世界一幸せなトレーナーとエアグルーヴ   作:たわけ

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秋レースで忙しいたわけと寂しいエアちゃん

        LANE

 すまない、今日も遅くなる

             わかった

         夕飯はどうする?

 もう作っちまったか?

              まだだ

 なら、テキトーに済ませる

             了解した

          無理はするなよ

 ありがと、頑張るわ

          おやすみなさい

 おやすみ

 

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『はぁ』

今日も、か

今日も会えない

それもそのはず

今年はチームの後輩たちはシニア期だ

そして今は秋レースのシーズン、年間通して最も忙しいと言っても過言ではない

それは彼の担当ウマ娘であった私がよく分かっていることだ

 

だが、

『寂しいな…』

もう3日だ

3日も彼とまともに顔を合わせていない

 

いつも夜遅くに帰ってきてはシャワーと着替えを手早く済ませて仮眠をとってから、また日が昇る前に家を出る

 

彼と会えるのは昼休みの食事時くらいだ

2時間目、授業終了のチャイムが鳴ると同時に教室を飛び出して彼のトレーナー室へ向かう

最近は専らトレーナー室に缶詰で仕事をしている、食事もまともに摂れてはいないのだろう

…共に食事をしていないから分からないのだが

だが昼食は一緒に食べている

せっかくなら栄養のしっかり摂れるものを…と思って最近は弁当のボリュームを以前より増やし、血糖値の急上昇を押さえるために野菜も増やしている

 

 

 

 

今日も今日とて私は寂しさを隠すこともなく一人ベッドに身を沈める

『はぁ、広いな…』

 

 

 

 

[newpage]

 

「っ!はぁ」

「今日も帰れないかぁ」

エア寂しがってないかなぁ

いや、俺も寂しいんだけど

 

 

 

 

結局、妻の待つ自宅に戻れたのは日付が変わってからのことだった

 

スタ スタ スタ スタ

気持ちよく眠っているであろう妻の目を覚まさせないように細心の注意を払いながら寝室へと歩みを進める

 

『すぅー、すぅー』zzz

「ふっ」

愛する妻の寝顔を見て思わず頬が弛む

「…ごめんな、全然帰れなくて」

きっと今日も…いや、昨日も俺の帰りを待とうとしてくれていたのだろう

俺も人のことを言えないが隅ができていた

 

 

そっとベッドから離れ、シャワーをサッと済ませ寝間着に着替えると再び妻の隣に身を委ねる

 

トレーナー室にもシャワールームや炊事場、着替えも完備してある。移動の手間を考えれば帰らずにソコで済ませる方が効率的だ

だが、ほんの少し、数分でも彼女の側に在りたいのだ

 

「おやすみ、エア」

起こさないように優しく、触れるだけのキスをする

 

 

 

 

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ぶぶぶぶぶぶぶ

「んっ」

ぴっ

「はぁっ」

『んん?』

『…もう行くのか?』

「!あぁ」

「悪いな起こしちまって」

『気にするな、久しぶりに朝から会えて嬉しい』

「あはは…ごめんな?ほんとに」

『忙しいんだろう?仕方ないさ』

「でも、」

『んっ』

「え?」

『おはようのキスがまだだぞ』

「あ、あぁ、悪い」チュッ

『ん、私はこうして隙をみて甘えさせて貰えば充分だ…』

「でもなぁ…あっ、年末にはさ仕事も落ち着くから、久しぶりにデート行こうぜ」

「今会えない分の埋め合わせってことで」

『なっ、わかった。期待しているぞ』

「おう!じゃ、行ってくるわ」

『行ってらっしゃい、あなた』チュッ

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