戦争が急に終わったせいで無職になった元兵士の女の子が路頭に迷ってしまった話 作:エルカス
何でもするからお兄さん許して^~
退居のゴタゴタと呆然としていたせいであっという間に一日が過ぎて日も傾いていた。
今から祖母の家の方に帰るとすれば日をまたぐし何より急に帰ったら迷惑だしまた嫌な思いをさせるかもしれないので躊躇した。
「また運よく仕事を見つける?・・・・だとしても今日は何処で寝るの?・・・・・どうしよ」
路上泊も別に無理でもないけど沢山荷物を抱えているから防犯上あんまりしたくない。
元兵士と言えど寝処に忍び足で踏み込む盗人に目を覚ますなんてフィクションみたいな芸当は出来ないので出来れば屋根と鍵付きでなくとも開くと音が鳴る扉がある所で寝たい。
「どしよ・・・どうしよ・・・・」
「カフカ、カフカ君!」
「あ、はい・・・・誰で・・・ルードヴィッヒさん?」
「やっぱり、宿泊先追い出されちゃった?さっき出ていったばかりって聞いたから近くを探してたんだ。」
「私をですか、何か用事でもありましたか?」
「困ってないかなって」
「何にですか?」
「そりゃ将来とか住む所とか・・・・そうだろう?」
「お恥ずかしながら・・・・ここを離れようかなとも思っているんですけど」
「今日にも?」
「いえ、まだしばらくは」
「しばらくどこかいく当てがあるのか?」
「ないです」
「なら家に来ると良い」
「え」
思ってもみない提案だった、昨今ダイヤモンドよりも見ない親切心を見た気がするけど私が捻くれているせいで喜びよりも疑念が先行してしまう。
曰く、こいつ私を家に誘って何か企んでいるのかと、疑念が事実になる事が多いからこの悪癖を直しはしないけど条件反射で問答無用に人を疑うのは酷い性格だなと思う。
「どうしてですか?」
「どうしてって、困っているんだろう?」
「ええそうです、だけど助けます普通?」
「知らない人だったらそうだろうけど君は同僚だし可愛い後輩だ」
「でも私『兵士』ですよ、それにもう後輩じゃないですよ?」
「そんなの関係ないさ、君が良い子って事は知っているからね」
「・・・・・・・すいません、ではお言葉に甘えても良いですか?」
「最初から素直にそう言えばいいのに・・・・」
疑念が晴れはしなかったもののまた随分と久しぶりな温もりを感じた。
ルードヴィッヒさんは私の頭をポンポンと叩いて家に案内してくれた。
私は人の好意を素直に受け取れない自分の未熟さに恥じて暫く顔を俯かせていた。
「ニューヨークは今日も7近くの下落、欧州市場は10%平均、アジア市場は1%前後で安定している」
「どうしてこんなに差が・・・・出るのですか」
「僕達の戦争で欧州の産業基盤が大きく変わってしまった、国家存亡の為に無理な総動員を維持したんだ。皆が食べる分の物を作る人達すらも兵隊に行かせてね」
「でも皆さん食べる物には困らなかったですよ、ずっと」
「賄ってくれていたからね、外国が。戦争と言う物はとにかくお金がかかってしょうがないんだ。あれもこれも安い外国の物を買って浮いたお金を戦争につぎ込み続けた」
「よく分かりません、どうしてお金が沢山使われたらお金持ちが増えるんですか?」
「今から沢山損をする人たちが過去にお金を捧げるのさ」
「ちょっと私には難しいですね。」
「そうだね、とにかく沢山の物を安く売ってくれていた場所で唐突にあるはずのお金が消えたんだ、沢山ね、だから怖くなった人たちはもうこれ以上失わないようにお金が他の所に流れないようにするんだ」
「手遅れな気がしますけど」
「いいや、ここがスタートラインさ、誰もフライングは出来ない、普通なら。
と言う訳で外国に流れるお金がなくなると思った人たちは外国に注いでいたお金を回収するんだ。
特に多く注がれていた場所はある予定のお金が消えて阿鼻叫喚」
「あ、沢山だからヨーロッパは・・・・・でも何で昨日まで外国にじゃぶじゃぶお金を流していた人たちが急にお金を戻そうとするの?。」
「うーん、正しくはないけどお金の流れが早ければ早いほど多くのお金が手に入るんだ、だからもっと沢山のお金を手に入れようとお金を流してお金の流れを早くするんだ」
「変なの」
「『彼ら』はお金の激流の最後に、流れがおかしくなる直前に自分たちの国に最大量お金が流れるように調整をしたのさ、だから世界中が損をしているように見えているけど実際はそこまで悲観的な程じゃないんだ」
「結局、良いように貪られて終わるんだ・・・・は、はは・・・・・」
「泣かないでアルベルタ、だけどこれはチャンスでもあるんだ、彼らは持てる権限の全てを使い切ったんだ、この先どう転ぶかは自由に決められる、誰の意思も誰の思惑も介在しない」
「・・・・・・・無理ですよ、だって・・・・あなた達が思う以上に私達は醜い生き物なのですから」
貸し切られたホテルの階層で異形の怪物と少女は言葉を交わす。
実物のない地図と空中に浮かぶ透明な紙を横目に少女は人がうねり胎動する道を観察する。
うねりはやがてそれを止めようとする集団にぶつかり磨り潰しあう。
辛すぎる物を食べたかのように鼻に違和感が生じ、息をする度に肩が浮いてしまう、怪物はそんな少女を想い部屋を退出した。
少女の落とした大粒の涙は地面に辿り着く前に霧散した。
(前書きで)何でもするとは言ったが、何でもするとは言っていない。
という事でアンケートします(唐突)
一番人気のキャラには短編で何か話を書きます。
それで今回短いのは許してクレメンス。