ることは多い、だけれどやる事全てが、全ての人を笑顔にすることは出来ない。
「兵士を取り入れる事で企業は笑顔になった、零れた人を笑顔にするために企業には苦労を強いた、歯車として散々利用した兵士たちには何の救済もない・・・・」
椅子に深く腰かけ天井を見上げる。
埃を被ったシャンデリアが燦々と輝いている。
もうしばらくもすれば電球の寿命が訪れ光を出せなくなり次の電球に交換される。
自分にはこの電球のように次に任せると言う逃げ道はない。
連邦に残された時間は少ない、次の指導者の登場を待てば自重で潰れ国は爆発四散する。
「何故、我々の父親たちはこんな国を作ってしまったのか・・・・・いや、作らざるを得なかったのでしょうか・・・」
欧州大戦は奴ら「スノース」の出現で事実上の終結を迎えた。
だけれど人類が彼らの恐ろしさに気付き対策を講じるには遅すぎたのだ、1918年では遅すぎたのだ。
遅い、遅い、・・・・20世紀ほど人間の時間に対する不寛容さを呪った事はない。今も昔もずっと私達は時間に追われている。
「兵士たちを切り捨てるか・・・武力で鎮圧した後の事を考えてみよう・・・・」
運よく雇用の不平等性が解消したとしてその先に連邦を待つのは何だろうか。
兵士たちを国の農場で働かせれば食料生産は爆発的に増大しすぐにでも国難は去るだろうが、果たして企業達が黙っているだろうか。
ただでさえ傾いている彼らの事だから、何か支援がないと破産でもしてしまうのか。
「破産・・・・・人の心配をしている場合ではないか、連邦の国庫に関してはあまり気にしていなかったな・・・・確か資料はこの棚に・・・」
夜分遅くの気怠い体には少し重く感じる量の書類を机に置く、上から順に目を通して行けば行くほどに目を閉じたくなる。
資料自体はブラックマンデー以前の物だから経済力が大きく衰えた現在からしてみれば比重はさらに重いだろう。
「100年かけて返済できそうにない、・・・海外からの投資がまるでなくなった今、不履行を宣言しても良い気がするが・・・外国の怒りを買ってしまうか・・・・」
取りあえず対外国債の事に関しては奇麗に忘れて今はこの国に住まう人々に誰でも平等に働けるチャンスを提供する方法を考えなくてはならない。
ついこの前までは戦争が終わる事を心から望んでいたのに今となってはもう少し続いていた方が幸せは多かったのではないかと想像してしまう。
「っ、何を馬鹿な事を、・・・・・死地に行く体制を肯定するなんて政治家失格だ・・・・・・・・せめて、奴らに奪われた土地への帰還が叶えば・・・・」
戦争が終わったと言っても奪われた土地は一握りすら帰って来てはいない。
奴らが生き、奴らが繁栄するための環境に作り替えられている。
我々がその環境を変える手法を持ち合わせていても奴らをその地から追い出せるとは限らない。
勝利と世間では報じられていたがもっと適切な言い方をすれば・・・・・
「『惨勝』で、得られる物がある訳ないか。」
「さっぶ・・・・寒すぎる・・・・」
「もぉ情けないですねリッペ船長!荷下ろしは私がやっておきますから船室の中でホクホクしててください。」
「よ、よろしく頼む極地生命体・・・・こんなの人間が生存できる温度じゃない・・・・!」
「そんな大袈裟な・・・たかだかマイナス15℃じゃないですか。」
「たかがマイナス15℃だと!? 」
戦争が終わってもうすぐ半年、冬も峠を越えて段々と春の訪れを感じる3月になりました。
二か月ぐらいは海の上で山岳共和国の人達と交易をしていましたが何とこの度、連邦の偉い人が正式に交易して大丈夫と保証してくれたので海の上ではなくきちんと陸の上で交易をする事になりました。
前より北の方に寄っているため気温が10℃ぐらい違って船長は結構つらいらしいですけど私は変わらず元気です。
「よい、っしょ!・・・・ふぅ、いい汗かいた」
「よっすチェルッち!元気してた~?」
「あ、アズニャンさん!ご無沙汰です、はい、変わらず今日も生きてます!」
「よろしい、この場所が気になるみたいだね~」
「あ、分かります?」
「うんうん、子供は好奇心旺盛だからね~、そんなチェルッちの為に私がここの事を教えてやろう、ここは我々山岳共和国が初めて奪還した土地、セヴァストポリだ!」
「おぉ、セヴァ、ァ・・・ストポリ・・・・ん、奪還?ここって・・・・戦争で奪われてたんですか?」
「そうなんだなコレが、チェルっちの国も奪回に動きだしたりしてねえか?」
「うちは今日を生きるのも精一杯らしいので当分は大人しくしてると思います。
それにしても・・・・戦争で奪われた土地は全部滅茶苦茶にされてるって聞いたんですけど・・・ここは・・・新しく作ったように見えませんね。」
「そりゃ最初からあったからな、取り戻した時に昔のまーんま、残ってたからな」
「よく残ってしましたね。」
「まあ何というか・・・・壊れてる場所もあるしそのまんま残っている所もあるんだ、だいぶ前からを奪われている土地が多い北に行けば行くほど壊されてないにしても風化して何もなくなっている・・・・かもしれないな!」
「てっきりこういう人の作った物は率先して壊されてるイメージでした」
「ここは元々要塞として作られたから更地にするのも手間だったんだろうな!まあ今では攻めるにしては価値がなくなったから今後は立派な貿易港として栄えるんだ!」
「攻める価値?何か価値があったんですか?」
「んん?あぁ、人間同士の戦争の事さ、今ほど寒くはなかった頃はここら辺りは凍らない海で貴重な港とされてたんだ、それを巡って国同士が戦ってた・・・と習ったぞ私は!」
「アズニャンさん博識ですね」
「にゃは!頑張って勉強した甲斐があったんだわ!」
褒められて照れたあずにゃんさんは嬉しさで少し飛び跳ねていた。
私はこの場所を見渡す、海の方を見れば大型船が黒煙と汽笛を飛ばしその来訪を示している。
視線を今いる場所に返してみればよく分からないドーム型の建物から突き出した二つの筒が見える。
筒からは夥しい量の氷柱がくっついている、似たような箇所が何個かあって筒が折れている場所も珍しくはなかった。
「チェルッち、この場所、興味あるのか?」
「あ、はい・・・・外国って私実は初めてで・・・・その、自由に見て回りたいなとか・・・思っちゃって、仕事中なのにダメですよね・・・!」
「な~に言ってたんだ!仕事以外の機会で外国を歩く事なんてないだろ!なら今行動しなくてどうするのか!ちょっと待っていろ、この仕事をパパっと片付けて観光案内をしてやる!」
「かんこー?って何ですか?」
「っむ・・・・まぁ、接待みたい物だと思いなさい、仕事の一部」
「仕事ですか、どんな仕事か分からないけど頑張ります!」
『かんこー』という聞きなれない言葉はあったけど接待と言われて人と関わり合う何かと言う事は想像出来た。
本当にパパっと荷物を積み込んだあずにゃんさんに手を引かれて私は『かんこー』をした。
「チェルッちが目を光らせて見ていたこれは要塞砲だな!」
「これ大砲なんですか!?おっきすぎますよ!?」
「最近の戦争で使う奴は取り回しと精密性重視で小さいからな、これは確か・・・・・300ミリ砲だな!」
「0が一つ多い上に大砲なのに二つも砲身があるなんて欲張りセットですね・・・・」
「まあ動かす必要がないからな!これはドレットノート・・・ああ、えー・・・ここら辺にあるどんな船よりもでっかい戦艦とやり合うために作られた、らしい!」
「昔の人達は怖いですね・・・・・こんなの撃ち合って戦争するなんて正気とは思えません。」
「まあお互いやり過ぎてボロボロな上に疲れ切った結果、腕っぷしが強いだけの動物にここまで良いようにやられたんだよな。」
「歴史を感じます・・・・」
「良きかな!ささ、次は面白いのみせてやるぞ!向こうにこの大砲に入れる砲弾があったんだ!力自慢の男どもが持ち上げ勝負してたから私達も飛び込み参加するぞ!」
飛び込み参加した結果、私は両手で一個の砲弾を持ち上げるのがやっとで腕っぷしの良い男の人が二個持ち上げてた
その後、あずにゃんさんが四個楽々と持ち上げて男の人達を煽り倒してたら向こうの偉い人がやってきて叱られていた。
言葉が分からなかったので何を言われているか理解できなかったけど、多分古いと言えど砲弾を持ち上げて遊ぶのは危険だからそう言う事だと思う。
ましてこの大きさだったら信管が間違えて起動でもしてしまったら・・・・考えるのはよそう。
負債「国くんはちゃんと責任取ってね♡」
国「
負債「都合よく利用するだけして私は捨てるの!?」
国「だってお前(負担)重いし」
負債「所詮私とは遊びだったんだ!
経済学エ○漫画化概念、良いと思います。
誰か書いてくれないかな~チラチラ
ちなみにやり捨て国家ランキング栄えある第一位はアルゼンチン君9回です。