IS 蒼き者の生き様 作:妖刀
ラウラは延髄にプラズマ手刀を突き刺して倒すところまで予想できていた。だが
「……ムダダ」
蒼也はボソリと言った後、この時一瞬だけ纏っているオーラが大きくなった。そしてAICが効いている中、蒼也が振り向いてラウラと目が合ったのだ。
「なっ!?」
この時ラウラの背筋にまるで氷柱が張り付くかのような寒気がした。
「……っ!?」
そして危険を察知して蒼也から離れたとき、ラウラがさっきいたところに裏拳が素振りした。もし下がらなかったら一夏みたいに大怪我、いや大怪我では済まなかっただろう。ラウラは冷や汗を流した。
だが、なぜAICが効かないのかがわからない。だが蒼也の機体の特殊能力がAICを無効化したのはわかった。
『シャルロット、セシリア、起きていたら返事をしてくれ』
この時プライベートチャンネルで二人に呼びかけたとき、二人はわずかに身じろぎした。
『な、何ですのラウラさん……』
『ラウラ、どうしたの?』
『奴にひたすら射撃をしてくれ。一つだけ気になることがあるのだが』
『そうですか……、わかりましたわ』
『ぞれじゃあ蒼いのが私たちの方を向いてないときに仕掛けよ……ぅ……』
この時シャルロットは冷や汗をだらだら掻いていた。
『どうしましたの?』
『セシリア……、蒼いのがこっちを向いたまま、他の方を向かないんだけど……』
『え……?』
セシリアはちらりと蒼也の方を見た。蒼也は動かずにただ二人を見ており、そして一歩一歩歩いて近づいてきた。
シャルロットとセシリアは全く動いてないが汗が止まらず、気付かないでくれと祈った。そして二人の近くまで来た。
『ラウラ!助けて!』
シャルロットはとりあえず一番動けるラウラに助けを求めた。
『わ、わかった!』
ラウラは蒼也めがけて数発レールカノンを放ち、気をラウラの方へ逸らした。だが
「がふぅ!?」
セシリアの頭を思いっきり踏み抜き、セシリアは頭だけ地面に陥没して完全に気を失しなった。
「セシリア!?あっ……」
シャルロットはセシリアが踏みつけられたことに驚いて起き上がってしまい、蒼也と目が合った。
「ど、どうも……」
「……」
「もぉぉぉぉぉ!!勘弁してよぉぉぉ!!」
そして挨拶をしてみるが効果はなく、マシンガンを目に前に付きつけられたため自棄になったシャルロットは、涙目で右手にショットガン、左手にマシンガンを展開して一気に放った。
蒼也はシールドを使いつつ後ろに下がり、そして胸部ミサイルをシャルロットめがけて二発放ってさらに後ろに下がった。
シャルロットは後部ミサイルをかわして反撃に出ようとして立ち上がった。だが
「うわぁぁぁぁ!?」
後ろでいきなり大爆発が起きて、前に吹き飛ばされた。
何があったのかというと、ミサイルがシャルロットを通り過ぎていきなり自爆したのだ。威力はゴーレムⅢを一気に破壊できるほどの威力のため、爆風が異常ともいえるほどの力でシャルロットを吹き飛ばしたのだ。シャルロットは飛ばされ、地面を数メートル転がった後に何かに当たった。そして当たったものを見てみると色は蒼。恐る恐る上を見上げようとしたが、いきなり頭を地面に叩きつけられ目の前が真っ暗になった。
「シャルロット!」
ラウラはレールカノンをシャルロットの頭を踏みつけ、そしてうなじらへんにマシンガンを向ける蒼也に向けて放った。砲弾はシールドで弾かれ、そして蒼也がラウラの方を向いてスラスターを吹かした。
「よし!こっちだ!こっちに来い!」
ラウラは、先程から放たれてくるマシンガンの銃撃をうまく回避しながらレールカノンを放っていた。
「シャルロット!いまだ!」
その時だった。蒼也の右半身に大量の銃弾が殺到してきた。ラウラはシールドのついてない右半身がシャルロットの方を向くように誘導していたのだ。銃弾は蒼也をしっかりととらえるが、ほとんどが弾かれ、ダメージはそこまで入っていなかった。だが
「!?」
蒼也は何かの攻撃を受けて大きくのけぞった。この場にいた全員が何があったのかと思い辺りを見渡すと、そこには赤の装甲を纏ったツインテールの女子、鈴がいた。
「「鈴!?」」
シャルロットとラウラは鈴が現れたことに驚いたが、それより一夏のことが気になった。
「鈴、嫁は大丈夫なのか!?」
「大丈夫よ。傷はひどいけど命に別状はないみたい」
「そ、そうか……。よかった……」
一夏の命に別状はないことを知った二人は安堵の息を吐いた。そして鈴は蒼也を睨みつけて、右手に持ってた双天牙月の切っ先を向けた。
「あんたを倒して一夏の前で土下座させてあげるんだから、覚悟なさいよね!」
「私もいるぞ!」
蒼也はこの時、体を少し動かしたら先程いたところに斬撃みたいにエネルギーの刃が飛んできた。そして蒼也は後ろを見た。
「「「箒!」」」
そこには背中の展開装甲部が破壊された状態ながらも雨月と空裂を構えた箒がいた。
「シャルロット、そういえばセシリアは?」
鈴はセシリアがいないことに疑問がわき、シャルロットに聞いた。シャルロットはその時、苦い顔をした。
「セシリアはあそこに……」
鈴はシャルロットが指さした方を見ると顎が外れたかのような顔で絶句した。
「いや、頭だけが地面に埋まってるってどういう状況よ!」
「いや、あの蒼いのがセシリアの頭を踏んでさ、そしたら頭が地面に埋まったっていうわけなんだよ……」
この時鈴は何も言えない顔をした。
「そ、そう……。まあそれは置いといて早く蒼いのを倒すわよ!」
「「「わかった!(わかりましたわ!)」」」
そして四人は蒼也を取り囲むかのように、上空で四方向に分かれて自身の得物を構えた。この時蒼也は足にオーラを多く纏わせた。
そして
「きゃあ!?」
鈴が首を左手で掴まれ、そのまま地面に叩きつけられた。
「「「……え?」」」
いきなり何が起きたのかわからなかった。さっきまで地面にいたのに、一瞬で上空に飛んだことが理解できなかった。
そして蒼也が顔を上にいる全員の方へ向けたとき、それを見た全員はとても恐怖した。まるで連続殺人犯にニヤニヤと見られている気がしたのだ。
「くっ……、放しなさい……!」
この時鈴はジタバタしながら蒼也からの拘束から逃れようとした。先程掴まれた際に青龍刀を手放してしまい、それで近接兵装が無くなっていたのだ。
「そ、そうだ、これでもくらいなさい!」
鈴は蒼也目掛けて龍砲を数発放つが、怒りを買ったのか首を絞めつける力が先程より強くなり、少しずつ地面にめり込み始めた。
「う……ぁ……、やめ……て……」
鈴はあまりの絞めつけに白目をむき始め、意識を失いそうになっていた。
「鈴を放せ!」
箒は二刀を構えて蒼也目掛けて突っ込んだ。
「……マタカ」
「ぎゃう!?」
蒼也は一気に力を入れて鈴を上半身丸ごと地面に陥没させた後、箒の方を向いた。そして箒の二刀流をいなしながら、片手上段になった瞬間、蒼也は足にオーラを集中させて横腹に回し蹴りを決めた。そして箒は吹き飛ばされ壁に激突して地面に落ちた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
箒は大きく悲鳴を上げた。先程蹴られたとき、肋骨が数本折れたのだ。あまりの痛みに箒は動くことができず、蒼也は箒にとどめを刺そうと突っ込もうとした。
「「箒!」」
蒼也めがけてラウラはレールカノンを、シャルロットは両手マシンガンをし、蒼也は箒から離れて二人から放たれる銃弾等をかわして行った。
そのころ簪は楯無を保健室の方へ送った後、再び蒼也のいるアリーナに向かっていた。
「(早くしないと……!蒼也が完全にキレてるなら……!)」
そしてひたすらアリーナに向かって走って行った。
そのころアリーナでは……。
「はぁぁぁぁ!!」
シャルロットが
「やらせん!」
「……!?」
ラウラがAICを使って動きを止めた。
「もらったぁぁぁ!!!」
シャルロットはこれがもしかしたら最後のチャンスと思い
蒼也は胸部バルカンを連射するが致命傷にならず、そして弾切れが起きた。
「これで終わりだぁぁぁぁ!!」
そして
「シャルロット!?」
ラウラはこの時起きた煙のせいでシャルロットがどうなったのかわからなかった。
その時だった。ラウラ目掛けて何かが飛んできた。ラウラはそれをAICで動きを止めたとき言葉を失った。
「シャルロット……!」
そう、飛んできたのは装甲がボロボロになり、気絶したシャルロットだったのだ。そしてラウラはシャルロットを抱きかかえた。そして煙の中からもう一体の影が見え、ラウラは警戒した。
そして煙の中からあちこちを黒く焦がした蒼の装甲が見えた。胸部バルカンの銃口はひしゃげ、右腕はだらりと垂れさがっており、そしてバイザー部分が砕けながらも中から見える一対の赤い目が満身創痍であることを否定するかのように怪しく輝いていた。
「な、あんな状態でまだ戦えるのか!」
蒼也はラウラを見つけると、スラスターを吹かしてラウラとの距離を詰めて行った。
「(くっ、まずい。シャルロットを抱えてるからうまく戦うことができないぞ……)」
ラウラはちらりとシャルロットを見た後、蒼也から距離を取りつつレールカノンを放った。
「イイカゲン、ムダダ」
蒼也はシールドを砲弾にぶつけてわざと爆発させた。
「やったか!?」
ラウラは砲弾が直撃して倒したのかと思ったが、それは違った。煙の中から何かが勢いよく飛んできて、それがレールカノンに突き刺さり爆発した。
「うわぁぁぁぁ!」
ラウラは爆風で飛ばされた後、煙の中から現れた蒼也に恐怖した。その赤い目はいくら攻撃してもかわし、その腕はまるで鎌のように次々と仲間を刈っていく。そしてあるものが頭に思いついて、無意識にラウラはそれを呟いていた。
「蒼い……死神……!」
ラウラは急いでスラスターを吹かして距離を取るが、それでも追い付かれそうになり、ラウラの精神をむしばんでいった。
その時だった。
「はぁ!」
何かが蒼也めがけてブレードで切り裂きに来たのだ。蒼也は体を捻って離れた後その顔を見た。ラウラもいきなり何があったのかわからなかったが援軍であることに安心をし、そしてその顔を見て驚いた。
「教官……!」
そう、ブリュンヒルデこと織斑千冬が援軍として現れたのだ。そして千冬はラウラを一目見た後、蒼也に近接ブレードの切っ先を向けた。
「貴様、いい加減にしてもらおうか。ここまで専用機持ちがやられるとなるとこっちの威信にもかかわるのでな」
そして千冬はラウラの方を向いた。
「ラウラ、ここに転がっている専用機持ちたちを連れてピットに戻れ。いいな」
「ですが教官」
「いいな、これは命令だ」
ラウラは千冬に食いつこうとしたが、千冬の命令ともあって引き下がった。そしてラウラはほかの専用気持ちを回収してピットの中へと戻って行った。
そしてアリーナの中には蒼也と千冬の二人だけになった。
ここまで相手をボコしてますが、EXAMの暴走です。でもEXAMって一対多の時に発動したらまあまあ使えるな。