IS 蒼き者の生き様   作:妖刀

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最近、駄菓子のココアシガレットをカリカリかじっている妖刀です。未成年だからタバコは駄目だけどココアシガレットなら誰も文句言わないからいいんですよね。

では本編、どうぞ!


怒りと特訓

翌日、蒼也は簪と一緒に食堂へと向かっていた。

 

「で、刀奈姉とは仲良くしてる?」

 

「うん。お姉ちゃんとは仲はいいけど……、蒼也がいなくなった分、私にベッタリしてくるようになったかな?」

 

「ははは……」

 

「それと、蒼也がいなくなって半年後にお姉ちゃんが楯無を襲名したから」

 

「あ、そうなんだ……。なら今度会った時は刀奈姉じゃなくて楯無姉……、いや楯姉って呼ばないといけないかな……?」

 

「うん、そうなっちゃうね……」

 

そして食堂に着き、お互いに何食べるかさっさと決めてたらいにトレイを受け取った後、どこに座るか探していた。この時周りからは侮蔑にも似た視線が蒼也めがけて飛んでいたが、蒼也は少しこめかみがぴくぴくしながらも涼しい顔を通していた。

 

「箒、そんな顔をするなよ」

 

「私は元からこんな顔だ」

 

その時だった。どこか聞いた声がしたためそちらの方を見てみると、そこには一夏と箒がいた。一夏は昨日何かをしたのか、箒にひたすら謝っており、箒はそんな一夏に目もくれず朝食を食べていた。

蒼也は軽くそれを見てどこかに行こうとしたが、隣のテーブルが空いていたためそこに座ろうと決めたが、とりあえず簪に許可を取ってみた。

 

「簪、織斑の隣の席が空いてるがそこでいいか?」

 

この時簪は露骨に嫌な顔をしたが、ほかに座るところがないと悟ったのか渋々ながらも縦にうなずいたため、二人は一夏たちのいるテーブルの隣のテーブルに座った。

 

「お、蒼也か。おはよう」

 

「おはよう。織斑、お前の隣にいる女子はお前の知り合いか?」

 

「ああ、こいつは篠ノ之箒。俺の幼馴染で同室の相手だよ」

 

蒼也はふーんと軽く言った後、簪と一緒に朝食を食べ始め、二人とも和食セットであったがさっさと食べた後にお茶をコップに注いで一息ついていた。

 

「蒼也、ところでその女子て知り合いなのか?」

 

一夏が聞いてきたため、蒼也はとりあえず紹介しておくかと思って口を開いた。

 

「ああ、そういえば紹介してなかったな。彼女は更識簪。俺の同室の相手で「蒼也の婚約者です」ちょかん『えええええええええええええ!!!!????』ぐわあぁぁぁ!?」

 

この時周りにいた女子達の驚きの声で耳にダメージを受け、頭がフラフラしており、行った張本人である簪もフラフラになっていた。

 

「え、どういうこと!?婚約者!?」

 

「こんなマダオみたいのが婚約者ってかわいそう……」

 

「本当よね~」

 

最初は驚きの声だったのに、どんどんと簪を憐れむというか、同情のまなざしで見る生徒が増えてきたため、二人は誰にも気付かれないように食堂を出て行くのであった。

 

「蒼也、ごめんね……。私があんなこと言ったから……」

 

「えっ」

 

食堂を抜け出してお互いの教室に向かっているとき、蒼也は簪にいきなり謝られたことに戸惑いを隠せなかった。

元々自分が悪いのに簪がなぜ謝るのか……、とりあえず蒼也は簪を慰めながら教室に向かい、そして一組の教室の前で別れた後に中に入ったら、そこには無数の敵意と敵視があった。

 

「なんでこうなったんだっけ?」

 

蒼也のそのつぶやきは、誰にも聞こえることなく消えていくのであった。

 

 

 

 

 

「ところで織斑、お前のISだが準備までもう少し時間がかかる」

 

「へ?」

 

授業の途中のことであった。千冬は一夏に向かってそう言ったため一夏の顔はポカーンとしており、周りもキョトンとした顔をしていた。蒼也もいきなり何のことかぱっと思いつかず、周りと同じのような顔をしていた。

 

「予備機がない、だから少し待て。学園で専用機を用意するそうだ」

 

この時の一夏は頭に?を浮かべていたが、周りの女子達は察したのか一気に騒めきだした。

 

「せ、専用機!?い、一年のこの時期に!?」

 

「いいなー、織斑君」

 

女子が騒めくなか蒼也はシャーペンの動きが止まっており、額からはチラッと冷や汗が流れていた。

 

「織斑先生、そーやんには専用機はないんですかー?」

 

一夏のことしか言ってなかったことが気になったのか、本音は

 

「ん、黒城には用意はしてあると言えばしてあるが、訓練機のラファールの色違いだから専用機とは呼べないだろうな。そして黒城、放課後にそれを渡すから第三アリーナまで来い」

 

「わかりました」

 

蒼也は簡潔に返事をし、板書を再開するが後ろ側から恨めしいというかさっきにも似た視線が自身を指してきたがとりあえず無視をして、ひたすらノートに電子黒板に書かれたことを板書していくのであった。

 

「あの人は関係ない!」

 

この時誰かが大声を出していたためその方向を向いたら、箒が机をたたいて立っていたたため、かかわらない方がいいと判断した蒼也は前の方を向き直すのであった。

 

 

 

 

 

休み時間、蒼也は再びノートの最後のページに昨日の設計図の続きを書きながら時間を潰していた。

 

「そーやんそーやん、ちょっといいかな~?」

 

「ん、どうした本音?」

 

この時本音が蒼也の元へとやってきたため、手の動きをいったん中断して本音の方を向いた、

 

「あのね~、昼休みに私と生徒会室に来てくれないかな~?」

 

「何故に生徒会室?」

 

まあそうなるのも無理ないだろう。いきなり生徒会室に来いって言われたら自分何かやったのか?って思ってしまうはずだ。

 

「あのね~、生徒会t「ちょっといいかしら?」む~」

 

この時いきなり会話が中断されたため本音の頬は大きく膨れ上がっており、実に不機嫌です!っていう顔をしていた。蒼也はとりあえず声の方をした方を見てみると、そこには先程まで一夏の方にいたセシリア・オルコットが立っており、この時蒼也は少しだけ目を細めた。

 

「何だ?」

 

「あなたも一応専用気持ちになりましたわね。でしょうけど今度の試合でこのわたくし、セシリア・オルコットの勝利は揺らがないでしょう!」

 

「ふーん。ま、初心者がセミプロに勝てるわけがそうそうないしな」

 

蒼也の冷静な態度に調子が狂うのか、セシリアは少しイラついたかのような顔をしていた。

 

「あなた、何でそんな風にいられますの!?」

 

「似たようなことを何回も経験しているとこうなるんだよ」

 

この時の蒼也は何か諦めたかのような目をしており、これがセシリアに怒りを募らせた。

 

「そういえばこの学園にあなたの婚約者がいるという噂をお聞きましたが、その婚約者もかわいそうですわね、こんな何もやる気のない男と結婚するなんて」

 

セシリアはそうぺらぺらとしゃべっているが、この時の本音の眼つきはそれなりに迫力があり、蒼也もセシリアを睨みつけていた。

 

「それともその女性もあなたと似たかのように何もやる気がないのか努力をしない「あぁ?」ひぃ!?な、何ですの!?」

 

セシリアはいきなりドスのきいた声にビビり声のした方を向いてみると、そこには眉間に深いしわを寄せてセシリアを見下す蒼也がいた。

 

「あいつはな、俺と違って偉大な目標のために常に切磋琢磨してんだよ。俺みたいな夢も目標も失って宙ぶらりんな奴といっしょにするなよ……!」

 

この時の静かながらもドスのきいた声で教室の女子達の会話がピタリと止まって蒼也を睨もうとしていたが、蒼也から出る怒気で一瞬で目を逸らす生徒が続出した。

 

「なら言わせてもらう。今度の試合で俺がもし勝ったらそいつに、簪にそのことを謝ってもらうからな。それで負けたら試合の次に日に朝のホームルームの時にでも教室の前で切腹でもして今までの態度でも詫びてやるよ!」

 

「な、ならわたくしが試合で勝って見せますわ!そしてその翌日で地獄を見るといいですわ!」

 

セシリアはそう言って席に戻っていき、そして授業が始まったのであった。

 

 

 

 

 

「何俺ムキになってんだろ……」

 

「そーやんは悪くないよ~」

 

昼休み、蒼也は先程の休み時間の自分を思い返して軽く自己嫌悪に陥っており、本音がそんな蒼也を慰めていた。

 

 

 

そして生徒会室の扉をノックして入ると、そこには

 

「あら蒼也君、お久しぶりね。元気にしてた?」

 

「あ、虚姉……」

 

生徒会室に入って布仏本音の姉、布仏虚である。

 

「えっと、本音からここに来るようにって言われたんだけど……、何があるのさ?」

 

「知りたい?」

 

「えっ……えむ?」

 

いきなり声が後ろからしたため恐る恐る振り返ってみると、頬に何かが当たって蒼也の顔が面白い感じになっていた。それを見た彼女は腹を抱えてケラケラと笑っており、蒼也は軽く呆れたが次第に笑みが出てきた。

 

「刀奈姉……、いや、今は楯姉か……。久しぶり、楯姉」

 

この時蒼也が楯姉と呼んだときに少しだけ悲しそうな顔をしたが、それをごまかすかのように楯無はにっこりとした笑顔を浮かべた。

 

「久しぶりね、蒼也」

 

そう言って楯無は扇子をバッと広げ、そこには『元気にしてた?』と書かれた扇子を見せて、自身の座る席へと向かって行った。

 

「でさ、結局なんで俺をここに呼んだんだ?」

 

部屋に置いてあったソファーに座り、蒼也は一番聞きたいことを楯無に聞いた。

 

「それはね……こ「お姉ちゃん、今来たよ」あ、簪ちゃん」

 

楯無が何か話そうとしたとき、扉が開いてそこから簪が入ってきた。簪は蒼也を見つけるとすぐに、蒼也の座ってるソファーに座る。そして楯無の方を向いた。

 

「これから大事な話をするわ……」

 

この時先程の歓迎ムードはどこに行ったのか、一気に空気が張り詰める。蒼也は自分関連のことだろうと思っているのか、片眉を上げながらも真剣な表情で楯無の言葉に耳を傾けていた。

そして、楯無は口を開いた。

 

「……蒼也、今すぐ生徒会に入りなさい」

 

「はぁ?」

 

いきなりのことで蒼也の動きはとまった。ここまでシリアスの空気にさせておいて生徒会に入れ、訳が分からなさ過ぎて

 

「これはあなたを保護するためでもあるの。噂で聞いたわよ?寡黙すぎるニートとか、いきなり発狂するキチガイとか、死にたがりの怠け者とか」

 

「ちょ、何だよそれ」

 

立った二日でできた訳の分からん噂を聞いた蒼也は軽く笑いが出そうになっていたが、簪は少しずつ機嫌が悪くなってきたのか、目がどんどんジト目になってきていた。

 

「あとクラス代表戦にハンデ無しで参加させられるらしいわね」

 

楯無のその言葉で蒼也は先程の笑いが出そうな顔とは一変して軽く項垂れており、大きなため息を一つ吐いた。

 

「あぁ……、そうなんだよ……。ったく、織斑先生って絶対脳筋だろ。そうでもないとあんなセリフでねえよ」

 

「否定しないわ」

 

「「ぶふっ」」

 

楯無が間を空けず返事をしたため簪と本音が吹き出し、虚は苦笑いを浮かべていた。

 

 

「だから蒼也、私がこの一週間であなたをできるところまで強くして見せるわ」

 

楯無は胸を張ってそう言った。この時簪が、楯無の胸を見てむっすりした顔をしていたが。

簪がそうとしても蒼也には楯無がとても頼もしく見えた。一週間という短い時間しかないがこれならどうにかなる。蒼也には確信めいたものがあった。

 

「あと簪ちゃんは蒼也に座学を教えてやって。同じ部屋だし、恋人同士だし」

 

楯無にウインクされながら言われた後、二人は顔を一瞬だけ見合ってすぐに顔を赤くして逸らした。

 

「それじゃあ今日の放課後に蒼也のISが来るからその時に練習始めようか」

 

「うん、お願いします!」

 

蒼也は威勢のいい返事をして、女子四人にはそんな蒼也を見て微笑んでるのであった。

 

 

 

 

 

 

それから放課後、第三アリーナのピットには蒼也と千冬と麻耶と楯無がいた。

 

「更識、なぜお前がここにいる?生徒会の仕事は?」

 

千冬は若干苛立ちが含まれた言い方だったが、楯無はそれを綺麗に受け流して答えた。

 

「私が蒼也にISの実技を教えることになってのでここにいるんです。織斑先生たちはこの後職員会議ですよね?だからそのあとを私がしますのでご心配なく」

 

「……そうか」

 

そして十分ほど待っただろうか、ピットの中に一つのコンテナが搬入されてきた。そして麻耶が暗証番号を入力すると空気が抜ける音と共に、コンテナの扉が開いて中から一つのISが現れた。

見た目はラファール・リヴァイブそのものだが、色は青より深い青、いや蒼色だ。

 

「ブルー・ラファール・リヴァイブです。この学園にあるラファール・リヴァイブの色違いで、性能は訓練機のラファール・リヴァイブとほぼ変わりません」

 

麻耶がすらすらと説明していくが、蒼也は一つ気になることがあったため挙手して聞いた。

 

「山田先生、なんで訓練機と性能は変わらないのに色が違うんですか?」

 

「ああ、それはですね、部品の発注の時に製作者側が間違えて蒼色で作ってしまったため、一機だけ色違いの貯め倉庫に眠らせていました」

 

蒼也はそれに納得した後、山田先生の主注意等を聞き、そしてついにISに乗るときがやってきた。

この時、もしもの事のために楯無はミステリアス・レイディを纏っており、蒼也はその美しさに少し見とれていたが千冬に「早くしろ」と言われたためラファール・リヴァイブに乗り込んだ。

 

 

「お、おぉ……すげぇ……」

 

まさに感激以外の感情はなかった。

 

「それじゃあアリーナに出てみろ」

 

「はい……って、うお!?」

 

「蒼也!」

 

千冬の指示で蒼也は一歩目を踏み出そうとしたがすぐにバランスを崩し、前のめりに倒れそうになった。だが楯無が受け止めてくれたおかげで片膝を着く程度で収まり、どうにか再び立ち上がった。

 

「二メートル竹馬をやってる時並に難しすぎだろ……」

 

この時どうにか立っておくのがやっとなのかフラフラとしており、千冬はそんな蒼也を見ていてイライラしていた。

 

「何をやってる。それぐらい「織斑先生、もうすぐ職員会議です」……ちっ。更識、どうにか一週間後には戦えるようにしておけよ」

 

麻耶の言葉の後舌打ちした千冬は、楯無にそう指示してピットから麻耶と一緒に出て行き、

 

「……それじゃあ始めようか」

 

「……はい」

 

そして楯無にISの動き方を学んでいった。最初は歩く、走る、それの繰り返しである。

一見それだけのように感じるが初心者にとってはそれでもきつく、最初の三十分で蒼也はこけたりして息が上がって地に大の字で寝そべっていた。

 

「うわぁ……、めちゃきつい……」

 

「まあ、男性だったら超高底のブーツを履いてるような感覚だからね」

 

「……よしっ。再開しよう」

 

「待ってました。それじゃあさっきの復習ね」

 

「へーい」

 

それをひたすら繰り返して時間は午後五時。蒼也がそれなりに走ったりするのに慣れた後、空は夕焼けが空を照らしており、空をよく見たらカラスが飛んでいた。

 

「よし、もうそろそろ次のステップに入ろうか」

 

「次って何?」

 

この時楯無はニコニコとしており、蒼也は首を傾げた。

 

「よし、空を飛んでみようか」

 

「マジで?」

 

「うん、マジで」

 

蒼也は一瞬嬉しそうな顔をしたが、片眉を上げて少し疑問と不安がある表情へと変わっていった。

 

「大丈夫よ、飛ぶって言っても最初は一メートルが目標だから。あと飛ぶときに空を飛ぶイメージが必要だけど……、飛行機とかでいいわ、何か空を飛ぶものをイメージして」

 

そういわれた後、蒼也は目を瞑ってそれをイメージした。ガンダムUCに出てきた、空を駆け回り、ジオン残党に一騎当千する連邦のMSを。

それをイメージしたとき体が浮き上がり、そして予定していた浮き上がるだけでなく空を移動することも成功しており、楯無は少し驚いた顔を見せた。

 

「おお!すげぇ!俺、空飛んでる!」

 

蒼也は子供の様にはしゃぎまわっており、時にはゆっくりながら体を捻らせたりしている。

 

「あの動きって確か、何かのアニメで見たような……」

 

楯無は手を顎に当てて考えるが思い出せず、そんな楯無をよそに蒼也は空を大きく円を描くように飛んでいるのであった。

それから時間は経ち午後六時半。日は大きく傾いてしまい、空は暗くなってきていた。二人は今日の訓練を終わらせピットの中に戻っていた。そして楯無にISの待機状態の仕方を学び、実践して成功したが、

 

「へえ、ISの待機状態ってこんなのになるのか……」

 

蒼也は自身の右腕に付けられてる蒼色の腕輪をまじまじと見ていた。あんなに大きなものが手のひらサイズになると聞いてても、実際になると驚きもするだろう。

 

「そうよ、ちなみに私のISの待機状態はこの扇子ね」

 

そう言って楯無は扇子をスッと見せた後蒼也にISの諸注意等を言い、そしてどこかのゲームの攻略本より分厚いIS関係の説明書を渡されてた蒼也は乾いた笑いがでたそうだ。

それから寮の部屋に戻った後は簪の手料理を食べた後に今日習ったことの復習やこれからの予習をしていき、大体午後九時ほどになってやめてその後はいろいろと雑談をしていた。

 

「蒼也、今までどんな所に住んでたの?」

 

「大体ここから電車で約一時間ほど離れた所にあるアパートでさ、家賃が月二万だったんだよ」

 

「え……、そんなに安いところってあるの……?」

 

「でもさ、すごいわけあり物件でさ……」

 

この時蒼也から乾いた笑いが出ており、いったい何があったのかわからないが逆に気になってしょうがない。簪は興味に負けて聞くことにした。

 

「どんな……、ところだったの……?」

 

「いやさ……、三階建てで俺が住んでたのが三階の部屋だったんだけど屋根から人が歩く音がしたりさ、朝洗面台の鏡を見たら俺の掌よりはるかに小さい掌の跡がたくさんあったりさ」

 

「なんか……すごいところに住んでたんだね……」

 

他にも蒼也のバイトの話をしたり、中学の頃の思い出を話し合ったりしていたら気付けば10時ほどになっていたため二人はベッドに入ったが、

 

「簪、やっぱり一緒に寝るの?」

 

昨日と同じく簪が蒼也の布団の中に入り込んでおり、右腕に抱き付かれた状態になっていた。

 

「だめ……?」

 

「いや、駄目じゃないけどさ、可愛い女の子が男と一緒のベッドで寝るってどうよ?」

 

「私がいいと思ったらいいの……!」

 

そう言って抱きしめる力を強くした簪に、蒼也は小さく肩をすくめた。

 

「もう、これでいいや……」

 

蒼也はこれに関しては諦めておとなしく寝るのであった。

 

 

 

 

 

それから決戦前日までも楯無によるISの特訓と簪の座学により蒼也は最初の頃と比べてそれなりにマシになっていた。時折アリーナにやってくる野次馬達が何か陰口をたたいていたりしてたが、楯無に一瞬だけ睨まれて一気に逃げ出したりしていたのだった。

そして決戦前日、楯無との模擬戦を済ませたて別れた蒼也は、いつものようにピットの近くにある自販機でスポーツドリンクを飲んでいた。

 

「ふぅ……、さて明日か……。刀奈姉があれだけ付き合ってくれたんだから恥じないだけの戦果を見せないとな」

 

そしてもう一口飲もうとした時だった。何かが走って近づいてくる音がするのだ。そして一番近い曲がり角から現れたのは、

 

「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

「なっ!?」

 

蒼也の目の前に現れたのは金属製のバットを持った能面を被った女子だった。恐らく女尊男卑思考の女子なのだろう。訳の分からないことを叫びながらバットを振り回す様は、まるで何かに憑りつかれたかのそうな雰囲気であった。

 

「死ねぇぇぇぇぇ!!男がぁぁぁ!!」

 

「あぶねえ!?」

 

蒼也は紙一重で攻撃をかわしていくが、ふり方がめちゃくちゃなため動きが読みにくく、蒼也はとりあえず逃げることにした。男の筋力ならおそらく逃げ切れるだろう。そして縦に振り下ろされた瞬間を見計らって一気に後ろを振り返って蒼也は全速力で逃げ出した。

だが。

 

「おらぁあぁ!!」

 

「がっ!?」

 

最寄りの曲がり角にもう一人バットを持った般若面を被った女子によって側頭部を殴られたのだ。そのまま倒れた蒼也の右側頭部からは血が流れており、女子達はそんな蒼也をボコすかに殴りだした。

 

「おらおらぁ!男なんか不要なのよ!死になさいよ!」

 

「死ねぇ!!」

 

二人の女子達によるバットも用いられたリンチによってあちこちから血を流し、蒼也は小さく呻き声を上げるしかできなかった。

 

「そこ!何やってるの!?」

 

その時だった。楯無が現れたのだ。彼女はピットに忘れ物をしたため回収に向かっていたら、何かを殴る音と小さな悲鳴が聞こえたため急いで駆け付けたのだ。

 

「やばっ、逃げろ!」

 

そう言って女子達はバットを持って電気のついてない通路の中へと逃げて行った。楯無は二人を追いかけようとしたが、その前に蒼也の応急処置と救護班の用意をしていたため二人を取り逃がすという失態を犯してしまった。

そして蒼也はIS学園に併設されている病院であちこち包帯まみれで入院する羽目になってしまったのだった。

 

 

そして試合当日を迎えた。

 




次回予告みたいなもの

謎の二人によって重傷を負ってしまい入院することになってしまった蒼也。セシリアに負けたら切腹すると言ってしまった彼は、そのまま切腹しなければいけないのか!?

続く

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