戦争が急に終わったせいで無職になった元兵士の女の子が路頭に迷ってしまった話   作:エルカス

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35解雇した人達に殺されるかもしれない

「どう考えたって不当解雇だろ!突発的な解雇は違約金を払う義務があるんだ!それが今すぐに払われない限り俺達はここから退くつもりはない!」

 

「ここは人の職場だ!座り込みなら外でやれ!」

 

「兵士は座り込みも特例が適用されるってか!ノーマルの奴らと俺達は違うってな!ふざけんじゃねえぞクソが!」

 

 

なだめる様に抗議者に近づいていた職員が相手に突き飛ばされる。

かなりの勢いに後頭部から壁に倒れ込む。

 

 

「ぐぉ・・・!?」

 

「きゃああ!?」

 

「騒ぐな!軽く触れただけだ!」

 

 

役場に10人少しの解雇者達がやってきて座り込み抗議を始めていた。

抗議者は全員が成人男性の恰幅をしており素人目でもあまり刺激するべきでない集団である事は一目瞭然だった。

13歳から兵役に付く彼らの特性上、年を取っている事は彼らの強さの証明でもあったため、普通の兵士以上に恐怖された。

彼らの言う「軽く触れた」は普通の人にとっては車に追突されたようなダメージになるため、当然「軽く触れられ」突き飛ばされた職員は命の危機に晒された。

 

 

「お、おいしっかりしろ!」

 

「ぐ・・・がぼ・・・・ぉ・・・・。」

 

「おぉい・・・し、しっかり・・・・。」

 

「要求はただ一つ!不当解雇の違約金を支払う事だ!それが済めば喜んでこんなクソ田舎出て行ってやるよ!っぺ!」

 

「黙って聞いていれば舐めた事を・・・・・。」

 

 

殴り飛ばされた職員は吹き飛んで壁際に激突しぴくぴくと痙攣しながら血を吐き出していた。

貿易再開で赴任したばかりの若手職員は涙目になりながら手当をしていたがそれに向かって抗議者が唾を吐き捨てた、その光景を見て職員の一人の我慢を限界まで押し上げた。

 

 

「テメエらみてえなゴロツキを雇わなくて正解だったんだよ!「カチ」今すぐに俺達の街から出ていかねえと殺すぞ!」

 

「や、やめとけ!相手は10人だぞ!」

 

「今更銃の一つなんて・・・ッフ、撃ってみろよ爺さん、俺達ぁな、お前らが尻尾撒いて逃げた人類の天敵と10年は戦い続けてきたんだ、腕を食い散らかされて足を潰され顔をぐちゃぐちゃにされてもなぁ・・・・。」

 

「若造が・・・!偶然持って生まれた才能を自身の力と奢って・・・!」

 

「ほら撃ってみろよ!ほら撃てよ!」

 

「カチ」「カチ」「カチ」

 

「え、あ・・・・な、何だよ。」

 

抗議者が銃を構えた職員を煽っている内に段々と恐怖に怯える職員たちの感情を変えてしまったのか一人、二人と銃を構える者が増えた。

それどころか周りの扉が開かれ現れる増援の職員が登場した事により数の有利が逆転し抗議者は若干物怖じしてしまった。

 

 

「届け出のない集会は違法と習わなかったか野蛮人共が!」

 

「兵士が届けた所で受理するわけねえだろがぁ!お前達には分からねえよな!」

 

「受理する以前に殺人未遂でお前達全員死刑台に送ってやる!」

 

「やってみろよ!お前達が一人撃ち殺す間に10人は殺せる!」

 

「困ったらその有り余る腕力に頼るかぁ!頭が退化した兵士はこれだからなぁ!」

 

「ならその聡明な頭で考えて鉛弾じゃなくて金を俺達にプレゼントして見せろよ!」

 

「考えずとも前達みたいなハイエナには鉛弾以外ない!」

 

「くそ守銭奴が!俺達の頑張りで蓄えた金で食う飯は美味めぇか!?」

 

「クソ不味だよ!お前等に全部搔っ攫われるからな!」

 

 

お互いがお互いを憎む怒号が飛び交い収集は付かない、言葉の応酬が過熱すると同時に言葉以上の闘争が起こる可能性が上がりもう誰が先に手を出すかと言う段階まで到達していた。

だけれど戦端を開けばお互いに悲劇的な事になる事は自明だったので事態は辛うじて膠着していた、していたのだが・・・・・・。

 

 

「不当解雇反対!」「「「不当解雇反対」」」

 

「賠償をしろ!」「「「賠償をしろ」」」

 

「な、何だ・・・!?」

 

「不当解雇はんt・・・・お、おいどうなってんだコレ・・・・」

 

「丁度良かった!手を貸してくれ!こいつら俺達が抗議活動をしてたら銃を突き付けてきやがったんだ!」

 

「何だって!?ふざけやがって・・・・」

 

「結局そうやってまた俺達を・・・・・!」

 

 

不幸にもがやがやと騒ぎ立てるデモ行進の集団が役所の抗議者と合流してしまい、睨み合いのパワーバランスが傾く。

後ろにいるデモ参加者は溜まったフラストレーション発散の為に無秩序に扉や窓、壁を破壊していた。

そしてよく見ないまま前にいる役所の人間たちに投石をしてしまった事が致命となった。

 

 

「パリン」「ゴン」

 

「い、石を投げて来た!?」

 

「それ以上近づくなクソ野郎共が!「バァン!」」

 

 

野球のボールだとかそういう生易しいレベルではなく、当たれば間違いなくその部位を引きちぎるレベルの威力の投石が職員たちの近くに飛来し、恐怖に駆られた一人が威嚇の発砲をした。

もちろん前方にいた抗議者は言う通りに下がろうとしたが、後方で異様に加熱して破壊行為を続けるデモ集団に押された。

抗議者が忠告を無視したと思った職員は当然――――――――――――

 

「バァン!」「バァン!」

 

 

 

 

誰が撃ってしまったかなんて重要じゃないし問題でもなかった、役所の壁を軽く貫通する投石が行われた段階でこうなる事は必然だった。

最前列にいた最初の抗議者の何人かに猟銃の銃弾が命中し衝撃で後ろに倒れる。

 

 

「う、撃ったぞ!?」

 

「銃声だ!」

 

「あいつら撃ちやがった!」

 

「それ以上近づくなクソ野郎共!これは警告だ!それ以上近づいたら貴様ら全員射殺する!」

 

「怯えてないで銃を取れ!このままじゃ皆殺しにされる!」

 

「ひ、ひっぃ・・・。」

 

 

抗議者も俺達の間にも動揺が広がっていた、だがこの窮地に来て怯えるばかりだった同僚がついに震える手で銃を取った。

これで少しは抗議者が引き下がってくれるなら・・・・と淡い希望を抱いたがそれは都合の良い妄想に過ぎない事を分からされた。

 

 

「何だ銃声だぞ!?」

 

「ちょっとあなた達、集まって何やっているの!」

 

「物を壊すのをやめなさい!弁償するんでしょうね!」

 

「うるせぇ!俺達の未来を弁償しろよ!」

 

「俺達は搾取されてるんだ!これは正義の戦いだ!」

 

「何をふざけたことを言ってるの!皆使うのよここ!窓がなかったら寒くてしょうがないのよ!」

 

「いい加減にしろよ!何で揉めてるか知らんがどんな理由があって人の町を壊してるんだ!」

 

「黙れよクソノーマルが!」

 

 

抗議と銃声で住民たちも集まり始めた、事態は混迷を極める一方で眼前には血走った目でこちらを睨む抗議者達。

もうダメかもしれないと俺は諦めた、これはきっと人を軽く見て弄んでしまった罰なのだと観念した。

怖さで視界が滲んで構え慣れたはずの銃も思うように使えない。もういっそ楽になってしまおうか・・・・と思った時だった。

 

 

「ああもう何でドアが開かないんですか・・・・ごめんなさい!」

 

「バン!」

 

 

突然、後ろにあった扉が蹴破られて人が現れた。

現れたのは俺が傷つけちまったカフカの嬢ちゃんだった。

 

 




デモ集団を合流させてはいけない(戒め)
それと活動家ニキネキは抗議活動をする時ちゃんと届け出をしましょう。
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