ホシグマのヒーローアカデミア   作:鳥松

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ホシグマと個性把握テスト

 

 

ホシグマがボールを投げた後速やかに50m走が行われる。生徒たちは次々と走り終えていき、その中で特段目立っていたのは3.04秒という記録を叩き出した飯田とそれに次ぐ記録を出した轟焦凍だろう。

飯田は足の排気筒から煙を出しながら走行していたところを見ると個性は『エンジン』などの足の強化系だろう。

 

 

轟は氷を重ねながら移動していたため氷を出す個性なのだろう。しかし轟の髪色は赤と白のツートンカラー。髪色と個性というのは密接な関係で結ばれている。電気系の個性の人間の髪色が黄色や青色だったり炎熱系の個性の人間の髪色が赤色だったりと髪色と個性は関係が深い。

 

 

このことから察するに氷結系の個性とあともう一つ、恐らく炎熱系の個性もあると考えておくといいだろう。

 

 

他の生徒の記録風景を見ながら分析していくとあっという間にホシグマの順番になった。ホシグマの出席番号は17番なので後半に位置している。隣のレーンには朝から不良ムーブをかましていた爆豪という生徒。妨害は流石にしてこないと思うが警戒はしておこう。

 

 

スタートラインに立ち、合図を待つ。そしてスタートの合図が周りに響き、二人は走り出す。いや爆豪という生徒に関していえば走るという表現は違う。爆豪は掌から爆発を発生させ、その勢いで前へと進む。普通に走るより明らかに早い速度で爆豪は進んでゆく。

しかしホシグマも負けてはいない。スタートと同時に地面を勢いよく蹴ったホシグマの移動速度は爆豪のそれより速く、そのまま爆豪を追い抜かす。

 

 

記録はホシグマは4.02秒。爆豪5.04秒であった。

 

 

終わった後爆豪は悔しそうに舌打ちをしていたがホシグマはこの記録に関してはよくやった方だと自負をした。もう少し距離が長ければもっと速かったと思うがそれでもやはり一位でなかったのは少し悔しく思っていた。

 

 

次の競技は握力測定。異形の個性であり尚且つ増強系の個性であるホシグマとは相性のいい競技だ。順番となり測定器を手に持つと息を深くゆっくりと吐いて準備を行う。

 

 

「フッッ!!」

 

 

96㎏。それがホシグマの記録だった。測定器の針が一周しそうだったがギリギリそれには届かなかった。最初のボール投げのこともあり様子を見ていた他の生徒たちからも驚きの声が上がる。

 

 

しかし、これに超える生徒が一人。ホシグマの居候先である八百万百である。明らかに非力そうな彼女がホシグマの記録を超えた方法は個性『創造』で万力を作り出してそれで記録を行ったのである。個性の産物であればいいのだろうが何人かの生徒は疑問の目を相澤へ向けた。

 

 

次の種目は立ち幅跳び。

ホシグマの個性は言ってしまえば増強系の個性。というわけで競技が変わろうが他の生徒のように難しいことをする必要はなく、ただやるだけである。

深く地面を踏み込み、勢いよく大地から飛び立つ。その美しいフォームは他の生徒にまるで翼が背中が生えているかのように錯覚させた。記録は6mだった。

 

 

次の種目は反復横跳び。

やることは変わらないがある生徒二人がホシグマのことを注目して見ていた。正確には身体のある部分である。

 

 

「揺れる……!」

 

 

「わかる。いいよな…」

 

 

「わかんのかお前ェ!?」

 

 

金髪とブドウ頭のバカ二人がホシグマに邪な視線を送り、意気投合する。因みに記録は125回だった。

 

 

ボール投げ

ホシグマは先程測定を終わらせたのでやっていない。

この時特に目立っていたのは無限という規格外の記録を出した麗日お茶子と第五種目までヒーローっぽい突出した記録が一つも出せていない、緑谷出久だった。彼の2度目の投球は爆豪の記録を704mを0.1m上回るという大記録だった。

 

 そのかわり、指が赤黒く変色してしまっていた。

 

入試で見た時のようにダメージを受ける代わりに超パワーを発揮するといった個性なのだろうか。

 

 

その後も長座体前屈や上体起こし、2000m走などがあったが特に目立ったのは2000m走でクラスで2番の記録だった。流石に八百万のバイクには勝てなかったがいい記録ではあるだろう。

そしてこれでテストの全種目が終了した。

 

 

「んじゃ、パパっと結果発表」

 

 

「トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明すんのは時間の無駄なので一括開示する」

 

 

 

 そうして、手元のリモコンを操作して順位を示す前に、相澤先生はポツリと告げた。

 

 

 

「ちなみに除籍はウソな」

 

 

 

 ほぼ全員の目が点になった。

 

 

 

「君らの最大限を引き出す合理的虚偽」

 

 

「「「はーーー!!!??」」」

 

 

 

 最下位だった緑谷なんて、叫び過ぎて亡霊のようになっている。

 

 

 

「あんなのウソに決まってるじゃない……。ちょっと考えればわかりますわ」

 

 と、八百万は言うがホシグマには少し疑問が残った。緑谷の入試記録は個性や試験時の挙動を見ると恐らくあまりポイントは高くない。いやもしかすると0Pだったかもしれない。テスト前に見込みがないと判断して除籍にすると言っていたがあれは緑谷個人に対して言っていたものなのだろう。

 

 

そんなことを考えていると先生は保健室利用書を緑谷に手渡し、生徒たちの前を去ってゆく。

 

 

相澤の評価が変わったのは恐らくボール投げの時だろう。入試の時は個性を使った時は腕全体が折れ、その後痛みで動けなくなっていたが、今回は人差し指一本だけで負傷を済ませ、その後の種目も行っていた。入試の時は恐らく個性の使い方がよくわからずベタ踏みしている状態で使用部位を選ぶことすら出来なかったのではないだろうか。

それを彼はぶっつけ本番でやってのけた。

 

 

(ああ…やはり彼は素晴らしい…)

 

 

緑谷を羨望の目で見るホシグマを八百万はムッとした表情で見ていた。

 

 

個性把握テスト結果:星熊勇 順位1位

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホシグマさんすごいね!どういう個性なの!?」

 

 

「八百万さん個性すごいね!推薦入学者って本当!?」

 

 

個性把握テスト終了後、女子更衣室では実技試験一位のホシグマや推薦入学者の八百万が他の女子生徒に囲まれていた。

 

 

八百万はその様子に少し圧倒されていたが顔は満更でもない様子である。

 

 

「わ、私の個性は『創造』ですわ。構造を知っている物でしたら、何でも出せますわ。コスチュームには辞典をつけるよう要望も出していますの」

 

 

「何でも?!! ……お、お餅とかも?」

 

 

 

 最初に"何でも"に食いついたのは、貧乏苦学生、麗日お茶子だった。

 

 思いつくのがお餅なあたり、大変庶民的である。

 

 

 

「お餅、はわかりませんが、食材などは大抵構造が複雑すぎて作ることができませんの」

 

 

 

 期待に添えず、とションボリする八百万に、更に1人"何でも"に食いついた子が話しかける。

 

 

 

「そんな便利な個性だと家族からも色々頼られたりしない?」

 

「? 大体のものは家に置いてありますので、わざわざ私が出すことはありませんわ。それに脂質を消費してしまいますし……」

 

 

「脂質を、消費?!」

 

 

 

 脂質と聞いて、反応してしまうのはヒーロー科女子であっても同じである。約一名は別のある特定の部位に注目したようだったが。

 

 

 

 

 

「ええ。ですから推薦入試を受けるにあたって、食べる量を増やす訓練をしましたわ……」

 

 

「脂質を使う個性も、大変なんだね……」

 

 

 

 訓練は割と本当に辛い記憶だったようで、八百万の顔に隠しきれない影が差したので、脂質を消費することを羨む者は居なくなった。

 

 

 そもそもここはヒーロー科。アウトドア派の集まりなので、痩せないことに真剣に困っている女子はいなかったのだ。

 

 

 

 そしてここでついに、ピンクの肌と黄色い角、それから白目の部分が黒いという白目なんだか黒目なんだかよくわからない特徴を持つ少女、芦戸三奈が核心的な質問を投げかける。

 

 

 

「薄々、思ってたけど、八百万さんってもしかして結構なお嬢様?」

 

 

「お嬢様と言うほどでは……お父様が小さな会社を営んでいるだけですわ」

 

 

「いやいや、それがお嬢様だから……」

 

 

「え?? そうでしたの? 中学には同じような方が多くいらっしゃいましたが……」

 

 

「お、お嬢様学校……。ホンモノや、ホンモノのお嬢様や」

 

 

「じゃあホシグマさんは!?」

 

 

芦戸が今度はホシグマに向けて質問した。

 

 

「私は『鬼』という個性です。異形型の個性で簡単に言えば身体能力の強化ですね」

 

 

「へぇー、通りで握力とかが強いわけだなー…」

 

 

「じゃあその角も鬼だからってこと?」

 

 

「そうですね、この角は生まれつき生えていたようなので」

 

 

「ちょっと触らせて貰ってもいいかな!?」

 

 

「ええ、どうぞ」

 

 

そう言ってホシグマは自分の頭を透明で姿が見えない葉隠に差し出し触りやすい体制になる。

 

 

「おおー……冷たくて鉄みたい…!」

 

 

「ほんと!?わたしもいい!?」

 

 

「ええ、もちろん」

 

 

芦戸の言葉を機にA組女子生徒はホシグマの角をおれやこれやと言いながら触る。

そしてそれを見ている八百万は自分の胸の中で何かモヤモヤした感情を感じた。

 

 

「み、皆さん!今後の見聞のためにも皆さんの個性を教えてもらえないでしょうか!」

 

 

「もちろんいいよー!」

 

 

「自己紹介なら、私からいいかしら。私は蛙吹梅雨。梅雨ちゃんって呼んで。個性は『蛙』で、カエルっぽいことは何でもできるわ。舌を伸ばしたりあとは少し痺れるだけだけど毒の粘液を分泌したり……」

 

 

「長座体前屈のあの舌は衝撃的だったよ……」

 

 

「前屈とは」

 

 

 話を個性に戻して、自己紹介をしたのはどことなくカエルっぽい顔立ちの少女、蛙吹梅雨。絶妙なカエルっぽさと絶妙な可愛さを持ち合わせている。

 

 

「ハイハイ! 次、私ね! 名前は葉隠透。個性は『透明化』だよ! 一応、光曲げてる系だから、歪めることもできたり」

 

 

 葉隠の手の部分(?)が輪郭を取るように歪み、辛うじて見えるようになる。ただ、今のところ歪んだ光景を写しても意味がないので、基本透明なのだという。

 ちなみに抜けた髪の毛も透明らしく、葉隠は1本引っこ抜いて見せてくれた。全員、どこにあるのかも見えなかった。

 

 

「へぇ〜。髪の毛も透明なんだ」

 

 

「いや流石に剃ってるわけないでしょ」

 

 

 

「瞳孔も見えないですけど、どうやって見てるんでしょう……」

 

 『創造』や『無重力ゼログラビティ』などは物理法則を超越しているが、葉隠の『透明化』は地味なところで一番不思議な個性かもしれない。

 

 

「言ってもいい? ウチは耳郎響香。漢字は目鼻口耳の耳に太郎の郎で耳郎。響く香りで響香だよ。んで、個性は『イヤホンジャック』。このジャックを刺したところの音を聞いたり、心臓の音を爆音にして流したりできる。あと、ジャックは伸びるし自分で動かせるよ」

 

 

 フヨフヨと響香の耳から生えたプラグが、コードを伸ばしながら支えもなく宙を漂う姿は不思議だが、特定の部位を浮かべて使う個性は珍しいと言うほどではなく、みんな見慣れている。

 

「すごいっ! ふにふに!」

 

 

「ちょっ、触んな! ヘンな感じがするんだから」

 

 見えないが、葉隠が宙に漂っていたプラグのどこかを掴んだらしい。見えないが。

 

 

「オホン。私、麗日お茶子。個性は『無重力』で、この肉球で触ったものを浮かせられるんよ」

 

 

腕をクパクパさせて肉球を見せるお茶子。暴発したりしないのだろうかとふと思ったホシグマであった。そして芦戸が焦ったように口を開く。

 

 

「うわっ!?てかもう時間ヤバッ!」

 

 

「本当だ!急ごう!」

 

 

ふと時計を見た芦戸が言うと他生徒も急いで更衣室から去ってゆく。

初日としては中々良い滑り出しだろう。女子生徒だけであるが自己紹介を済ませ和気あいあいとした雰囲気で終われただろう。

 

 

しかし、まだ雄英での生活はまだ始まったばかり。試練はまだまだこれからである。

 

 




記録もっと盛ってもよかったかも…。

今回の補足
·揺れる…!
大きいからね、仕方ないね。

·勝負
八百万と勝負みたいな感じにしたかったけどあんまり思い付かなかった。くやしい。

·角
異形型の個性の人たちは多分個性の発現が5歳とかからではなく生まれつき持っているんだと思います。異形型の個性の子供たちが親に捨てられてしまう事案が発生するのはこういうことが起こっているからだと思います。自己解釈ですが。

·素晴らしい…
別に緑谷に恋してるとかそんなことは全くない。ただ凄いなぁ、と思っているだけです。


·創造
食べ物とかは創造出来るのかな…。まあ構造が難しくて無理ということで。

·八百万
緑谷にただならぬ視線を送ってたりクラスの女子にちやほやされてるホシグマを見てちょっとモヤッとしている。多分嫉妬。
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