世界一幸せなトレーナーとエアグルーヴ   作:たわけ

23 / 129
忙しかった秋も終わり…転換

12月某日

 

「んじゃ、次は服見に行こっか」

『服?買いたかったのか?』

「んーん、俺じゃなくてエアの」

『わたしの?』

「うん」

「これから冬も本格的になってくるからな。今冬は冷え込むみたいだし新しいコートでも買おう!」

「どこが良い?」

『ふふっ、あなたに任せるぞ?』

「それは責任重大だな…」

 

私たちは今朝から、以前に彼が約束してくれたデートに来ている

確かに夫婦になってからというもの、一緒にいることが当たり前になって恋人らしいことはしていなかったかもしれない

久しぶりにタガを外して彼と遊べるのはとても楽しい

 

『あっ、』

「ん?どうした、なんか良いのあった?」

『これ、春翔さんに似合いそうだと思ってな』

「俺のは良いからさ、エアが欲しいの探しなよ」

『なっ、春翔さんも買えば良いだろう。あなただって体を大切にしてもらわなくては』

「今日はエアのを選びに来たんだろ?」

『別になんだって良いだろう。口実なんて』

 

 

 

 

 

 

 

『良い買い物ができたな』

「だな」

2人で同じデザインの、お揃いのコートを購入した

嬉しい、嬉しいのだが…なんというか、少し照れるな、こういうのは

 

 

 

 

 

----------------------‐‐‐-----------‐--------------------------------------

帰宅

「ただいまー」

『お帰りなさい』

 

『ただいま』

「ん、おかえり」チュッ

 

2人で共に帰っても挨拶は欠かさない

 

非日常な夢のような時間を過ごしても、こうして日常に切り替わる瞬間がある

以前ならば寂しくて気を落としていたかもしれないが今は違う

デートを終えても愛するヒトと一緒だ

このあと風呂に入るのも、ベッドで眠るのも、明日の朝目が覚めたときも。ずっと一緒だ

今は日常が愛おしくて仕方がない

 

 

「エア?どうしたー?」

『!なんでもない』

『それより風呂掃除は終わったか?』

「うん、バッチリだよ」

「お風呂沸くまでテレビでも見てよっか」

『あぁ』

 

---------------------------------------------------------------------------

「そろそろ寝る?」

『うん?もうそんな時間か』

 

歯磨きや消灯作業を終え2人で床につく

 

「…」

『…』

いつもならおやすみの挨拶の前に他愛のない会話を楽しむところなのだが、この日は少し違うようだった

もちろん機嫌が悪いとか喧嘩をしたわけでもない

 

「ねえ、エア」

『なんだ?』

「そろそろ、さ」

「本格的に始める…?」

『というと?』

「子どものこと」

先ほど見たテレビの影響だろうか、それともずっと考えていたのを口にしただけだろうか

『…ふむ』

子ども…私の年齢であれば少し早いのかもしれないが、彼とは年の差がある

何より私自身も彼との子どもを望んでいた

 

昨年末に避妊をしなくなって約1年

彼と毎晩のように愛し合っていながら一向に妊娠する気配がなかった

ウマ娘とヒトとの子どもが出来にくいとは良く言うがここまでとは思っていなかった

 

『そう、だな』

「年内にでも病院行ってみる?」

「もちろんエアが良いならだけど」

『私も子どもは欲しいさ』

『それに年明けからはもうほとんど授業はない。テストと3月の卒業を待つだけだからな。妊娠してもさほど影響はないはずだ』

「そっか、じゃあ次の休みにでも行って見る?」

『あぁ』

「ん、おやすみ」チュッ

『おやすみなさい』

 

 

[newpage]

 

次の休み

 

 

「エア、体調は大丈夫か?」

『あぁ、いつも通りだ』

「良かった。じゃあ行こっか」

 

 

--------‐------------------------------------------------------------------

ウマ娘メディカルセンター

産婦人科

 

看護師「四宮さーん!4番診察室にどうぞー!」

「『!』」

 

 

がらがら

女医「こんにちはー」

「『こんにちは』」

女医「本日は…あっ、妊活ですね」

『はい』

女医「今までに妊娠、出産、中絶の経験はありますか?」

『いえ、無いです』

女医「子宮関係の疾病などは大丈夫ですか?」

『それも無いです』

女医「わかりました」

女医「では、旦那様…でよろしいですか?」

「はい」

女医「旦那様は精巣関係の病気や何か生殖機能に関して心配事などはありますか?」

「いえ、ありません」

女医「わかりました」

女医「では、検査に移りますね。奥様はこのままで、旦那様はお隣の検査室で精液の採取をお願いします」

「わかりました」

 

 

 

 

 

 

女医「お疲れさまでした」

女医「検査は以上になります。結果としてはお二人ともまったく異常はありません。」

女医「ただ、そうは言ってもウマ娘とヒトではあまり受胎率は高くないので治療が必要になります。処方箋を出しておくので…」

 

 

 

---------------‐-----------------------------------------------------------

 

「ふぅ、ただいまー」

『お帰りなさい』

「ん、エアもおかえり」

 

「大丈夫?疲れてない?」

『平気だ。あなたより私の方が体力はあるのだぞ?』

「それはそうだけどさ、なんか、こう、気疲れとかさ、あるじゃん?」

『…まぁ、たしかにレースとは違う緊張があったな』

 

結局のところ今日は検査をして妊娠に必要な薬(なんかホルモンのやつとか?)をいくつかもらって帰ってきた。今日の夜から早速薬を使うのだが、やはり副作用はどうにもならないらしい

 

「薬、今日からだよね?辛かったら…ムリしないでとは言えないけど、俺に出来ることなら何でもするから頼ってね」

『あぁ…頼りにしてるぞ、旦那様』

「なんだそれ」

『ふふっ』

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。