世界一幸せなトレーナーとエアグルーヴ   作:たわけ

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アドマイヤちゃんの心配ごと

ある日の夜

 

いつも通り仕事から帰ってきた父をみんなで出迎え、母のエアグルーヴが作った栄養バランスまで完璧な夕飯を囲み、入浴や寝る前のホットミルクと歯磨きも終えていた一同

 

マイ「おやすみなさい、おとうさま、おかあさま」ペコ

 

『あぁおやすみアドマイヤ』ナデナデ

 

「おやすみ」ナデナデ

 

 

夫婦の長女であるアドマイヤグルーヴは、寝かしつけられなくとも既に1人で寝付けるようになっていた

 

春翔とエアグルーヴとで分断して残りのちびっこたちを寝かしつけると、夫婦の寝室へと向かい……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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深夜

 

 

 

マイ「ん……んう…」ムクリ

マイ「ねるまえにじゅーすのみすぎちゃったかなぁ…?」トコトコ

 

他のきょうだいたちはスースーと気持ち良さそうに寝息をたてているような時間帯

 

尿意に襲われて起きてしまったようだ

 

トイレに行こうとお布団からはしばしのお別れ

道中で、酷い寝相のせいで布団が剥がれてしまっているルーラーシップに布団をかけ直してやる姿は、流石はお姉ちゃん、といったところだ

 

マイ「おなかいたいいたいなっちゃうよ?」

 

耳の良い妹たちを起こさないようにゆっくりとドアを開け廊下にでる

 

深夜の自宅というのは、経験がないでもないのだが、今よりももっと幼いころ…まだ母の腕に抱かれて眠っていた頃だ

 

先程までは賑やかであった広い自宅

今はヒトも、ウマ娘も、草木もシンと寝静まっていた

 

ほんの少しの恐怖とほんの少しの好奇心とでドキドキしながらも目的地へ確実に足を進める

 

 

ひんやりとした床に吸い付く足のペタペタという音さえも、母譲りの優秀なお耳は拾い上げピクピクと動いて、尻尾も忙しない

 

20歩ほど歩みを進めると、扉がある

 

両親の眠る部屋だと知っているのだが、アドマイヤは困惑した

なにやら物音が聞こえるのだ

 

マイ「おかあさまのこえ…?」

 

それはこの世に生を受けてから…いやそれよりも前から聞いてきた大好きな母の声……だけではない

 

何かが軋んでいるような、ギシギシという音

 

マイ「もしかして……けんか?」

 

そうであれば止めなくては

聞こえてくる母の声も穏やかではない

 

でも、

 

でも、もし、こんな時間に起きていたことがバレたら…?

 

昔からずっと、規則正しい生活を躾られてきた

寝る前にジュースを飲みすぎるなよとも言われている

 

 

マイ「おこられちゃう…!」

 

でもでも、けんかはだめだ、っておとうさまもおかあさまも、どーべるせんせーもいってる

 

意を決して寝室を覗いて見ることにした

 

幼子の好奇心は何人たりとも抑えられないのだ

 

懸命に背伸びをして、プルプル震えながらドアノブを掴みドアを開ける

 

7センチほどの隙間から中を覗くと……

 

 

 

 

『んっ……はるとさっ…だめっ……あっ……やめてくれっ……んんっ…』ビクビク

 

「良いのか?やめちゃって」

 

『やっ、あぁっ……』

 

 

 

 

マイ「!?」

 

モコモコのお布団で隠れていて小さなマイには良く見えなかったが、辛うじて上半身は見えた

 

母が父に組み敷かれている姿

 

2人は夫婦の営みに精を出していた

しかしながら、まだ幼いアドマイヤにはそんなことは分からない

 

おとうさまがおかあさまをいじめてる…?

 

 

怖くなってドアは閉めてしまった

 

マイ「いっつもなかよしなのに…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[newpage]

 

翌朝

 

 

 

「おはようマイ」ナデナデ

 

『おはようアドマイヤ』ナデナデ

 

マイ「うん…おはようございます」ショボショボ

 

「どうした?寝れなかったのか?」

 

『珍しいな』

 

 

どうやらマイが寝不足のようだった

 

 

 

マイ「あのね、きのうおといれいったの」

 

『普段から寝る前のジュースはほどほどにするよう言っているだろう』

 

マイ「ごめんなさい」

 

「まあまあエア、しょうがないってトイレは」

「それで?」

 

マイ「おかあさまのこえがきこえて、おへやのぞいたの」

 

「『!?』」

 

マイ「おとうさま、おかあさまいじめちゃだめ!」グイグイ

 

「い、いや、いじめてなんかないぞ?」

 

マイ「でもおかあさまやめてっていってたもん!」

 

「あれは、その、ほんとにやめて欲しかった訳じゃなくて…な?」

『あっ、ああっ、そうだぞ?私たちはちゃんと仲良しだぞ?///』カオマッカ

 

マイ「でも「ほら、マイ、そろそろ時間だぞ?準備しなさい」

 

 

危ないところだった……気をつけなくては

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[newpage]

 

その日の夜

 

 

「おやすみ」ナデナデ

『おやすみアドマイヤ』ナデナデ

 

マイ「おやすみなさい…」ペコ

 

 

 

 

 

 

アドマイヤグルーヴはバ生で2度目の寝たふりを決め込んだ

(※1度目はカーリー、リンとのお泊まりにて)

 

 

母を騙すのは心が痛んだし、もしバレたらきっとお説教だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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マイ「そろそろ…かなぁ」ウトウト

 

 

たしか昨日はこのくらいの時間だったと思う

 

昨日と同じようにシップに布団をかけ、ゆっくりとドアを開けて廊下をすすむ

 

20歩くらいで両親の部屋の前につき…

 

 

マイ「!」

 

今日も聞こえる

 

ごくり

 

息を飲んでバレないようにドアを開けると…

 

 

『んあっ…あっ……はっ…ばれちゃう……からあっ……』

 

「んっ…大丈夫だって……」

 

 

 

マイ「!?」

 

またゆっくりとドアを閉めた

 

また母の穏やかではない声が聞こえた

 

しかしながら、だ

 

今日は母が父を組み敷いていた

 

昨日とは反対だ

 

 

マイ「おかあさまもおとうさまをいじめてるの……?」

 

 

 

部屋に戻ってもなおアドマイヤは頭を悩ませた

 

おとうさまがおかあさまをいじめてて、

おかあさまもおとうさまをいじめてる

 

じゃあやっぱりけんかだ!

 

でも……なんでおようふくきてなかったんだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[newpage]

 

翌朝

 

マイ「おはようございます……」ショボショボ

 

『また寝不足なのか?』

 

「今日はどうしたんだ?」

 

マイ「おとうさま、おかあさま……けんかはだめだよ!」イヤイヤ

 

「『へっ?』」

 

マイ「きのうはおかあさまがおとうさまをいじめてた」

 

『いや、いじめてなんか』

 

マイ「だっておかあさまおとうさまのうえにのっかってたもん!」

 

『!?///』

 

「ま、マイ?ほら、朝ごはん食べよ?時間なくなっちゃうぞ」ダッコ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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その日の昼

 

キセキ「どーべるせんせー」グイグイ

 

ドーベル「どうしたのキセキちゃん」

 

キセキ「あどまいやちゃんがげんきないの」

 

ドーベル「アドマイヤちゃん大丈夫?お家で何かあった?」

 

マイ「あのね、おとうさまのとおかあさまがけんかしてるの」

 

ドーベル「えっ?」

 

あんなにラブラブな先輩たちが?

 

ドーベル「えっと……そうなんだ……でもきっと大丈夫だよ、すぐ仲直りするって」

 

マイ「ううん……きのうも、おとといもよるけんかしてた…おふとんのうえで」

 

ドーベル「?」

 

マイ「おとといはね、おとうさまがおかあさまのうえにのっかっていじめててね」

マイ「きのうは、おかあさまがおとうさまのうえにのっかっていじめてたの」

マイ「おかあさまがやめてーっていっても、おとうさまやめなくてね」

マイ「ふたりともおようふくぬぎぬぎしてたの」

 

ドーベル「!?!?!?///」

 

ドーベル「だ、大丈夫だよアドマイヤちゃん///」

ドーベル「お父さんとお母さんはとっても仲良しだから…ケンカなんてしてないよ///」

 

マイ「ほんとに?」

 

ドーベル「うん、本当だよ……だから安心していいからね」ナデナデ

 

マイ「うん!」

マイ「きせきちゃん、あっちでかけっこしよう!」

 

キセキ「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[newpage]

 

 

プルルルル プルルルル

 

ピッ

 

『もしもし?』

 

ドーベル「あっ、先輩」

 

『ドーベル…どうしたんだ?アドマイヤに何かあったのか?』

 

ドーベル「い、いえ…そうじゃなくて……」

 

『うん?』

 

ドーベル「その、先輩っていま旦那さんとケンカとかしてました?」

 

『いや、いたって平和だが』

 

ドーベル「ですよね…」

 

『それがどうかしたのか?』

 

ドーベル「実は……」ブツブツ

 

 

 

 

 

『なあっ!?///』

『す、すまない…今後気をつけよう……忘れてくれ…///』カオマッカ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして健気で純粋な可愛い長女の憂いは晴れたのであった

 

 

めでたしめでたし……

 

 

『めでたくない!!!』タワケッ

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