世界一幸せなトレーナーとエアグルーヴ   作:たわけ

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エアグルーヴ夫妻の妊活記録

前話を読まれてからの方がストーリーが分かりやすいかと思います。

前話↓

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19235774

 

 

前回のおさらい

 

病院に行って妊娠に必要な薬を貰ってきたエアグルーヴ夫妻

早速その日の夜から服用することになり…

 

 

[newpage]

 

『うぅ…』

「ん?どうした?エア」

『その、薬は飲んだのだが…注射が、な…』

 

婦人科では飲み薬数種類と注射の薬を処方されていた

ウマ娘はヒトに比べて注射が苦手な娘が多い

彼女も毎年のワクチンや健康診断の採血などはかなりの覚悟を決めて臨んでいた

 

処方された注射は基本的には自分で打つが、講習を受けた人ならば代わりに打ってやることもできる。

つまり、俺が代わりに彼女に打つことも可能であるのだ

 

「…自分でできそう?」

『む、むりだ…』

「俺が代わりにやろっか?」

『い、痛くしないでくれよ…?』ウルウル

 

う"っっっ!!かわいい!何そのうるうるさせた目!上目遣い!垂らした耳!!うちの嫁可愛すぎ!!!!!

 

「頑張るよ」

「じゃあエアこっち来てね」

すたすた

「ん、服捲るよー」

『あっ、あぁ…』ビクビク

 

彼女のモコモコパジャマを捲り真っ白なお腹をアルコールで消毒してから

 

ぷつっ

 

「はいっ、終わったよ」

「よく頑張ったね」

なでなで

『うぅ…』ギュッ

「ふふっ、かわいいねぇ」ナデナデ

『これが毎晩なんて…耐えられん』

「そのうち慣れるんじゃない?わかんないけど」

「痛かったか?」

『その、想像していたよりは痛くはないのだが…心の準備というか…』

「うーん、それはどうしようもないなぁ」

「エアが寝てから俺が打とっか?」

『それは危ないだろう』

「そうか?効果は変わらないだろ?」

『そうではなく』

『驚いて暴れてしまったら春翔さんが危ない』

「あぁ、そっちね」

「んじゃ、ヤなイベントも終わったことですし寝ますかね」

「おやすみ」チュッ

『おやすみなさい』

 

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翌日

午前2時半

『…んっ、うぅ…』

「すぅー、すぅー」zzz

 

『っ!はぁっ、はぁっ、うっ!』

「んんっ…うん?えあ…?」

ばさっ

「エア!どうした!?」

『はっ、るとさん、』

「大丈夫か?具合悪いか?」

「病院行く?救急車呼ぶか?」

『おそらくっ、ふくさようだ』

「あっ」

「そうか…どんな感じで調子悪い?」

『吐き気が酷くてな』

「からだ、寝かすのと起こしとくのどっちが楽?」

『起こしたほうが…ましだ』

「わかった」

「ちょっと待っててね」

 

そう伝えて俺は念のためいつ嘔吐しても大丈夫なように諸々の準備をする

 

副作用ということは恐らく極端な話、気持ちだけの問題で胃腸にはあまり影響は大きくないだろう

そう判断したものの上手く気を逸らせる作戦が思い付かないまま妻の待つベッドへと戻ってきてしまった

 

「よし、もし吐きそうになったら教えてね。準備はしてあるから」

『…ありがとう』

 

ベッドの枕がある位置にクッションなどを積み重ねて背もたれを作る

そこに俺が寄りかかり、さらに俺に妻が寄りかかるようにする

 

「おいで」

「ぎゅーしよう」

ギュッ

「んっ、いいこだね」ナデナデ

「眠くなったら寝てね?」

「眠れるまでお話しよう」

『うん、ありがとう』

 

彼女の背中や腰の辺りを優しく、暖めるように撫でながら色々な話をする

最近あった面白かったこと、嬉しかったこと、仕事のことに友人関係

 

「それでね」

『すぅー、すぅー』zzz

「ん、寝ちゃったね」ナデナデ

 

彼女を起こさないように慎重にクッションをいくつか抜き取り、角度を緩くして俺も眠りに入る

上には愛する妻がいる

 

[newpage]

翌日も彼女の体調は優れないようだった

翌日もそのまた翌日も

一週間たっても、年を越しても

 

ひどい吐き気と頭痛で顔を歪め食事も時々戻してしまうこともあり、少し細くなった

 

掃除で気を紛らわせる余裕もなく、苦しむ彼女を前に俺は何も出来ずにいた

 

一番辛そうだったのは発情期だ

今までは薬で症状を抑えていたが、今は妊活中

発情して妊娠しやすいカラダでいる必要があるためいつもの薬は飲めずにいた

薬の副作用に加え、発情期特有の発熱や倦怠感

一日中ベッドから出られないような日もあった

 

そんなわけで当然のように

最初の1ヶ月

俺たちの間に性交渉はなかった

 

病院でも

女医「うーん。性交渉なしでは妊娠はできないからねぇ」

と言われた

 

そして1月、2月と過ぎていき…

女医「まあ、ウマ娘の繁殖適正期間は春だからね3月、4月とか。そんなに焦ることないよー」

『…ありがとうございました』

 

 

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そして、3月末のある日

『っ!ぐすっ、ひっく、ぐすんっ…』ポロポロ

「!」

「エア!どうした!」

『うっ、すまっ、ないっ…こんげつもっ、だめだった…』ポロポロ

 

泣いていた

右手に線が1本だけ描かれた棒状のものを持って

 

悲しくてこんなに泣いているのは初めて見たかもしれない

 

「…焦ることないって先生も言ってたろ?大丈夫だって」

『でもっ、わたしのっ、せいで…わたしがっ、だめだからっ、わたしがっ、ヒトだったら…』ポロポロ

「そんなこと言うなよ」

「俺の大切な奥さんのこと、だめだなんて言うな」

「ヒトだったらなんて、言わないでくれ」

『ぐすっ、でもっ』ポロポロ

「エアは全然ダメなんかじゃないし、そもそもエアがヒトだったら俺らは結婚どころか出会ってすらいなかったかもしれないぞ?」

「大丈夫だよ。俺たちのペースでゆっくりやろう」

「それとも…つらいなら、もうやめるか…?」

『!』

『やめ、ない』

『あなたの、春翔さんの子どもがほしいっ…!』

「そっか、ありがとう」

「それじゃあ、もうちょっと頑張ろうか」

『うんっ』チュッ

 

 

 

 

[newpage]

そして4月

 

女医「おめでとうございます」

女医「妊娠してますよ」

『「!」』

『なっ、えっ?ほんとに?赤ちゃん…』

女医「はい、確実にいます。お母さんのお腹の中に」

『あっ、ううっ、』ポロポロ

「エア」

「ありがとう」

「ありがとうね」ギュッ

 

 

 

こんどは妊婦としての生活が始まる

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