ママグルーヴの朝は忙しい
朝の6時前には起床し、ある程度の身だしなみを整えてから家事も済ませていく
花の水やりに掃除、夫と娘の弁当づくりに朝食の準備…幼稚園のスケジュールと持ち物確認
この時間帯には夫も一緒に起きていることも多いため洗濯物やゴミ出しなどは積極的にお手伝いをしてもらえるのだが、それにしたってやらなければならないことは両手の指では足りないほどにあるのだ
『ふぅ…今日も頑張らねばな…!』
7時頃になると子どもたちを起こしに子ども部屋に
『アドマイヤ…シップ起きてくれ、朝だぞ』トントン
『うん?結翔も起きたな…おはよう』
幸いにも彼女の子どもたちは起床難ではないため朝はスムーズにことが進む
『ほら、朝ごはんは出来てるぞ…歯みがきしに行こうな』
こどもたちのお世話をしながら1日を過ごすのだ
歯みがきに朝ごはん、幼稚園の送迎に洗濯、掃除、料理や風呂
幼い子どもたちに危険が及ばないよう最新の注意を払って生活をしている
『ふぅ…やはりトレーニングやレースとは違う疲れたをするな……』
女帝エアグルーヴ…競技用ウマ娘としての現役時代には肉体的な疲労はもちろんのこと後輩へウマ娘としての理想の姿を体現しようとプレッシャーも当然かかっていたが、現在と比べるとどうにもベクトルが違う
トレーニングやレースのみに集中できた昔だが、今は何かをしながらの行動が常なのだ
少し目を離しただけでも子どもたちに命の危険が迫ることだって充分に考えられる
母として何よりそれだけは避けなくては、子どもたちは自分が守るんだ…その一心で眠っている時でさえ実はあまり休めていない
そのことはエアグルーヴ自身はもちろん、現役時代にはトレーナーとして、現在は夫としてエアグルーヴを近くで見続けている春翔も認めていることだ
故に
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春翔の仕事部屋
マイ「おかあさまは?」
「お母さんには秘密、ナイショだ」
シップ「なんでぇ?」
「来週の土曜日はな母の日なんだ」
「だからいつもお父さんやシップたちのために一生懸命頑張ってくれてるお母さんを休ませてあげよう」
エアグルーヴがソファで仮眠を取っている間にみんなで作戦会議だ
マイ「はいはい!」
「なんだ?」
マイ「まいね、いっぱいおてつだいする!」
「そうだな」
「じゃあ、母の日にはお父さんがおうちのこととかやるからさ、そのお手伝いしてくれ」
「お母さんは1日おやすみ」
シップ「しっぷままぎゅーっておさえる!」
「抑える!?」
シップ「まますぐうごくもん!」
「あぁ…そういう」
たしかに妻は学生時代から常にきびきびと忙しくしているイメージだ
結翔「ぼくもおてつだいする!」
「うん、みんなよろしくな」
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決行当日
『すぅー…すぅー…』zzz
「ん…ふふっ…ぐっすりだな」ナデナデ
久しぶりに落ち着いて妻の寝顔を拝める時間
以前は化粧をしていないと幼く感じていたそれは、今では疲労を感じられるものになっていた
「いつもありがとうな…」チュッ
愛するウマ娘の体温とはしばらくお別れだ
スマホのアラームも昨晩あらかじめ切っておいた
まずは起きるまでに家事を済ませなければ
ゴミ収集に朝食準備、子どもたちが触れるものの消毒などなど掃除洗濯炊事には当てはめがたい家事やラグを取り換えたり食卓の調味料整理などの名もなき小さな家事まで大小さまざまなそれをこなしていく
彼女は自他共に認めるキレイ好き、ストレス発散の手段に掃除を選ぶようなウマ娘なのだ
ゆえに我が家は「なにもすることなくない?」と言いたくなるほど美しいのだが、それではいつも通り
彼女が家事をこなしてしまう
どうにかこうにか妻のいつもの作業を思い出しつつ、自分に出来ることをやっていく
ふと時計を見ると時刻は7時前そろそろ朝食の本調理に入り、子どもたちを起こさなくては
今朝はオシャレにフレンチトースト、庭で取れたトマトやフリルレタスにモッツァレラをふんだんに使ったサラダ、カリカリジューシーに焼き上げたベーコンと目玉焼き(子どもたちのはスクランブルエッグ)、ベーコンのあまりと旬の新玉ねぎ、ニンジンを使ったコンソメスープ(子どもたちのはコーンスープ)といったメニューだ
普段は俺が和食好きということもあり朝は和食なのだが、洋食も好きな彼女にあわせてみた
子どもたちと共に妻を起こしに行かなくては
「よし、お母さんを起こしにいくぞ」
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寝室
マイ「おかあさま…あさだよー」
『…ん…う…?』
シップ「ままおきて!あさごはんだよ!」
『…あさ…ごはん…?』
『ん!?いま何時だ!?』バサッ
7:20
『すっ!すまない!すぐに準備する!』バタバタ
結翔「かーさんのごはんいらないよ」
『…どういうことだ?』
お腹を空かせた子どもたちに起こされ話を聞けば、朝ごはんはいらないと来た
…反抗期か?
結翔「あっちいくの!」グイグイ
寝室の扉の向こうへと手を引かれていけば、なにやらあまじょっぱい匂いが
『これは…』
「おっ!やっと起きてきたな」
「おはようエア」
『お、おはよう…すまないアラームをかけたつもりだったのだが…』
『あなたも疲れているだろうに朝食まで任せてしまって……』
「なに言ってんだよ?」
「ほら、はやく準備しろよ」
「せっかくのモーニングが冷めちまうぞ?」
『あ、あぁ』
夫に促され歯みがきや洗顔を済ませてから食卓へと腰かけると見事という他ない豪華な朝食
『…どうしたんだ?』
もしや何かやましいことでもあるのでは無かろうかと思ってきた
「まあまあ、良いから食ってみろよ」
『…いただきます』
ぱくっ
もぐもぐ
ごくっ
マイ「どう?」
『ふむ…美味しいな』
シップ「やったー!」ブンブン
『?』
「実はな、今朝はみんなで作ったんだよ」
「あっ、もちろん火とか包丁は俺がやったぞ?」
『な、なんで』
「今日は母の日だからな」
「みんなでエアを休ませようってこと」
「だよな?」
ちびs「うん!」
ショパン「う!」
マイ「せーの」
ちびs「おかあさま/まま/かーさん…いつもありがとう!だいすきだよ!!」
『なっ!?あっ…ず、ずるいぞ…///』ポロポロ
『私こそ…いつもありがとう…愛しているぞ』ニコッ
結局その日1日夫と子どもたちからマッサージやらオヤツやら絵本の読み聞かせやらの手厚いサービス?を受け家族の温もりを感じた忘れられない特別な日が増えた