ガスタール軍の大本営の会議室では、ガスタール軍の将校と、連合地球軍の作戦本部の将校が会談していた。
「我が軍の武器を使用しているにも関わらず、いまだにエスタルドを陥落させられないとは、どういうわけかな?」
と、高圧的に訊く、連合地球軍の将校。
「もうしわけございません。
ノーザンベルが不甲斐無いのと、エスタルドの抵抗が思いのほかしつこくて…。」
と、苦しい言い訳をするガスタール軍の将校。
「不甲斐無いのは、お前達も同じだろうッ!!」
と怒鳴る連合地球軍の将校。
「も…もうしわけございません!!」
と、平謝りするガスタール軍の将校。
「あ…あの…
もうしあげにくいのですが…。」
と、もう一人のガスタール軍の将校が尋ねる。
「何かね?」
と訊く連合地球軍の将校。
「あの…
できれば…
【M.G.F.】の派遣を…。」
と、おどおどして言うガスタール軍の将校に
「ふざけるなッ!!」
と怒鳴る連合地球軍の将校。
「まぁ、まぁ…。
そう言わないでください。」
と、同席している女性・シャギア
が、連合地球軍の将校をなだめる。
「【M.G.F.】の派遣…
よいではないですか☆」
と言うシャギア。
「バカを言うな!!
こんな戦場に、【
と言う連合地球軍の将校。
「いえ。
こういう戦場だからこそ【
と進言するシャギア。
「しかしな…。」
と渋る連合地球軍の将校に
「一週間で、エスタルドを落としてご覧に入れますよ☆」
と微笑むシャギア。
「お…お力添え、ありがとうございます!!」
と、頭を下げるガスタール軍の将校。
「では、早速、準備にかかります☆」
と、連合地球軍の将校に敬礼するシャギア。
「我が軍からも、部隊を派遣します!!」
と、ガスタール軍の将校が進言するが
「結構です。
私と妹で十分です☆」
と、ガスタール軍の将校の進言を断るシャギア。
「えっ?
お2人だけで…ですか?」
と驚くガスタール軍の将校に
「ご安心を☆
私の愛馬は凶暴ですから☆」
と、シャギアは言った―。
会議室を出たシャギアは、妹のオルヴァ
に
を送る―。
〈出撃だ、オルヴァ。》
《待っていたわ、姉さん☆〉
〈準備をしておけ。》
《まかせて☆〉
◆
シャギアは、M.G.F.の移動基地【ハルフェース6】のブリッジに上がってきた。
そして、司令官室に入る。
M.G.F.の司令官は、M.G.F.の創設者にして、初代司令官だった
シン・クロサキ
の名を引き継いでいる。
現在のM.G.F.の司令官は
第22代シン・クロサキ
連合地球軍少佐で、肥満体の男だ。
しかも
あろうことか、勤務中だというのに、ゲームをして遊んでいる…。
「シン司令。」
と、シャギアが声をかけるが
「うっせぇな★
今、いいところなんだよ★」
と、シャギアを無視するシン。
それでも、シャギアはかまわず口を開く。
「作戦本部より、私とオルヴァに出撃命令が下りました。」
「知ってるよ★
今、さっき、その命令が来たよ★」
と言って、シャギアの方を向くシン。
「何が出撃命令が下りました…だ★
どうせ、あらかた
お前から話を無茶振りして、無理矢理、作戦本部に命令を出させた
んだろう★」
と言うシン。
それを聞いて、苦笑するシャギア。
この、第22代シン…
勤務中にゲームをするなど、非常識極まりないことをする割には、なかなか鋭い男であった。
「いいさ★
作戦本部から、命令が出てんだ★」
と言って、再びゲームを始めたシンに
「ありがとうございます。」
と、敬礼するシャギア。
「すみません。
もう一つ、聞いていただきたいことが…。」
と言うシャギア。
「何だよ!?」
と、ゲーム画面を見ながら言うシン。
「ライフ、ドゥエト、ミルラ、バウアーに
自由行動の許可をいただきたい
のですが…?」
「自由行動だぁ…?」
と、ゲーム画面から目を離さないシンだったが
(…★)
(…。)
「テメェ…
頭の切れる
と、シャギアの方を向くシン。
「お褒めにあずかり、恐悦至極☆」
とお辞儀するシャギア。
◆
正式に出撃命令を命じられ、なおかつ
部下達の自由行動の許可も得た
シャギアは、居住区に向かう。
シャギアの部下達は、娯楽室にいた。
「作戦本部からの命令を伝える。
私とオルヴァは、エスタルド攻略を命じられた。」
と言うシャギア。
「あん?
隊長と妹だけなの…?」
と言うライフ。
「私達はお留守番?」
と言うドゥエト。
「つまらないね…。」
と言うミルラ。
「またしても、死の恐怖はあたえられないのか…。」
と嘆くバウアー。
「そう不貞腐れるな☆
シン司令から、お前達には
自由行動
の許可をもらった☆」
と言うシャギア。
「自由行動…?」
と、顔をしかめるライフ。
「自由行動って…
何をしてもいいんですか?」
と訊くドゥエトに
「そうだ☆」
と答えるシャギア。
「なるほどな…☆
自由行動か…☆」
と、歓喜に顔を歪ませるミルラ。
「なら…
死の恐怖をあたえてもらおう☆」
と喜ぶバウアー。
「ということだ☆
各自、自由に楽しんできてくれ☆」
「「了解☆」」
と、シャギア達は
◆
ところで、じつはシャギア達も
人工MS娘
である。
そもそも、モビルスーツの魂を宿した少女など、そうそういるものではない。
そのため、軍の主戦力は人工MS娘となっていた。
エスタルドの人工MS娘と、連合地球軍の人工MS娘の違いは
連合地球軍の人工MS娘は、黒色機動群の技術が使われていない
点である。
そもそも、MS娘についてのノウハウが豊富な連合地球軍では、人工的にMS娘を誕生させる研究がなされていた。
100年近い研究の末、ついに、通常のMS娘に匹敵するほどの能力を持った人工MS娘を誕生させることができるようになったのだ―。
このアンダースーツは、被弾時の衝撃をやわらげる効果もある。
ここが、装甲服とのシンクロ率を上げるために、全裸にならなければならないエスタルドの人工MS娘との大きな違いだ―。
「行くぞ!!
シン・クロサキ兵団、出撃だ!!」
と、装甲服を装着した
シャギア
オルヴァ
ライフ
ドゥエト
ミルラ
バウアー
が、発進デッキに出てくる。
【シン・クロサキ兵団】―。
M.G.F.の創設者にして、初代司令官だった
シン・クロサキ
の名を冠するこの部隊は、M.G.F.のエリート部隊だ―。
「シャギア!!
ガンダムヴァサーゴ、出るぞ!!」
「オルヴァ!!
ガンダムアシュタロン、出る!!」
「ライフ!!
コルレル、行くぞ!!」
「ドゥエト…
ブリトヴァ、発進します…。」
「ミルラ!!
ガブル、発進!!」
「バウアー!!
ラスヴェート、出ます!!」
と、発進デッキから出撃する、【シン・クロサキ兵団】の人工MS娘達―。
【ハルフェース6】の
「あの…
作戦本部からの命令では、シャギアとオルヴァの2人だけのはずですが…?」
と訊くオペレーターに
「あぁ、そうだよ★」
と答えるシン。
「しかし…
全員、出撃してますよ…?」
と訊くオペレーターに
「あとの4人には
自由行動の許可を出した
んだよ★」
と言うシン。
「よろしいのですか?
作戦本部から、何か言われるのでは…?」
と訊くオペレーターに
「よろしいんだよ★
こっちは命令通り、シャギアとオルヴァに出撃命令を出したんだ★
あとの4人は、勝手にやってるだけで、オレの知ったこっちゃねぇんだよ★」
と、シンは言い放った…。
◇
エスタルド軍の西部戦線基地―。
先日のガスタール軍との戦闘後…
ZK級が5機…
もちろん、戦車や大砲なども補充されて、先日の戦闘前よりも戦力は増強されていた。
そこに、さらに
そして、ZK級と同じく、100年前の黒色機動群の兵器であったGM級が5機が到着した。
「スゲェな、シィ☆
これだけの戦力があったら、ガスタール人を殺しまくれるぞ☆」
と喜ぶディ。
「うん…そうだね…。」
と、相づちをうつシィ―。
その頃、前線指揮所では…
「大尉!!
レーダーに反応!!」
と、レーダーを見ていた軍曹が、
「敵か!?」
「はい!!
数は6…って…
この識別信号は…!!」
と、驚く軍曹。
「どうした?」
と訊く
「敵は連合地球軍のM.G.F.…
【シン・クロサキ兵団】です!!」
と叫ぶ軍曹。
「な…何だとぉッ!?」
と絶叫する
敵襲を報せるサイレンが鳴り響いた。
「来たぞ☆
ガスタール人どもだ☆」
と喜ぶディ。
しかし、スピーカーからは
『総員に告ぐ!!
ただいま、【シン・クロサキ兵団】が接近中である!!
総員、直ちに配置につけ!!』
と、
途端に、基地内は騒然となった。
「マ…マジかよ…!?」
と、さすがのディも、相手が【シン・クロサキ兵団】だと聞いて、顔を引きつらせた。
「
と、新たに着任した
「総員、出撃準備!!」
と、隊長の号令一下、装甲服を装着するため、服を脱ぎ、全裸になる人工MS娘達。
全員、装甲服を着終わると、隊長を先頭に、パイロン隊は出撃していった―。
荒野を進む、26人の
彼女達の後方には、起動に成功した3機のZK級と4機のGM級がついてきている。
やがて…
レーダーが、接近してくる【シン・クロサキ兵団】の機影を捉えた。
空に3機…
地上からも3機…。
(来た…!!)
と、緊張するシィ。
(何だろう…
体が震えてる…?)
と、自分の体が震えてることに気づくシィ。
(バランサーな調子が悪いのかな…?)
などと考えていたが…
その体の震えは…
恐怖
によるものだということに…
シィは気づいていなかった…。