降下してくる黒色機動群の降下ポッドは、全部で15機。
1機につき人型巨大兵が4機搭載されている。
降下ポッドの外装は非常に強固で、MS娘のビームライフル程度では破壊するのは不可能だ―。
降下ポッドは、ミッドウェー島の南側の海岸付近に降下した。
ところが、その内の4機が海に落ちてしまった。
理由は不明だが、黒色機動群の人型巨大兵は、海水に浸かると機能が停止してしまう
のだ。
これにより、月から地球に送り込まれた60機の人型巨大兵の内、16機が戦うことなく失われた…。
それでも、残る44機が、降下ポッドから出てきた。
たちまち、連合地球軍部隊の砲火にさらされる、黒色機動群の人型巨大兵。
しかし、通常の火砲では、黒色機動群の人型巨大兵に傷をつけることすらできない。
黒色機動群の人型巨大兵は、右手に持つダブルガトリングガンを発砲し、沿岸部の砲台や、迎撃に来た戦車を破壊していく。
ミッドウェー島南部の沿岸部は、たちまち、破壊された連合地球軍の兵器の炎で照らされた…。
そこに…
「ぉうらあぁッ!!」
と、
首を斬り落とされた黒色機動群の人型巨大兵は両膝をつき、うつ伏せに倒れて爆発した。
続いて…
「一撃で死ねば、痛くないよね…?」
と、
そして…
「ハッ!!」
と、
上空からジーナ達も攻撃するが…
「何だと…!?」
黒色機動群の人型巨大兵に、
《大尉…
これは…!?〉
と、ポリィからの通信が入る。
新型装甲服バリエントのビームライフルが効かないのだから、隊員達のドートレスのマシンガンも、もちろん通じない。
逆に、黒色機動群の人型巨大兵のダブルガトリングガンによって、ドートレス達が次々と撃ち殺されていく…。
《サングラスは引っ込んでろッ!!〉
と、トゥからの通信が入る。
「あなたねぇ!!
上官に向かって、なんて口の聞き方をしているの!!」
と、トゥの態度に激怒するロヴェール。
「いや…
トゥの言う通りだ…。
どうやら、私達は何の役にも立たないみたいだ…。」
と、ロヴェールをなだめるジーナ。
「黒色機動群の相手はトゥ達にまかせて、私達は後退する!!
トゥ、キララ、ノゥ、頼むぞ!!」
と、後退するジーナ達…。
「サングラスのお墨付きももらえたぜッ☆
いくぜ、キララ、ノゥ!!
コイツら全員、ブッ殺すぞッ☆」
と、右腕のハイゴールドショーテルで黒色機動群の人型巨大兵の首を刎ねる
「うん…。」
と、ビームシザースで黒色機動群の人型巨大兵の腹部を切り裂く
「だから、ジーナ大尉のことをサングラスって呼ぶの、やめなさい!!」
と、右腕のドラゴンハングを伸ばして黒色機動群の人型巨大兵の頭部を破壊する
30分にわたる戦闘で、44機いた黒色機動群の人型巨大兵は、トゥ、キララ、ノゥの3人によって全機撃破された―。
予想外の黒色機動群の襲撃により、第13特別機甲師団の派遣部隊が大損害を被ったため、出撃できなくなってしまった…。
幸いというべきか、戦場はミッドウェー島南部の沿岸部だったので、内陸部にある基地の施設や設備には、ほとんど被害が無かった。
そして…
海没した黒色機動群の降下ポッドを回収し、人型巨大兵を鹵獲して、意外な事が判明した。
今回、ミッドウェー島基地を襲撃してきた人型巨大兵だが
全身が無骨な曲面装甲に覆われ
紡錘形の頭部に四角いモノアイ
三角形状の巨大な肩アーマー
という、これまで確認されていない、新型機だったのだ。
しかも、連合地球軍の新型装甲服であるバリエントのビームライフルが通じないという、驚異的な装甲強度をほこっている…。
「冗談じゃありませんよ!!
ただでさえ、アミットフォースよりも戦力が劣っているのに、黒色機動群の新型機すら破壊できないんじゃ、アミットフォースと戦う以前の話ですよ!!」
と叫ぶヘンケン。
「その通りだ。
一気に60機も送り込んできたということは、すでに生産ラインが稼働しているということだ。
この事を一刻も早く、ニューヤークの総司令部に伝えるべきだ。」
と、ヘンケンに同意するブレックス。
「では、アミットフォースの追撃は?」
と訊くジーナに
「延期せざるをえんだろう。
ヘンケン艦長の言う通り、黒色機動群にすら勝てない我々が、なぜアミットフォースに勝てるのだ?
残念ではあるが、我々の任務はここまでだ。」
と言うブレックス。
第13特別機甲師団は、ニューヤークの連合地球軍総司令部に作戦中止を進言した。
ところが…
「作戦を続行せよ…ですって!?」
と、驚くヘンケン。
「うむ…。
総司令部の方から
増援
を送るので、増援部隊と合流し、作戦を続行しろ…とのことだ…。」
と言うブレックス。
「増援?
どこの部隊ですか?」
と訊くヘンケンに
「【炎の時計部隊】
だよ…。
早ければ、明日の昼過ぎには、ここに到着する予定だ。」
と言うブレックス。
「【炎の時計部隊】…。
シン・クロサキ兵団なみに、厄介な連中ですね…。」
と、ため息をつくジーナ。
「しかし…
一応、頼りになる連中ではある…。」
と言うブレックス。
そして
「我々、第13特別機甲師団は、明日、到着予定である【炎の時計部隊】と合流し、アミットフォース追撃の任務を続行する!!」
と下令した。
「「了解!!」」
と敬礼する、ヘンケンとジーナ―。
◇
一方、フリーデンは―。
パキスタンに向かっていたフリーデンは、その後、連合地球軍インド駐留軍の散発的な襲撃にあいながらも、インド西部のアラビア海を北上し…
ついに、パキスタンに到着した―。
フリーデンの艦橋では…
「お嬢様。」
と、パキスタンに向かっている間、全く姿を見せなかったレイナが艦橋に来た。
「何の用かしら?」
と訊くアミールに
「ネオタリバンとの交渉…
私に任せていただけませんか?」
と言うレイナ。
「なんですって!?」
と驚くアミール。
「ど…
どういう風の吹き回し?
あんなにも反対していたのに…?」
と訊くアミールに
「もちろん、今でも反対です。
しかし、ここまで来てしまった以上、もう引き返せませんので…。」
と言うレイナ。
「しかし、ネオタリバンとの交渉は、オルフェーヴ家の当主である私が行きます!!」
と言うアミールに
「ダメです。
ネオタリバンの本拠地に、お嬢様が行かれるのは危険です。
そして、お嬢様のような若い方では、まともな交渉などできないでしょう。」
と言うレイナ。
ネオタリバンの本拠地に行くのが危険なのは覚悟の上だが、交渉の相手がつとまらない…というのは、我慢ならなかった。
「人を見かけで判断するような者など、説き伏せてみせるわ!!」
と意気込みアミールに
「しかし、人は見かけで判断します。
ネオタリバンとの交渉は、私にお任せください。
必ずや、お嬢様のご期待に応えてみせます。」
と言うレイナ。
「何なの…?
よほど、自信があるみたいね…。
わかったわ…。
レイナにまかせるわ…。」
と言うアミール。
「はい…☆」
と微笑むレイナ―。
こうして、レイナは護衛役のランとともに、反対していたネオタリバンとの交渉に赴くのだった―。