シィとディ―。
『おい…
大丈夫か…?』
と、ディからの通信に
「うん…。」
と答えるシィ。
『このまま、北に行けば…
家に帰れる…。』
「うん…。」
と、シィとディは、北に向かって歩く…。
スラスターの推進剤はすでに無く…
ただ、重いだけの装甲服を着たまま…
シィとディは、故郷の村がある、北に向かって歩いた…。
装甲服を脱げば楽になれるが、脱ぐと全裸になってしまう…。
途中、どこかの街か村で、服を強奪しようかと思ったが…
幸か不幸か、2人にその度胸は無かった。
だから、装甲服姿のまま、北に向かって歩き続けた…。
◆
3日前―。
西部戦線―。
空を飛ぶ
「来たか…☆」
と、地上を見下ろす
地上には
26人の
3機のZK級
4機のGM級
が、土煙をあげて向かって来ていた。
「行くぞ、オルヴァ!!」
『了解、姉さん☆』
と、降下していく
26人の
地上に降り立った
「お出迎え、ご苦労☆」
と、
地上に降り立った
地上を進んできた
パイロンが乱射するマシンガンをかわしながら、
「せいッ☆」
と、右手に持つビームナイフで、パイロンの両腕を斬り落とした。
「いぎゃあああ…っ!!」
と、
「いい
もっと…もっと聞かせてェ♡」
と、今度はパイロンの両足を斬り落とした。
両手両足を斬り落とされた
「ホント、いい
でも…
聞きあきたわ…!!」
と、ビームナイフをパイロンの胸に突き刺した―。
右腕から射出したモノフィラメントワイヤーカッターで、2人のパイロンを斬り刻んだ。
モノフィラメントワイヤーカッターで斬り刻まれた2人のパイロンが、真っ赤な血をまき散らしてバラバラになった光景をみたドゥエトは
「まっかっか…まっかっか…♡」
と狂喜した―。
全高が2メートル半もあるミルラの装甲服だが、ZK級は4メートルの巨躯をほこる。
そのZK級が持つマシンガンの口径は、25ミリにも達する。
命中しても火花が散るだけで、
逆に、
崩れ落ちたZK級の頭を、左手で殴る
その要領で、
黒色機動群の兵器であるGM級もZK級同様100年前の旧式兵器で、現在では黒色機動群で使われておらず、人類に供給することで廃棄処分していっている。
そのGM級の武器は、右手に持つビームスプレーガンで、エスタルド軍で唯一、ビーム兵器を所持している機動兵器だ。
さすがのラスヴェートも、ビーム兵器にはかなわない。
だが、ラスヴェートの高い機動性は、その弱点を補ってあまりある。
「どうした…
私に死の恐怖をあたえてみよ…ッ!!」
と
そして、右手に持つビームライフルで、GM級を破壊する。
「私に死の恐怖をあたえられないのなら…
お前達が死ねッ!!」
と
ほんの40分ほどで…
26人の
シャギアのもとに集結する、シン・クロサキ兵団のメンバー達。
『まだ、生命反応がいくつかあるみたいだけど?』
と言うオルヴァに
「放っておけ。
どうせ助からん。」
と言うシャギア。
「このまま、西部戦線の基地も落とす!!
来い☆」
と、シャギア達【シン・クロサキ兵団】はエスタルド軍の西部戦線基地に向かっていった―。
◇
『助かったな…。』
と、ディからの通信に
「うん…。」
と答えるシィ。
シィとディは、【シン・クロサキ兵団】の圧倒的な強さを目の当たりにし
死んだふり
をして、やり過ごしたのだ。
立ち上がる、シィとディ…。
『ひでぇ…。』
「うん…。」
そこには…
見るも無惨な姿と化した、24人の
「う…うぅ…。」
と、膝をつき、泣き崩れるシィ。
『ちくしょう…!!
シン・クロサキ兵団…!!
人殺しのクソッタレどもが…ッ!!』
という、ディの叫びが通信機から聞こえてきた。
『なぁ…シィ…
家に帰らないか?』
という、ディからの通信が入った。
「家に…?」
と、泣きやむシィ。
「あぁ。」
と、
シィも
「脱走罪にならないかな?」
と言うシィに
「きっと、アチキらは死んだことになってるはずだ。」
と言うディ。
「家に帰るって…
ここからだと、とても遠いよ?」
と言うシィ。
「まあな。
けどよ…
帰る場所があるんだから…。」
と、ディは歩き始めた。
シィも、ディについて行く―。
戦場から早く離脱するため、スラスターを噴かした。
それで、推進剤を使い切ってしまった。
あとは、エスタルド北部の故郷まで、徒歩で移動する…。
そして…
3日が過ぎた…。
◇
3日の間に…
情勢は一変した。
西部戦線の壊滅により、ガスタール軍が進撃。
さらに東部戦線も、連合地球軍の支援を受けたノーザンベル軍が突破。
連合地球軍、ガスタール、ノーザンベルの三軍は、一気にエスタルドの首都エルデンに進行…。
本日午前零時、エスタルドは降伏した…。
これらの情報は、装甲服の通信機によって知ることができた。
戦争は終わったのだ。
「やったな☆
これでもう、アチキらは平和に暮らせる☆」
と、笑うディ。
「うん!!」
と、シィも喜ぶ。
「さぁ、もうひと踏ん張りだ☆」
と、シィとディは、故郷に向かって歩き始めた―。
途中、廃工場を見つけた。
「何だ、ここ?」
「何かの工場みたいだね…。」
と、ディを先頭に正門を通る。
ディが建屋の扉を蹴破り、建屋内に入る。
建屋内には、機械類は何も無かった。
閉鎖されてから、相当月日が経っているようだ。
「ここだったら、安心して脱げるな。」
と、装甲服を脱ぐディ。
たしかに、こんな場所に人が来るとは思えない。
シィも装甲服を脱いだ。
全裸のディが、残っているロッカーを開けていく。
「何してるの?」
と訊くシィ。
「服探してんだよ。
作業服の1つや2つ、あるんじゃねぇかと思ってな…。」
と言うディ。
たしかに、いつまでも装甲服を着ているわけにもいかない。
シィも、作業服を探すことにした。
2人が入った建屋には無かったので、隣の建屋に移動する。
全裸の少女2人が、着る服を探して廃工場をうろつくという、なんともシュールな光景だった…。
建屋の中で作業服を探していたディが外を見ると…
「M.G.F.だ…!!」
と叫んだ。
そのまま隠れるシィとディ…。
◆
パトロール中のM.G.F.のドートレス・フライヤー2名が、廃工場を発見した。
そして、建屋の中で、シィとディが脱ぎ捨てた、パイロンの装甲服を発見した。
「こちら、P-01。
ポイントK-357にて、遺棄されたエスタルド軍の人工MS娘の装甲服を発見。
回収します。」
2人のドートレス・フライヤーは、シィとディが脱ぎ捨てた装甲服を持って、再び空に飛びたった―。
「やべぇ…。」
「ど…どうしよう…。」
と、顔面蒼白になるディとシィ。
最初に入った建屋に行ってみたが、装甲服は全て持ち去られていた。
シィとディは、文字通り、丸裸だ…。
もはや、こんな姿では、外を歩くこともできない。
M.G.F.の捜索隊が来るのも、時間の問題だろう。
「ど…どうしよう…。」
と、怯えるシィ。
「ちくしょう!!
捕まってたまるか…!!」
と、再び、隣の建屋に走るディ。
「ど…どうするの!?」
と、シィはディに訊くが、ディは何も答えなかった。
ディも、もはや、どうすればいいのか、わかっていなかった…。
ただ、捕まりたくない…
そんな思いだけで、無意味で無駄な抵抗を試みているだけだった…。
(ちくしょう…ちくしょう…!!)
隣の建屋に入り、建屋内を見回す。
建屋の奥に、扉があった。
そこに向かって走るディとシィ。
扉にたどり着き、ディがドアノブを回して引くと…
「開いたぞ…☆」
扉を開けて、部屋の中に入ると―
「何だ…これ…!?」
部屋の中には…
思いがけない物
があったのだ…。