僕自身がスケベになればいいのでは? 作:PhaseShift
なんだか一昨日の21時から昨日いっぱいまでアクセスが最新話投稿したとき並みに跳ね上がるわ日刊ランキング総合22位まで居るわでちょっと怖かったんですけど(炎上とか)、理由知ってる方は活動報告かメッセージ、作者のMisskey.ioのアカウントなどにお知らせしてくださると助かります。
同年代の明確な格上と戦うのは初めてだった。
ああクソ団子が構えた凄まじい圧力が俺の両肩に伸し掛かる来るぞ見えてんだろ避けろ。避けろ。避けろ、避けろ、避けろ避けろ避けろ避けろッ!!!!!
あっ。
避けやがったな!!
戦闘開始と同時に仕掛けた、手加減ゼロの剃と月歩と旋風脚は笑っちゃうくらいあっさり回避されてしまったので、更にくるりと1回転して体の陰に隠した粘着糸を振りかぶる……けどこれも爆速ターボで回避されてしまった。
少し離れた所で着地したバクゴーは、肩で息をしながらこちらを睨みつけてくる。
「避けられちゃった」
大歓声に包まれたこのリングで僕と君の二人きり。でも実況の声もヤジの声も聞こえない。何故なら僕はバクゴーに夢中だからだ。
「死ねェッ!!」
「ふへっ」
二連続の爆破から裏拳をしっかり捌いて左ボディーブロー……ん、なんか手応えが薄いな。ちょっと不審だから前蹴りで思いっきり吹き飛ばした。しかしこれも両手からの爆速ターボで復帰してくる。
思わず出そうになるため息を我慢した。
やっぱり厄介すぎるな。手のひらから任意で起爆する、バクゴーの個性……爆破。加速減速瞬発攻撃前転後転側転、しかも左右で細かい威力の調整が可能。シンプルだけど強い。
そして何より。
「見えてた?」
「うるせェッ!!」
あのバクゴーの目だ。
僕の今の全力がだ~~~いぶ弱体してるとはいえその辺のパンピーに避けられるほど鈍ってない。あれはみどりゃーでも避けられたか怪しい。
……。
爆破の乱舞を紙絵で避け、ふわりとジャンプしてから同じく宙に浮くバクゴーの首を足首で引っ掛け、思いっきり地面に叩きつけた。
「ぉ、ごァッ……!!」
そのまま頭部を思いっきり踏みつけるがこれは回避。
ターボ特有の鋭角的な動きで再び起き上がってこちらに掌を向けるバクゴー。
いやまあ、流石にタフだね。さっきのも割と力籠めたはずなんだけどな。
「スタングレネード!」
……でもこうやって明確なミスをするからダメージが通ってはいるのかな。ここで僕に対してスタングレネードするとか悪手だよ。
激しい発光には目をしっかり閉じたまま見聞色を張り巡らせる。
指銃。
「……ん?」
「づかまえだ……ッ!!」
あ、指が貫いてる感触ってバクゴーの掌? と思ったら遠慮ない一撃というか今までとは比較にならない規模の爆破と衝撃、が、僕を――あ、ヤバい。ちょっと飛ぶ♡……いやいや違う違う。え、は? 何、あのグローブ無しでこんな火力出せんの?
……いやそういう考えは後だ実。
「あれ?」
見失っ、あ、上!?
武装、硬化――……違うな。鉄塊。
「
ああ、そうだよな。君が狙うなら場外狙い一択だろう。
必殺技を食らい、吹き飛び、姿勢を整えながら思考を回す。ああ、なんか掴めたかもな。鉄塊……あと月歩か……気持ち自分の質量も増やせた気がする。
……汗だくでフィールドに現れた時は"あー、バクゴーも本気で僕に勝とうとしてるんだな"と思った。今まで塩対応されたのにこんな時だけ情熱的なアプローチされたらきゅんとキちゃうんだよな。
爆風が収まり、僕は白線ギリギリで踏みとどまった。ミッドナイト先生を見るけど特に何も言わない。危なかったな。
「ゲホッ……」
セルフチェック。
まだ全然いける。いけるったらいける。
大分きついけどイケ……いや余裕だわ。
全然余裕だわ。めっちゃ頭から血出て……るけど痛くないから余裕。
あんな限界魔晄中毒者とかパンパンにしたる。
……対するバクゴーは汗だくだくで片膝を付き、ぜーぜーと試合開始時よりも大きく呼吸している。でも倒れない。両の掌が震えているからそろそろヤバそうなもんだけど。指銃で穴開いてるのによくやるなぁ。
「バクゴー、君は格闘自習にたま~~~~~に顔出してくれたと思ったら、僕と手合わせしていくだけだったね」
「あァ、糞が。これでもダメかよ……」
「君は一人ですっきりしたら満足しちゃうし」
「……てかクソ団子テメェ、もうだいぶキてんだろ」
「やった後も少し水飲んで休憩して」
「いつもより4、5段遅く感じんだよなァ」
「僕が頑張って声かけても無視してスマホ弄るか生返事かうるせー死ねのどれかしか返ってこなくて」
「あとはパンチだ。ひでー時は見た目相応の威力まで落ちてんぞ」
「そしてそのままさっさと汗流して着替えて帰っちゃう……」
「さてはオメーもう限界だなァッ!!??」
「僕が喋ってんだろうがァッッ!!」
剃で急接近して左フック。右ストレート。
回し蹴りを叩き込んでから踵落としで地面に叩き付けた。
「嵐――」
「まだァッ!!」
「きゃんっ!?」
姿勢復帰してきた頭突きをモロに食らった。
続いてボディ、右ストレート、爆破と爆破。
爆破爆破爆破爆破爆破爆破爆破爆破爆破爆破。
「死ねェェエぁああああああああああああッ!!!!」
ああ、痛い。
熱い。いい。
イイ。イイぞ……。
……バクゴーの両手を優しく。
それぞれ両手で掴み取る。
「……ッ!?」
不思議な事に、その瞬間からぴたりと爆破が止んだ。
穴の開いてない右の掌を口に寄せ、汗を舐める。
「君の汗、ニトロだからかな」
口付けして、
「あまくて、おいしいね……♡」
握り潰した。
「い、ギ、ァ……ッ!!」
パチパチと散る火花が綺麗。あ、凄い。近くで見たから気付いたけど、香りもちょっと甘いんだね。嗚呼……覇気が生き返るようだ。テンションも上がってきたぞ。これはお礼しなくちゃと思ったので月歩で駆け上がり、バクゴーを思いっきりぶん回して地面に叩き付けた。
二回目は……必要なさそうかな。
「これ、まだまだ練習中なんだけど……僕のとっておき」
まだしつこく起き上がろうとするバクゴーに耳を近づけ、そっと囁く。
「敬意を込めて、君に送る」
指をしっかり固定して、彼の顔面を掴み取る。
「■ § ¶」
『もしもし。八木さんの携帯でいいか?』
「久しぶりだね、サルヴォ」
『おいおいこの番号はプライベートなケータイだぜ、八、木、さ、ん』
「ああ、ごめんなカコちゃん。彼は……元気かな?」
『彼?……あー。生憎アタシもここ最近あいつには会えてなくてさー……実とはちょいちょい連絡を取っているらしいのがまた、気に食わねー』
「HAHAHA! ああそうそう。峰田君、心技体全部揃ってて*1もう凄まじいね。今度僕にも教導のノウハウを教えてほしいな! なーんて……」
『その件で連絡したんだ。今ならまだ暇そうだしな』
「……用件を聞こうか」
『緑谷君のインターン先はグラントリノんとこにしろ。話は通してある』
「……」
『アタシ相手に隠し事が出来ると思うなよ。秋葉原からでもお前の気配を感じ取れる』
「……ああ。わかった。考えておこう」
『にしてもあの轟の息子に勝っちまうなんて、そっちの弟子も中々やるな』
「ありがとう。きっと彼も喜ぶと思う」
『ああ。だから直接伝えようと思ってな。グラントリノの事務所には顔出すつもりだ』
「……理由を聞いてもいいかな」
『さっきも言っただろ? 中々やるなって伝えんだよ』
「君も反対かい?」
『は? あー……勘違いすんな。賛成に決まってんだろ』
「えっ」
『えっ、じゃねーよ! アンタが選んだんだから自信持てボケタコ!』
「はは……ありがとう」
『ったく昔っから変なところで考えすぎるのは変わってねえなぁ』
「おいおい手厳しいじゃないか!」
『で、決勝はその緑谷君とうちの実なわけなんだが……もしかしてこの流れ、轟とやったか?』
「彼の方が数倍雰囲気が悪かったね」
『あっはっは! そりゃいい。刮目して見な。実は追い込まれたら追い込まれるほどに地力を発揮する。見た所、緑谷君も同じタイプだな? ここは交流戦と行こうじゃないか』
「ああ、もちろんだとも」
『で、来週の夜は空いてるか?』
「ああ、どこにも予定はないが……」
『飯食いに行こうぜ。勝った奴の奢りな』
「えっ?……もしもし? もしもしカコちゃん?……切れた」
■リカバリーガール@RECOVERYBaasan
雄英高校、過酷!
《画像:ボロボロの体で肉料理を貪るスケベ忍者》
―― い つ も の
―― や っ ぱ 肉 だ ね
―― 医 者 よ り シ ェ フ
―― ビ ス ケ ッ ト オ リ バ
―― D N A ま で 素 早 く 届 く
――!?
――怪我が……裏返るッッ
――婆ちゃん!?!?!?
――えぇ……(困惑)
――大草原
――お婆ちゃん何やってんすか!?
――若者のノリに乗っかる老ヒーローの鏡
――過酷なヒーロー(の卵)してんだよ!!
――ヒーローする(動詞)
――全身から蒸気立ち上りそう
――肉食って回復とか漫画の住人かよ
――カリオストロのナポリタンは体にいいとされる
――ナポリタン草 わかる
――あれめっちゃ旨そうだよな
――カリオストロのナポリタンはそのうちガンにも効く
■リカバリーガール@RECOVERYBaasan
どうなってんだいマジで
《動画:傷が塞がったスケベ忍者「試合してェ~~~~……」》
――裏返ったァッッ
――復活!!
――スケベ忍者復活ッッスケベ忍者復活ッッ
――スケベ忍者復活ッッスケベ忍者復活ッッ
――スケベ忍者復活ッッスケベ忍者復活ッッスケベ忍者復活ッッ
――スケベ忍者復活!!!!!!!!!!!!
――あんたがわかんなかったら誰もわかんねえよ……
――↑草
――意味わからん過ぎてわろてる
――毒が裏返る理論は正しかった……?
――【朗報】刃牙の解毒方法、正しかった
――そもそもあの怪我毒じゃない定期
――美味しさがDNAまで素早く届いた結果
――これでフィジカル系の個性じゃないのマジでバグだろ
――マジでどうなってんの??????
ステージ修復と連戦の回避として30分のインターバルが貰えた。あとランチラッシュさんから飯の差し入れも。やったぜ。リカバリーガールのキッスは必要無いので今回はキャンセルだ。
「まだ食べられるんだねぇ」
「……!……!!」
「美味しいかい?」
「!!」
食べられるだけ食べるぞ。あと5分ちょいあるからもっと食べあっちょっと(胃袋から)出る♡
「ちょっと落ち着きんさい」
「!」
「
カシューナッツと鶏肉の炒め物をおかずに棒棒鶏を喰らい、箸休めに鉄板塩カルビ焼き定食を貪りながら同時に全身の覇気を循環させる。今回は炭水化物もアリだ。今の僕に足りないのは燃料であるからにして。まだホカホカの天むすを両手に持って裸の大将スタイルで食べ尽くす。
食べ尽くす。
食べ尽くすッ
食べ尽くすッッ!!
「水は?」
「!」
「はいよ」
ああ~~~~~~~~!!!!!!
「ごちそうさまでした」
頭の先から右腕、右脚、左脚、左腕、頭、正中線。
胸の中で、指の先で、心の奥で。
そこにある自分を感じる。
医務室なのに心地いい。
全快じゃないけど……最高の気分だ。
「ふふ。サルヴォの子って感じだねぇ」
「師しょ……母を知ってるんですか?」
「そりゃ知ってるさ。入院中に「病院食が不味い」って叫んだ挙句、三河湾まで病院食をトレーごとぶん投げに6階の窓から飛び出したのはあの子が最初で最後だよ」
師匠らしいなぁ。
少しリカバリーガールと世間話をしながらストレッチしていると呼び出しを受けたので、しっかりお礼を言ってから入場ゲートに向かう。無骨なコンクリートに映る冷たさと、徐々に迫ってくる会場の熱にくらっときてしまいそうだ。流石の僕でもちょっと緊張するね。
「君はどう? みどりゃー」
「うん。緊張してる」
ああ、はやく。
「ここまでこれたのは峰田君のおかげだ……ありがとう」
「いいんだよ。頑張ったのはみどりゃー自身だ」
はやく……。
「あはは」
「ふへへ」
はやく、はやく、はやく。
「なんだかお互い、ボロボロだね」
「うん。ここまで来るの、辛かった」
はやくはやくはやくはやくはやくッ!!
「じゃあ……」
「うん……」
「スタートォッ!!!」
「みどりゃあァァアアアアアアアアッ!!!!!」
「ウォォオオオオオオオオオオッッッ!!!!!」
決勝、試合開始ッ!!!!!!
次回、みどりゃーVS峰田