個性把握テスト後、一応爆速でガイダンスが行われ、その日はそれで解散となった。
そして、本日はその次の日。雄英高校生活
2日目である。
午前は通常通りの普通の高校とあまり変わりのない授業が行われた。とはいえ偏差値79の超絶エリート高校なので授業の進むスピードは段違いだ。
そして本日の午後からは普通の高校にはない全く新しい授業が用意されていた。
「わーたーしーがー!普通にドアから来た!!」
授業の本鈴とともに力強くドアが開き、筋肉モリモリの大男、オールマイトが教室に入室した。
といいうのも午後からの授業は「ヒーロー基礎学」、トップヒーローであるオールマイトが担当する授業でヒーロー科でなければ存在しない授業が始まろうとしていた。
「早速だが、今日はコレ!戦闘訓練!!そしてそいつに伴って・・・こちら!入学前に送ってもらった『個性届け』と『要望』に沿ってあつらえた…コスチューム!!」
教室の壁が迫り出して、コスチュームが入ったロッカーが現れる。これには全員のテンションが上がる。中には立ち上がって喜ぶクラスメイトもいる。
「着替えたら、順次グラウンドβに集まるんだ!」
ホシグマも自分が申請したコスチュームを手に取り、更衣室に向かおうとする。しかしホシグマにとって最も大事なものがなく、ホシグマの頭にハテナマークが浮かぶ。するとオールマイトから助け船が出される。
「星熊少女!君の盾は大きすぎてケースに入らなかったから別途にケースを用意した。持っていくといい!」
「……! 感謝します、オールマイト」
オールマイトからケースを受け取り、ホシグマも更衣室へと向かってゆく。
そして更衣室にてコスチュームに着替えているとコスチュームについて楽しそうに話す生徒の姿があった。
「ヤオモモ露出多すぎない!?なんで!?」
「い、いえ要望通りですわ。むしろ減ったぐらいですので…」
「ホシグマさんの盾?は大きいんだね!重くないの?」
「いえ、ご心配なく。鍛えてますので」
更衣室でそのような交流があった後、更衣室を出てグラウンドβへと向かってゆく。その途中でホシグマが八百万に話し掛ける。
「もう少しデザインのしようがあったのでは?」
「こちらの方がやりやすいかなと……そういう勇さんも腕をさらけ出しているではないですか」
「いえいえ、あなた程ではありませんよおじょ…八百万さん」
一瞬、言い間違えそうになったが雄英高校ではお嬢様呼びはいけないのだった。周りにはバレてはないと思うが気を付けてないとお嬢様に怒られてしまう。
グラウンドβに着くと既に何人かの生徒は到着しており、残りの生徒もあと数人と言ったところだった。暫くすると全員が現着し、オールマイトから今回の戦闘訓練について説明がなされる。
初めてのヒーロー基礎学は、屋内での対人戦闘訓練であった。生徒は『ヴィラン組』と『ヒーロー組』の2対2のコンビに分かれて屋内戦を行う。
状況設定は『ヴィランがアジトに核兵器を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしている。ヒーローは制限時間内にヴィランを捕まえるか核兵器を回収する事。ヴィランは制限時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえる事』である。
核兵器の回収はタッチする事。捕まえるには捕縛テープを相手に巻き付ける必要がある。
シンプルだが戦闘力、そして戦略性がなされるルールとなっていた。
そしてペアの組合わせはクジ引きで決めるとのことであり、ホシグマもクジを引くと、ペアになったのは、葉隠透だった。因みに二人はヴィランチーム。核を守るチームである。
「よろしくねホシグマさん!」
「ええ、こちらこそよろしくお願いいたします」
「よし、ペアも決まったところだし、早速訓練、初めていこうか!!」
初めての戦闘訓練は第1試合からド派手な戦いとなり、爆豪君が個性で大爆発を起こしたり、緑谷君が一階から上の階の床を全部ぶち抜いたり、彗星ホームランだったりと盛りだくさんだった。
そしてホシグマと葉隠の番は2試合目から。相手は氷の個性である轟焦凍と大柄で六本腕の障子目蔵だった。
「では作戦を練りましょうか。何か考えがあるでしょうか」
「はい!正面から迎え撃つ!」
葉隠から元気のよい返答が返ってきた。考えずの発言に聞こえるが正面戦闘の得意なホシグマからすれば最も簡単で相性が良く、尚且つ勝率も高い作戦と言えるだろう。
しかし、今回に限ってはあまり宜しくない。
「確かにそれもいいですが今回は相手が悪いかもしれません」
「そうなの?」
「ええ、今回は広い屋外ではなく狭い屋内、そして相手である轟さんの個性は恐らく氷の個性。この狭い屋内では室内を一気に凍らせることが可能かもしれません」
「確かに…!手も足も出ないってことに成りかねないってこと?」
「そういうことです。しかも私たちが見た轟さんの個性の出力は最大ではない可能性があります。
これもしかしたらの話ですがこのビルを氷漬けに出来るかもしれません」
「ええっ!?じゃあどうするの!?私たち勝ち目ないじゃん!」
葉隠が不安の声を出す。確かにここまで聞くと勝ち目などないように思える。
「ご安心を。小官に策があります」
「ほんと!?」
「ええ、まずはですね……」
『よぉーし!両チーム準備はいいかな!?それでは始め!』
轟と障子はビルの外からスタートした。障子はビルに入る前、複製腕から複製した耳によってホシグマと葉隠の位置を確認する。
「二人は三階で待ち構えているようだ。足音が聞こえた」
「そうか。離れてろ障子。巻き込まれるぞ」
そう言って轟がビルの外壁に触れ、個性でビルを氷漬けにしようとしたその時、
バリン!
「「!?」」
ビルから響くガラスが割れたかのような音。二人が驚いて上を見上げると、そこには衝撃の光景。
なんとそこには三角形の盾が上空から飛来してきているではないか。
「いいいいぃいいいぃあああぁ~~!!」
さらに盾から聞こえる葉隠の悲鳴。
やがて盾はそのまま地面へと激突し、土煙が舞う。
そして、息つく暇なくすぐさま人影が飛び出す。その影の正体は他でもない大盾を持ったホシグマであった。
「何!?」
「チッ!」
障子が驚きの声をあげる。そして轟が氷結で迎撃しようとした時だった。
「集光屈折!ハイチーズ!!」
土煙の中から辺りを照らす光が立て込む。その光の強さに思わず二人は目を閉じてしまい、隙が生じる。
その隙をホシグマは見逃さず、まずは大柄で戦闘が得意そうな障子を仕留めにいく。右手の大盾で障子の顔に強烈な裏拳。障子の脳は衝撃で揺らされ、ノックアウト。意識が途切れる。
次に狙うのはその奥にいるようやく目が開いた轟。今度は空いた左手で轟の顔を狙う。そしてその拳は轟の顔に直撃し、轟を大きく吹き飛ばす。
しかし、
(防がれた…!不意打ちだったはずだが…。やはり左手は使い慣れていないな……)
轟はホシグマの拳が顔に当たる寸前、自分の手でホシグマの拳を防いだのである。戦闘に心得のあるホシグマも驚く反射神経、No.2ヒーローの息子故の遺伝だろうか。
いずれにせよ、これで勝負を決めるはずだったホシグマの作戦は既に崩れ、ここからは轟有利の戦闘となる。
「ぐっ……!」
(あぶねぇ…!あと少し反応が送れてたら飛んでた…!障子はどうなった…!?)
「勇ちゃん!障子くんの拘束出来たよ!」
葉隠は気絶した障子を拘束テープで拘束しながらホシグマに言った。
「すみません、透さん!失敗しました!」
「えっ!?」
「透さん、ここからは!」
「分かってる!頑張る!」
そう言って葉隠はグローブと靴を脱ぐ。
そして警戒を怠らないホシグマの見る先は吹き飛ばされた轟だった。ホシグマの予想通り轟は再び立ち上がり、すぐさま氷結で攻撃を開始する。
轟の足元から氷塊が出される。その氷塊はホシグマに向けて真っ直ぐ進み、そのままでは氷漬けにされてしまうことだろう。
しかしホシグマは盾で氷塊を障子を攻撃した時より強く、力一杯殴りつける。すると、氷塊の勢いはホシグマの攻撃に押し返されるように止まる。
「チッ!」
(やっぱりあのパワーには生半可な威力じゃ駄目だ!ならもっと強い出力で…!)
轟は先ほどより強い勢いの氷結をホシグマに向けて出し、ホシグマに向け大きな氷結を作りだす。
周りは凍結し、ホシグマのパワーですらこれを防ぐのは難しかったようで、氷塊から身体を出すホシグマの姿があった。
「…流石に……無茶でしたか……」
「無理に…動くなよ…身体が割れるからな」
これで轟とホシグマの勝負は轟の勝利で決した。とはいえ轟も無事で済んではいない。防いだとはいえ常人には身に余る一撃、既に轟はフラフラで、立っているのがやっとの状態だった。
しかし、勝負が決したとは言ってもそれは轟とホシグマの間の勝負。まだ一人、伏兵が潜んでいる。
「捕まえたーー!!!」
「なっ!?」
拘束テープを持った葉隠が突然虚空から出現し、轟を拘束する。轟はまだ動けるとは言え、拘束テープで拘束されればアウト。そして、既に障子と轟、この両名が拘束されたことでこの勝負は既に決した。
『しゅーりょー!!二人が拘束されたので、この勝負はヴィランチームの勝ち!』
「ふぅーー……」
「やったね、勇ちゃん!」
「ええ、轟さんを仕留められなかったときは心配でしたが…なんとかなりました。透さんのお陰ですね」
「いやいやぁ!それ程でも!というかあんな作戦考えた勇ちゃんの方が凄いと思うけどね!」
ホシグマから褒められた葉隠が照れながら答える。心なしか赤く見えるのは気のせいだろうか。
「………聞いていいか?」
「なんでしょう?」
「なんで俺が最初ビルごと凍らすって分かった?始めから想定してないとビルから飛び降りるなんて判断は出来ないだろ」
轟がホシグマの氷を左手で溶かしながら質問する。
「ああ…それは…」
さて、ホシグマが今回の作戦を轟に話しているところでホシグマと葉隠の会話をもう少し振り返ってみよう。
◆
「轟さんの最善手、それはビルを氷漬けにして余計な戦闘をせず私たちを動けなくして核を奪還すること」
「うんうん」
「効果的な遠距離攻撃を持たない我々は轟さんがビルを氷漬けにするのを遠くからでは見ることしか出来ません」
「というわけで今回はビルの外にいる轟さんと障子さんを直接叩きます」
「うーん?それは分かるけどどうやって?ここはビルの三階だし、一瞬で轟くんたちの所に行くのは無理じゃないの?」
「いえ、一つだけ方法があります」
「それって……?」
「飛び降りればいいのです」
「えっ!?いやそれは流石に無理だよ!死んじゃうよ!?」
「この盾は衝撃をある程度吸収してくれますし、私の身体は頑丈なので大丈夫ですよ。それに飛ぶ時は私が葉隠さんを抱えながら飛ぶのできっと大丈夫ですよ」
「いやいや……」
「その後は私が二人を相手します。と言いたい所ですが流石に心配なので何かありませんか?一瞬だけ隙を作れるものとかあればいいのですが」
「あっそれなら任せて私めっちゃ光れるから!」
「それはありがたいです。では第1撃は葉隠さんに任せますね。それともし、その隙で二人を仕留めれなかった場合葉隠さんには辺りに潜伏して相手を拘束してください」
「オッケー!任せて!飛び降りるのはちょっと怖いけど!」
「ええ、ではそのように」
作戦立案の話し合いを終え、ホシグマが窓際に移動しようとすると葉隠が声をかける。
「あっ!そうだ!私のこと透って呼んでよ!私はホシグマさんのこと勇ちゃんって呼ぶからさ!」
「おや、いいのですか?ではお言葉に甘えてそう呼ばさせてもらいますね、透さん」
「あれ?別にさんを付けなくてもいいよ?」
「ですが、これはあの小官のポリシーのようなものですので…」
「そうなの?じゃあそれでいいよ!よろしくね!勇ちゃん!」
◆
「まあ、こんな感じですね」
「……負けたよ、ホシグマ。完敗だ」
氷をあらかた溶かし終えた轟がホシグマの話を聞き終え、口を開く。
「いえいえ、私も透さんがいなかったら勝てていませんでしたから」
ホシグマは謙虚に味方を認め、そして敵を認めた。この性格が彼女がよく人に好かれる所以と言えるだろう。
『さぁー!講評をするぞ!戻っておいで!』
オールマイトからの通信が聞こえ、ビルの地下室へと入ってゆく。気絶した障子は担架に乗せられて保健室へと運ばれたため、一緒に来ていない。
「さて講評といこう!何か意見のある人!」
「はい」
「八百万少女!」
八百万が率先して手を挙げ、意見を話す。博識な上、戦闘の解析が出来る彼女は将来優秀な人材となるだろう。
「今回の訓練、ヒーロー、ヴィラン共々それぞれの個性に合わせ、最善の立ち回りが出来ていたと思いますわ」
おおー、と生徒から声が挙がる。
「ですが、チームの連携という観点から見れば勇さんたちのチームが群を抜いていました。そして作戦が失敗した時のアフターケアもしっかり考えられており、そこが勝負を分けたと思います」
「うむ!そうだな八百万少女!素晴らしい意見をありがとう!それではどんどん次の組み合わせに行ってみよう!」
そして訓練はどんどん先へと進む。皆、高校生とは思えない程レベルが高く、日頃からの研鑽がよく見てとれた。
しかし、八百万がこの訓練で失態を犯してしまうのはまた別の話である。
今回は少し長くなってしまいましたね。戦闘があるとどうしても長くなってしまう。今回結構作戦を頑張って考えたので余計に説明に時間がかかってしまいました。
·ホシグマのコスチューム
基本的にはゲームのとデザインは同じ。腕を全部出してる所がとてもえっちだなぁと思いました。
·作戦
頑張って考えた。飛び降りる作戦はキャプテンアメリカから着想を得ました。
今回の作戦を端的に言うと相手の準備が完了する前に二人とも気絶させちゃおう!という感じです。ちょっと脳筋。
·轟くん
反射神経によって一発KOは避けれた。轟の最高出力はホシグマの個性では打ち消せないのでタイマンでは轟くんの勝ち。今回は葉隠さんがいたのでホシグマの勝利。
·ホシグマの一人称
コスチューム着てるときはお仕事モードってことで一人称を「小官」にします。
モチベーションに繋がるので感想や評価をくれるとうれしいです!