ハルフェース6に、左腕を失ったドートレス・フライヤーが帰ってきた。
しかし、帰還した直後に、装着者は出血多量で死亡した…。
ハルフェース6のブリッジでは、死亡したM.G.F.隊員のドートレス・フライヤーの
「何かわかったか?」
と、オペレーターに訊くシン。
「はい。
こちらをご覧ください。」
と、オペレーターはモニターに、ある映像を映す。
それは、シィのウイングガンダムセラフィムによって、サナ隊が全滅させられる映像だった。
「おいおい…
ありゃ、ウイングガンダムセラフィムじゃねぇか★」
と、映像を観たシンがつぶやく。
「何ですか?
その…
ウイングガンダムセラフィムって…?」
と訊くオペレーターに
「今から半世紀くらい前なんだがな…
MS娘じゃない一般兵士でも使える装甲服
を開発しようとしたことがあってよ…。
ま、失敗したんだけどな★」
と言うシン。
「その装甲服が、なぜ、エスタルドに?」
と訊くオペレーターに
「さあな★
それよりも、問題なのは、ウイングガンダムセラフィムを使っているのは誰なのかってこった★
お前、誰だと思う?」
と、ほくそ笑みながら言うシン。
「わかりません…。」
と答えたオペレーターの頭を
「エスタルドの脱走兵に決まってっだろ★」
と、軽く叩くシン。
そして、シンは艦長席に戻ると、内線でドゥエトを呼び出した。
《お呼びですか?〉
と訊いてくるドゥエトに
「お前、1個小隊率いて、ポイントL567に向かえ。」 と命じるシン。
《場所を確認しましたが…
ここは集落ですが?〉
と訊いてくるドゥエトに
「そうだ。
そこに、エスタルド軍の脱走兵が逃げこんだ。
そいつをしょっぴいてこい。」
と言うシン。
《
と訊いてくるドゥエトに
「そうだな…☆
モノフィラメントワイヤーカッターが突然誤作動する…
…なんて事故が起きたら、仕方ねぇなぁ…☆」
と笑うシン。
《わかった☆
1個小隊率いて、ポイントL567に向かいます☆〉
と、ドゥエトは嬉しそうに言って、内線を切った―。
「まったく…★
どうしようもねぇガキだな…★」
と、悪態をつくシン。
「よろしいのですか?」
と訊いてくるオペレーターに
「よろしいんだよ☆
モノフィラメントワイヤーカッターが突然誤作動した
んだからな☆」
と、シンは笑った…。
◆
「まっかっか☆
まっかっか☆」
と薄ら笑いを浮かべながら、ドゥエトは出撃準備を進めていた。
ブリトヴァの装甲服を装着し、サブフライトシステム・ベースジャバーに乗る。
サナに同行する4人の隊員は、ドートレスの装甲服を装着し、背中にフライヤーユニットを装備する。
「これより、ポイントL567に逃げ込んだ、エスタルド軍の脱走兵の逮捕に向かいます!!」
と、隊員達に命じるドゥエト。
そして、
《進路、クリア!!
ブリトヴァ、発進どうぞ!!〉
と、オペレーターからの通信が入る。
「了解!!
システム、オールグリーン!!
ドゥエト!!
ブリトヴァ、出ます!!」
と申告した後―
その後、15秒間隔で、4人のドートレス・フライヤーが発進した。
そして、
◇
ディを抱えて空を飛ぶ
「シィ、着いたぞ☆」
「うん☆」
と喜ぶディとシィ。
数ヶ月前、エスタルド軍に拉致され、人工MS娘に改造された際、記憶もいくつか改竄されたが、故郷の村のことは、記憶から消えていなかった。
「パパ…
ママ…!!」
と
「コラッ!!
シィッ!!
スピード出し過ぎだぁッ!!」
と、ディが頭にかぶっていた作業帽が舞い上がった…。
◇
村の中心地にある市場―。
「あぁん?」
と、八百屋の親父がふと、空を見上げると…
黒い影が降下してくるのが見えた。
「な…何だ、ありゃ!?」
その影は、鳥よりも大きいが、飛行機ほど大きくない…。
やがて…
黒い影が地上に降り立った…。
地上に降り立ったのは、ディを抱えた
だが…
「モ…
MS娘だぁぁぁ…ッ!!」
と叫ぶや
「M.G.F.だぁーっ!!」
「逃げろぉーっ!!」
「助けてくれぇーっ!!」
と、市場にいた者達は一斉に逃げ出した。
「ま…待ってください!!
私はM.G.F.じゃありません!!」
と、
「えっ?
お前さん…
もしかして…
クレアちゃん
か…?」
と言う、シィの顔を見た、腰を抜かしている八百屋の親父。
「えっ?
クレア?
それが、私の名前なんですか?」
と訊くシィ。
エスタルド軍に拉致され、人工MS娘の改造時に記憶を改竄された際、自身の本名の記憶が消されているのだ。
だから、シィは自分の本名を知らないのだ。
「何言ってんだい?
自分の名前を忘れちまったのかい?
あんた、ロイドさん家の娘のクレアちゃんじゃないか。
そして、一緒にいるのは、友達の
ディアナちゃん
じゃないか。」
と言う八百屋の親父。
「ディアナ?
それが、アチキの名前なのか…?」
と首を傾げるディ。
ディも、自分の本名の記憶を消されているのだ。
「何でぇ…?
どうやら、ワケありみたいだな…。
とりあえず、一緒に村長さんのところに行こう。
そこで、落ち着いて話そう。」
と言って立ち上がる八百屋の親父。
そして、八百屋の親父と一緒に、シィとディは村長の家へと向かった―。
◇
八百屋の親父と一緒に村長の家に来たシィとディ。
その後、村長がシィとディの両親を呼んだ―。
「クレア!!」
「クレア!!」
「パパ!!
ママ!!」
と、数ヶ月ぶりに再会する、シィとシィの両親。
「ディアナ!!」
「ディアナ!!」
「パパ!!
ママ!!」
と、ディも数ヶ月ぶりに両親と再会した。
そして、村長をまじえて、シィとディは、これまでの経緯を知る限り話した。
「なんということじゃ…!!
このような、まだ年端もいかぬ乙女に、そんなことを…!!」
と、エスタルド軍の行いに憤る村長。
「しかし、幸い…と言っていいのか…
クレアの話だと、軍のMS娘は全滅しているようなので、クレアもディアナちゃんも死んだことになっていると思います。
軍から追及されることも無いでしょう。」
と言うのは、シィの父親のロイド。
「オレは、軍のやったことは許せんが…
かと言って、真実を晒すと、それはそれで厄介だ…。
ディアナを無茶苦茶にされて泣き寝入りするみたいだが…
触らぬ神に祟りなしだな…。」
と言うのは、ディの父親のゲオルグ。
「思うところはあるかもしれんが…
しかし、世の中、見て見ぬ振りをした方が良い場合もある。
とにかく、ロイドとゲオルグの娘が無事に帰ってきたんだ。
それでよかろう。」
と村長が言うと、ロイドもゲオルグも頷いた。
シィの母親は素直に受け入れたが、ディの母親は納得がいかず、不満げな顔をしていたが、当然であろう。
その時だった。
村人の1人が、村長の家に駆け込んで来た。
「そ…村長さんッ!!
た…大変ですッ!!」
と叫ぶ村人。
「何じゃ、騒々しい!!」
と顔をしかめる村長。
「れ…
連合地球軍が来た
んです…!!」
と、息を切らせて言う村人。
「何じゃと…!?」
と、絶句する村長―。
◆
村長が村の中心地にある市場に行くと…
そこには
と
4人のドートレス・フライヤー
がいた。
「私が、この村の村長です。
何のご用ですかな?」
と訊く村長に
「ここに逃げ込んだ、エスタルド軍の脱走兵の逮捕に来ました。」
と言う