ネオタリバンを壊滅させ、帰路につく連合地球軍―。
ジーナは、ブレックスに事後報告をしていた。
「ご苦労だった、大尉。」
と、ジーナを労うブレックス。
「ありがとうございます。
ただ一点
気になること
がありました。」
と言うジーナ。
「何だね?」
と訊くブレックスに
「ネオタリバンの基地に
アミットフォースの姿が無かった
のです。」
と言うジーナ。
「何?
それは、どういうことかね?」
と訊くブレックスに
「私にもわかりません。
もしかしたら、アミットフォースがネオタリバンと接触したというのは誤りだったのかもしれません。
アミットフォースが奇襲をしかけてきたのも、たんなる偶然だったのかもしれません。」
と言うジーナ。
「いや。
アミットフォースとネオタリバンが接触したというのは間違いない。
あの奇襲も、偶然にしては、あまりにもタイミングが良すぎた。
ネオタリバンの基地にアミットフォースの姿が無かったのは、救援に間に合わなかったとみるべきだろう。」
と、ジーナの説を否定するブレックス。
「そんな初歩的なミスを?」
と訊くジーナに
「たしかに…。
タイミングは良くても、場所が悪かった…。
それが偶然だったのか、あるいは本当にミスだったのかの判断が難しい。」
と言うブレックス。
「もうすぐ、ネオタリバンの基地から回収した通信機器の交信記録の解析が終わる頃だと思います。
そこに、何らかの手がかりがあるといいのですが…。」
とジーナが言った直後、解析班からの通信が入った。
「どうだった?」
とブレックスが訊くと
《面白い記録が残っていました。
そちらに音声データを送ります。」
と言う解析班の班長。
まもなく、解析班が解析した音声データが送信されてきた。
データは、レイナとアブドラの、最後の交信記録だった。
「何だ、これは?」
と、レイナとアブドラの最後の交信を聞いて、首を傾げるブレックス。
「レイナといえば、アミットフォースのナンバー2…。
この会話の内容だと、どうやら、アミットフォース側がネオタリバンを見限ったようにも受け取れます。」
と言うジーナ。
「なぜ、そのようなことをする?」
と訊くブレックス。
「こればかりは、さすがの私でも理解に苦しみます。」
と言うジーナ。
「他にないのか?」
と、解析班に訊くブレックス。
《アミットフォースとネオタリバンの繋がりを示す交信記録は、それだけです。〉
と答える解析班長。
「ということは、アミットフォースの司令官のアミールと、ネオタリバンの司令官とは、直接会って、同盟を結んだということになりますね。」
と言うジーナ。
「だが、最後はこれだ…。
お互いに、どのような利害があって、同盟を結んだのだろうな?」
と、首を傾げるブレックス。
「結果論から言うと、アミットフォースがいなくてよかったです。
もし、ネオタリバンの基地にアミットフォースがいたら、これほど簡単にネオタリバンを壊滅させることはできませんでした。」
と言うジーナ。
「まったくだ。
ネオタリバンと決別したアミットフォースに感謝しないとな。
ダルシム司令も、顔が立ったしな…。」
と言うブレックス―。
◇
夜のパキスタン西部―。
ネオタリバン壊滅後…
アミットフォースの母艦フリーデンは、西に向かっていた―。
司令官室では、ネオタリバンの壊滅に、アミールが愕然としていた…。
「申し訳ございません。
私がついていながら、このようなことになってしまい…。」
と、アミールに謝罪するレイナ。
「ともに手を取り合って、連合地球軍と戦える仲間だったのに…。」
と、うなだれるアミール。
それを聞いて
(何を言っているのでしょうね、この人は…★)
と、あきれるレイナ。
「レイナ…。
これから、私達は、どうすればいいの?」
と、レイナにすがるアミール。
「とりあえずは、一度、本拠地に戻りましょう。
そこで、今後の方針について、再考いたします。」
と言うレイナ。
「あぁ、レイナ…。
貴女がいて、本当に助かるわ…☆」
と、レイナに抱きつくアミール。
「ご安心を…。
私は、お嬢様のためならば、どのようなことでもいたします。
ですから…
これから先…
全てのことは、この私にお任せください。」
と、アミールを抱きしめるレイナ。
「あぁ…
レイナぁ…♡」
と、レイナの胸に顔をうずめるアミール。
「ここ連日、いろいろあって、お嬢様もお疲れのご様子…。
私が癒してあげますわ…。」
と、アミールと一緒に、司令官室の隣りにある、アミールの寝室に向かう、レイナとアミール―。
◇
フリーデンの娯楽室には、MS娘達がたむろしていた。
「今回は、アチキの出番が無くて、退屈だったぜ★」
と愚痴るディ。
「私は…
納得できません…!!」
と言うシィ。
「何のこと?」
と訊くランに
「レイナさんのことです。
ネオタリバンを見殺しにするなんて…!!」
と言うシィ。
「そうかな?
私も、テロリストと手を組むのはイヤだったから、レイナには感謝してるけどね☆」
と言うラン。
「そうなんですか?」
と訊くシィに
「そうなんですよ☆」
と答えるラン。
「何だよ、それ?
アミールは、何も知らないみたいじゃないか?」
と言うディに
「うん★
アミールは
本当に何も知らない
んだよ★」
と言うロア。
「何だ、そりゃ?」
と首を傾げるディに
「何も知らねぇから、テロリストと手を組むなんて言うんだよ★」
と言うスー。
「何だか、みなさん…
アミールさんを、蔑ろにしていませんか?」
と言うシィに
「うん☆
私達はアミールに従っているわけじゃない
からね☆」
と言うラン。
それを聞いて
「「えぇっ!?」」
と驚くシィとディ。
「当然だろ★
あんな世間知らずな女に従えるわけねぇだろ★」
と言うスー。
「私達は、あくまで
オルフェーヴ家に雇われているだけ
だからね★」
と言うロア。
「そ☆
ついでに言うなら、アミールには従えないけど
レイナには従える
よ☆」
と言うラン。
たしかに、シィもディも
レイナには逆らおうという気になれない。
「だったら、レイナがアミットフォースの司令官になればいいじゃないか。」
と言うディ。
「それが一番なんだが…
本人、なる気無ぇみたいだし…★」
と言うスー。
「でも…
レイナさんは、どうして、アミールさんを蔑ろにしてでも、ネオタリバンを見殺しにしたんだろう?」
と言うシィ。
「そればかりは、私にもわからないな★」
と言うラン。
「でも…
レイナについて行けば、間違いは無い☆」
と言うロア。
「同意☆」
と、ロアに同意するスー。
「じゃ、私、部屋に戻るわ☆
ティファが待っているから☆」
と、自分の部屋に戻るラン。
「じゃ…
私らも戻るか…★」
と、ロアを先頭に、娯楽室から出ていく一同―。
◇
自室に戻ってきたシィとディ―。
「ねぇ、ディ?」
と、二段ベッドの下で寝るシィが、ディに話しかける。
「何だ?」
と答える、二段ベッドの上で寝るディ。
「ディは…
アミールさんのことを、どう思っているの?」
と訊くシィに
「気にくわねぇ女
だな★
けど…
アチキとシィを助けてくれた人だから、恩返しはしねぇとな。」
と答えるディ。
「私は…
好き
かな?
みんなが言うほど、悪い人じゃないと思う。」
と言うシィ。
「シィがそう思うんだったら…
それでいいんじゃねぇのか?」
と言うディ。
「うん…。」
と答えるシィ。
「ねぇ、ディ―」
と、シィが呼びかけたが、ディからの返事は無かった。
どうやら、眠ってしまったようだ。
時計を見れば、午前1時だった。
(おやすみ、ディ。)
と、シィも眠りについた…。