僕自身がスケベになればいいのでは? 作:PhaseShift
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追記1
赤バーになってました。本当にありがとうございます。
私生活が忙しいので不定期更新になりますが、頑張ります。
翌日。
12時間近く寝た僕の頭は冴えに冴え渡っていた。ここ最近興奮で寝られなかったからかな。余計に頭がいつもより明瞭になっている……気がする。
そんな気持ちのいい朝だったんだけど、相澤先生から「メディアが張ってるから遠回りしろ。裏口の使用を許可する」って連絡があった。同時に見取り図と推奨ルートまで送られてくる始末。
葉隠さん ――透明ガールである―― にDMで事情を話した所「でもでも折角だし」との事で集合場所を変えて一緒に通学。会話に花を咲かせながら ――葉隠さん曰く"会話の練習しよう!"―― 歩いていたんだけど、まさかの遅刻しかけてる事に気付いて全力ダッシュした。葉隠さんは置いてく訳にもいかないし、本人からのリクエストもあっておんぶした。
あのー、相澤先生? このルート常に早歩きしないと間に合わない奴じゃない?
裏口から一気に教室まで移動。
なんとか相澤先生の真横をカッ飛んで、遅刻を免れた訳である。
「みんなおっはよー!」
葉隠ちゃんの元気なあいさつに僕のあいさつは打ち消された。対抗呪文か?*1にしても流石に女の子一人背負ってそこそこ全力ダッシュは初めての経験だった。新鮮である。
「ごめんね、重かった?」
「全然平気」
事実息も切らしてないからね、うん。
昨日会ってない初対面のクラスメイト達の「あれっ?」という視線を全身に突き刺しながら自分の席へ座る。
「おはよう。HR始めるぞ」
ガラリと現れた相澤先生。そしてドア開いた瞬間一瞬でピタっと自分の席に戻る1-Aたち。昨日の1日で何があったんだ……相澤先生に対してビビりすぎだろ。
「峰田」
えっ。は、はい。
「訓練と非常時以外で人背負って廊下を走るな。事情が事情だから見逃すが、次は指導だ」
「すいません……」
指導の所だけなんかすんごいオーラが籠ってたような気がするので次からマジで気を付けよう。
「お前らは初対面の奴らも多いだろ。峰田、自己紹介しろ」
「はい」
適当でいいか。
「峰田実です。趣味はゲームとトレーニング。特技は戦う事です。よろしくお願いします」
「補足するが峰田は推薦入試の成績トップだ。そして戦闘能力に限っては常識外れに飛び抜けてるぞ」
着席すると相澤先生がなんか仰り始めた。思わず視線を向けた先では相澤先生が意味深に笑っている! 待ってください相澤先生。出来れば黙っててもらえません? ダメですか? 目力で伝われこの気持ち……!
「質問いいでしょうか!」
「いいぞ、飯田」
「戦闘能力とは1対1の状況でという事でしょうか!」
「そうだ。峰田がジャージ着てる理由と合わせて説明する。昨日垢離里駅前でヴィラン騒ぎあったろ。あれを個性使わないで鎮圧したのが峰田だ。制服はお釈迦になったが峰田はピンピンしてる。つまり飛び抜けてるって事は……そういう事だな。もっとも徒党組んでも峰田は一蹴しそうだが」
なんか空気が死んだ気がする。
全部ここで説明しちゃうんですね相澤先生……葉隠さんからちょろっと聞いたけどマジで合理主義なんだな。都市ごとに科学力ボーナス出るし南京の陶塔が建設可能になりそう。
「以上。納得したか?」
「ありがとうございます!」
「あと峰田。お前は質問に対して誠心誠意、相手の目を見て答えることを今後の課題とする」
「は!?」
課題!? なんで!?
こちらを見つめるどんよりとした眼差しと予想外過ぎる発言に顎が外れそうになったけど我慢する。
「お前の最大にして最悪の弱点がコミュニケーション能力だからだ」
……ッスゥー。
ダメだぐうの音も出ない。雄英の教師陣にはどこまで把握されてるんだろう。昨日ミッドナイト先生と相澤先生とは普通にお喋り出来てたような気がするんだけど、逆にその会話内容が問題に思われちゃったのかな。
「わかりました」
「よし。では今日も一日励むように。HR終了。授業の準備しとけ」
ああ、相澤先生この雰囲気の中で僕を置いて行かないでくれ。雄英高校ってもしかしてスパルタ? いやまあスパルタだよな。入学式とか全部ぶっちして体力テストやったくらいだし。
「えっと、峰田さん?」
「んぇ?」
後ろを振り向デッッッッッッッッッッッ。
耐えろ峰田実。
社会的に死ぬぞ。
目を見るんだ目を。
「八百万百です。よろしくお願いします」
やおよろずももさん。
おお、麗しいお名前ですこと。
なんていうか良い所の育ち……っていうか。微笑み一つに気品を感じる。そしてそれらを押しのけて主張するクソデカおっぱい。制服越しでもわかりますね、うん。最近SNSで爆乳ルネッサンス*2って言葉を見かけたけど……気品とエロスはお互いを増幅し合うんですか? 答えは"し合う"だとたった今確信した。
「峰田です。よろしく」
「先ほどどこかで見たようなと思っていたのですが……同じ推薦組でしたか」
そういえば推薦の時やったらおっぱいの大きい子が居たっけ。
それが八百万さんだったのかも。
「スタート直後に猛烈な速度で移動を始めた人が居ましたが」
「それが僕かな、多分」
「やっぱり! 素晴らしい個性のコントロールでしたわ。峰田さんも幼少の頃からトレーニングを?」
まあ! と両手を合わせるお嬢様な雰囲気の八百万さん。なんだこの人。可愛い。なんていうかほっこりするなぁ。ほっこりした後おっぱいが視界に入って正気を失いかけるけど。
「あー、うん。そう。師匠と一緒に……――」
ヒーロー科のカリキュラムは公立の普通科に比べると特殊だ。午前中は普通に五教科の授業を受け、昼は学食で最強すぎる料理に舌鼓を打ち、――海鮮丼を4杯食べた。後半の2杯はランチラッシュが気を利かせてくれて、超デカい平皿に超大盛で盛ってくれた。葉隠さんもこれには苦笑い―― 午後はヒーローになるための授業をみっちり受ける。
そして今日は。
「戦闘訓練だ!」
来たわね。戦闘訓練。日本が誇る伝説的ヒーローのオールマイトの授業を受けられるだけでもテンション上がるけど、やっぱり戦闘、いいよね! 戦い、闘い。強い漢字が二文字も続いてるぜ。
ていうかオールマイトはさんざ動画サイトで玩具にされてるのでいざ目の前にすると感動とか尊敬より思い出し笑いの方が先に出てくるんだよな。存在する訳がない超高画質のマイト素材をふんだんに使ったオールマイトキャニオン滅茶苦茶面白かった。
オールマイトの講釈が終わった後、壁から出てくるのはコスチューム入りのアタッシュケース。事前にコスチューム案出せって言われたからリスナーのデザイン上手い人にお金出して書いてもらったけど……僕のはシンプルに忍者だ。可愛い系の。しかもスカートだよ。
「着替えたら順次、グラウンドβに集合! 遅れるんじゃないぞ!」
はーい、と返事してアタッシュケース片手に移動開始。
……したんだけど更衣室どこ? 皆についていけばいいかな。ゾロゾロと移動する男子たちのお尻にくっ付いてけば間違いないだろう。
「峰田さん! 女子更衣室はあっちだぞ!」
「ちょっと峰田ちゃん! 女子更衣室はこっち!」
メガネの飯田君に注意されたかと思ったら、蛙っぽい……えー……蛙吹さんに腕をぐいぐい引っ張られてしまった。女子更衣室? 女子?
「え? あれ?」
「む?」
「あら?」
「あちゃー……」
あっ。
ちょっと遠くで額に手を当てる葉隠さんを見てピンときた。
やべえ、クラスのみんながなんだなんだと歩みを止めている……。
「ご、ごめっ、ぁの、その、僕こっち」
「あら?」
「ム?」
僕男なんですごめんなさいすいません。
ずっとジャージだったからわからなかったと謝ってくる蛙吹さんと飯田君の謝罪を頑張って固辞し、――確かに誰かを魅了したくて肉体を磨いたけど、こんなタイミングでのトラブルは望んでいないしシンプル迷惑だし、紛らわしい装いの僕が一番悪い―― 大人しく男子更衣室へ向かった。
廊下の移動中に感じた、爆豪(だっけ?)君がブチ切れて癇癪を起こすレベルの気まずい沈黙はすっかり鳴りを潜め、がやがやと会話しながら皆で着替えている。
ちなみにヒーロー科はロッカールームがクラスごと、ロッカー自体も生徒専用で大き目のが一つ用意されているし、ジムのロッカールームみたいな広い洗面台にシャワーも完備。ランドリーもタダらしい。
いいね! 素晴らしい! 特にドライヤーが美容室にしか卸されてないタイプの超高級品なのが良い!
「あの、ごめん峰田君」
ん?
いそいそと着替えてたら隣からヘルプコール。
「ちょっと付けるの手伝ってくれないかな。上手く出来なくて……」
そこに居たのは深緑のもさもさ天然パーマ。
ああ、席順のご近所さんじゃん。
よくよく見ると愛嬌のある顔立ちの、優しそうな顔。
なんだか同族の香りがする。君も……オタクかい?
「緑谷君……だっけ。よろしくね」
「よ、よろしく。このマスクなんだけど……」
マスク?
ああ、留め金が特殊な奴だ。見たことある。
「これ、こうやってやるんだ」
「えっと……こう?」
「そうそう。捻る」
「あ、出来た」
よしよし。
今回は時間が無いから緑谷君の手からマスクを取る。
「時間無いから僕がやってあげるね」
「ヒュァッ!?」
緑谷君の首後ろに手を回し、留め金を付けてあげる。
彼は僕より背が高めなので背伸びしないとやりにくいな……。
「よし出来た」
「あ、ありがとう……」
「時間無いし、一緒に行こう」
もう皆更衣室から行っちゃったらしい。緑谷君と一緒にテクテク歩いてグラウンドβへ向かう。緑谷君は雄英の地図を丸暗記してるらしいから頼もしい限りだ。今度から彼に着いていこう。爆豪君のクソデカ癇癪が怒声と一緒に飛んでくる事以外はメリットしかないだろう。
にしても緑谷君、シルエットが兎さんみたいで可愛いな。
……あっ。
「兎さんかフェネックかと思ったけど、もしかしてオールマイトリスペクト?」
「えっ、わ、わかる!? 実はそうなんだ!」
「いいじゃん。イケてる」
てへへと照れる緑谷君、可愛い。
ジャンプスーツはハンドメイド感凄いけど、手作りなのかな。
「えっと……峰田君は分かり易くていいね。忍者モチーフ?」
「うん。どう?」
「凄く良いよ! 紫ベースの色合い、簪の飾りもばっちり!」
まあどっちかというとくノ一だけどね。今思えば衣装もそっくりだし、いよいよ浜口あやめちゃん染みてきたな。でも可愛いから問題ないと思う。スパッツ履いてるからスカートでも気にならないし。
「スカートなのには理由があるの?」
「うん。可愛いから! 大事な理由でしょ?」
「そ、そっか。似合ってるよ!」
もうこのやり取りだけで緑谷君が良い奴って事がわかるよね。
顎に手を当てて考え込んでる緑谷君が面白くて眺めているうちにグラウンドβへ到着した。
おお、みんなイケてる衣装ばっかりだ。外見から入るのも大事ってオールマイトが言ってたけど、まったくもってその通りだ。ていうか女子のコスチュームが実に華やか。特に八百万さんが眩……――
「あっ、峰田くーん!」
――……ミ゜
「「「峰田どうした!?」」」
「峰田少年!?」
やば。いや。葉隠さん?
そうだね。葉隠さんの個性は透明だからね。
でも君なんで全裸なんですか?
全裸手袋シューズとかやや特殊性癖だね。
「峰田君!? 鼻血が噴き出てるよ!?」
「大丈夫です」
ありがとう葉隠さん。僕から離れてください。
今僕は股間に覇気流して固定するのに忙しいんだ。
「峰田少年大丈夫か!? ボッタボタ出てるぞ!?」
「すみません、なんでもないです先生」
「そ、そうか」
ぼたぼたと垂れる鼻血を気合で止め、拭う。
うーんオールマイトにも心配かけてしまった。申し訳ない。
「あっ」
あ、葉隠さん気付きました?
やっぱりリスナーだからかピンと来たらしい。
僕の視界に入らないでくださいお願いします。
「ご、ごめんね……」
「こちらこそごめん」
慌てて僕の後ろに移動した葉隠さん。後ろからこしょこしょと聞こえてくる謝罪の声に問題ないと返し、更に股間に巡らせた覇気に気合を入れた。師匠との訓練で慣れたもんだけど、まさか雄英内で使うことになるとは。
「ヒーロー科最高」
「このスケベ忍者」
あ、すいません。
後ろからほっぺつねるのはやめてくださ、やめっ、やめろっつってんだよ! 君の乳首当たったりでもしたら次こそ僕死ぬぞ。このふわ髪ドスケベハイウェイウーマン*3がよ……。
「バーカ」
ボケと返したいがこういうトラブルは理屈抜きで男が悪いと数多のサブカルが教えてくれたのでここは雌伏の時です。ここはぐうの音も出ませんって顔をしておきましょう。9:1で僕が悪いんですが。わかりきってると思いますが9が僕です。
「ちょ、ちょっとトラブルはあったが……始めるか有精卵共! 戦闘訓練の時間だ!」
よっしゃ。
気合入れていこう。
……ねえ葉隠さん僕の鼻血止まってる?
鼻の感覚が無くなっちゃったみたいで。