戦争が急に終わったせいで無職になった元兵士の女の子が路頭に迷ってしまった話   作:エルカス

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ハローワークは賑わなくていいから・・・・(良心)


5ハローワークは賑わう

今になって言うのはあれだけどもしかして私が来るべき窓口はここじゃない気がしてきた。

他の相談者とのギャップが凄いの何の、私だけが妙に浮いているというか場違いだった。

 

 

「このご時世と来たらこんなお嬢ちゃんもフリーと来た!誰か貰ってやれよ!」

 

「こんな場所で藁縋りしてる情けない奴らには貰えねえよ高嶺の花!」

 

「え、う、え?」

 

「嬢ちゃんびびってるぞ!、おいアンタ並ぶ列間違えてねえか?愛すべき市長さんにお花を売りに来たならこっちは真逆だぜ」

 

「ここには擦れてお荷物なおっさんと臭い女専用の場所だぜぇ!」

 

「誰が臭い女よ!アンタも十分臭いわよ!」

 

「と、言う事だ嬢ちゃん、ノーマルはお断りって訳。」

 

「あの、私も一応、・・・・兵士にはなり損ないましたけど、終わってなかったら今は戦場にいたんです。」

 

「・・・・・まさか?」

 

「間が悪い事に戦場に行く前に戦争は終わりましたけど、多分私も皆さんと同じだと思うんです。」

 

「「「・・・・・・・」」」

 

「や、やっぱり場違いだったでしょうか!?」

 

「いいや、いいや!誰も場違いなんかじゃねえぜ!俺達は皆戦友だからな!そうかそうか、言われてみればそうだな、どれ先輩からの細やかな気遣いだ、お先にどうぞってな!」

 

「わ、え!?」

 

「お先に」

 

「お先に」

 

「若いうちがチャンスよ~」

 

「え、えぇえ!?」

 

 

背中を押されて長蛇の列を唸りながら進んでいく、いつの間にか窓口の最前列までやって来ていた。

昨日まで戦場で血で血を洗う凄惨な戦いをしていたとは思えない程の大らかな対応をされてびっくりだった。

というか好意は本当にありがたいけどここは私が並ぶべき窓口だったのか・・・・そこが問題だ。

 

 

「次の方どうぞ。」

 

「は、はい・・・・。」

 

「ご希望は?」

 

「希望?・・・・学校です」

 

「・・・・・・・要は学校に行くお金と言う事ですね、でしたら高給取りの仕事になりますが―――――――――」

 

「??」

 

 

何故学校に行くのに働くという話になるのか、それは多分ここが市民何でも相談窓口ではなく働き先紹介窓口だからなのだろう。

成程、溢れる復員兵は仕事がないからここで職探しをしに来たのか、合点がいく。

 

 

「どうかされましたか?・・・・やはり窓口を間違えましたか?。」

 

 

小声で職員さんが耳打ちする、はいそうですと言って気まずい空間を抜けようとした、したのだが・・・・・・。

少し待ってほしい、果たして私は本当に学校に行く必要なんてあるのだろうか?

祖母は私を自然な形で家から外の場所に行かせたいと言う思惑なのだから別に仕事で家を出ても構わないのではないか?

 

 

「いえ、・・・・ここで合っています。」

 

「左様ですか、・・・・資格や得意業務等は?」

 

「えーっと・・・」

 

「例えば書類仕事が出来る、工作機械を取り扱えるなどですが」

 

「えーっと・・・・コンバインの運転とか、トラックの運転とか・・・・ぐらいしか」

 

「珍しいですね、トラック、と言いますと?」

 

「トラックは・・・トラックですよ?」

 

「トラックの大きさや運んでいた荷物などは?」

 

「大きさは、こう後ろの荷台に20人ぐらい乗れるサイズで、運ぶ物は弾薬類でした」

 

「人を運んだりは?」

 

「助手席に誰かよく乗っていましたけど・・・・荷台もたまに」

 

「運転の評判は?」

 

「特に何とも言われたことは」

 

「・・・・・事故の経験は?」

 

「まさか」

 

「承りました・・・・・こちらに出力された企業を訪問される事をお勧めします、学校に通うとなると一にも二にも資金です。4・・・・5年も勤労に励めば十分でしょう、もっと上を目指すのならば倍以上に」

 

「学校ってそんなに大変なんですか・・・・?!」

 

「はい、私としてもあなたのような人の将来を楽しみにしています。では次の方との面談を始めますので」

 

「あ、ありがとうございました!」

 

「良い旦那さん見つけろよ~!」

 

「頑張れフロイライン!」

 

もう随分と体験しなかった賑やかで暖かな空間だった。

人間ってそういえば親切心とか言う概念あったな~と実感するぐらいには。

しかし窓口を間違えたけれど結果的にこれで良かったのかもしれない。

学校でお金をかけるより外で私が働いていた方が祖母も経済的に助かる筈だ。

私は貰った書類に書かれていた企業に向かって走った。

 

 

「チェルナー・カフカ、ただいま帰りました。」

 

「随分と遅かったじゃないか、寝ちまうところだったよ・・・それでいい場所は見つかったのかい?」

 

「はい!来週から運転手として働きます、学校はお金がかかりますしまずはここでしっかりとお金を稼いでからです、手間はかけさせません。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

日も回るぐらいの時間で祖母も睡魔に負けかけているのか何だか反応が薄いままその日は終わった。

今日は全くいい日だった、相談窓口の皆は親切だし仕事を探しに行った先の会社の人達は突然の訪問しちゃったのにちゃんと取り合って、しかも働いていい許可も貰った。

勿論急に運転が出来る訳ではない、最初は荷物の出し入れとか助手席での勉強だ。

住む場所も用意してくれるらしいし来週からの新しい生活が楽しみだ。

折角戻って来た家をまた離れることになるのはとても寂しいけれど、また近いうちに戻ってこれるのだから前ほどではない。

 

 

 

 

「社長、何であんなの雇ったんですか?。あれスレッシャーですよ、見てくれは整ってますけど。」

 

「良いんだよ」

 

「昔雇った奴の事忘れたんですか?車はぶつけてボコボコ、客の荷物は雑に扱って損壊、最後は賠償金払いたくないから逃げられたんですよ?。」

 

「まぁ育ちが悪かったんだろうさ。お前の言う事はもっともだ、だからまだ矯正しようのあるあの若いのに目を付けた」

 

「社長の好みだと思っていました。」

 

「悪いが結婚するなら少女でも普通の女だ、・・・まあこれからの時代はアイツら兵士だ、今でこそガサツ乱暴危険って言われてるがアイツらのパワーが業界を循環し始めたら・・・・・革命だ」

 

 

高級そうな黒い椅子に座った社長は部下に背中で見せつける。

部下はまた社長の無謀で根拠のない妄想が始まったなーと思っていたが、誇大妄想家も百個ぐらい妄想を言えば一つぐらい現実になるかもしれないと言う事を部下は全く考えもしなかった。

時に、現実とは小説よりも奇妙な展開を見せる物なのだから。

 




孫を学校に行かせたかったのにウキウキで仕事が決まったと報告して来た際の祖母の心境を述べよ。(10点)
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