今夜のププビレッジは雷雨が打ち付けていた。夜の中でもわかるほど黒い雲からゴロゴロと轟く雷鳴が絶えず村中に響き渡り、村人たちはみんな家の中にこもって早く止むように祈っていた。
しかし丘の上にあるデデデ城は違っていた。デデデ城の王の広間では、三色のライトを照らしてガンガンに音楽を鳴らし、デデデとエスカルゴンが踊っていた。
「いえ~! 乗ってるかゾイ~♪ 今日は朝までフィーバー。地震雷火事親父などに恐るデデデ大王様ではないゾイ」
「へへん。陛下の顔を見るだけで雷も逃げていくでゲスよーだ」
「ドゥワハハハ。エスカルゴン、今夜はワシとのアバンチュールを楽しむゾイ」
「はーい。愛してるわ陛下」
雷を怖がる村人たちと格が違うところを見せつけるために一日オールナイトフィーバーしていたのだ。もちろんチャンネルDDDではナイトファーバァーを生中継している。ワドルディたちはエレキギターをかき鳴らして、舞台を盛り上げていく。そしてサビの部分になり、デデデが中央に躍り出る。
「オールタイムフィーバー。見よ人民ども、わがプププランドはワシのように輝いているゾ……イ?」
ピシャーンと雷が落ちる音が鳴ったと同時に急に広間が暗くなってしまった。
照明だけでない、スピーカーも中継機も全部電気が落ちてしまっていた。広間が急に見えなくなり、デデデを探し出すエスカルゴン。
「あーもう。急に暗くなっちった。陛下無事でゲスか?」
「ここゾイ」
闇の中にぼんやりと青い顔のたらこ唇の顔が浮かび上がった。
「ぎゃあ! たらこ唇オバケ!! ぎゃお」
たらこ唇オバケに殴られたエスカルゴン。もちろんたらこ唇オバケはデデデ大王で、懐中電灯を自分の顔に向けて当てただけである。
「おのれ、暗闇に紛れて偉大で美しいデデデ大王様の顔を侮辱するとは。さっさと電気を直すゾイ。せっかくのオールタイムフィーバーが燃え尽きてしまうゾイ」
「あーはいはい。たぶんブレーカーが落ちちまっただけなんだろうな。たくっもう。ワドルドゥ隊長」
エスカルゴンがワドルドゥ隊長を呼び寄せてブレーカーを上げるように命じた。だが。
「いえ、先ほど巡回のために配電盤を見ましたがどこも問題ございませんでした」
「は? そんなわけないでゲショうが問題ないならなんで広間の電気がつかないんでゲスか」
「わかりません。電気は私は門外漢でして」
まったく頼りにならない隊長だことと憤慨しながらエスカルゴン自ら直しに向かう。外はもう雨が止み、黒い雲の間からは隠れていた月が明かりをわずかに城の通路を灯す。
すると向こうからフームとブンが文句ありげな顔してやってきた。
「ちょっとエスカルゴン、あんた城の広間で何かしたでしょ。部屋の電気が全部消えちゃったのよ」
「はぁ? いいがかりは止めるでゲス。こっちは急に城の電気が全部止まってしまって、陛下がオールタイムフィーバーできずにいらだっているだから」
「電気が?」
「どうせ電気の使いすぎだろ」
「でも変ね。この城の電気が簡単に止まるはずが」
フームが視線を外に向けると、違和感に気づいた。村中の明かりが全て消えて真っ暗になっていたのだ。村人たちも松明を携えて、困惑しながら外に出て騒めいていた。
「これは一体」
「……まさか」
城の電気が復旧しない中、エスカルゴンはデデデと共にデデデカーでとある場所に向かっていた。
「発電所?」
「はい、デリバリーシステムを稼働させるために古いダムを私めが改造した発電所に異常があるかと。それ以外に城も村も電気が止まるとは考えられないんでゲス」
エスカルゴンが改造した古いダムは城やデリバリーシステムを稼働させるだけではあまり余るほどの電気を作り出せてしまったので、貧しい人民に施しを与える形で村に電気を供給させていたのだ。
ダムがあるのは城の裏にある滝、そして雷が落ちた音もそこからだから関係があるのではとエスカルゴンは睨んでいた。
そのダムに到着すると、案の定発電設備に雷が落ちて黒い煙がもうもうと上がっていた。
「あら~。やっぱり壊れているでゲス」
「原因がわかったらさっさと直すゾイ」
「そんなすぐに直せるわけないんだからもう、改造するだけでも何か月もかかったんでゲスよ。直すのにどれくらいかかるか」
「……ということは、チャンネルDDDは?」
「本でも読めば?」
「食事は!?」
「カップ麺食べれば?」
「風呂は!? アイロンがけは!? 寝る前の子守唄は!?」
「ぜーんぶ我慢するしかないでゲショうがよ!!」
「そんな生活耐えられんゾイ!! ……まてよ、ということはデリバリーシステムも使えないということに」
「そんなん当たり前でゲショ。一番電気食うのに」
「うぬぬ。ワシの楽しみである魔獣の買い物ができんとは。すぐさま緊急事態宣言を発令し、電力需要逼迫のため村人どもに節電要請を強要するゾイ!!」
翌朝のププビレッジでは電気が来ないことにみんな悩んでいた。村の家は木でできており、明かりの代わりに家の中で松明を燃やすことなんてできないから村人たちはタゴのコンビニで電池やレトルト食品を買い求めた。
今までにない忙しさに目がまわるタゴがレジ打ちをしているといつも暇でもレストランにいるはずコックカワサキがレジにやってきた。
「あれ? カワサキ、レストランは?」
「店じまいだよ。冷蔵庫が止まって食材がダメになっちゃうから。おかげで昨日の客に、他の客の残した料理を出しちゃったよ」
笑って答えるカワサキだが、その後ろに並んでいた客たちの顔は真っ青になっていた。
「あーギャグよギャグだってば。そんなに入れてないよぉ」
「カワサキも大変だね。うちも弁当や食品を置けなくてね。棚を開けっぱなしにするのももったいなくて、干物だけの干物弁当しか置いてないんだよ」
「いつになったら直るのかなぁ」
困っているのは店だけでなかった。村の主婦たちも洗濯機が使えず、川で洗濯板と洗濯物を携えて洗いに行く羽目になっていた。
普段手洗いなんてしない主婦たちの手は、川の水と石鹸でボロボロ。冷蔵庫も使えないから夕飯をどうするかで頭を悩ませていた。
「そんな時こそ」
「発電機がオススメだぜ。ガソリンを入れてスタート。自動的に電気を作ってくれて、冷蔵庫から掃除機までなんでも動かせる優れものさ。おまけに場所も取らない」
「まあまあ」
「一ついただくわ」
電力難で困っている村にガングとガスが共同で小型発電機の販売を始めた。洗濯機や冷蔵庫が動くのならと発電機をガソリンとともに買い求め、タゴの店に負けず劣らずの大行列ができていた。
「サンキューなガング。これで暇なうちの店が大繫盛だ」
「いやいやこっちも倉庫に残っていたものを処分できて一石二鳥だ」
心配して見に来ていたフームたちは、思わぬ電気難需要に村の経済が活発になるのを、目の当たりにして驚いていた。
「心配して来てみたら、村は大丈夫そうだな。カービィも一つ買ったらどうだ?」
「フンッ、昼間は外で遊んで夜は寝るだけの自由なやつに電気なんかいるかよ」
「ぽよぽよ」
「それもそっか」
呆れ笑うブンであったが、フームは村の電力の心配をしていた。
「安心できないわね。家庭用の家電だけなら発電機だけで賄えるけど、お店の方ではそうもいかないわ。大量の製品を保存するのに多くの電気を使うからあっという間に足りなくなるわ」
そしてフームの懸念は現実となった。最初に悲鳴を上げたのはタゴだった。
「ガング、もっと大きい発電機はないの? うちの冷蔵庫や冷凍庫じゃぜんぜん足らないよ」
「そう言っても、うちにあるのはこれが限界で」
続いてガングに文句を言いに来たのは医者のヤブイだ。
「ガング、さっき買った発電機だが威力が足りん。虫歯の治療をしようにも歯が削れん」
「もっとガソリンを少なくして発電できるものはないの。重たいし、ガソリン代が家計の負担になるわ」
フームの懸念した通りであった。発電機といってもサイズが小さいと家や店の電力を全部補えるわけでもなく、動かす燃料の費用や入れる手間もかかるためコストパフォーマンスが悪いのだ。
「やっぱりダムの発電機が直るのを待つしかないわね」
「問題なのは
「どうせデデデのやろうが痺れを切らして、碌でもねえこと考えるだろうさ」
トッコリが危惧していた通り、デデデ城の広間ではワドルディたちを滑車や奴隷が押すような木の棒の回転機器を回して電力を作っていた。
「ワドゥルドゥ! 電気が来てないゾイ。もっと兵士に働かせい!」
「陛下申し訳ございません。二十四時間体制で人力発電をしておりますが、とても消費に追い付かず。兵士たちも疲労困憊です」
「このデリバリーシステムが動かさなければ、永遠に回し続けることになるでゲス。もっと気合い入れて働くでゲス」
バシン! とムチを入れて兵士たちを急かせる。数十分後、ついにデリバリーシステムを動かせるだけの電力が溜まり、ゆっくりと隠れていた画面が顔を出して、カスタマーサービスの顔が現れた。
「国難の危機ゾイ。今すぐ発電設備を送れ!」
「は? いきなりなんです?」
「我が国の水力発電所が壊れて、電力危機に陥っているでゲス」
「この国難においてワシは国営電力会社を立ち上げ、原子力火力人力などあらゆる手段で電力需要を満たす覚悟だゾイ。その一環として、ワドルディたちには人力で電力を供給した模範的労働者として、模範労働の勲章を与える予定ゾイ」
「なんと原始的な」
「原始ではなく欲しいのは電気ゾイ」
「原子力でも火力でもいいから、発電所キットを売るでゲス!」
「ほほほ、今の時代はクリーンエネルギーが主流。ダムやら火力発電などの環境破壊につながるものはもう古いのです。現在ホーリーナイトメア社ではクリーンエネルギーの主役である太陽光発電の販売セール中、陛下がお買いになれば電力需要を満たし。会社に補助金が入って私もマージンが入って懐が潤うとwin-winです」
「ならそれを買うゾイ」
城に戻って来たフームたちは驚きの声を上げた。
デデデ城の中庭いっぱいに太陽光パネルが敷き詰められていたのだ。
広い中庭いっぱいに敷き詰められたパネルが太陽光を反射してキラキラと輝き、カービィはステキなものを見つけてぴょんぴょん飛び跳ねた。
「何このいっぱいの太陽光パネル」
「どぅあーはっはっは。これぞ我がデデデ電力の新たな発電方法、太陽光発電ゾイ。空気を汚さず、お日様の光だけで電気を得る21世紀の発電設備ゾイ」
「急に太陽光なんて、なにを企んでるの」
デデデが突然人のために行動するたびに、何かしら企みをしてきたのだからフームが警戒するのも当然である。
「ワシは国民の電力不足と国民の将来を考えて、SDGsの精神に目覚めたゾイ」
「これで村の電気は賄えるでゲス」
「それは無理ね。これだけじゃ村の電力全部賄えないわ。太陽光発電はパネルをいっぱい敷き詰めないと十分な電力を得られないの。それに雨が降ったら発電できなくなるし」
「これでは足りんのかゾイ」
「しかし、城の中庭以外に陽当たりのいい場所はないでゲスよ」
「あとは、屋根の上に乗せるとかだけど。この城の屋根みんな傾斜が大きくてパネルが落ちてしまうわ」
デデデ城の屋根はどれも円錐型で造られており、一番角度が緩いところでも太陽光を乗せられない。このままでは電力危機を解決できないばかりか、太陽光パネルの金が借金として積み上がるだけ。
「ある程度なら、自家発電で一家庭では余るぐらいの電力はできるけど」
「自家発電? 自分で電気を作るの」
「ええ、家で消費される電力を自給自足で賄うことができるのが太陽光発電の良いところなの」
「あっ、いいこと思いついたゾイ」
「ぽよ?」
嫌な予感。とカービィを除いたこの場にいた全員が思った。
デデデは余った太陽光パネルを村の広場にまで運び出すと村人たちに向かって宣伝を始めた。
「あーあー、電力不足で暗闇に過ごしている貧しき人民ども。今日は革新的電力不足を解決するものを持って来てやったゾイ。この太陽光パネルは屋根の上に乗せてお日様の光を当てるだけで発電できる環境に配慮したすばらしい発電機ゾイ」
「おお、これで電力不足を解決できる」
「さっすが陛下。俺たちにタダでくれるなんて」
村人たちがやんややんやと太陽光パネルをくれると思って賛辞の言葉を投げかける。だが、デデデは片目を瞑り突き放す。
「誰がタダでやると言った? この太陽光パネルは貴重品であるため、特別価格20万デデンで売ってやるゾイ」
「「ええ!?」」
20万デデン。中古の車一台買える金額だ。そんな大金村人全員買える額ではない。
「その代わり、余った電力は売ってお金に変えることができるゾイ。節電すれば売れる電気が増えてお金もがっぽり。長期的に見れば20万デデンは投資費用としてあっという間に返済、家計の負担も減らせる仕組みゾイ」
「余った電気は太陽光を設置してない貧乏なご家庭に供給すると、村の中で助け合いの精神も生まれる。太陽光とSDGsの村ププビレッジをつくるのはあなたたち」
「ワシから電気をもらう場合は特別料金を徴収の上で安定供給を約束するゾイ」
お金が返ってくる。助け合いの精神が生まれる先進的な村になる。魅力的な言葉が並び、最初戸惑いと文句を言っていた村人たちが急に押し黙っていた。そこに名乗りを挙げたのは、レン村長だった。
「わしはやろう。牧場の一部を使えば多く電気をつくれる。みな、わしのヒツジさん電力の電気を使ってくれ」
「俺もやる。コンビニは電気いっぱい使うし、非常用電源として置いておきたい」
「俺もカワサキ電気始めるよ! 何もしなくても電気を売るだけで儲かるビジネスチャンスだ!」
お金のある村人たちは次々に前金を払い、ローンや月払いで太陽光発電の契約を結び始める。お金のない村人は「村長さんとこからもらうなら安心だ」「でもデデデ陛下は太陽光パネルをいっぱい持ってるぜ。」
安定を求めてデデデに引き続き電気をもらうか、村長から電気をもらうか村人たちは話し合いを始めだした。
「これでうちの発電機はお払い箱か」
「短い特需だったな」
その一方で、電力不足で発電機を売り捌いていたガスとガングの二人は肩を落として、とぼとぼ歩いていた。
「ちょっとみんな、大事なこと忘れてない。みんなの電気を賄うのが目的でビジネスをするわけじゃない。太陽光は太陽がないと発電できないのよ。それに太陽光だけじゃ全部の電力を賄えない。エネルギーミックスをしないと」
しかし誰もフームの言葉に耳を傾けない。村人みんな目の前の電気をもらい、その片手間に儲けられるかに夢中なのだ。
その中でただ一人、キュリオ師だけは別だった。
「世の中には完全無欠の発明はない。だが人は完璧なものがあると信じてしまう」
「キュリオさんは、止めないの」
「太陽光発電の普及自体は悪いものではない。だが人が作ったものは何かしら欠点がある。太陽光が悪者にならないように祈るしかない」
「太陽光発電が悪者?」
村の屋根はすっかり近未来的な様相に生まれ変わった。太陽光パネルが設置された家々が並び、人々は自家発電で自分の家の電気をつくり、余った電気を他の家にお裾分け。
村長の牧場に設置された太陽光パネルも順調に稼働しており、あの強欲なデデデから好き勝手にされる恐れもないと契約者が多かった。
レン村長は自宅から自前の太陽光パネルの煌びやかさに感心していた。
「いやぁ。村のために設置したが、壮観じゃなぁ。発電量もなかなか、また新しく契約者が来ることじゃろうしパネルの追加発注でもしようかな」
「村のためなのはいいことですが、ひつじたちの動ける場所が少なくなりませんか。ほらあのひつじ、あそこお気に入りの場所だったんですよ」
村長夫人のハナが窓から指したところにいたひつじがもの悲しそうにパネルの下を見つめていた。あそこはひつじが日光浴するのにいい場所だったのだ。
「村長さん、明日雨みたいですよ。向こうの雲があやしい」
「そりゃいかん。明日は節電せんと。晴れでなければ発電できん」
「うちはともかく、供給している村の人たちになんて説明するんですか」
レン村長は押し黙ってしまった。
天候による供給不安の声は、大人だけでなく子どもたちにも伝播してしまう。
「また節電要請だよ。この間父ちゃんがロウソク倒して火傷したのに」
「太陽光って役に立たねーな。最初は未来的でカッコいいと思ったけど、すぐ見慣れたし」
「おめーたちは、電気代払えるだけでいいだろ。こっちは無職の文無ピンクボールのせいで夜は真っ暗、テレビもつけられねえ」
「フームのところはいいなぁ、お城だからデデデから電気もらってるんでしょ」
イロー、ハニー、ホッヘの三人がフームとブンを羨ましがるが、フームは否定する。
「ぜんぜん。デデデったら供給安定化のためだって料金値上げされたのよ」
「それに城の供給設備も同じ太陽光だから、天気が悪くなるとみんなと同じ節電だぜ」
「これが電力需給の偏りってことね。今週にはダムが直るはずなんだけど」
不安に苛まれる中、エスカルゴンが乗ったデデデカーが村にやってきた。
「はーいみなさん。今月の売電の成果でゲスよ」
「待ってました」
「これが楽しみだったんだ。レストランの電気とか必要経費色々ケチった甲斐があるってもんだ」
どかどかと、太陽光発電を選んだ村人たちがエスカルゴンの前にやってきて売電の成果をもらいに手を出す。そして渡されたお金は、100デデンか200デデンで多くても1000デデン程度だった。
「これっぽっち!?」
「結構節電したのに」
「太陽光パネルの量が多ければ、その分お金が増える富めるものはお金が増える仕組み。ぐずぐず文句言わず10年貯金すれば払った金ぐらいは貯まるでゲス」
がっくりと肩を落とす村人たち。そしてフームはやっと、デデデが太陽光発電を悪どいビジネスに利用していると気づいた。
「還付金目当てに消費者を釣り上げて、利益を吸い上げる仕組みだったのね」
そんな中、デデデ城の広間ではデデデが大画面テレビを前にして自分の番組を見ながら高笑いしていた。
『電気を節約したい。
二酸化炭素や化石燃料に頼らないエコ志向な方。
朗報でゲス!
この度我がデデデ電力が提供する太陽光パネルなら、自給自足による環境に優しい発電で、あなたの家もクリーンエネルギーに一役買います。
さらに今ならキャッシュバックチャーンス!!
お申し込みは、0120の315のDDDまで』
「どぅあっはっは。ホーリーナイトメア社から買った太陽光パネルを高く売り付け、キャッシュバックという小銭を渡せばみんな食いつくとは。ワシは頭が良すぎるゾイ」
商売が上手く行きすぎて高笑うデデデはポテチをつまみにゆったりとした午後のひと時を過ごそうとした。が、プツンとテレビが消えて、テレビが壁の中へ戻ってしまった。
「エスカルゴン! キサマ、ワシの午後のワイドショーを見る時間を邪魔しおって。反逆罪で極刑ゾイ」
「なに言ってるんでゲスか、太陽光発電でうちの城の電力が足りないというのにそんなバカでかいテレビを見るなんてもう。小さいテレビで見たらいいでゲしょーがよ」
「ワシは大王。小さなテレビでは満足せんゾイ。それにこの部屋も暗い。もっと明かりをつけないと、ワシの目が悪くなるゾイ」
「節電の一環。不要な電気や過剰な照明をやめて電気を使わないようにしないと、城の電力があっという間になくなるでゲス」
「あーもどかしい電力不足問題ゾイ」
多く発電できるはずのデデデ城も電力不足問題に直面し、大弱りになっていた。そこにワドルドゥ隊長が入ってエスカルゴンに報告をした。
「閣下。ダムにいるワドルディたちより連絡があり、明日には電力が復旧するとこのこと」
「おぉー!! ついに」
「この節電生活からおさらばゾイ!!」
ついに電力不足問題から解放されるとデデデとエスカルゴンが抱き合って大喜び、とデデデは「が、待てよ」あることに気付き、エスカルゴンの首にチョークスリーパーをキメる。
「ちょ、おい。苦しい、締めてるでゲス。カタツムリをシメても美味くないんだから放せよ」
「もし電力不足が解消したら今後太陽光発電ビジネスが続けられんゾイ。せっかく村人どもから巻き上げて新しい魔獣を買う資金源ができんのは痛い。…………あっ。またまたいい事を思いついたゾイ。我がデデデ電力は今後ーー」
「全国再生エネルギー化ですって!?」
テレビの臨時ニュースの報道を見て、フームは驚愕した。
『えー我がデデデ電力は環境保護の観点から、環境悪化の原因となる発電施設を閉鎖することを大王の一存で決定したゾイ。従って、今後貴様らは太陽光発電以外の電力を使ってはならん』
『これに違反した住民は、環境破壊を促す危険人物として化石賞を受賞させるでゲス』
『また今後太陽光発電推進のため、デデデ電力は料金を値上げするゾイ。これも環境のためしっかり払うように』
「ひどいわ。水力発電を直す約束を破るなんて!」
『約束を破るのは独裁国家の特権ゾイ。どぁはははっ!!』
「なんてこった。村長さんとこの発電所だって限界が来るぜ」
「これは独占企業による価格の釣り上げね。ダムを壊される前に止めに行かないと」
フームはブンとカービィを引き連れてダムへと向かった。
ゴロゴロと天候が怪しい中、三人はダムにようやくたどり着いた。ダムの崖の上にも太陽光パネルが設置されており、城の足りない電力をここで作っていたようだ。まだデデデやワドルディたちの姿はなく取り壊しはされてないようだ。
フームが発電所の中に入る。外の暗さもあって中はほんの少し奥に行くだけで真っ暗だ。
「姉ちゃん、こんな暗い中で発電所なんか直せんのかよ」
「懐中電灯は持ってきてるわ。それにデデデにエネルギー資源を独占されたら村のみんなが困窮するわ。絶対に止めないと」
「ぽよ!」
懐中電灯の灯りを頼りに、奥へ奥へと進んでいくとガタガタと機械が重たい音を立てるのが聞こえた。懐中電灯を前に向けると、発電所のタービンが稼働していた。
タービンが稼働しているということは、ダムは電力をどこかに供給していること。
次の瞬間、フームたち全員に照明が照らされた。
「ふふふ。のこのことやって来よったな過激派環境保護団体ご一行殿。このダムはデデデ電力の所有物ゆえ今すぐ立ち退くゾイ」
「待ち伏せていたのか!」
「それより、これはどういうこと。ダムの電気をどこに流してるの!」
「教えてあげなーい」
「逆らうなら武力行使ゾイ。レーザーボール照射」
デデデたちが退くと、その後ろから一筋の光線がフームたちの足元を焼き上げた。
「「わああ!!」
ビュンビュンと高速で何度も撃ってくる光線の嵐にフームたちは逃げるばかり。すると、バリンと壁の窓が急に壊れて、ガラスの破片が床に落ちる。
「フーム! ここから脱出しろ」
脱出口を作ってくれたのはメタナイト卿だった。彼に誘導される形で発電所から出ると、フームたちの眼前に発電所の建物よりも巨大なガラス玉のような物体が鎮座していた。
「見たか! これが光線魔獣レーザーボールの威力」
「ダムの電気を使うことで通常の何倍の光線を浴びせられるでゲス」
「そうか、急にダムを壊すってテレビで伝えたのは俺たちを誘き出すためだったのか」
「まんまと釣られおったゾイ。やれ、レーザーボール。カービィを黒焦げにしてしまうゾイ」
レーザーボールは顔をカービィの方に向けて、体を光らせると鋭い直線の光線を浴びせる。地面が抉れるほどの強力な光線がカービィに直撃し、ピンクの体に焦げ目がつく。
「カービィ! 吸い込みよ!」
フームの呼びかけでカービィは立ち上がると、レーザーボールが放った光線を飲み込もうとする。が、光線があまりにも早く体が弾かれた。
「ダメだ。レーザーが早すぎて吸い込まねえ」
ブンが苦々しく敵の素早い攻撃をどうするか悩むと、メタナイト卿が剣を取り出してレーザーボールの光線をカービィに向けて弾きかえす。
「そのまま口の中に光線を入れるぞ」
メタナイト卿の指示に従い、カービィは口を開けたまま待っていると、反射された光線が口の中に飛び込んだ。
光線をコピーしたカービィは、黄色と赤の二股帽子にステッキを持った姿にコピーしていた。
「ミラーカービィ?」
「いや、よく似ているが。あれはビームカービィだ」
『ビームウィップ』
ステッキから伸びた光線のムチがバシッバシッと魔獣のボディを叩きつける。しかしレーザーボールは怯まず、ガトリングの弾を撃つようにカービィに撃ちつける。
「無駄無駄。こいつは電力をエネルギーに変える魔獣。倒すなら発電所を壊さないとダメでゲスが。お前たちにそれができるな」
「こいつにつなげるコンセントが短いからここでしか使えんのが欠点だがな。だっはっはっは」
「おいそれ言っちゃだろだろうが!?」
それを聞いたフームは魔獣の周辺にコンセントの線がないか懐中電灯で照らして探すと、一本の黒い線が発電所と魔獣の間を走っていた。
フームはそれをカービィに伝えると、カービィは走り出して走り幅跳びのように飛び上がって。
『ビームマシンガン』
下に向けてビームを発射させて、黒い線を切り落とすと魔獣レーザーボールはみるみるうちに輝きを失っていく。
「やった! これで魔獣のレーザー光線は使えないわ」
「止めだ!」
カービィの体の周りに光線が集まると、もう一つの大きなカービィができあがる。
『はどうビーム!!』
それが放たれると、カービィの姿をしたビームの塊がレーザーボールに直撃して、崖に押し込まれて爆発四散。その余波で崖が崩れてしまい、その下にいたデデデとエスカルゴンが土砂の下敷きになってしまった。
「お前が太陽光パネルをあんなところに作ったから、盛り土が崩れてしまったゾイ」
「陛下が城以外でもっと太陽光パネルを増設しろって言ったからあそこに作ったんでゲショうがよ。命令されたから作ったんだけ。責任は陛下にあるでゲス」
「これに懲りたら、ダムの電力を村に供給することを約束することね。それとも不便な生活を、送りたい?」
「わ、わかったから。早く助けるゾイ」
雷雨が去った翌朝、村の電力はすべて回復して元の生活に戻っていた。
家々からはテレビの音声がなり、主婦たちが掃除機と洗濯機が絶え間なく聞こえてくる。
「やっといつもの日常に戻ってきたわね。でもせっかくのクリーンエネルギーがデデデのせいで印象が悪くなってしまったわ」
「遅かれ早かれこうなるやもしれんかったかもな」
フームががっかりしていると、キュリオ氏がやってきた。
「わしが若い頃はすべての家に太陽光パネルがつけるのが未来のあるべき姿じゃと思った。きっとみな、その未来を手に入れようとして、現実の欠点に耐えられんかったんじゃ。わしらが描いた未来は結局絵空事だったのかもな」
「そんなことないわ。ちゃんとした制度を作り上げて、欠点を改善すれば、太陽光パネルはちゃんとしたエネルギー資源になるわ。太陽光自体が悪いわけじゃない」
フームたちの足元に、3台のミニカーが通り過ぎた。
「姉ちゃん、これガングがあまった太陽光パネルで作ったソーラーカーだぜ。電池いらずでカッコいい」
「ぽよい!」
「もしかしたら、あれが未来の姿かもしれないわ」
「ああ、絵は現実になるのはもしかしたら早くなるかもしれんな」
みんなもうカービィのBlu-rayセットもう予約したかな。
このBlu-rayセットにはカービィがププビレッジに来る前のお話から、アニメでは放映されなかったお話までそろっているんだよ。
これでいつでも、カービィたちと会えるね。
『次回予告』
みんなは歯は毎日みがいているか。俺は昔ハーデーっていう魔獣に無理やり治療されてすっげー痛い思いしたけど、虫歯が治って助かったんだ。今年もまた村のみんなが虫歯になって、しかもヤブイ先生が病気で誰も歯を治せない状況なんだ。
こういうときカービィがって、カービィは歯がないんだった。
次回は虫歯にならない話だぜ。