戦争が急に終わったせいで無職になった元兵士の女の子が路頭に迷ってしまった話   作:エルカス

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戦争()()の頃、人類は劣勢で戦力価値の高い『兵士』はかなり厚遇されていました。
そして当然の事ながら顧みられない人達が多くいました。
『兵士』を目の敵にしている人にはそんな人が一定数いる訳ですね。


43様悪しい生まれを粛正する

「オスカール警部」

 

「何だ?」

 

「警部のご客人が危篤です」

 

「私の客人、がしかも危篤?何のことだ」

 

「先週連れてこられた」

 

「・・・あぁ、そうだったな」

 

「どうされますか?ご婦人たちとの約束はなかった事にしますか?」

 

「いや、それは不義理だ、危篤と言ったがどんな感じだ?」

 

「監視員が衝撃を与えても起きないと、脈はあるそうですが」

 

「それなら問題はない、待たせているご婦人方に来るように連絡しておいてくれ、そろそろ・・・・()()()だ」

 

 

最近随分と重く感じて来た腰を上げ、万全の装備をして取調室に向かう。

重い鉄のドアを開けると酷い異臭が鼻を刺し部屋に入る事を戸惑わせた。

 

 

「汚い奴め、兵士は下の管理も禄に出来ないのかぁ?」

 

 

部屋の中は薄暗く床は濡れておりそこそこの容積の排便が数か所に散乱していた。

そして奥に薄汚れた人間体があり鼻を手でつまみそれを部屋の外に引きずり出した。

 

 

「隣の部屋を使うぞ、お前は掃除、お前は水のバケツと・・・・・雑巾だな、汚れてるやつでもいいぞ、わざわざ奇麗なのを使ってやる必要はない」

 

「了解です警部」

 

 

片手でこの人間擬きを移動させて椅子に座らせる。

この人でなしは体のそこらじゅうが糞にまみれているせいか掴んでいた私の手は酷い臭いだった。

それを紛らわせるために煙草を吹かして一服する。狭い部屋に煙が満たされる。

 

 

「ご用意しました警部、今日はどのようになさるつもりで?」

 

「火攻めは簡単に壊れるから面白くはない、趣向を変えて最近は水に拘っている、まあ始める前にコイツの臭いが酷い、水をかけろ」

 

「了解です」

 

「バッシャーン、ガコ」

 

「あ、失礼手が滑りました」

 

「くっふ、誰にでも失敗はあるさ、・・・・・・・反応は相変わらずなしか」

 

 

部下は故意にバケツから手を離し中身ごと、座っている狸寝入り野郎にぶつける。

お互いに笑いが広がる、未だに目の前の嘘つき野郎は起きる気配がない。

 

 

「少しはマシになった・・・・って何だこの雑巾は」

 

「ちょうど先程便所の掃除係がいたので、汚れていても良いと」

 

「まあ言ったが直接私に触らせるな全く・・・・・はぁ」

 

 

溜息をつきながら便所雑巾を糞の顔面を覆うようにかける。

かなり離れた位置からでもまあ酷い臭いが漂ってくる。

そんな酷い代物を顔にかけられても目の前の強情野郎に反応はない。

 

 

「起きませんね、死んじゃってます?」

 

「心臓が動いていたんだろ?なら生きている、ああ奇麗な水である必要もなかったか、いや全部悶絶するレベルの物で満たしたら我々の負担が大きいな、これぐらいは許してやるか」

 

「警部は優しいお方ですね、それで水をどのように使うので?」

 

「保安局の友人が教えてくれたんだがな、軽い体験が出来るそうだ」

 

「ジョボボ」

 

「何の体験ですか?」

 

「ガタ・・・・・ガタガタ」

 

「うわ、急に動き出した、凄いですね」

 

「ああ、兵士だろうと関係ないようだな、何の体験か?・・・えーっと何だっけかな」

 

「ジョボボ」

 

「ガタガタガタ!!!」

 

「ああ思い出した溺れる体験だ」

 

「ガチン!」

 

 

バケツの水を慎重に注ぎながら部下と雑談をする。

少し水を垂らしても動かなかったが雑巾が水を吸わなくなりそのまま奴らの口と鼻に水が行くようになってから体を震わせた。

事前に手足を縛っていたので抵抗されることはないと思ったが、やはり衰弱していても相手は兵士、普通に金具を破壊して顔にかかった雑巾を取り除いた。

 

 

「ぶぇっ!げほ、ガホ、クォ・・・・ヴウェ・・・ふぅ、はぁ・・・・くう」

 

 

椅子から転げ落ちて飲み込んだ水を吐くみすぼらしいガキ。

兵士になり俺達の為に戦場で死ぬためだけに生まれて来た下等な存在の癖に立場を弁えず普通の人権を要求する怪物ども。

戦力価値だ何だので決して飢え死ぬ事のない生活を送って来たクソ野郎共、多くの人間が餓死し食料の奪い合いに発展してもこいつらは一口すらも俺達に分け与えなかった。

悪党の血筋、徹底した教育と抑圧でその悪性を抑え込むのは、国ひいては世界の為になる。

 

 

「ほら大丈夫・・・かっ!」

 

「う、げほっ!?・・・お、ぅ・・・ぶは・・・ぅう」

 

「容赦ないですね警部」

 

「むせているから、手伝いをしたんだよ、吐き出す手伝いを」

 

 

全く逆の表現だがこのクソガキは水がかなり深い場所まで入ったのかいつまでもじたばたするので水を吐き出す手伝いがてら腹を蹴ってやった。

すると勢いよく魚の様に跳ね上がって人間噴水を披露した。

実に滑稽でお似合いだと思った、酷く不快な臭いで気分が良くなかったが今は爽快である。

 

 

「おはよう、起きないから困ったよ、それにしてもあぁ、よくも大切な錠を壊して・・・・これ器物破損だよ?」

 

「・・・は、あ・・・・う、・・・」

 

 

勢いで、こいつが手錠を引きちぎって壊した事は頂けないがまあこれくらいが問題ないだろう。

敢えて激臭のする奴に近づいてみたがすっかりと怯えている。

部屋の隅に逃げて壁をよじ登ろうとするその様は調教された動物の様な有様だった。この素晴らしい成果に私は満面の笑みを浮かべずにはいられなかった。

 

 

「そんなに怯えなくても良いじゃないかぁ、君に反省して欲しかったんだよ。反省したのならお話の続きをしよう、それとも・・・・・君にはまだ反省が足りていないのかな?」

 

少し浮いた声かけをして奴を揺さぶるが否定はしない、肯定もしていないが反骨精神剥き出しの最初と比べれば上々だ。

寝る事も許さず、排便の機会も与えず、食事は・・・一回与えてしまったらしいがまあ実質与えなかった、その効果は十分にあったのだ。

 

「返事は・・・どうしたのかな?」

 

「は、は・・・・はいっ――――――――――!?」

 

「バチン!」

 

 

笑ってしまう程の知能の低さ、同じ轍を二度も踏むのは知性なき獣とそっくりだ、いや・・・下手をすると奴らより馬鹿かもしれない。

枯れた喉で絞り出した返事に対する私の答えは平手打ちだ、前回は大した効果はなかったが今は・・・・ああ、口が切れたのか血を垂らしている。

心底怯えて縮こまっている、やっと可愛らしさを見せてくれた。

 

 

「違うだろ?まずは、『ご、め、ん、な、さ、い』・・・・だろ?」

 

「ご、ごめな・・・んな、・・・さい・・・も、もう・・・やめ、て・・・くだ・・・さ、さい」

 

「おお、やれば出来るじゃないか、さあここから出よう、君を待っている人がいるんだ。」

 

「・・・・!」

 

 

ん?何か勘違いをしたのか、「待っている人」と言って途端に光なき目に輝きが灯る。

まあ消える光景をすぐ後に見る事が出来るのならこの上ない愉悦だが・・ふふ、いけない笑みが零れてしまう。

しかしこの娘は誰が待ってくれていると思っているのか?奴の祖母か、それとも友人か・・・・・・自分が助かる都合のいい妄想か。

どうであれ、無駄に知能をつけた小娘が力の差を思い知り馬鹿な妄想をしだすのは滑稽でいてなんて醜く美しいのだろう。

 

 

「ここで待っていろ、すぐに戻る」

 

 

心が壊れかけている娘を座らせ俺は素晴らしきビジネスパートナーのご婦人を出迎える。

農民のくせして無駄に装いに拘った香水ババア共だったがそこに金が挟まれば気にする事がなくなる。

 

 

「オスカールさん、やっと準備が整いましたの?先週は急に帰れだなんて全く・・・」

 

「これは申し訳ありませんマダム、しかし一週間の入念な準備で仕事は大詰めです、後は彼女の了承を取れれば良いのです。」

 

「まあやっとですか、あの敵国人に簒奪されていた私の先祖代々の土地をようやく取り戻せるんでしょ、長かったわ~」

 

「おや、マダムは隣人が罰金を払えないので土地を担保に建て替える親切な通報者なのでは?」

 

「あら失礼そうでした、それと通報者は余計ですことよ」

 

「それはそれは失礼。」

 

 

前言撤回。やはり金が絡んでいるとは言え不快なババアだ、鼻息は荒いし喋れば唾をよく飛ばす。

美貌何てまるで無縁な容姿の癖に美人だけが着る事を許される金のかかった装いをしている、中身は貧民の癖に見栄とか虚栄が見え透いていて不快感を煽り立てる豚畜生。

こんなのを隣人に持ったあの娘はまるで運がない、笑ってしまう。

 

 

「では譲渡の書類の方を」

 

「押印を貰ってきてくださいな~」

 

 

歩くゲロババアを待機室に放り込んで私はあの小娘のいる部屋に戻る。

律儀な事で惨めな格好の割には育ちが良さそうな座り方をしている。

憔悴しきっても身に染みた慣習というのは抜けないのか、さぞ兵士の身分を利用していい暮らしをしてきたのだろう。

 

 

「あ、の・・・・」

 

「何だね?」

 

「私を待って、る、人・・・・は」

 

「手続きが終わればすぐにでも会えるよ、さあこれにサインと押印を」

 

「・・・・・・・・」

 

「どうしたのかな?判子は自分の指だよ?」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「字が書けないのかな?なら判子だけでもいい、代筆をしよう」

 

 

小娘に持たせた私のペンに手を伸ばす、だけどこの生意気な小娘はそれを払いのける。

 

 

「突然、何をするのかな?」

 

「これ、・・・・何ですか?この書類。」

 

「ッチ」

 

 

体と心を痛めつけて弱らせたと思ったがコイツ・・・・そう簡単にサインはしないのか、困った。

流石にあれだけ閉じ込めれば心が折れるか壊れて従順になると踏んだが・・・

 

 

「これは、何ですか。」

 

「ああ・・・・そうだな、説明できる人を呼んでこよう、そうしよう」

 

 

慌てるなオスカール、強情なのは兵士の特性だ、絡め手を使えば奴らは簡単にこちらの手中に収まる。

この娘は誰か来ることを期待しているようだから望むようにシナリオを描こう。

 

 

「失礼マダム、少々問題が」

 

「何ですの?」

 

「協力を、あの娘が署名を拒んでまして、説得・・・煽り立て、何でもいいので口で何か言ってやってください」

 

「嫌ですわ怖い~、警部さんが全部やってくれるんじゃなかったので?」

 

「申し訳ありません、ですが大丈夫です、マダムが暴行を加えられたのならば・・・守る準備は万全ですしその事実で譲渡と同様の『賠償』を得られます、それにどちらにせよ順序が変わるだけです」

 

「そうでしたわね、では守ってくださいね警部さん。」

 

「はい、お任せください」

 

 

知るか、願わくばあの娘を激情させて一発であの世に葬られた方が面白い。

しかしあの小娘はこの香水ババアを見てどんな顔するのか楽しみだ。




こんな奴らを守るために戦ってきた兵士達の事を思うとな、涙が出ますよ
わりぃ、やっぱ出ねえわ
ねえ皆ってこういうのが好きなんでしょ?もっといっぱいあげるね♡(加筆)
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