ネオタリバンと同盟を締結した事をアミールに伝えるため、レイナ達はフリーデンに帰艦した。
「さすがレイナ☆
素晴らしいわぁ☆」
と、レイナからの報告を聞いて、狂喜乱舞するアミール。
「あちらの準備が整い次第、連合地球軍のインド駐留軍の基地に攻撃をしかけます。
つきましては
この作戦の全権を、私に委ねていただきたいのです。」
と言うレイナ。
「えっ?
何?
レイナがそんなこと言い出すなんて、珍しいじゃない?」
と、驚くアミールに
「同盟を締結してきた者として、当然のことかと?」
と言うレイナ。
「わかったわ…。
なんだか、汚れ仕事を押し付けるみたいだけど…
レイナに全てを任せるわ…!!」
と言うアミールに
「はい…☆」
と、笑顔で答えるレイナ―。
◆
インド・ニューデリー
連合地球軍インド駐留軍司令部―。
基地の滑走路に、10機の輸送機が、次々と着陸してきた。
降りてきたのは、数日前、ミッドウェー島基地での黒色機動群との戦闘で大きな被害を出した第13特別機甲師団の生き残りと、増援の【炎の時計部隊】だった―。
「第13特別機甲師団師団長のブレックスです。」
「【炎の時計部隊】の指揮官のザコットだ。」
と、連合地球軍インド駐留軍司令部の司令官室に出頭したブレックスとザコットが、連合地球軍インド駐留軍司令官のダルシム少将に敬礼する。
「よく来てくれた。」
と、返礼するダルシム。
「早速ですが司令。
現在の状況について、教えていただけませんか?」
と訊くブレックス。
「ここ数日、アラビア海を北上するアミットフォースに攻撃をしかけたのだが…
情けないことに、全て失敗に終わっている…。」
と言うダルシム。
「アミットフォースって、そんなに強ぇのか?」
と言うザコット。
「アミットフォースは、どこに向かったのですか?」
と訊くブレックスに
「おそらくだが、パキスタンを拠点としている武装組織【ネオタリバン】と接触したと思われる。」
と言うダルシム。
「ネオタリバンって、たんなるゲリラだろ?
この基地の戦力をもってすれば、叩ける相手だろう?」
と言うザコットに
「それが、そういうわけにもいかなくてな…。」
と言うダルシム。
「どういうことですか?」
と訊くブレックスに
「ゲリラとはいえ、ビーム砲やミサイル、はては黒色機動群の巨大兵や人工MS娘までいて、一筋縄ではいかない相手なのだ。
こちらも、ゲリラの討伐に大規模な戦力を投入するわけにもいかなくてな…。」
と言うダルシム。
「たしかに、ゲリラの討伐にインド軍が全戦力を突っ込んだ…なんてことを、ニューヤークが知ったら、ダルシム司令官もタダじゃすまねぇわな★」
と言うザコット。
「そういう事情でしたら、我々におまかせいただけませんか?
我々の任務はアミットフォースの討伐ですが、アミットフォースに協力する勢力がいるというのでしたら、それらも討伐対象です。」
と進言するブレックス。
「頼めるか、ブレックス准将?」
と言うダルシムに
「おまかせください!!
司令のご期待に応えてみせます!!」
と、敬礼するブレックス―。
司令官室を出て、廊下を歩くブレックスとザコット―。
「よかったんですか?
あんなこと言っちゃって?」
と言うザコット。
「あんなこと…とは?」
と訊くブレックスに
「ゲリラの掃討はまかせろ…って言ったことですよ。」
と言うザコット。
「言ったではないか。
アミットフォースに協力する勢力も討伐対象だと…!!」
と言うブレックス。
「城を落とすには、まず城壁を壊せ
ですか…。」
と言うザコット。
「その通りだ。
アミットフォースは、ネオタリバンという『
と言うブレックス。
「ダルシム司令によると、ネオタリバンの基地は山の中だそうですね。」
と言うザコット。
「それがどうした?」
と訊くブレックスに
「我々【炎の時計部隊】は
山岳地帯での戦闘には不向き
なんです。」
と言うザコット。
「そうか…。
せっかく、我々の増援として来てくれたのに…。
これでは、ただの旅行だな。」
と、やや皮肉を込めて言うブレックスに
「旅行を楽しませてもらいますよ★」
と、ザコットは返した―。
◇
アミットフォースの母艦フリーデン―。
「お嬢様。
連合地球軍側に動きがありました。」
と、アミールに報告するレイナ。
「何があったの?」
と訊くアミールに
「ニューデリーの連合地球軍インド駐留軍司令部に、増援が到着したようです。」
と言うレイナ。
「増援?」
と、首を傾げるアミールに
「到着した増援が、どのような部隊なのかは、現時点では不明ですが…
おそらくは、私達の討伐部隊でしょう。」
と言うレイナ。
「シン・クロサキ兵団かしら?」
と警戒するアミールに
「私の勘ですが…
その可能性は低いでしょう。」
と言うレイナ。
「とりあえず…
どうするの?
増援が来たというのなら、こちらから攻めるのはマズいんじゃないの?」
と言うアミールに
「そうですね。
なので、当初の予定を変更し、ネオタリバンの基地にて、迎撃戦を展開します。」
と言うレイナ。
「勝算はあるの?」
と訊くアミールに
「私達にとっても、ネオタリバンにとっても、いまだかつて経験したことのない戦闘になるでしょう。」
と言うレイナ。
「場合によっては、私も出撃するわ…!!」
と言うアミールを
「なりません!!
お嬢様が死なれたら、アミットフォースはどうなるのですか?」
と、アミールを止めるレイナ。
「貴女がいるわ…。」
と言うアミールだったが
「バカなことをおっしゃらないでください!!
アミットフォースを率いる者は、オルフェーヴ家の正統後継者でなければならない
のです!!
私には、資格が無いのです!!」
と、アミールを叱責するレイナ。
そして
「私は、今回の作戦の全権を、お嬢様から委ねられています。
私に、全てをお任せください。
お嬢様は、安全な場所にて、私達の戦いを見守っていてください。」
と、諭すように言った。
「わかったわ…。
レイナに、全てを任せる…。」
と、不満はあれど、納得はするアミール―。
その後、レイナはネオタリバンの司令官のアブドラと連絡を取った。
《何?
インド駐留軍に増援?〉
と言うアブドラ。
「おそらく、連合地球軍は、私達とネオタリバンが同盟を結んだとみているでしょう。
そこで、戦力的に劣る、そちらを攻撃するものと思われます。
なので、そちらの地の利をいかした迎撃戦を展開しようと思います。」
と提案するレイナ。
《なるほどな…。
一理あるな。〉
と、レイナの提案を受け入れるアブドラ。
「とりあえず
私達で侵攻してくる連合地球軍の部隊に奇襲をかけて、そちらの負担を軽減させるつもり
です。」
と言うレイナ。
《おい、無茶をするな!!
オレ達と一緒に、基地に籠って迎撃しろ!!〉
と言うアブドラに
「これは
アミットフォースの司令官アミール・オルフェーヴ様のご命令
なんです。」
と言うレイナ。
《そうか…。
命令なら仕方ないな…。
だが、あまり無茶をするな。
無理だと思ったら撤退しろ!!〉
と言うアブドラに
「お気遣い、ありがとうございます。」
と礼を述べ、レイナは通信を切った―。
◇
ネオタリバンの戦闘指揮所では、アブドラがレイナに感心していた。
「あのレイナって女は、なかなか度胸があるなぁ☆」
と笑うアブドラに
「そうですかね?」
と、疑問を呈す副官。
「どういうことだよ?」
と訊くアブドラに
「奇襲とはいえ
自分達より大きな戦力を持つ敵に、自分から攻撃をしかける
なんてこと…
普通、考えますかねぇ?」
と言う副官。
「バカ野郎ッ!!
だから奇襲をしかけるんだろぅッ!!」
と怒鳴るアブドラに臆することなく
「そうだとしても、リスクが大きすぎますよ。
もしかしたら
奇襲を口実に逃亡する
つもりなんじゃないですか?」
と言う副官。
「なんだと…!?
なぜ、そう思うんだ?」
と訊くアブドラに
「一緒に戦わない
ということは
そういうこと
なんじゃないですか?」
と言う副官。
(……?)
と、副官の発言を聞いて、考えるアブドラ。
「もし…
そうだとしたら…
お前なら、どうする?」
と訊くアブドラに
「こちらからも、奇襲部隊をアミットフォースに派遣しましょう。
断ったりしたら、クロですね。」
と提案する副官。
「わかった。
派遣部隊の人選は、お前に任せる。」
と、副官の提案を受け入れるアブドラ。
「ハッ!!」
と、副官は敬礼し、戦闘指揮所から出ていった―。
(レイナ…。
オレはお前を信じているぞ…!!)
と、アブドラは心の中で呟いた…。