僕自身がスケベになればいいのでは? 作:PhaseShift
ご愛読、ありがとうございます。
個人的に、長い間目標に据えていたランキング総合日刊1位を達成できました。決して僕だけの力ではなく、素晴らしい原作、ハーメルン運営者様、読んでくださった皆さんのお陰です。本当にありがとうございます。
評価、UA、しおり、お気に入りなど、今まで見たことない数字になっていて感動しています。作者嬉しいです。安心してます。
ランキングの維持は考えていません。今後も精進しながら、自分の心身の安寧を第一にまったりと不定期更新していきたいと思います。
今後ともよろしくお願いします。
感想はあんな感じでゆるーく返事しますので、感想送ったこと無いって人も練習のつもりで、お気軽にどうぞ。全部僕の励みになります。
「今回のお題は屋内での対人戦闘訓練! ヴィラン退治ってよく話題になるのは大体屋外。だが統計で言うと屋内の方が凶悪なヴィランとの戦いの舞台になってる」
オールマイトの一言に結構びっくりした。このヒーロー飽和社会で真に厄介なヴィランは屋内に潜んでいるっていう言葉にも納得だ。
そこで今回は2on2でペアを組み、状況設定に応じたルールを敷いて屋内戦をやるとの事。
「基礎訓練も無しに?」
「その基礎を知るには実戦が一番手っ取り早いのさ!」
思わず首肯した。
痛いと覚えるのめっちゃ早いんだよね。ソースは僕。雄英のこういう所が好きだ。しかもオールマイトにそれ見てもらって指導してもらえるんでしょ? 個人的には最高じゃんって思う。
「ねえ、このマントヤバくない?」
「超イケてる。僕のスカートはどう?」
「キラめいてる☆」
青山君(だっけ?)のマント、生地めっちゃしっかりしてて超イケてるなって思ったから返事したけど彼のレスポンスめっちゃ面白いな。スカートが可愛いのもわかってちょっと安心。キラめいてるって。ふふ、嬉しい。
「それじゃあ、状況を説明する!」
オールマイト曰く。
ヴィランがアジトに核兵器を隠しててヤバいのでヒーローはそれを確保するのが目的。設定がハリウッド映画みたいでいいね。ルールは2on2。ヒーローサイドとヴィランサイドに分かれる。制限時間は15分。ヒーローはヴィランの捕縛か核兵器の確保で勝ち。ヴィランはヒーローの確保か核兵器を守り切れば勝ち。ペアの相手はくじ引きで決め、ヴィランには事前に5分の準備時間が与えられる。
さて。今回の僕のペアは……!
「よろしくな!」
上鳴君です!
今は二人で準備運動をしながら打ち合わせを進めてます。オールマイト先生は場所の選定をしてくれてるので、その間に情報交換をしておこうと声を掛けてくれたのだ。
場所はもうグラウンドβの中。
少し離れた場所で対戦相手がスタンバっている。
「さっきの緑谷たち凄かったな!」
「凄かった。八百万さんはああ言ってたけど、爆豪君の動きも超ヴィランぽかったと思う」
「あー。ヒーローとヴィランの確執! みたいな?」
上鳴君の言葉に頷く。私怨丸出しの独断で大破壊攻撃するヤツとかなんか居そうじゃない? 爆豪君みたいにイッちゃったヴィランは珍しいかもしれないけど、全く0ってわけでもないと思う。いいお手本だなぁ。
「準備運動終わり」
「おう。じゃ、情報交換しよう! テーマは……」
「個性について?」
上鳴君は両手で僕を指差しながらウェーイと声を上げる。
「俺の個性は"帯電"! 電気を纏ったり放出できるぜ。デメリットは……放出しすぎるとアホになる」
「アホ?」
「そう、アホ。何も考えられなくなる」
ほっぺを赤くしてそっぽを向き、ちょっと恥ずかしそうな上鳴君。申し訳ないんだけどちょっと見てみたい気がする。
「峰田の個性は?」
「えっと……えい」
「あ! お団子が葡萄みてえに……」
頭のお団子をちぎって地面にくっつけた。
「超くっつく。僕にはくっつかないでぶにぶに跳ね返る」
「おお、マジか」
「あ、触っちゃダメ!」
慌てて横から伸びてきた上鳴君の手を掴んで引き寄せた。
「なっ、なんだよ!」
「くっ付いたらほんとに取れないの。僕のコンディション次第で1日ちょいくっついたままとか普通にあるから」
「マジか。あっぶねえ……」
そうビビりつつも「でもヴィラン捕まえるのにめっちゃ便利じゃね!?」って言ってくれる上鳴君好き。そう。めっちゃ便利なんだよなこれ。
「で、更にこれを色んな形に出来る」
「手裏剣とか?」
お、鋭い。
僕はひと摘みして手裏剣を生成。さっきくっつけたちっこい奴の隣に投げつけた。
「正解。糸とかクナイにも出来るよ」
「おおー」
……後はデメリット。
「デメリットは……これお団子ごとずぽって取れるんだけど」
「えっマジ?」
「うん……あんまりちぎり過ぎると再生が追い付かなくてハゲるし血が出ちゃう」
訓練前からコストを消費したくないので実演はしないけど。
それともう一つ。
「あと粘着球で出来た物質は基本的に粉塵とかに弱い」
「ふんじん? 回復する奴?*1」
「いや違くて……砂とか掛かると粘着力激落ちする。セロテープも砂にくっ付けるともうくっ付かなくなるでしょ?」
なるほど~と頷く上鳴君に一応実演してみる。
その辺に転がっていた瓦礫を「えいっ」と砕き、粉末を粘着球と手裏剣に振りかけた。
「ほら、くっ付かなくなる」
「いやいやいやいや」
え?
「こっ……コンクリ砕けるそのフィジカルも武器だよな!」
「うん。肉弾戦なら任せて」
「おう!」
でも折角個性使えるんだし、出来れば忍者っぽく戦いたいな。
「で、俺たちヴィラン側だけど作戦とかどうする?」
作戦か。
「とりあえず最初の5分でトラップめっちゃ仕掛けたいよね」
「それ! 出来る限り時間稼ごう」
時間はこっちの味方だ。考え着く限りの罠を仕掛けるのはまあ確定。あとは相手のメタを準備したいんだけど、いかんせん僕は相手の個性を知らないんだよな。
「相手の個性わかる?」
「轟と……障子だっけ。障子は1本触手作って……――」
触手!?
「――……そこに口生やして会話してんのは見た」
しかも更に口を!?……んん。げほげほ。遠くで手持ち無沙汰にしてるお相手の轟君と障子君ペアを眺める。轟君の方はまあなんとなくわかるよね。
「轟君は氷の個性?」
「ぽいよな。粘着球って凍るとどうなん?」
「冷凍庫入れたことあるんだけど、その時はパッキパキになっちゃった。粘着力ゼロ」
「やべえ。でも温度によっちゃ大丈夫かもな」
でもトラップを解除されるリスクはあるなあ。
障子君は……。
「触手生やせる、口出てくる……わかんねえ」
「もしかしたら考えるだけ無駄かもしれない」
「無駄?」
そうそう。
そう返した所で耳の無線からオールマイトの声が聞こえた。どうやら場所の選定が終わったらしい。上鳴君は近くのライブカメラにサムズアップを返し、オールマイトの誘導に従って歩き始めた。
「障子君に対しては出たとこ勝負で行こう」
「上等! でもとりあえず粘着トラップはめっちゃ仕掛けようぜ!」
「うんっ」
「これが頭脳派ヴィランの戦闘ってワケ!」
「そうだね!」
「まあマヒャドとか撃たれん限り勝ち確っしょ!」
「「ウェーイ☆」」
「「マジで撃つ奴があるか!!」」
やばいやばいやばいやばい……ッ!!
「トラップが!! トラップがオシャカになったっ!!」
「轟ヤバすぎんだろ! どうすんだこれ!」
一面氷に包まれた空間。まさかの開幕マヒャドでトラップは全滅! 屋内も薄い氷に包まれてカチンコチン湖!*2 僕と上鳴君は二人仲良く膝下から凍結しちゃってます! 生足に冷気が染みるぜ! 次からストッキング履こうかなぁああああああああちくしょー! 障子君がビルを出た時点で察せたじゃん僕のバカ! 見聞色でビル出たのは分かってた! 分かってたんだよな!
ていうか寒すぎるんですけど!!
「なあ峰田今何考えてる!?」
「ドスケベストール持ってきて!」
「ドスケベストール!?」
ごめんちょっとバグった。マリットレイジの怒り*3とはこの事か……。
「よくわかんねーけどさっきのシックスセンスは!?」
「今やってる!」
嘘です今始めました。
当然二人で……、……。あれ?
「なんか」
「なんかって何だよ!?」
「なんか轟君一人で歩いてこっち来てる」
「はぁ?」って顔した上鳴君。そんな顔されても事実だし。もう一回確認してみるけど、確かに外にデカいのが1、中に普通サイズが1。うん。間違いないよ。
「なんでだ?」
「なんでだろ」
「……でも障子来てないって事はまたマヒャド来るんじゃね?」
こんな大技連発出来る学生居るわけないだろ!
……いや居るかもしれん。僕がそうだし。
「マヒャド来るかどうかわかんねーならよぉ」
「出たとこ勝負だ!」
「上等ォ! 轟は歩いてこっち来てるんだよな?!」
そうだ。走ってすらいない。ゆっくりこっちに近づいてきてる。なんだろう。野球でホームラン打った後の打者みたいな確信歩きっていうの? ドヤりながらテクテクするやつあるじゃん。
「もしかしなくても油断してんじゃね?」
「そうかも。動きに迷いがないとこから見ると僕たちの居場所を把握してるっぽい」
「もしかしなくても障子の個性か?」
十中八九そうだろうなぁ。障子君はまさかの感知タイプか。口生えるならなんか食べたりする個性かと思った。バクバク!ってやりそうじゃない? カバめって言いながらさ。でも全然違ったね。障子君に後で謝っとこう……。
「動いたら障子に把握されるかもな。無線で連絡されちまう」
「だけど轟君は油断してる可能性がある」
僕と上鳴君の間に沈黙が流れる。
整理しよう。この部屋に窓は無く、出入り口は一つ。出入り口に一番近いのが上鳴君。ドアから一番離れた壁際に核兵器が安置され、上鳴君と核兵器に挟まれる形で僕が居る。僕はドアに対して一直線に射線が通る位置で凍ってるから上鳴君にFF*4する心配は無い。
「上鳴君、ドアが開いた瞬間に放電できる?」
雷の発生と氷の発生。敵を視認した上鳴君と轟君の瞬発力勝負になるけど、雷の方が有利でしょ。一瞬隙を作ってもらえば大丈夫だから、その間に轟君をノックアウトすれば大分有利になる。やっぱり稲妻*5が最強かぁ。
「いや俺後ろに核兵器あるし個性使えないわ」
「えっ?」
なんで?
「……でっでで電気を放出できるんだよね?」
「おう。全方位にな!」
ニカッと笑う上鳴君。僕は思わず顔が引き攣った。
「……全方位?」
「おう」
「……無差別に?」
「おう! 凄くね?」
これはちょっともうダメかもしれん。冷えた頭で考えるけど何もいい案が浮かばないし何より時間が無い。
「上鳴君は動けそう?」
「……さっき足上げようとしたんだけどビクともしねえ。悪い」
僕がやるしかない。轟君はもうすぐそこに居る!
ドアのノブがガチャガチャ言い始めたので……ので……。
一気にドアを右ストレートでぶち抜いた。
「はぁっ!?」
痛みは忘れろ。僕はヴィラン。核兵器を人質にして立てこもっちゃうヤバいヴィランの片割れ……!
「ガハッ……」
「油断したな、ヒーロー!」
轟君は階段の手すりと吹っ飛んだドアにサンドイッチされてるみたいだ。凍らされるといよいよ後がないのでこのままぶちのめそう。ストレートを振りかぶった勢いをそのままに間髪入れず追撃。ドア越しに3発のジャブをお見舞いする。
「忍法――」
コストに葡萄を5摘み捧げる。
「――粘着糸の術!」
生成するのは糸の束。くるりと手繰って階段の手すりとぶち破ったドアで轟君をサンドイッチしたまま固定する! このままサンドバッグにした後確保すればいいでしょ。
「クソッ!」
あんだけ殴ったのにまだ動けるのか!? 冷気を感じたので慌てて廊下方向にステップすると、案の定地面越しにまた凍り付き始めた。しかも轟君は自分をサンドイッチしてる粘着糸を無造作に掴み、凍らせて脱出しちゃってる。
……? あ!
「ヒーロー! ちょっと
「っ!?」
手が震えてるし凍結は一瞬で済むはずなのにパキパキ凍らせるのに時間かけてたよな。やっぱマヒャドは大技だよ……ねっ!!
喰らえ! このめっちゃ助走つけたパンチを!
「凍れ!」
まあそうするよな。僕もそうする。轟君の足元から氷が飛び出し、地面から生えた氷の柱が僕の右手を拘束した。当然、僕は前につんのめったまま動けなくなる。
でも一気に全身拘束しない時点で色々察せるね!
「……終わりだ。このまま凍らせる!」
だけど甘い。
「立派な籠手を」
「嘘だろ……!?」
「ありがとうッ!!」
あああああ滅茶苦茶冷たい! 超痛い! 力抜けそう! 寒い! 泣きそう! でもでもでもでもでも! 強がれ! もう一歩踏み込め! 弱みを見せるな! 見せるなら根性だ! でも泣きそう! 諦めんなクソボケ! なんかあるだろ! ヴィランっぽいクズみたいな……気合入れる理由がッ! 不純な動機が!
『峰田くーん♡』
ぴょんぴょん。
ふわっふわっ。
ぽよんぽよん。
――……早く終わらせてもう一回見たいな。
「いつの間に糸が!?」
左手で投擲してくっ付けた糸をそのまま掴んで引っ張り、轟君を強引に引き寄せる。慌てて糸を凍らせたな。でももう遅い。
迸れ。僕の煩悩!*6
氷柱を砕き、氷塊を纏ったまま轟君の顔面へ!
「ぐ……ぉっ!?」
衝撃音。入った。
手応え。綺麗だ。
確かか? 壁に激突した。
動いてない。動くな。
動いたら殺す。
「……」
残心。
壁に激突した轟君。ピクリともしていない。
「峰田、すっげぇ」
障子君が一緒に来てたらわからない勝負だった。
「ふーっ。ふー……っ」
「な、んで。俺の、体温……が……クソッ。低い事、なんでわかったんだ?」
吐く息が冷たい。
肺を満たす空気もまた。
「僕の第六感、見聞色は。げほげほっ。
「……今を、捉える?」
真正面に居る相手のコンディションはよくわかる。
寒そう、暑そうなんて見ればすぐさ。
「右手と右の瞼、ふるふるしてたよ」
「……随分優しいんだな。教えてくれるなんて」
警戒を解かずに近づく。右腕にぶら下がる氷塊の重たさに辟易としながら。見た感じ、轟君に戦う気力は残ってないようだ。
「いいんだよこのくらい」
「?」
僕は轟君の耳元に口を寄せ。
「冥途の土産さ。死ね、ヒーロー」
「――……!?」
呟いてから確保テープを片手で巻き付けた。
『轟少年、確保!』
「すげえぞ峰田! 次どうする!?」
楽しい。
「上鳴君は動けるの?」
「無理! ほんと悪ィ!」
闘うの、楽しい!
「じゃあ僕が行ってくるね♡」
「……? 峰田どうしたっおわぁ!?」
階段の踊り場の床を砕く。
砕く、砕くッ、砕くッ!!
「しょーうーじぃぃ~~くぅ~~~ん」
凍ってる場所に粘着球はくっ付かないからぁ。
物理で片付けるしか無いねぇ。
「床を破壊してきたのか!?」
えっへへへゃはははははっ!
本当に触手と生やしてお口も作ってる!
でも障子君の触手はぁ。
「濡れて無いみたい……♡」
「ッ!?」
ぺろり。
「……もっと触手出せオラァァァアアアアアッッ!!」