「あぁ、今年も残るとこ後数時間かぁ」
『まったく、早いものだな』
エア特製の年越しそばを食べてコタツに入り浸りながら今年を振り返る
「ほんとだよ。今年もイロイロあったな」
『1番はやはり入籍だな』
「そうか?」
『あぁ、あなたと家族になれた大切な日だからな』
『式ではたくさんの人に祝ってもらえた』
「ふふっ、そっか」
『あなたはどうなんだ?』
「俺ぇ?」
「俺は、エアのレース引退かな」
『全然プライベートでは無いじゃないか』
「うん。でも俺とエアが出会えたのってレースがあったからこそだろ?」
「きっかけになった1番大きいものだったからな」
『そうか』
「それに」
「今年はじゃじゃウマ娘がいっぱい側に来たからな」
『あの子達か』
「正直なところ居てくれて助かったよ」
『そうなのか?てっきり大変だと言うものだと』
「それはそうなんだけどさ、エアが居なくなってもどうにか寂しがらずに済みそうだなって」
『べつに、レースから離れるだけであなたからは離れないぞ』
「そんなことないよ」
『!はっ、はなれるのか!?』
「違う違う。物理的な話じゃないよ」
「俺は公私共に頭ではいっつもエアのこと考えてたから、レース引退しちゃったら仕事でエアのこと考える時間ってなくなるだろ?」
『そういう意味か』
『そう言われると寂しいような気もするな』
「あらあら、エアちゃんったらっ、独占欲お強いのね」
『たわけ』ペシッ
「ごめんって、しっぽで叩かないでよ」
「そういえば年始は?どうしよっか」
『どうする、とは』
「帰省、というか御挨拶のタイミングとか」
『正月は家にいるから好きなタイミングで来て構わないと言っていたが』
「ふぅん」
「じゃあ2日?3日?とかその辺にしようか」
『あぁ』
「それでね、じゃじゃウマ娘たちが新年会やりましょうよぉー!って言ってたぞ」
『それで固定なのか…』
『まぁ、いいんじゃないか。べつに』
「正確に言うと、先輩とトレーナーのお家で!っていうのもついてたが」
『あいつらは…』ハァ
『新年会と言っても何をしにくるんだ?いった
い』
「テキトーに飯食って帰るんじゃね?」
「あとは…ターフで走らせて疲れさせるとか?」
『こどもかっ!』
『というかそれは帰らせるための作戦だろう』
「ばれた?」
「まあ何やるかはアイツらにまかせとけばいいだろ」
『やりたいと言ったのはあの子達だしな』
「ね、エア」
『ん?』
「来年はさ、どんな1年になるんだろうね」
「家族が増えたり…するのかな?」
『さぁ、どうだろうな』
『流石に未来のことは分からん。子も授かり物だからな』
自身の腹を撫でながら目を細めて言う
先日から子作り解禁したエアグルーヴ夫妻だったが、正確に言うなれば妊活を始めたわけではなく行為の際に避妊をしなくなっただけなのだ
妊活をしてもいいのだが、エアグルーヴはまだ学生だ。一応妊娠するまでは通い続けようと話をしたためムリに体に負担をかけてまでの在学中の妊娠は望んでいなかった。
というのも、ウマ娘とヒトの間では受胎率が著しく低く妊娠するには種付けだけでなく、婦人科を受診して薬などを処方してもらわなくてはならない。その薬の副作用がかなり辛いらしいのだ。
さらに妊娠してからも悪阻がある。お義母さんいわく胎児がウマ娘ならなおのこと辛いとのことで、しかもウマ娘はヒトよりもお腹にいる期間が長い。要するにエアグルーヴにかかる負担が大きいのだ。それを考慮した結果在学中は避妊をせずに性行為をして妊娠したらタイミングによっては休学or自主退学、しなかったら卒業間際に妊活というスケジュールになった。
「まっ、それは今後に期待ってことで」
「もうそろ年越しだぞ?」
『!もうそんな時間だったか』
「『ごぉー、よーん、さぁん、にぃ、いーち』」
「『明けましておめでとうございます』」
『今年もよろしく頼むぞ、あなた?』
「俺こそよろしくお願いします」